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第七章 物に対する働きかけ

7.2. 付着

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[主体]NOM V 付着 [対象]ACC [付着先]

〈人〉 〈もの/身体部位〉 〈もの/身体部位〉

このタイプの組み合わせでも[対象]という文法的な意味を表す要素の語彙的な意味は

「人」を表しているが、物扱いにすることが考えられ、組み合わせ全体が「物に対する働き かけ」を表す例として捉えることができるものが見られる。

(167) Pobijen-ih je mnogo, nisu samo 殺す-PPP:M:PL である-PRES:3SG たくさん である-PRES:NEG:3PL ~だけ Harun-a zakopa-li u tuđ-i grob-ø.

個人名-ACC:SG 埋める-APP:M:PL 〜の中に 他の人の-ACC:SG 墓-ACC:SG 「殺された人がたくさんいて、他の人の墓の中に埋められたのはハルンだけ ではなかった(彼らは他の人の墓の中にハルンだけ埋めたのではない)。」

(Derviš i smrt)

動詞 nositi「持っていく/着る」も対格名詞との組み合わせにおいて物の「付着」を表し ているが、日本語と違って nositi odelo「(服を)着る」のような、「体に服をつける」

という意味を表す用法の他にも nositi naočare「(めがねを)かける」、nositi šešir

「(帽子を)かぶる」、 nositi šal「(マフラを)巻く」、nositi cipele「靴を履く」、

のような組み合わせ、または、nositi oružje「武器を持つ」のような組み合わせも作るこ とができる。この場合、「付着先」が自明であり、常に[主体]の体になるため、文中に特別 に現れない場合が多いが、現れる場合もある。

(168)...a vole-la je crven-a, plav-a i žut-a そして 愛する-PST:3SG 赤い-ACC:PL 青い-ACC:PL ~も 黄色い-ACC:PL jel-a i nosi-la haljin-e t-ih boj-a.

料理-ACC:PL ~も 着る-APP:F:SG ドレス-ACC:PL その-GEN:PL 色-GEN:PL 「そして、彼女が赤、青、黄色の料理が好きで、その色の服を着ていた。」

(Hazarski rečnik)

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(169) Na glav-i nos-i tropsk-i šešir-ø, a 〜の上に 頭-LOC:SG 着る-PRES:3SG トロピカル-ACC:SG 帽子-ACC:SG そして

na nog-ama elegantn-e čizm-e neverovatno 〜の上に 足-LOC:PL 上品な-ACC:PL ブーツ-ACC:PL 信じられないほど mek-e kož-e ispod jahać-ih pantalon-a.

柔らかい-GEN:SG 革-GEN:SG 〜の下に ライディング-GEN:PL パンツ-GEN:PL 「頭にはトロピカルな帽子をかぶり、足にはライディングパンツの下に信じ られないほどの柔らかい革のブーツを履いている。(〈直〉頭にはトロピカ ルな帽子を着て、足には...ブーツを着ている。)」(Politka)

[付着先]がこのタイプの動詞と組み合わさり文中に現れることは、[付着先]を特別に 強調したい場合、あるいは、[付着先]が自明でなく、必ずしも推測できない場合が見られ る。

(170) ...njegov-a mal-a Maj-a nosi-la je na 彼の-NOM:SG 小さい-NOM:SG 個人名-NOM:SG 着る-PST:3SG 〜の上に grudi-ma velik-i bedž-ø.

胸-DAT:PL 大きい-ACC:SG バッジ-ACC:SG

「彼の小さいマヤが大きなバッジを胸にしていた。」(Proljeća Ivana Galeba)

(171) Međutim i ona je četiri godin-e ところが ~も 彼女-NOM:SG である-PRES:3SG 四 年-GEN:SG

bi-la rob-ø, nosi-la je na grud-ima である-APP:F:SG 奴隷-NOM:SG 着る-APP:F:SG 〜の上に 胸-LOC:PL

i leđ-ima žut-u zvezd-u....

~も 背中-LOC:PL 黄色い-ACC:SG 星-ACC:SG

「ところが、彼女も四年間奴隷でいて、胸と背中に黄色い星をつけていた...

(〈直〉胸と背中に黄色い星を着ていた...)」(Upotreba čoveka)

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このタイプの用法の他にも[付着先]という文法的な意味の要素が自明であるために文中 に現れない動詞がある。例えば、動詞 pecati/upecati 「(魚を)釣る」がその中の一つで ある。つまり、「魚を釣る」のような文脈では「付着先」は「釣り針」あるいは「漁網」に 限られるために、特別に文中に示す必要がない。