第5章 分析
5.1.1 回答企業の概要
図
7
の回答者の状況をみると、大企業は12
社47
個、中堅企業は14
社20
個、中小企業 は35
社39
個の回答を獲得し、合計61
社106
個である。この中から1
個の場合、仮説検 定に用いるデータは欠損値が多いため、除外した。しかし、「FFE
での具体的な活動」に 関する回答は、頻度分析などの記述統計のため、使用することにした。図 7 企業規模別の企業数と回答者数
図
8
は,回答者の所属する企業規模別の沿革を示したグラフである。沿革の範囲を1~
7
年とした理由は、韓国では設立して7
年以下の企業は創業企業34として扱い、国から 様々な支援を受けることができる。大企業の場合は、殆ど創業して
21
年以上経っており、中堅企業は8~20
年未満の企業 が8
社、中小企業は1~7
年が20
社で最も多く、8
年から20
年に経っている中小企業も13
社がある。図 8 企業規模別の沿革
34
中小企業創業支援法、第 2
条(定義)2.“創業者”とは中小企業を創業する者及び中小企業を創業し事業を開始
した日から
7
年が過ぎなかった者をいう。www.law.go.kr,2018年5
月16
日アクセス図
9
は、企業規模別の従業員数を示したグラフである。大企業の場合は851~3,500
人 以下が4
社、中堅企業は351~ 850
人以下が10
社、中小企業は1~ 50
人以下が22
社のほ うが最も多い。中堅企業の中では10,000
人以内も1
社がある。図 9 企業規模別の従業員数
図
10
は、回答者の所属企業の2017
年度売上高を示したグラフである。2017
年度の売 上高が分からない中小企業の場合、2016
年度の売上高のデータを使う。大企業の場合、10
億~50
億ドル以下は6
社、中堅企業は1
億~3
億ドル以下が8
社、中小企業は1
億ド ル以下が16
社で最も多い。図 10 2017年度企業規模別の売上高
表
10
は、回答者の企業規模別の部署を示した表である。この表を見ると、企画・戦略 が全体32
個で最も多く、R&Dが24
個、マーケティングが12
個、営業が8
個、生産・製 造・品質が2
個、企画・戦略+その他が8
個、R&D+その他が 3
個、HRD
が1
個、その他が5
個、CEOということで部署のないと回答した人が11
個である。部署兼任だと回答した回 答者が11
個で、大企業3
個、中堅企業5個、中小企業3
個である。また、CEO
からの回 答は、すべて中業企業からで11
個である。中小企業の場合、新製品開発プロジェクトをCEO
が直接管理していると考えられる。韓国のICT
企業の新製品開発プロジェクトは、R&D
部署だけではなく、様々な部署で行っていることが分かる。表 10 回答者の企業規模別の部署
企画・戦
略 R&D マーケ
ティング 営業 生産・製
造・品質 HRD 企画・戦略
+その他
R&D
+その他 CEO その
他 計 大企業 18 13 9 2 1 0 3 0 0 1 47
中堅企業 6 3 1 1 1 1 4 1 0 2 20
中小企業 8 8 2 5 0 0 1 2 11 2 39 計 32 24 12 8 2 1 8 3 11 5 106
表
11
の回答者の職位を見ると、大企業は課長が16
個、中堅企業は部長が13
個、中小 企業はCEO
が11
個で最も多い。スタートアップ企業は、CEO
の経験、技術及び知識で創 業するため、新製品開発プロジェクトの管理も直接に行っていることが考えられる。表 11 企業規模別の回答者の職位
CEO CTO 事業
本部長 理事 部長 PM 次長 課長 代理 首席 研究員
責任
研究員 チーム員 計 大企業 0 0 0 3 11 0 16 5 4 4 4 0 47 中堅企業 0 2 2 0 13 2 1 0 0 0 0 0 20 中小企業 11 1 13 0 0 2 6 1 1 3 0 1 39 計 11 3 15 3 24 4 23 6 5 7 4 1 106
図
11
は、「新製品開発の目的」を示した円グラフである。「新製品開発の目的」は、世界的な標準となっている
Booz et al.(1982)に基づいて分
類を行った。Booz
らの分類は6つで、各分類が占める割合は、「新規分野への進出(Newto the world)」10%、「新規製品ライン( New Product Lines)」20%、「既存製品ライ
ンの追加(Additions to the Existing Product Lines)」26%、「既存製品の改善及び
修 正 (Improvement to Existing Products
) 」26%
、 「 リ ポ ジ シ ョ ニ ン グ(Repositioning)」7%、「コスト削減(Cost Reductions)」
11%程度であると提示して
いる。但し、本研究においては、「新規製品ライン」と「既存製品ラインの追加」を統合 して、「新規製品ライン」として、5つに分類してアンケート調査を実施した。韓国
ICT
産業の「新製品開発の目的」の割合を全体からみると、「新規分野への進出」が最も多い
53.8%( 57
個)、「新規製品ライン」が 23.6%( 25
個)、「リポジショニング」
が
