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問題

ドキュメント内 (C) Kazutaka Takahashi 2018 (ページ 120-123)

第 9 章 静磁場の法則 106

9.4 問題

[9–1] 直線電流のつくる磁場

対称性の議論と静磁場の法則の積分形((9.13)、(9.14)式の左)のみを用いて直線電流がつくる磁場が求 まるか調べよ。Biot–Savartの法則(9.1)式を用いてはならない。

[9–2] 磁場の回転

式(9.1)の磁場について、回転(∇×)をとることで直接(9.12)式が成り立つことを示せ。式(5.27)(65

ページ)を用いる必要がある。

[9–3] ベクトルポテンシャルの計算

例題8–2(98ページ)の円電流の系について、ベクトルポテンシャルの一般的な積分形を書き下せ。ま

た、それを用いて向きや漸近形などだいたいのふるまいを議論し、ベクトルの様子を図示せよ。

[9–4] 電流密度と磁場・ベクトルポテンシャル

磁場やベクトルポテンシャルは電流密度を用いて表されるが、定常電流の法則(7.19)式(89ページ)と 矛盾がないか調べよ。

10 章 磁気モーメント

静電場と静磁場の法則をひととおり見てきた。静電場の場合には電荷という量をいったん認めてしまえ ばよいのだが、静磁場の場合には電流を源としておりややわかりづらい。電流は向きをもった流れという非 局所的な概念であるからである。本章ではそういった事情について、電場と磁場を対比しながら磁気力の 源をどう考えるべきかについて議論する。われわれの身近にある磁石(magnet)に関連した問題である1

10.1 磁気双極子

ふたたび円電流の系を考える。半径aの円上を流れる電流Iによってつくられる磁場は例題8–2(98ペー ジ)で計算を行った。そこでは円電流を貫く軸上のみを考えたが、一般には

B(r) =kmI I

C

dr× rr

|rr|3 (10.1)

と書ける。Cは電流の経路を表す。

ここで、円が非常に小さい場合を考えよう。あるいは非常に遠いところの観測点を考えるといってもよ い。|r| ≫aという条件式で表される状況である。極限をとると磁場は減衰して0に近づく。その漸近形を 調べてみる。

磁場を得るためにベクトルポテンシャルを用いた計算を行う。ベクトルポテンシャルの方が積分表式が 簡単だからである。磁場B(r)とベクトルポテンシャルA(r)B(r) =×A(r)の関係にあり、A(r)は

A(r) =kmI I

C

dr

|rr| (10.2)

と書ける。この表式を次の近似を用いて計算する。r=|r|、r=|r|として、

1

|rr| = 1

√(rr)2 (10.3a)

= 1

√r22r·r+r2 (10.3b)

= 1

r

12rr·r2 +rr′22

(10.3c)

1

r( 1rr·r2

) (10.3d)

1 r

(

1 +r·r r2

)

(10.3e) と近似する。r2の項は高次の寄与として無視している。ベクトルポテンシャルの近似表現は

A(r) kmI r

I

C

dr (

1 +r·r r2

)

(10.4)

1本章ではベクトルポテンシャルおよび電気双極子の知識を用いる。ベクトルポテンシャルについては磁場がB(r) =×A(r)

と書けてA(r)(10.2)式で与えられることだけ理解できればよい。電気双極子はよく理解しておく必要がある

と書ける。円をxy平面におき中心を原点にとると、積分座標は

r =a



 cosθ sinθ 0



, dr=adθ



sinθ cosθ

0



 (10.5)

と書くことができる。具体的に積分を行うと

A(r) kmIa r

0



sinθ cosθ

0



 [

1 + a

r2(xcosθ+ysinθ) ]

(10.6a)

= kmIa r



−y x 0



πa

r2 (10.6b)

= kmISez× r

r3 (10.6c)

である。S=πa2は円の面積を表す。この表式は、円電流が次の量によって特徴づけられることを示して いる。

m=ISez=IS (10.7)

Sは向きをもった微小面要素を表す2。磁場は(10.6)式の回転をとって次のように計算される。

B(r) = ×(

kmm× r r3

)

(10.8a)

= kmm· r

r3 −kmm·r

r3 (10.8b)

= km

(

m

r3 +3m·r r5 r

)

(10.8c) 二つめの等式では公式(3–8.2)(51ページ)を用いている。

結果は、円電流の遠くで磁場は逆3乗程度の大きさで減衰する。また円が向きをもっていることを反映 して磁場も向きによってふるまいが異なる。

ここで気づいてほしいのは、この式が電気双極子があるときの電場の式(6.21)(75ページ)と全く同じ 形をもっていることである。電場の代わりに磁場、電気双極子モーメントの代わりに磁気双極子モーメント

(magnetic dipole moment)mが用いられている。つまり、小さな円電流は磁気双極子(magnetic dipole)

とみなすことができる。ここでは円電流を考えたが、一般の閉じた電流経路の場合にも容易に拡張できる。

磁気双極子モーメントは一般に次のように表される。

m=I

S

dS (10.9)

Sは閉じた電流経路がなす面を表す。

ドキュメント内 (C) Kazutaka Takahashi 2018 (ページ 120-123)