2) 多国間管理における核不拡散性の評価
6.6 国際核燃料サイクル枠組み構築に係る議論の場
枠組みの実現に向けては、APEC 等、既存の枠組みを土台にするか、新たな枠組みを少数 の国家間で開始し拡大するかという選択肢がある。保障措置のアルゼンチン・ブラジルに みられるような地域枠組み(ABACC)の例にみられる、新たな枠組みを少数の国家間で開始 し将来ニーズにしたがい拡張する、という考え方もあるが、協力活動は限定され後の拡張 の議論も容易ではない思われ、既存の枠組みにおいて議論を開始するという方が現実的か もしれない。
前者について、アジア地域におけるいくつかの既存の協力枠組みについての比較を次の 表 6.20 に示す。東南アジア諸国連合(ASEAN)は 1961 年に設立された東南アジア連合を発 展的に受け継ぎ(1968 年設立)、経済、社会、政治、安全保障、文化などの分野での地域協 力を行っている。アジア太平洋経済協力(APEC)は 1989 年に第 1 回閣僚会議が開催され、
アジア太平洋地域の 21 の国と地域が参加する経済協力の枠組みで、「協調的自主的な行動」、
「開かれた地域協力」を基調として、互いに法的に拘束しないことを原則としている。ア ジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)は我が国(小泉首相)が 2001 年に提唱し、2006 年に 発効した海賊対策に特化した国際協定である。アジア原子力協力フォーラム(FNCA)は近 隣アジア諸国との原子力分野の協力を効率的かつ効果的に推進する目的で日本が主導する 原子力平和利用協力の枠組みで、大臣級会合、コーディネーター会合、パネル、プロジェ クト等の活動を行っている。そのほか既存の保障措置協力の枠組みとしては、アジア・太 平洋保障措置ネットワーク110(APSN: Asia-Pacific Safeguards Network)が存在するが、
110現在のメンバーは、Australian Safeguards and Non-Proliferation Office, Canadian Nuclear Safety Commission, China Department of Arms Control and Disarmament, Ministry of Foreign Affairs, IAEA, Japan Nuclear Material Control Center, Korea Institute of Nuclear Nonproliferation and Control, New Zealand Ministry of Foreign Affairs and Trade, Disarmament and Arms Control, Philippine Nuclear Research Institute, Singapore Center for Radiation Protection and Nuclear Science, National
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各国の事業者間の組織であり、地域保障措置の実施の域までには達しておらず、またアジ アの主要原子力供給国であるカザフスタンは参加していない。
それぞれ特色があるが、原子力分野という点で FNCA の場あるいは APSN を活用し、本提 案に関して議論を進めることができよう。また、法的な拘束力が必要という点では ReCAAP の枠組みが参考になろう。ASEAN 及び APEC は参加国、協力分野、法的拘束力等の点で直ち にこれらの枠組みの活用・発展の可能性は少ないが、議論の場として活用できる可能性が あるかもしれない。
いずれにしても、枠組み構築に係る議論の場については、政治的な要素が強いため本研 究としてはこれ以上の検討は行わないこととするが、現実には、どのような形で MNA 議論 を具体化するかにおいては、重要な課題であろう。
Environmental Agency, Russia State Atomic Energy Commission, Thailand Office of Atomic Energy for Peace, Ministry of Science and Technology, U.S. DOE National Nuclear Security Administration, Vietnam Ministry of Science and Technology
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略称 フルネーム 設立の経緯 参加国 特色 その他
ASEAN 東南アジア諸国連合 Association of South-East Asia Nations
1961 年の東南アジア連合
(Association of Southeast Asia, ASA、タイ、フィリピン、
マラヤ連邦)が前身
1967/8 年タイのバンコクで ASA を発展的に解消する形で ASEAN が設立された。
原加盟国:タイ、インドネシア、シンガポ ール、フィリピン、マレーシア
1984 年ブルネイ加盟
1990 年代後半にベトナム、ミャンマー、ラ オス、カンボジア加盟
オブザーバー:パプアニューギジア、東テ ィモール
10 ケ国の経済、社会、政治、安 全保障、文化での地域協力機構。
本部はインドネシアのジャカル タ
APEC アジア太平洋経済協 力
Asia Pacific Economic Cooperation
1989 年第 1 回 APEC 閣僚会議 オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、
中国、中国香港、インドネシア、日本、韓 国、マレーシア、メキシコ、ニュージーラ ンド、パプアニューギニア、ペルー、フィ リピン、ロシア、シンガポール、チャイニ ーズタイペイ、タイ、アメリカ、ベトナム
アジア太平洋地域の 21 の国と地 域が参加する経済協力の枠組み
「協調的自主的な行動」
「開かれた地域協力」
法的に拘束しない、緩やかな政府 間協力枠組み
ReCAAP アジア海賊対策地域 協力協定
Regional Cooperation Agreement on Combating Piracy and Armed Robbery against Ships in Asia
2001 年小泉総理が提案 2004 年 11 月に採択 2006 年 9 月に発効
締約国 18 ヶ国
日本、シンガポール、ラオス、タイ、フィ リピン、ミャンマー、韓国、カンボジア、
ベトナム、インド、スリランカ、中国、ブ ルネイ、バングラデシュ、ノルウェー、オ ランダ、デンマーク、英国
海賊対策として 情報共有センター,
ISC を通じた情報共有及び協力 体制
ISC を経由しない締約国同士の 二国間協力の促進
表 6.20 アジア地域における既存枠組みの比較
141 FNCA アジア原子力協力フ
ォーラム
Forum for Nuclear Cooperation in Asian
大臣級会合、コーディネーター会 合、パネル、プロジェクト等の活 動
日本、オーストラリア、バングラデシュ、
中国、インドネシア、カザフスタン、韓国、
マレーシア、モンゴル、フィリピン、タイ、
ベトナム
近隣アジア諸国との原子力分野 の協力を効率的かつ効果的に推 進する目的で日本が主導する原 子力平和利用協力の枠組み
プロジェクト:放射線育 種、バイオ肥料、電子加速 器利用、放射線治療、研究 炉ネットワーク、中性子放 射化分析、原子力安全マネ ジメント、放射線安全・廃 棄物管理、人材養成、核セ キュリティ・保障措置
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