第 5 章 言いさし文についての日中対照研究…
5.1 分析方法
5.1.1 分析対象
中国語の言いさし文の分析対象としては、第4章と同様、伊集院(2004)を参考にして、
発話を実質的発話と相槌的発話の二種類に分け、主に実質的発話を分析対象とする。具 体的には次の例5-1と例5-2の通りである。
112 例5-1
4-90-TFE 我一直想跟你講一件事可是我想不起來 4-91-TFB 什麼事啊?
4-92-TFE 就是有一次我作夢啊 4-93-TFB 嗯
4-94-TFE 然後我夢到就是一個,反正,反正我在哭,然後結果我早上起來就發現我在 XX
4-95-TFB 有,有人會這樣啊 4-96-TFE 對啊
4-97-TFB 就是哭了也哭了,尿尿也尿尿,尿尿也尿尿 4-98-TFE 那是你啊
4-99-TFB 哪有,我從來沒尿床,我從來沒尿床,OK?
4-100-TFE 我也…
訳
4-90-TFE ずっと話したいことがあってなかなか思い出せなくて。
4-91-TFE なんのことでしょう?
4-92-TFE 一回夢を見たことがあって。
4-93-TFB うん。 【相槌的発話:同意】
4-94-TFE 夢の中でとにかく私は泣いてて、朝起きたら XX していたことに気づいた
の。
4-95-TFB あるある。そういう人もいるよね。
4-96-TFE そうね。 【相槌的発話:同意】
4-97-TFB まぁ、夢の中で、泣いたりしておねしょもしたりして。
4-98-TFE それはそっちのことでしょう。
4-99-TFB そんなことないよ。おねしょしたこと一度もないよ。
4-100-TFE 私も。 【実質的発話】
(筆者訳)
例5-1 では、TEFはTFBに夢の話をしている。TFBはTFE に夢の中で泣いただけ ではなく、現実でもおねしょをしたのではないかとからかっている。TFEはそれはTFB のことではないかと言い返し、それを聞いた TFBはおねしょしたことは一度もないと 否認し、F2も自身はそのような経験はないと否認している。この会話例では、、「TFB:
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うん」、「TFE:そうね」は相槌的発話、「TFE:私も」は自分もそのような経験はないと 新しい情報を加えているので実質的発話である。例5-2では一見実質的発話のようであ るが、機能としては相槌的発話の例をあげる。
例5-2
1-8-TMC 真的喔,阿你說XXXX不是去英國留學嗎?
1-9-TMA 對啊
1-10-TFB 欸,是留學嗎?
1-11-TMA 遊學啦,去…
1-12-TFB 是去讀書嗎?
1-13-TMA 去牛津,(TFB:是去讀書還是去那邊玩?)牛津
1-14-TMC 阿那他有去哈,有沒有去哈利波特XX世界?沒有喔?牛津大學?
1-15-TMA 他們是排三個星期的課程 1-16-TFB 他上…
1-17-TMC 就是說XX,我不知道,外語學校嘛應該是那種,外語你知道嗎?
1-18-TMA 不過他是建築系的,可是去的好像不是建築系的,就是他們只是單純報名去…
1-19-TMC 就是,對是去玩的這樣子 1-20-TFB 就是去玩
1-21-TMA 就是三個禮拜上課,然後他,牛津好像離倫敦市中心有點遠
1-22-TFB 遠啊
訳
1-8-TMC 本当?、XXXXはイギリスに留学に行ってたって言ったじゃない?
1-9-TMA そうよ。
1-10-TFB うん、留学に行ったの?
1-11-TMA スタディツアーだよ。XXXに行ったよ。
1-12-TFB 勉強に行ったの?
1-13-TMA オックスフォードに行ったのよ。(F:勉強に行ったの?それとも旅行?)オ
ックスフォード。
1-14-TMC じゃ彼は、ハリー・ポッターXXに行った?行かなかった?オックスフォー ド大学は。
1-15-TMA 彼らは三週間の授業を受ける予定みたい。
1-16-TFB 彼が受けるのは…
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1-17-TMC だからXXX、よく知らないけど、外国語学校っていうのはあれじゃない?
知ってるでしょう?
1-18-TMA でも彼は建築学科で、一緒に行く仲間は同じ建築学科の人じゃないみたい、
ただ単純にスタディツアーを申し込んで…
1-19-TMA うん、遊びに行ったみたい。
1-20-TFB うん、遊びに行った。
1-21-TMA うん、三週間授業を受けて、そして、オックスフォードはロンドン市の中 心部から少し離れてるみたい。
1-22-TFB 離れてるよ。 【相槌的発話:同意】
(筆者訳)
例5-2では、TMA、TMC、TFB三人が共通の知り合いのスタディツアーのことを話
題にしている。TMAは彼らは三週間の語学授業を受ける予定となっているが、実はス タディツアーは名目で本当の目的は別にあると推測し、TMCとTFBはTMAの考えを 具体化し、実は遊びに行っていると話す。さらに、TMAは行き先のオックスフォード からロンドン市の中心部までは少し遠いと述べ、それを聞いた TFBは「離れてるよ」
とTMAの発話を繰り返し、賛同の意を表している。堀口(1997)は、聞き手が話し手の 言うことを聞いて理解し、さらにそれに同意だという信号を送るのが「相槌」の一つの 機能だと指摘している。
本研究では、以上の例で示されたように発話を実質的な発話と相槌的な発話の二種類 に分け、分析を行う。次の5.1.2では、中国語における言いさし文の定義及びその類型 について詳述する。