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場の理論

ドキュメント内 (C) Kazutaka Takahashi 2018 (ページ 162-169)

第 9 章 静磁場の法則 106

14.3 電磁気学の理論の発展

14.3.3 場の理論

電磁気学は「場」の理論である。粒子がどこにあるかということではなく、全ての任意の時空点に電磁 場が定義されている。それは力学の記述の仕方とは全く違う。荷電粒子の運動を記述するときには力学の 法則も必要となる。記述方法が異なる理論を同時に扱うことは難しい。これをどのように解決すべきかが 問題となる。電磁場の理論の記述方法はとても魅力的であり、力学にもその理論を適用したいところであ るが、そうはいってもNewton力学の記述もまた完成度の高い方法である。

この問題の解決はそう簡単ではなく、先は長い。まずは力学を「普遍性」のある形式で記述する解析力 学の理論の確立、電磁気の理論の解析力学的記述がまず必要である。そこではゲージポテンシャルの導入 が欠かせない。

そして量子力学である。力学の記述法は量子力学によって根本的に変えられてしまう。量子力学は波動 力学とよばれることもあるように、粒子などの状態を波として記述する。そして、波の性質に加えて粒子 性を記述するためには、場の量子論が必要となる。それによって波と粒子の二重性を記述することがよう やく可能になる。光に限らず、電子などの電荷もまた粒子であり波でもあるという性質を示す。

場の量子論では粒子の生成・消滅過程だけでなく波としての干渉効果も記述できる。電荷と電磁場の量子 論は量子電磁力学とよばれている。量子電磁力学は現在人類が手にしている最も精密な理論の一つである。

通常の課程では全てを理解するには大学院まで行く必要がある。先は長いのだが、各論はそれぞれのレベ ルで閉じた体系であるので、段階的に理解していくことができる。急がないで楽しんでもらえればと思う。

付 録 A 試験問題 (1)

1.

x=a、y= 0の直線に線密度λの電荷、x=−a、y= 0に線密度−λの電荷がそれぞれ一様に分布してい る系を考える。

[1–1]

電場E(r)および電位ϕ(r)を求めよ。

[1–2]

xy平面において各電気力線の満たす方程式を dy

dx=f(x, y) 各等電位曲線を

dy

dx=g(x, y)

と書く。このとき、関数f およびgを求めよ。また、電気力線をxy平面において図示せよ。

2.

2枚の平面導体をz=a/2z =−a/2にそれぞれ置きコンデンサーをつくる。それぞれの平面に蓄えら れる電荷面密度をσ、−σとする。平面は十分大きいとして端の効果は考えないとする。

[2–1]

電場E(r)を求めよ。

[2–2]

二つの導体が受ける単位面積あたりの力をそれぞれ求めよ。

[2–3]

原点を中心として半径bの導体球をおく。2b < aとする。また、導体球は電荷をもたない。平面導 体間の電位ϕ(r)がどのような関数形をもつか考察せよ。ただし、導体球は平面の電荷分布に影響を与えな いとする。微分方程式を解かないでわかる範囲でとりうる関数形を定めよ。

[2–4]

前問のとき、導体球表面に誘起される電荷面密度の大きさおよび全電荷を、前問で定めた関数を用

いて表せ。

[2–5]

[2–3]で導体球は平面の電荷分布に影響を与えないと仮定したが、正しいか。正しくない場合、ど のようになると考えられるか。

3.

z軸上に置いた無限に長い導線に定常電流Iを流す。この系に質量m、電荷qの荷電粒子を入射する。荷 電粒子の運動方程式をたて、初期条件に応じてどのような運動をするか調べよ。平面内に限られる運動を 詳しく考え、一般の場合は簡単に議論せよ。

付 録 B 試験問題 (2)

1.

