第3章 ニッケル
1.3 中国ニッケル精錬工場の現状
金川集団有限公司(以下、「金川公司」という)は採鉱・
選鉱・精錬と化学工業を融合させた大手非鉄冶金/化学工 業連合企業であり、ニッケル・銅・コバルト・レアメタ ルや、硫酸・苛性ソーダ・液体塩素・塩酸・亜硫酸ナト リウム等の化学工業品及び非鉄金属の二次加工品を生産 している。ニッケル/プラチナ族の金属生産量は全国の 90%以上を占め、中国最大のニッケル・コバルト生産拠点 であり、中国では「ニッケルの都」として名高い。同社 の目下の生産能力は以下の通り。即ち、ニッケル13万t、
学工業品120万t、ニッケル塩3万t。
同社の将来的な発展目標は以下の通り。①経済総量を増強し、経済成長の質を高めると いう基本理念に基づき、一次製品の総量拡大路線を堅持し、新製品の開発と生産の両面を 重視し、引き続き構造調整を重点にニッケル・銅・コバルト・レアメタル・無機化学工業 製品の五大製品に更に力を入れ、非鉄金属の総生産量を55万tにする。②2010年までに上記 五大製品の年産量をニッケル15万t、銅40万t、コバルト10,000t、レアメタル8,000kg、化 学工業品280万tにし、主要営業項目の販売収入300億元超を目指し、経済成長の質を高め、
国際競争力を強化し、国際的に知名度の高い大手非鉄金属業集団になる。
1.3.2 吉林吉恩ニッケル業
吉林吉恩ニッケル業股份有限公司は吉林ニッケル業集団有限責任公司を主な発起人とし、
南海市華創化工有限公司、営口青花耐火材料股份有限公司、長沙鉱冶研究院、吉林省通化 赤柏松銅ニッケル鉱企業4社が共同で設立した株式会社である。
同社はニッケル鉱山資源の強みを活かして、電気メッキ・化学メッキ・電池材料用の ニッケル・銅・コバルト塩・非鉄・化学工業製品を専門に生産している。主な製品には硫 酸ニッケル・塩化ニッケル・硫酸銅・硫酸コバルト・水酸化ニッケル・フッ化ニッケル・
酢酸ニッケル・電解ニッケル・電解コバルト・電解銅・高品位ニッケルマット・銅精鉱・
硫酸がある。目下、国内最大のニッケル塩生産拠点であり、アジア最大の硫酸ニッケル メーカーとして強力な技術力を擁し、その主要製品は常に国内シェアトップの座を維持し ている。
図2 吉林吉恩ニッケル業の組織図
同社の製品の多くが市場の重要な位置を占め、国内で唯一、高品位ニッケルマットを原 料に内循環自己平衡選択性圧力制御純分滲出という新プロセスを採用して硫酸ニッケルを 生産している。製品の品質と関連技術は国内は言うに及ばず、国外の有名ブランドにも拮 抗する実力を備えている。同社の主力製品である硫酸ニッケルは国内最大のシェアを占め る。2007年末の時点で、すでにニッケル精錬能力1万t、硫酸ニッケルの生産能力3万tをそ れぞれ達成している。
「吉恩」ブランドのシリーズ製品は良質の自社産原料を使い、先進的な抽出プロセスは DCS制御システムで厳しく工程が制御され、原子吸光分析による厳しい品質管理を行い、品 質向上に努めている。製品は主に電気メッキ・化学メッキ・電池・アルミニウム材表面処 理・陶磁器釉薬等の分野で使われている。主要製品の硫酸ニッケルの年産能力は25,000tで、
生産能力と製品品質はいずれも世界トップレベルに拮抗している。「吉恩」ブランドの原材 料と補助材料の仕入れ・生産工程・製品入出庫については、ISO9001:2000品質システム認 証基準及びISO14001:1996環境保護システム認証基準を厳格に実施している。
1.3.3 新疆新鑫工業
同社は主にニッケル、銅、その他の非鉄金属の 採鉱・選鉱・精錬・加工・販売に従事している。
主な製品には電解ニッケル・電解銅・電解コバル ト・銅精粉・金・銀・コバルト・パラジウムがあ る。
2005年9月8日、新疆ウイグル族自治区初の資源 型株式会社である新疆新鑫鉱業股份有限公司がウ ルムチに設立された。同社の登録資本金は3億元で、
銅ニッケル及びその他の非鉄金属の採鉱、選鉱・
精錬・加工・販売を主要営業項目としている。新
疆新鑫鉱業股份有限公司は新疆有色金属工業(集団)有限責任公司(60%)を筆頭株主に、
上海怡聯鉱能実業有限公司(20%)、中金投資(集団)有限公司(14%)、厦門紫金科技股份 有限公司(4%)、新疆信盈新型材料有限公司(1.6%)、陜西鴻浩実業有限公司(0.4%)6社の 共同出資となっている。
図3 新疆新鑫鉱業股份有限公司の組織図
同社はカラトンク(喀拉通克)鉱山、阜康精錬所、上海販売分公司の子会社3社を持つ。
新疆ウイグル自治区国有 資産監督管理委員会
新疆有色金属工業
(集団)有限責任公司
中金投資
(集団)責任公司
新疆信盈新型 材料有限公司
一般株主
上海怡聯鉱能 実業有限公司
廈門紫金科技 股份有限公司
