• 検索結果がありません。

労働負荷による職業病研究の現状・課題と将来展望

ドキュメント内 (ページ 101-104)

製、手話通訳作業、給食等の調理作業、流れ作業における塗装/溶接作業、運搬/積み下ろし作業、

保育/看護/介護作業などがある。 

頸肩腕症候群の発症には作業に直接関連した姿勢や反復動作要因のほかに年齢、性、熟練度の 違い、既往症又は基礎疾患の有無、温度、照度等も促進要因として関連していると考えられてお り、その予防には様々な角度からの検討が必要であるが、その基になるデータに関する調査・研 究は十分ではない。また近年、頸肩腕症候群の病態に関して筋・末梢神経の異常のみならず反復動 作により大脳皮質など中枢神経に変化が起きることも指摘されており発症メカニズムの解明が期 待されている。 

 

3. 交替制勤務に伴う健康影響 

交替制には二交替 12 時間勤務、三交替 8 時間勤務を基本として様々あるが、健康影響を考える 場合、特に問題となるのは生体リズムに大きく反する深夜勤務を含む場合である。交替制勤務は、

以前から一部の製造業やサービス業で行われていたが、近年急激に進んでいる企業のグローバル 化やサービス業の発展に伴って夜勤交替勤務者が増加している。また平成 10 年には労働基準法の 改正により女性の深夜業に関する規制が解消され、今後女性の深夜勤務者も増加するものと思わ れる。交替制の深夜勤務が多い業種は、電気・ガス・熱供給・水道業、鉱業、製造業、運輸・通信業 などである。

 

これまでの経験や研究から生体リズムが交替制に完全に適応することは無いことがわかってい る。夜勤交替制勤務によりヒューマンエラーが増大し、社会活動や家庭生活が困難になることは 広く知られているが、さらに慢性疲労、心血管系疾患、消化器系疾患、生殖障害などのリスクが 大きくなるという研究結果もあり、更なる検証が早急に必要である。 

 

4. 情報端末機器作業の人間工学的課題   

パーソナルコンピュータ(パソコン)の普及は著しく、ほとんどの事業所の事務管理部門に導 入され、社員一人に一台の会社もめずらしくない。一方、約 8 割の労働者が仕事でコンピュータ 機器を使用することに身体的疲労を感じ、約 4 割の労働者が精神的な疲労を感じていると答えて いる(平成 10 年厚生労働省)。パソコン作業では長時間にわたり注視することが要求されるため 視覚系への負荷が大きく眼精疲労等が起こりやすい。さらにマウスやキーボード操作のために手 の位置も固定され、一般のデスクワーク以上に拘束的な姿勢になり、しかも指の反復動作が多い ことから筋負荷も大きく、肩こりなどの筋骨格系の障害も起こりやすい。また、パソコン作業に ついていけないことから起こる「テクノ不安症」やパソコン作業に過剰に適応し対人関係がうま く出来なくなる「テクノ依存症」なども社会的話題となっている。 

パソコンをはじめとする各種情報端末機器の進歩は著しく、デスクトップ型のパソコンからノー トパソコン、そしてモバイルと言われる超小型パソコンやパソコン機能を備えた携帯電話などさ まざまな機種があふれている。また、労働環境も従来のオフィスでの作業から、サテライトオフ ィスや SOHO(Small Office Home Office)でのテレワークが普及することも予想される。さらに

今後高齢者のパソコン作業も急増するものと思われる。このようなこれまでにはなかった労働形 態に対応した健康確保対策は、作業時間など労務管理のみならず、パソコンなどの情報端末機器 側の問題すなわち、その大きさ、表示画面、キーボードなどのハード面やメニュー、アイコン、

情報伝達などのソフト面、さらに机や椅子などに関連した作業環境なども含めた人間工学の課題 として取り組む必要がある。 

 

ドキュメント内 (ページ 101-104)