14.2%( 15
個)、「製品改良」が6.6%( 7
個)、「費用削減」が0.9%(1
個)、N/A
が0.9%( 1
個)である。表
12
は、企業規模別に「新製品開発の目的」を示している。「新規分野への進出」は、大企業
23
個、中堅企業12
個、中小企業22
個である。また、「新規製品ライン」は、大企業
14
個、中堅企業4
個、中小企業7
個である。企業規模と 関係なく韓国のICT
産業は、「新規分野への進出」及び「新規製品ライン」に力を入れて いると考えられる。図 11 新製品開発の目的
表 12 企業規模別による「新製品開発の目的」
(単位:人)
大企業 中堅企業 中小企業 計費用節減 0 0 1(2.6%) 1
リポジショニング 7(14.9%) 2(10.0%) 6(15.4%) 15 製品の改善及び修正 3(6.4%) 2(10.0%) 2(5.1%) 7 新規製品ライン 14(29.8%) 4(20.0%) 7(17.9%) 25 新規分野への進出 23(48.9%) 12(60.0%) 22(56.4%) 57
N/A 0 0 1(2.6%) 1
回答者数 47 20 39 106
図
12
は、Booz らの研究で提示している「新製品開発の目的」の比率と2017
年度の韓 国ICT
産業の比率を表した円グラフである。この図を見ると、Booz
らが定義した「新規 分野への進出」は、全く新しい市場を創り出す新製品として定義している点からみて、韓 国のICT
産業の数値はあまりにも高い。この結果から、韓国のマネージャーらが理解した「新規分野への進出」は、‘自社にと って、これまで韓国の市場に出さなかった製品’として捉えたのではないかと考えられる。
そして「新規分野への進出」の比率は、中堅・中小企業の方が大企業より高い。
図 12 Boozらと韓国
ICT
企業における「新製品開発の目的」の比率の比較図
13
は、新製品開発の期間を示した棒グラフである。新製品の開発期間は、全体で4~6ヶ月が
32
個で最も多く、次は7~9ヶ月が22
個、10~12ヶ月が20
個、22~ 24
ヶ月11
個の順である。1
年以内の新製品開発の期間が74
個で74%を占めている。
図 13 新製品の開発期間
図
14
は、企業規模別に新製品開発の期間を表した図である。大企業は4~6
ヶ月が18
個、中堅企業は10~ 12
ヶ月が7
個、中小企業は4~ 6
ヶ月が11
個で最も多い。図 14 企業規模別の新製品開発の期間
表
13
は、企業規模別に新製品開発の目的と開発の期間をクロス集計した結果である。表 13 企業規模別に新製品開発の目的
X
開発の期間新製品開発の目的 開発期間 大企業 中堅企業 中小企業 計
費用節減 4~6ヶ月 ― ― 1 1
ポジショニング変更
1~3ヶ月 1 ― ― 1
4~6ヶ月 3 ― 3 6
7~9ヶ月 3 ― 1 4
21~24ヶ月 ― 1 1 2
新製品の修正
4~6ヶ月 2 ― 1 3
7~9ヶ月 1 1 1 3
22~24ヶ月 ― 1 ― 1
新規製品ライン
1~3ヶ月 1 (7.7%) 1 (25.0%) ― 2
4~6ヶ月 7 (53.8%) 1 (25.0%) 1 (14.3%) 9
7~9ヶ月 2 (15.4%) ― ― 2
10~12ヶ月 ― 1 (25.0%) 2 (28.6%) 3
13~15ヶ月 ― ― 1 (14.3%) 1
16~18ヶ月 ― 1 (25.0%) ― 1
22~24ヶ月 2 (15.4%) ― 2 (28.6%) 4
25~30ヶ月 1 (7.7%) ― 1 (14.3%) 2
小計 13 (100%) 4 (100%) 7(100%) 24
新規分野への進出
1~3ヶ月 ― 1 (8.3%) 3 (14.3%) 4
4~6ヶ月 6 (28.5%) 2 (16.8%) 5 (23.8%) 13 7~9ヶ月 5 (23.9%) 1 (8.3%) 6 (28.6%) 12 10~12ヶ月 6 (28.5%) 6 (50%) 5 (23.8%) 17
13~15ヶ月 1 ( 4.8%) ― ― 1
16~18ヶ月 2 (9.5%) 1 (8.3%) ― 3
22~24ヶ月 1 (4.8%) 1 (8.3%) 2 (9.5%) 4
小計 21 (100%) 12 (100%) 21(100%) 54
回答者数 44 19 36 99
「費用削減」を目的とする回答者は
1
個(中小企業)である。「新規分野への進出」に
おいて、大企業は4~ 6
ヶ月と10~ 12
ヶ月が6
個ずつで、中堅企業は10~12
ヶ月が6
個、中小企業は
7~9
ヶ月が6
個で最も多い。「新規製品ライン」においては、大企業は
4~6
ヶ月との回答者が7
個で最も多い。「新規分野への進出」と「新規製品ライン」の開発期間が
1
年以内であると回答した数は 全体で62
個(62.6%)である。
「新規製品ライン」の場合、開発期間が
1
年以内と回答した大企業は76.9%、中堅企業
は
75%、中小企業は 42.9%
である。また、「新規分野への進出」は、大企業は80.9%、中
堅企業は
83.4%、中小企業は 90.5%である。「新規製品ライン」の場合は、大企業の方
が開発期間の短いが、「新規分野への進出」は、中小企業の方が短い。