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五十崎

ドキュメント内 日本語のリズム (ページ 81-85)

五十島

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Ki

北崎 北島

Si

鹿崎

志賀島

舌崎 下島 柴崎 蛇島 島崎 島々

Ti

茅ヶ崎 千屋崎

Ni

仁田島 韮崎

Fi

日ヶ崎 枇杷島 平崎 平島

Mi

三ヶ崎

三ヶ島 鵢崎

美佐島

宮崎 宮島 三輪崎

Ri Wi

地名を考えるとき、いつも有りがたいと思うのは、統計に現われる数値が無味乾燥で はなく、その一つひとつが馴染みぶかい地名、苗字を表わしているところである。

各種データの集計は、今のようにコンピュータが普及していなかった時代に、地図か らノートに写す手作業を繰り返し行なったため、実をいうと楽ではなかった。が地名の 歴史を想像したり、前に訪ねた想い出にふけったり、同姓の友人はどうしているだろう?

などと考えながら作業をすすめたら、あんがい、辛さを忘れさせてくれた。

表に現われたように、埼・嶋地名で使用量の多い「単音

aa

ia

」音型も、50音す べての行・段にあるわけでなく、使用状況が著しく片寄るのが、どの地名群にもみられる 一般的性質である。「

Ra

」行が語頭に立たないこと、「

」行は語頭以外に使われないこと など、「上代日本語=倭語」のもつ特徴が見事に現われるのも、地名の歴史を語っている。

各行・各段での使用状況をあたると、古語の基本動詞の分布におおよそ一致して、動詞 の使用法も地名群ごとに微妙に様相をかえている特性から、ここにもコンピュータを利用 する「多変量解析」の手法を応用できそうな期待がもてる。こうした研究が進めば、地名 のもつ正確な意味、基本動詞の原形・活用なども、ある程度うかびあがる可能性があり、

縄文時代に使用された言葉の一端くらいは、復元できそうな感じがする。

個々の地名の分布状況を、もう少し検証しやすくするため、全数を数値におきかえて表 示すると、以下のようになる。

表5-3-7 埼、嶋地名の音型(数値変換)

単音+崎、島

a i u e o

小 計

Saki Sima Saki Sima Saki Sima Saki Sima Saki Sima 埼 嶋

2 11 3 3 9 2 1 15 16

54 28 8 2 4 16 101 46 167

8 4 3 1 32 1 4 1 1 48 7

13 60 4 2 1 8 4 4 31 14 53 88

1 5 2 1 1 11 38 9 52 16

3 6 4 2 4 7 12

10 6 40 52 1 1 3 1 52 62

18 30 5 9 10 9 2 2 35 50

1 3 8 2 87 5 96 10

埼小計 54 96 43 30 181 404

嶋小計 170 73 35 18 132 428

埼地名総数:2361 「単音+崎」型合計:404 17.1%

嶋地名総数:2648 「単音+島」型合計:428 16.2%

aa

ka sa ta na fa ma ya ra

小 計

Saki Sima Saki Sima Saki Sima Saki Sima Saki Sima Saki Sima Saki Sima Saki Sima

38 4 1 2 6 6 2 5 48 16

Ka

1 6 10 7 98 40 7 2 1 10 4 123 64

Sa

2 2 4 3 1 5 1 1 12 7

Ta

23 38 1 4 4 1 1 28 44

Na

92 355 1 1 2 4 5 100 360

Fa

1 5 3 11 9 6 1 10 2 8 1 3 10 44 26

Ma

Ya

2 1 4 1 211 2 215 6

Wa

1 3 4

158 4 6 21 112 238 10 21 570

400 11 19 17 47 10 3 20 527

埼地名総数:2361 「

aaai

」型合計: 570 24.1%

嶋地名総数:2648 「

aaia

」型合計: 527 19.9%

ai

ka sa ta na fa ma ya ra

小 計

Saki Sima Saki Sima Saki Sima Sak Sima Saki Sima Saki Sima Saki Sima Saki Sima

1 2 1 3 3 2 90 1 1 1 1 99 7

Ki

4 30 4 30

Si

1 1 2 4 28 1 11 1 6 1 48 8

Ti

3 1 4

Ni

1 1 1 1

Fi

1 2 1 13 2 15

Mi

1 2 1 2 1 51 19 54 23

Wi

7 1 9 3 119 12 53 8 212

5 3 35 2 3 2 19 15 84

埼地名総数:2361 「

iaai

」型合計: 212 9.0%

嶋地名総数:2648 「

iaia

」型合計: 84 3.2%

こうして各地名群を数値に置き換えると、命名時点にどのようにつけても構わなかった はずの「地名」が、独特の癖をもってつけた様子が浮かびあがる。ここに、地名の命名に

『一定法則』が存在した様子をうかがえるのである。

地名数 単音型(%)

aa

ia

型 合 計

埼地名全数 2361 404(17.1) 570(24.1) 212( 9.0) 1186(50.2)

ベスト32 1217 264(21.7) 450(37.0) 169(13.9) 883(72.6)

嶋地名全数 2648 428(16.2) 527(19.9) 84( 3.2) 1039(39.2)

ベスト31 1361 280(20.6) 417(30.6) 62( 4.6) 759(55.8)

「埼、嶋」地名のベスト 32,31 に現われた「単音型、

aa

ia

型」の比率と、地 名全数に対する比率がちがうのは、前者に使用例の多い類型パターンが集中するためだが、

上位にランクされた地名を検証するだけでも、全体の傾向を把握できるのはありがたい。

この様子をさらに明確にするため、地名の「命名法則」とはどのようなものか、「埼、嶋」

地名全数の音型をあげて検証しよう。

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