陜西鴻浩実業 有限公司
全 国 社 会 保 障基金
新疆新鑫鉱業股份有限公司
カラトンク 分公司
阜康分公司 上海分公司
100%
42.18% 9.34% 1.04%
13.34%
2.67% 0.30% 2.83%
28.30%
権を取得している。阜康精錬所は新疆阜康市にあり、カラトンク銅ニッケル鉱山の鉱石資 源を原料に、国内で初めて水砕金属化高品位ニッケルマット湿式法精錬プロセスを採用し て非鉄金属の精錬を行っている生産企業である。2007年末現在の阜康精錬所の精錬能力は 約5,000t/年である。同精錬所が採用しているプロセスは国及び中国有色金属工業総公司科 学技術進歩一等賞、国連TIPS科学技術発明スター賞、新疆ウイグル自治区科学技術進歩一 等賞を受賞している。上海販売分公司は上海にあり、同社の販売業務に従事し、顧客の対 応と開拓に当たっている。
1.3.4 雲錫沅江ニッケル業公司
沅江ニッケル鉱山は1957年に発見され、同年、安定と金廠の両鉱区の地質探査が始まり、
1959年には埋蔵量報告書が提出され、1960年に全国鉱産埋蔵量委員会の認可が下りた。さ らに1958年には、国家計画委員会と冶金部の認可を受けて雲南ニッケル業公司が設立され ている。1959年末に設計任務書(採鉱5,000t/日、ニッケル1万t/年の精錬所――旧ソ連の 設計)が認可されたが、プロセスの技術審査が不合格で実施には及ばなかった。1962年に 100tの試験工場が建設された後、ソ連の専門家を引き上げ、工事が中断された。1963年に 工場は沅江ニッケル鉱山と命名され、省冶金庁の直属となった。その後1988年に沅江県に 払い下げられた後も沅江ニッケル鉱山と呼ばれ、1997年の改革で沅江金鉱山に合併された。
2001年8月、雲南坤能鉱冶研究有限公司はその専有技術を応用して沅江ニッケル鉱山1,000 トンニッケル金属規模の投資プランのフィジビリティスタディが専門家によって検証され た。2001年9月、雲南坤能鉱冶研究有限公司の沅江ニッケル鉱山プロジェクトが始動し、2002 年9月までに3,500万元を投じて露天掘り等6本の生産ラインが建設されると同時に、工程拡 大検証試験、工業試験及びセクション別試運転を経て工業試験生産ラインが建設され、粗 水酸化ニッケル製品や電解ニッケル製品が生産されるようになった。
沅江ニッケル鉱山の埋蔵量は53万tで、平均品位0.91%、随伴コバルト1.5万tの国内第 二のニッケル鉱山である。2005年の年初、雲南省政府は沅江ニッケル鉱山を雲錫集団に払 い下げたが、雲錫集団は沅江ニッケル鉱山を効率的に管理することを目的に、2005年3月、
登録資本金8,000万元の雲錫沅江ニッケル業公司を設立し、雲錫公司が沅江ニッケル業の 98%の持分を保有することになった。目下、沅江ニッケル業が保有している採鉱権証の許可 面積は0.2469km2で、有效期間は2006年2月から2013年2月となっている。許可された採鉱可 能ニッケル金属量は24,572t、平均品位は1.107%で、666tの随伴金属コバルトがある。
沅江ニッケル鉱山には金廠鉱区と安定鉱区の二つのニッケル鉱区があり、ニッケル金属 量は42.66万t、鉱石の平均品位は0.91%で、コバルト金属量は14,526t、鉱石の平均品位は 0.03%である。目下、雲錫沅江ニッケル業公司によって開発が行われているが、年間出鉱量 は約30万t、ニッケルの品位は1%である。2007年、沅江ニッケル業はニッケル金属量2,000t を生産することになっているが、そのうち1,000tが金属ニッケルである。1,000tのニッケ ル精鉱は関連ニッケル企業に提供されている。次の計画ではニッケル生産量を5,000t/年ま で高めるとしている。
2005年3月29日、雲錫集団沅江ニッケル業有限責任公司が雲南省玉溪市元江県甘庄に設立 したもので、中国初の大型ラテライトニッケル鉱山の開発である程度の規模化を実現した、
採鉱・選鉱・精錬が一体化された連合企業である。同社はニッケルを中心に、非鉄金属・
黒色金属・レアメタル等の鉱産資源の開発・加工・販売及び新製品の開発と技術開発を 行っている。
2005年3月29日、雲南錫業集団有限責任公司が雲南坤能鉱冶研究有限公司全体を買収して 雲錫集団沅江ニッケル業有限責任公司を設立した。
主要製品にはニッケル精鉱と電解ニッケルがある。ニッケル精鉱の生産能力は2,000t∕年 で、精錬所は技術改造の時期にあるが、2005年は1#電解ニッケル71.83tを生産している。
同社は世界で初めて低品位ラテライトニッケル鉱の「採鉱-製鉱-堆積浸出(攪拌浸出)
-硫化沈殿ニッケル-硫化ニッケル精鉱高効率酸素圧浸出-浄化-抽出-電解採取」プロ セスの採用に成功している。