電荷密度ρ(r)が時間によらない静電場E(r)の系を考える。

[1–1]

電荷密度の関数形が次のように与えられるとき、それぞれ電場の取りうる関数形をできるだけ詳し

く定めよ。ただし、計算を行ってはならない。結果とともにどのようにしてその結果を得たかも書くこと。

(a). 動径変数r=√

x2+y2+z2のみによる: ρ=ρ(r) (b). zによらない: ρ=ρ(x, y)

(c). 円柱座標の動径変数r=√

x2+y2のみによる: ρ=ρ(r) (d). xy平面に電荷が分布。面密度はr=√

x2+y2のみによる: σ=σ(r)

[1–2]

原点を中心とする半径aの球内部に電荷が一様に分布している系について、電場E(r)を求めよ。

全電荷量をQとする。球面に分布している場合との違いは何か。

2.

z <0に定常電流Iが流れ、原点に電荷Q(t) =Itがたまっていく系を考える(下図)。この系の電磁場を

求めよ。

3.

以下の各項目についてそれぞれ議論せよ。[3–1]以外は結論だけでなくなぜそのような結論に至ったかにつ いて要点を簡潔にまとめよ。

[3–1]

Maxwell方程式の各式はそれぞれ電磁場のどのような性質を表すか。

[3–2]

Gaussの法則はCoulombの法則と等価か。

[3–3]

磁場の源は電流として定式化されたが、磁荷ではだめなのか。

[3–4]

電荷が非等速度運動している時間依存系に静電磁場の法則を適用することはできないのはなぜか。

[3–5]

電磁場は計算に都合よく定義されたものなのか物理的に実在するものなのか。

付 録 C 試験問題 (3)

1.

xy平面、原点を中心とする半径aの円の内部領域(x2+y2≤a2、z= 0)に電荷が一様分布している系を 考える。全電荷量をQとしたとき、以下の問いに答えよ。

[1–1]

計算を行わないで電場E(r)のとりうる関数形をできるだけ詳しく定めよ。

[1–2]

z軸上の任意の点における電場を求めよ。

[1–3]

[1–2]の電場を適当に図示せよ(関数形をグラフで表す。縦軸、横軸は適切と考えられるものをとる)。

2.

原点を中心に、半径R0の導体球がある。導体球に正の電荷Qを与える。導体内で電荷は分裂して自由に 動くことができる。このとき、以下の問いに答えよ。

[2–1]

電場E(r)を求めよ。

[2–2]

導体球を内半径R1、外半径R2の導体球殻で覆う(R0 < R1< R2)。球殻の中心は球の中心と同 じ(原点)である。導体球殻に負の電荷−Qを与えたとき、それぞれの導体内において電荷分布はどのよ うになるか。Q < Qとする。

[2–3]

[2–2]のとき、任意の点において電場を求め、電気力線の様子を図示せよ。

[2–4]

[2–2]のとき、電位ϕ(r)を求め、図示せよ(関数形をグラフで表す。縦軸、横軸は適切と考えられ るものをとる)。電位は無限遠点で0になるとする。

3.

[3–1]

電場が

E(r) =k

d3rρ(r) rr

|rr|3 と書けるとき、次の式を示せ。Cは任意の閉曲線を表す。

I

C

dr·E(r) = 0

[3–2]

以下の文章はそれぞれ正しいか。正しくなければ訂正し、反例を挙げよ。

(a). 電荷分布が与えられたとき、Gaussの法則のみを用いて電場を(原理的には)計算できる。

(b). 万有引力もGaussおよび渦なしの法則の形で表現することができる。

(c). 電場のある系を考える。このとき、正の電荷をもつ粒子は電場の電気力線に沿って運動する。考えて いる粒子の電荷量の大きさは非常に小さく電場に影響を与えないとする。

(d). ある有限領域以外の電場は完全にわかっているとする。このとき、その有限領域の電荷分布を知るこ とができる。

付 録 D 試験問題 (4)

1.

無限に長い直線導線に定常電流Iが流れている系を考える。電流がz軸上正方向に流れるように座標系を とる。

[1–1]

磁場を円柱座標(ρ, φ, z)を用いてB(r) =Bρ(r)eρ+Bφ(r)eφ+Bz(r)ez と表す。eρ,φ,zは基底ベ クトルを表す。裏面のMaxwell方程式から導かれる静磁場の法則を用いて次の性質をそれぞれ示せ。

(a). Bρ、Bφ、Bzρのみの関数 (b). Bρ= 0 (c). Bz= const.

