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参加型開発への取組

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第 3 章 貧困削減に向けたパートナーシップ

3.4. 参加型開発への取組

3.4.1.

住民参加型開発プロジェクト

前述のように、インドでは住民自治組織や

NGO

の活動が盛んであるため、ドナーもそ うした組織を活用しながら参加型の取組を行っている。例えば、

WB

ADB

は、プロ ジェクト実施契約を

NGO

と締結するだけでなく、

NGO

との協議の場の構築も積極的に 行っている。また、

UNDP

は小額草の根援助を通じて

NGO

を支援している。(

1990

年 度以降に

JBIC

がインドにおいて行った

NGO

とのパートナーシップ事例に関しては、

別添

6

を参照。)

World Bank

NGO

連携事例

(Uttar Pradesh Sodic Lands Reclamation Project)

1945

年から、ウッタル・プラデーシュ州政府は塩質土壌再生プログラムに着手していた。しかし、

トップ・ダウン・アプローチによって受益者参加が妨げられた点や、モニタリング・評価を重要視し なかった点が弱点であるとされた。一方、地元の

NGO

である

Sarvodaya Ashram

1980

年代から

Community-based organizations

と小規模フィールド実験を通じた塩質土壌再生プログラムを試みてお り、そこで得られた経験や成功事例をもとに他の地域でも同様のモデルを再現するため、政府の支援 を得たいと考えていた。こうした背景から、ウッタル・プラデーシュ州政府は、Sarvodaya Ashram プローチによる塩質土壌再生プロジェクトを

World Bank

に提案し、

1993

年に承認された。同

NGO

は、プロジェクト初期には農夫たちを水使用者グループなどに集める触媒のような働きをし、技術の 普及、効果的運営方法の開発などを行った。また、プロジェクトが進むと、村レベルの組織と政府組 織や金融機関などとの関係構築も行うようになった。こうした

NGO

の活動により、多数の受益者が プロジェクトに参加するようになり、受益者の社会・経済状況が改善された。州政府による過去の試 みが受益者参加のない失敗に終わったことを考慮すると、この成功事例は、政府と

NGO

の有意義な 連携がプロジェクトの成功に寄与したことを表していると考えられる。

(出所) World Bank (1998) “NGOs in Bank-supported Projects: An OED Review”, World Bank, Report No. 18399

World Bank (2001) “Learning from the Past: India Uttar Pradesh Sodic Lands Reclamation Project”, Social Development Notes No. 56, World Bank (http://www.worldbank.org/) 20065月現在

タミルナド州植林事業

「タミルナド州植林事業」は、

JBIC

が日本の

NGO

「ソムニード」と連携し、住民参加を取り入れて 行ったものである。この事業では、森林局と地元住民が協働で森林管理を行うだけでなく、村人の生 活向上のための自助グループ(

SHG: Self Help Group

)が組織され、住民が貧困のためやむを得ず木を 伐採したり、家畜を放牧したりして、森林再生の芽を摘むことのないよう、住民の代替収入源を確保 する取り組みが行われた。

SHG

は、市場から花を大量に安く仕入れて販売したり、牛を飼い、採れ たミルクを販売したりすることで、グループとして少しずつ貯金を増やしていった。また、SHG 小口貸付としてマイクロクレジットが取り入れられ、その原資として円借款の一部が充てられた。

(出所) 国際協力銀行  「円借款プロジェクトニュース 9号」  国際協力銀行  2004

3.4.2.

地方分権化と住民参加

インドには、古くからパンチャヤット(

Panchayat

)とよばれる長老会のようなものがあ り、村の紛争解決などを行ってきた。これがイギリス統治時代に法制化され、パンチャ ヤット自治単位(

Panchayati Raji Institutions

PRIs)

と呼ばれる地方自治制度となった。

さらに

1992

年の憲法改正では、住民総会の設置、女性や社会的な弱者に対する政治や 開発計画への参加の機会の拡大、農業、漁業、保健衛生、教育などの分野における

PRIs

への権限委譲などが法制化され、

PRIs

による民主的分権化の動きが本格化した。全国 で約

24

万 のパンチャヤットがある114

現在、州内の自治体は県、ブロック(地区)、村の三層式になっており、

3

つのレベル のパンチャヤットがある。州政府以下の自治体への分権は、各州に任されている。州に よって相違はあるが、開発に関する意思決定や実施はパンチャヤットに委譲され、村落 レベルで住民総会を開催し、そこに住民が参加することによって開発計画が策定されて いる。住民総会で出されたニーズは、議員、地元の専門家、州派遣の行政職員などが参 加する作業部会で実際に事業化される。

総会における貧困層の参加がどの程度あるのかについての具体的なデータは把握され ていない。総会の討議の中心がインフラ整備や補助金支給などの貧困対策であり、貧困 層が必然的に出席しているケースがあることが推察されるが115、各州によってパンチャ ヤット活動状況が異なり、また、貧困ライン以下の貧困層の特定については、各州に任 されているため、各地における貧困層の特定の仕方と参加状況については個別に確認す る必要がある。

インド政府は、受益者参加による意思決定および費用負担による開発プロジェクトの効 果の向上を狙っていることから、こうした住民参加による開発プロジェクトは増加して い く 傾 向 に あ る 。 パ ン チ ャ ヤ ッ ト の ほ か 、 例 え ば 、 都 市 ス ラ ム で は

Community

Development Society

CDS

)といった様々な住民組織とのパートナーシップが推進され

ている。他方、適切な開発プロジェクトを計画・実施・運営・維持管理していくには、

コミュニティを中心とする住民の能力強化が不可欠であることに留意が必要である。

114

Ministry of Panchayati Raj

2005-2006

Annual Report、Table 1

、2005

4

月時点の数値。レベル別に

Gram Panchayat (村落パンチャヤット、約 23.4

万)、

Intermediate Panchayat (ブロック(地区)のパンチャヤ

ット約

6

千)、

District Panchayat(県レベルのパンチャヤット約 500)となっている。州別でみるとウッタル・

プラデーシュが一番多く(約

5

万)、その他マハーラーシュトラ(約

3

万)、アーンドラ・プラデーシュ (約

2

万)、マディヤ・プラデーシュ(約

2

万)なっている。

115松田真由美(

2004

年)「地方自治における住民参加のあり方:インド・ケーララ州における住民による 開発計画作りの事例」(財団法人とっとり政策総合研究センター  自主研究調査  )

3.4.3.

住民参加と受益者負担

インドではこれまで、電力、飲料水、灌漑用水などは無料で供給されていた。しかし、

中央政府・州政府の財政状況が厳しくなる中で、それらを公共支出によって賄うことが 困難となってきた。こうした事情を受け、公共サービスの供給は州レベル以下の地方政 府の管轄とされるようになり、意思決定や維持管理における受益者参加が進められると ともに、費用面でも受益者負担が求められるようになった。サービスの普及と持続的な サービスの供給を実現するには、財源の確保は不可欠であり、少なくとも運営・維持管 理費用を回収できるレベルでの受益者負担を求めるという政策が政府によって打ち出 されている。

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