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日中両言語の言いさし文と共話の相関関係

第 5 章 言いさし文についての日中対照研究…

5.4 日中両言語の共話について

5.4.2 日中両言語の共話使用上の比較

5.4.2.1 日中両言語の言いさし文と共話の相関関係

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必ずしも相手にとっては既知ではないということを示唆する。以上、中国語の会話にお いては、日本語の会話と同じように、言いさし文が対話者の発話を誘発する機能を持っ ていることが確認できた。、その誘発率、また共話形態の異同に関しては次節 5.4.2 で 述べる。

139 2-76-JFC 大丈夫なんかいなぁ。

2-77-JFD おねえちゃんなんさい。

2-78-JFC 27

2-79-JFC だけん、相手47ぐらい 2-80-JFD 大丈夫ばんとは言わんけど。

2-81-JFC 聞いて、何かね、その人今、お姉ちゃん今岡山におって、今宮崎にかえる っちゃん。

2-82-JFD はいはいはいはい。

2-83-JFC で、その人仕事辞めて、宮崎についてくるっていうちゃん。

2-84-JFC えっみたいな 2-85-JFD 大変くない 2-86-JFC そうそう。

2-87-JFD お母さん今日お姉ちゃんから電話かかってきて、そうなんようみたいな。

2-88-JFC えっみたいな。②

上記の例 5-29 では、JFD の①の言いさし文に対してJFC は②の「えっみたいな。」

で共感を示し、①と②の発話は合わせて1共話とみなし、その誘発数は2と数える。

さらに、話し手が二回以上言いさし文を行使してから話し相手がその続きを引き取る 共話も観察された。次の例5-30を見られたい。

例5-30

1-9JFB 考えたくねぇ、就活。

1-10-JFB ないわぁ

1-11-JFA ねぇ、就活ノート作らないと。①

1-12-JFA もうエントリーとかした?、いっぱい、全然Webとかも?② 1-13-JFB うーん、どうしよう。③

上記の例5-30では、JFAとJFB は就活を話題にしており、JFAが①と②の発話で 連続2 回も言いさし文を使ってからJFBが③でJFAの発話を引き受ける共話である。

この例では、JFAは2回も言いさし文を行使しているが、JFB は②の発話を引き取っ

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て、最後に共話を成功させたと見られるため、言いさし文による共話の誘発数は1と数 える。

また、相槌は共話の一部と認められるものの、ここでは実質的発話を中心とする言い さし文による共話の誘発数を集計するため、次の例 5-31 のような場合は言いさし文に よる共話の誘発数としてはカウントしない。

例5-31

6-4-JMM 麻雀は、あれですね。中三以来、暇の時、ちょくちょく、(うん)って、高

三の時からずっと、暇見つけ打ってって感じでしたね。

6-5-JML 難しくないあれ?

6-6-JMM いや、役覚えたら、簡単です。

6-7-JML おーなんか、あれやろう、数字揃えたら、なんか、最初はなんか、こう、難 しい役じゃなくてさ、(はい)なんけ、数字がいくつになるような感じで、揃えるみた いな…

6-8-JMM 二、三三三三のセットで作れば、(おー)それが当たりなんで、(おー)そ れなんかあとから役が付いてきてみたいな①

6-9-JML うーん。②

6-10-JMM 同じ数同じ数が一二三か、記号記号記号みたいな③ 6-11-JML うーん④

6-12-JMM そんな感じで、手で役を作っていたらって感じですね。意外と覚えたら簡 単ですよ。⑤

上記の例5-31の会話では、JMMが①の発話で言いさし文を行使し、JMLが②で相槌 を打ってからJMMは③でその続きを言って、さらにJMLが④で相槌を打って、最後 にJMMが⑤で発話内容を完成させる流れである。相槌は共話の進行を助けるために不 可欠であるが、以上の例 5-31 で、終始話し相手である JML は実質的な発話を発しな いまま、相槌で対応するため、言いさし文による共話の誘発数としては数えない。

以上の数え方を基準にして、確認された日中両言語の言いさし文による共話の誘発率 を以下の表5-8に示す。

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表5-8 日中両言語の言いさし文における共話の誘発率

日本語の言いさし文 中国語の言いさし文

言いさし文数 392 65

共話における言いさし文の誘発数 326 45

誘発率 83% 69%

上記の表 5-8 を見ると、日本語における言いさし文による共話の誘発率は 392 例中

326例の83%であるのに対して、中国語のほうは65例中45例の69%であり、日本語

のほうが高い結果となっている。また、数は少ないが、中国語では、話し手の言いさし 文に対して、話し相手がその続きを受けとらずに、話題の本筋から逸れ、共話としての 失敗例も観察された。以下の例5-32で示す。

例5-32

2-22-TMD 我要先練機車才出門我爸說的

2-23-TFB 先練機車才出門,可是我早上八點要幾點去練啊 2-24-TMD 不知道,先找時間練啊

2-25-TFB 喔,阿那你這樣子,你們…

2-26-TMD(打呵欠)下午要去看賽德克・巴萊耶 2-27-TFB 阿你去啊,阿要去練…①

2-28-TMD 沒錢了

2-29-TFB 阿,不是要去練那個喔?

2-22-TMD 先にバイクの運転練習をしてから出かけられるとお父さんが言ってた。

2-23-TFB バイクの運転練習をしてから出かけられるって、朝八時出かけるから、何 時に練習に行く?

2-24-TMD こっちも知らないね。先に練習の時間を作ろう。

2-25-TFB えっ、じゃ、それは、あなたたちは

2-26-TMD (あくびをする音)、午後はセデック・バレを見に行く予定。

2-27-TFB 行ってもいいけど、(バイク)の練習は…① 2-28-TMD お金がないよ。

2-29-TFB あれの練習に行くんじゃないの?

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(筆者訳)

例5-32ではTMDとTFBはバイクの運転練習の件について話している。TMDはバ イクの運転練習に行く予定があるが、まだ時間が決まっておらず、午後はセデック・バ レを見に行く予定という状況である。そのため、TFB は①で言いさし文でセデック・

バレを見に行ってもいいが、バイクの練習はどうすると TMD に問いかけた。しかし、

TMD は TFB の①の言いさし文を無視し、「お金がないよ。」と発話した。会話の流れ から見ると、その「お金がないよ。」という発話は TMD 自身の「午後はセデック・バ レを見に行く予定」の続きと考えられる。つまり、TMD は TFB の①の問いかけを無 視し、一方的に自分のもとの話題を続けているため、共話としては失敗であると考える。