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各項の大きさの比較

ドキュメント内 BGK (ページ 82-85)

第 3 章 運動論的方程式の線形摂動 61

3.1.5 各項の大きさの比較

素朴に考えると減衰はcollisionを介して行われるので減衰時間nはcollision timeよ り短くならず、nは1を超えることはなさそうであるが、計算してみると超える部分が出 てくる。この疑問を中心にして各モードについて運動方程式の各項の大きさを比較するこ とで考察する。なお運動方程式の各項の絶対的な大きさに意味は無いので、全て運動量密 度を1に規格化することで比較する。

音波モード

このモードは長波長でδρδuが優勢なので音波モードを表すと考えられる。

k のある値を超えると n は 1 を超え、無限大に大きくなっていく。これは緩和は

collisionを介して行われるという直観に反する。しかしここで BGK近似では緩和時間

τ が粒子の速さ v に依存していないことを考慮すると、ある k 以上では必ずしも粒子 はcollisionをせずにむしろcollisionless的になると考えられる。するとある k以上では

collisionをせずにエネルギーの高い粒子がその波長に対応する領域から拡散して混ざり合

うことでδEを減衰することになると考えられる。これはChapman-Enskog近似で熱伝 導係数、粘性係数が平均自由行程に比例することからも理解できる。結局kが大きくなる

につれて考える系の大きさ(波長)が小さくなり、collisionが起こらなくなり拡散が効く ようになる。すると系のスケールが小さくなればなるほど拡散が早くなり、減衰時間は短 くなるので結果nは無限に大きくなると考えられる。

このモードを用いて運動方程式の各項の大きさを比較した図が次の図である。

0.1 1

0.1 1 10

Eigenvalue

k τ Cs

momentum density pressure viscosity

3.13 音波モードの固有ベクトルによる運動方程式の各項の大きさ

これより確かに音波モードでは長波長側では粘性は小さくほぼ理想流体で、短波長側に ゆくほど粘性が大きくなっていくことが分かる。

熱伝導モード

このモードは固有ベクトルより熱伝導を表すと考えられる。それを運動方程式の各項の 大きさを比較した図を見ると良く分かり、

0.1 1 10 100

0.1 1 10

Eigenvalue

k τ Cs

momentum density pressure viscosity

3.14 熱伝導モードの固有ベクトルによる運動方程式の各項の大きさ

このように一様状態では運動量密度はなく、粘性と圧力勾配力を通して徐々に流体に運

動量が与えられているというのが分かる。またある波長で粘性がゼロになることも予言 する。

その他のモード

これらは流体方程式系からは予言されないモードで、純粋に運動論的なモードである。

これは同様の図をみると良く分かる。

0.1 1 10 100

0.1 1 10

Eigenvalue

k τ Cs

momentum density pressure viscosity

0.1 1 10 100

0.1 1 10

Eigenvalue

k τ Cs

momentum density pressure viscosity

3.15 運動論的モードの固有ベクトルによる運動方程式の各項の大きさ

これをみると明らかに一様状態でも粘性項のみがいて、摂動が入ることで運動量密度と 圧力勾配が発生しだしていることがわかる。流体近似では粘性は速度勾配により発生する と考えられているため速度勾配のない一様状態で粘性のみが存在することは無いはずなの で、このモードは粘性が分布関数の2次のモーメントという独立変数であることから生じ た純粋な運動論的効果であることが分かる。

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