[1–2]

Amp`ereの法則を用いて磁場を求めよ。ただし、Bz= 0とする。

[1–3]

新たな直線導線をもとのものと平行に配置し同じ向きに電流を流す。このとき導線間にどのような

力が働くか。答えを表すのに必要な量があれば自身で記号を定義して答えよ。

2.

図のように一様定磁場中で導体棒oaの一端oを固定して一定の角速度ωで回転させると回路oabcdeoに 電流が流れる。導体棒以外は静止しているとする。磁場Bの方向は、oaがつくる円を直交して貫き、ocde の面に沿っている。oaの長さをaとする。

[2–1]

回路を貫く磁束Φ(t) =∫

S(t)dS·Bを計算せ よ。S(t)は回路がつくる経路を境界にもつ面を表す。

[2–2]

bcdeoの導線が抵抗RのOhmの法則を満た すとき、回路に生じる電流を求めよ。oa、ab部分の 抵抗は無視する。

3.

[3–1]

以下の方程式は、用いられている場の量(関数)がどのような性質をもつことを意味しているか。

それぞれについてなるべく詳しく述べよ。単語だけで終わらせないで文章で書くこと。具体的に何の物理 量を表しているかを問うているわけではないし、微分方程式を解けというわけでもないことに注意。

(a). ·A(r) = 0 (b). ×B(r) =0 (c).

∂tC(r, t) +·D(r, t) = 0 (d). 2E(r, t) 1 v2

2

∂t2E(r, t) =0

[3–2]

以下のような一様定電磁場E、B中で質量と電荷をもつ粒子はそれぞれどのような運動をするか 定性的に述べよ。計算はしなくてよい。電磁場によるもの以外の力は働かないとする。また、電荷がつく る電磁場は無視してよい。

(a).B=0, 初速度は0 (b).E=0, 初速度は磁場に直交 (c). EB, 初速度は0

[3–3]

以下の文章はそれぞれ正しいか。正しくなければ訂正するか反例を挙げよ。

(a). 定常電流があるとAmp`ereの法則によって磁場が生じ、Maxwell方程式の第4式(裏面のM4式)に したがって電場が生じる。

(b). Ohmの法則をMaxwell方程式から導くことはできない。

(c). 導線中の電流は電荷(電子)が光速で動くことによって伝わる。

索 引

Amp`ere, 95

Amp`ereの法則, 108 Amp`ere力, 95 Arago, 95 Biot, 95

Biot–Savartの法則, 98 Cavendish, 76

Coulomb, 18

Coulombの法則, 17, 70, 76 Coulomb力, 17, 40

Dirac, 65 Faraday, 125 Faradayの法則, 125 Feynman, 2

Fizeau, 134 Fleming, 102 Gauss, 46

Gaussの定理, 46, 86

Gaussの法則, 38, 44, 48, 107 Gilbert, 17

Grassmann, 97, 102 Greenの定理, 64 Hankel, 60 Henry, 125 Huygens, 153 Kepler, 4 Kirchhoff, 88 Kirchhoffの法則, 93 Kohlrausch, 134 Kroneckerのデルタ, 30 Laplace, 19

Laplace方程式, 63

Larmor周波数, 101 Lenz, 125

Lorentz, 100 Lorentz力, 100, 123 Lorenz, 138

Lorenzゲージ, 138, 145 Maxwell, 134

Maxwell方程式, 6, 132, 142 Mayer, 95

Michell, 95 MKSA単位系, 96 Neumann, 125 Newton, 3 Newton方程式, 5 Ohm, 88

Ohmの法則, 88, 123 Ørsted, 95

Ostrogradsky, 46 Poisson, 63 Poisson方程式, 63 Poynting, 136

Poyntingベクトル, 136 Priestley, 76

Savart, 95 Stokes, 60

Stokesの定理, 60, 62 Thomson, 60

van Musschenbroek, 73 von Kleist, 73

Weber, 134 Wigner, 152 アンペア, 96

ドキュメント内 (C) Kazutaka Takahashi 2018 (ページ 162-169)