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第三章 . ループヒートパイプの解析モデル

3.1 最大熱輸送量の評価

3.1.3 圧力損失

3.1.3.1

蒸発器(プライマリウィック)における圧力損失

LHP

の各構成要素における圧力損失および熱交換量を計算するためには作動流体の

質量流量

m [kg/s]を知る必要がある.質量保存則に則って,各構成要素を流れる際の質

量流量は一定であると考えることができる.作動流体が運ぶ熱量と質量流量との間には 次の関係がある.

m h

Q

EVA fg

(3.1.7)

ここで,hfg

[J/kg]は作動流体の蒸発潜熱である.3.1.1

節に示した作動流体が運ぶ熱量

Q

EVA に関する関係式(式(3.1.1),式(3.1.2))および式(3.1.7)を用いて,質量流量

m

は次 式で表される.

33

) (

CC CCinlet

pL fg

AMB CC AMB EVA SH

T T c h

Q Q

Q

m Q (3.1.8)

プライマリウィック外周に設けた各蒸気グルーブの寸法が同じ場合,各蒸気グルーブを 流れる質量流量は式(3.1.8)で計算される値を蒸気グルーブの数で割った値となる.

多孔質体から成るプライマリウィックを液の状態の作動流体が通過するときの圧力損 失は Darcyの法則により求められる.

K m L

D P D

PW i PW o

PW L

L

PW

2

) /

ln( (3.1.9)

ここで,DPWo,DPWiはそれぞれプライマリウィックの外径,内径である.Kは多孔性を 持つ物体(多孔質)が流体をどの程度通しやすいかを表す指標である透過率であり,焼 結金属ウィックの透過率は次に示す

Blake Kozeny

の経験式により求められる.

2 3 2

) 1 ( 150

) 2 (

ε ε

K r

s

(3.1.10)

ここで,rsは焼結金属の有効毛細管半径[ m],εは空隙率[‐]である.

3.1.3.2

蒸気グルーブ,蒸気管,液管,バイオネット管における圧力損失

蒸気管と液管は平滑管でできており,内部を流れる蒸気および液は単相流であると仮 定できる.よって,蒸気管,液管それぞれにおける摩擦圧力損失は次式で表される.

2 v

2

D f L

P

i

(3.1.11)

ここで,Lと

D

iは管の長さ[m]と内径[m]であり,vは作動流体の流速[m/s],fは管の摩 擦係数[-]である.作動流体の速度

v [m/s]は m, D

iと液体の密度

ρ

で求められる.

34

4 /

Re

1

316 . 0

Re 64

f

S

(3.1.12)

レイノルズ数

Re

2300

より小さいとき,流れは層流とみなすことができ,2300 以上 のときは乱流とみなすことができる.ここで管内壁は滑らかであると仮定している.

蒸気がプライマリウィック外周の蒸気グルーブを流れる際の圧力損失は式(3.1.11)で 求めることができる.曲がり部を持つ配管内を流れる流れの圧力損失は直管を流れると きより大きくなる.曲がり部を持つ配管を流れる際の摩擦係数

f

C は直管部を流れる際 の摩擦係数

f

Sに対する増倍係数(比率)として次式で求めることができる.

05 . 2 0

2 2

/ 3 1

2 / 1 2

/ 1

Re 2

) 608 . 5 097

. 9 782

. 7 945

. 3 1 ( 1008 . 0

C I S

C

R D

De De

De De

De f

f (3.1.13)

ここで,Deは次式で定義されるディーン数であり,RCは配管の曲げ半径である.

C I

R De D

Re 2 (3.1.14)

曲がり部を持つ配管内において層流から乱流に遷移する臨界レイノルズ数は次に示す 経験式による求めることができる.

C I

C

R

D 10 2

2

Re

4

(3.1.15)

3.1.3.3

凝縮器における圧力損失

凝縮器内部の流れにおいて,凝縮器入口近傍の過熱領域の流れおよび凝縮器の出口近 傍の過冷領域は単相流である.よって,これらの領域における圧力損失は式(3.1.11)で求 めることができる.一方,過熱領域と過冷領域の間に存在する二相領域の圧力損失は参 考文献[48]に示される経験式により求めることができる.当該参考文献では,作動流体

R22,R134a

および

R123

で,水平直管内の流れの凝縮に関する実験的研究が行われ

(laminar)

(turbulent)

(laminar)

(turbulent)

35

ている.実測された摩擦圧力損失は以下のように

Lockhart-Martinelli

相関式を用いて求 める.

35 . 0 75 . 0

) 5 (

. 0

1

tt

V L V

V I

X

gD

G (3.1.16)

ここで,

G

は合計質量速度,

g

は重力加速度,

ρ

V

ρ

Lはそれぞれ作動流体の蒸気およ び液の密度である.ΦV は二相増倍係数 [-]で tt

Lockhart-Martinelli

パラメータ[-]

であり次式で求められる.

dz dP dz

dP

F V

Φ

V

(3.1.17)

V L L

V

tt

x

Χ x

5 . 9 0

.

1

0

(3.1.18)

ここで,dPF

/dz

は摩擦圧力勾配 [Pa/m],dPV

/dz

は全流量が蒸気と仮定した場合の摩擦 圧力勾配 [Pa/m]である.

x

は蒸気の乾き度 [-],

μ

L

μ

V はそれぞれ液と蒸気の粘性係 数である.圧力勾配は次式で与えられる.

dz dP x

x dz G d dz

dP

F

L

V

( 1 )

1

2

2 2

(3.1.19)

ここで,ξ は以下に示す

Smith

の式で計算されるボイド率である.

1

/ ) 1 ( 4 . 0 1

/ ) 1 ( 4 . 0 6 /

. 0 4 . 1 0

1 x x

x x x

x

L V

L

V

(3.1.20)

この相関式により計算される圧力損失は実測値と

5%以内で一致する.

36

3.1.3.4

体積力による圧力損失

LHP

の蒸発器と凝縮器の間に高低差がある場合,管内の流れによる圧力損失に加え

て体積力による圧力ゲインもしくは圧力損失が生じる.重力による圧力水頭は次式で表 される.

) (

EVA CON

V L

g

g H H

P (3.1.21)

ここで,

H

EVA

H

CON はそれぞれ蒸発器と凝縮器の高さである.液の密度に比べて蒸気 の密度は無視できるくらい小さいため,圧力損失は高さの異なる蒸発器と凝縮器との間 に存在する液による影響が支配的となる.

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