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問題

ドキュメント内 (C) Kazutaka Takahashi 2018 (ページ 149-153)

第 9 章 静磁場の法則 106

12.6 問題

図 12.3: 問題[12–2]の系。起電力V(t)をかけて電流I(t)が流れる。面領域をコンデンサー内を通る面S1 と導線を通る面S2の2通りにとって積分をそれぞれ行う。両者の面領域は共通の境界(破線)をもつ。

粒子のみでは成り立たない。静電場の場合には電磁場のエネルギーは一定であるから電磁場と電荷の間で エネルギーが移り変わることがない。そのため、電磁場のエネルギーを意識する必要がなかったのである。

13 章 電磁波

最後に、電磁場の波としての性質を調べる。波動方程式を解くと、電磁場が進行していく様子を見るこ とができる。また、電荷がどのように電磁場を放出するかについて簡単な例を用いて調べる。これらの計 算によって電荷と電場と磁場が互いに影響を及ぼし合いながら変化していく様子を実感することができる だろう。

13.1 波動方程式

電磁場は電荷と電流密度がないとき波動方程式を満たす。ρ= 0、J =0のMaxwell方程式

·E(r, t) = 0 (13.1)

×E(r, t) +

∂tB(r, t) =0 (13.2)

·B(r, t) = 0 (13.3)

×B(r, t) 1 c2

∂tE(r, t) =0 (13.4)

より、

−∇2E(r, t) + 1 c2

2

∂t2E(r, t) =0 (13.5)

−∇2B(r, t) + 1 c2

2

∂t2B(r, t) =0 (13.6) が導かれることを前章で示した。電荷や電流密度がないからといって電磁場がないわけではない。何らかの 要因で電磁場がつくられたとき、その電磁場は空間を伝搬してひろがっていく。Maxwell方程式はその電磁 場の何もない空間、つまり真空中での伝搬の様子が波の運動と全く同じであることを示している。Maxwell 方程式から得られる驚くべき性質である。

本節では真空中における電磁場の波としての伝搬の様子を波動方程式を解くことによって調べる。波と して伝わる電磁場のことを電磁波(electromagnetic wave)とよぶ。波動方程式は2階の線形微分方程式で ある。微分方程式の解き方・扱い方については系統的な理論を展開できるが、本講義ノートでは一般論を 扱うことはしない。いくつかの簡単な例を示すことによって電磁場の伝搬の様子を探ることにしよう。

電場と磁場はそれぞれ波動方程式を満たし、別々に方程式を解くことができるが、もちろん両者は独立 ではない。Maxwell方程式に戻ってみると電場と磁場は互いに関係しあっている。Maxwell方程式の第2・

4式を見ると電場の変化がある場所では磁場もまた変化している。

13.1.1 平面波

もっとも簡単な場合として、空間座標の一つのみに依存する解を考えてみよう。つまり電場がたとえばz にのみ依存してE(z, t)のときである。さらに、変数分離(separation of variables)された解を仮定する。

E(z, t) =E0Z(z)T(t) (13.7)

E0は定ベクトルを表す。波動方程式に代入すると E0

(

−Z′′(z)T(t) + 1

c2Z(z) ¨T(t) )

=0 (13.8)

を得る。ZZz微分、T˙はTt微分を表す。これより

−Z′′(z) Z(z) + 1

c2 T¨(t)

T(t) = 0 (13.9)

と書ける。左辺第1項はzの関数でtによらず、第2項はtの関数でzによらない。それらを足したもの が任意のz、tで0になるということは両者が定数であることを示している。つまり、

−Z′′(z)

Z(z) =C1 (13.10)

1 c2

T(t)¨

T(t)=−C1 (13.11)

と書ける。これらの2解微分方程式は簡単に解くことができる。C1=k2とおくと

−Z′′(z) =k2Z(z) (13.12)

−T(t) =¨ c2k2T(t) (13.13)

を得る。k2は任意定数であるが正の値をとるものとする。2乗するからkは正としても一般性を失わない。

C1<0の場合も考えることができてその場合対応するkは純虚数となるが、問題[13–1]でわかるようにそ れは物理的な解を表していないので、考えない。微分方程式は簡単に解くことができて

Z(z) =Z0sin(kz−kz0) (13.14)

T(t) =T0sin(ckt−ckt0) (13.15)

を得る。添字に0がついたものは積分定数を表す。4つあるが、電場の表式に戻すとZ0T0E0に吸収で きてしまうので考える必要がない。まとめると、電場は

E=E0sin(k(z−z0)) sin(ck(t−t0)) (13.16) と書ける。このように方程式はそれぞれの変数の方程式に分離することができる1。積分定数は初期条件に 応じて決まるものである。電場は波として伝搬し、その波数はk、周波数はckで与えられる。位相速度は それらの比cとなる。

·E= 0より

kE0zcos(k(z−z0)) sin(ck(t−t0)) = 0 (13.17) となる。この式がztによらず常に成り立つとするとE0z= 0でなければならない。k= 0はE=0の 自明な解なので考えない。E0z = 0ということは、電場の向きが波の進行方向zに直交していることを意 味している。次節で議論するが、波の向きは一般に波数ベクトルkの向きによって指定される。今の場合、

kz成分のみをもつ。

1これは多変数関数を解くときの常套手段である。もちろん全ての方程式が変数分離を用いて解くことができるわけではないが、

これができると大変便利であるため、できるかどうか試してみるとよい。また、変数分離で解ける系でも変数分離で表されない解が 存在する。ところが、線形の系ではそのような解は変数分離で求められた解の線形結合で表すことができる。どのような解でも変数 分離された解で表すことができるのであれば変数分離で求めた解で十分であると言える。詳しい説明は別の講義に譲る。物理学専攻 者は、量子力学や物理数学(Fourier変換の理論)で詳しく扱う。

磁場も波動方程式を満たすから、同じように変数分離される。Maxwell方程式を満たすようにすると

E=



E0x

E0y 0



sin(k(z−z0)) sin(ck(t−t0)) (13.18)

に対して

B= 1 c



−E0y

E0x 0



cos(k(z−z0)) cos(ck(t−t0)) (13.19)

を得る。これらは平面波(plain wave)とよばれるものである。磁場は電場と直交していることがわかる。

さらに、磁場は進行方向にも直交している。つまり、電磁波の進行方向、電場、磁場は互いに直交してい る。電磁波は横波であると言える。

13.1.2 一般的性質

前節では平面波を得た。ここでは、平面波で得られた電磁波の性質がどれだけ一般的なものかを調べよう。

まず、前節と同様にして波動方程式が座標zと時間tにのみ依存すると仮定する2。このとき、波動方程 式はξ=z−ct、η=z+ctという変数を用いて

∂ξ

∂ηE =0 (13.20)

と書くことができる。よって、容易に積分を行うことができて

E(z, t) =E+(ξ) +E(η) =E+(z−ct) +E(z+ct) (13.21) という解を得る。E±は任意の関数を表す。第1項のE+(z−ct)は関数がその形を保ちながら速度cで動 いていく解、第2項は速度−cで動いていく解を表している。

一般化することも容易であり、

E(r, t) =E+(k·r−ckt) +E(k·r+ckt) (13.22) が解となっていることは波動方程式に代入することで確かめられる。kは任意のベクトルを表す。これは ベクトルkの方向に進行する解を表している。

平面波と同様にして·E(r, t) = 0を考慮すると k·(

E+ (k·r−ckt) +E (k·r+ckt))

= 0 (13.23)

となる。E± はそれぞれの引数についての微分を表す。この式はE±k方向成分についての微分がそれ ぞれ0であることを示している。任意の座標について成り立つということは

k·E(r, t) = 0 (13.24)

を意味する。つまり、一般に電場は横波である。問題[13–2]を解くと磁場も得ることができて進行方向と 電場と磁場が互いに直交することが言える。

さらに重要な点は、波動方程式(Maxwell方程式)が線形の方程式であるということである。これは解 の重ねあわせが可能であることを意味している。E1E2が解であればそれらの和E1+E2もまた解を

2zのみに依存するという制限は計算後に外す。

表す。このようにしていくらでもみかけの異なる解を作り出すことができる。上で示した波動方程式はk によらず成り立つから、いろいろなkについて和をとった解を考えることができる。どのような重ねあわ せを用いるかは初期条件・境界条件に依存する。これは問題に応じて定める必要がある。線形性は非常に 重要な性質であり、これによって無数にある解を表現できる3

ドキュメント内 (C) Kazutaka Takahashi 2018 (ページ 149-153)