もり/はやし<㊧甲乙一一1>
⑦④㊥のテスト結果から,次の3点についての使い分けは,被験者に強く支持され ていると認められる。
○「もり」の方が, 「はやし」よりも木が密集してたくさんしげっている。一⑦ ○神社のまわりの木立を呼ぶのには,「はやし」よりも「もり」の方を用いる。一④ ○「もり」の方が「はやし」よりも,神秘的・夢幻的な感じがする。一㊥
しかし,次の使い分けは,㊥のテスト結果からみて,あまり意識されていないよう に思われるG
O山の木立をさす場合には「もり」を用い,平地の木立をさす場合には「はやし」を用 いるという使い分け。一㊥
どう/つち<㊧甲乙一一2>
このテストでとりあげた,次の4点においては,この2語の間に使い分けが意識さ れているものと認められる。
○「どう」の方が,「つち」よりも,しめりけが多い。一⑦
○壁に塗るものを呼ぶのには,「どう」よりも,「つち」を絹いる。一一一一一く2D Oどぶの底にたまっているのを呼ぶときには,「つち」よりも,「どう」を用㌧・る。一㊥
○畑の土壌という意味では,「どう」と呼ぶよりも「つち」と呼ぶ。一㊥
つな/なわ〈㊧甲乙一③〉
このテストの結果には,次のような使い分けの傾向がみられた。
O「つな」の方が,「なわ」よりも太さの太いものをさす。一⑦
○罪人をしばりあげるために使われるのは,「つな」と呼ぶよりも「なわ」と呼ぶ。
この2語については,次のようなことが確かめられた。
○「サークル」の方が「クラブ」よりも遇しい語である。一⑦
○趣味的な集団は,「クラブ」を用いて呼び,研究的な集団は「サ・・一一クル」を囲いて
呼ぶ。一④
○スポーツの集団を呼ぶのには,「サークル」よりも,「クラブ」を用いる。一⑫ ○「クラブ」の方が,「サークル」よりも,人数の多い集繍をさす。一㊥
パジャマ/ネグリジェ<⑳甲乙一6>
○(「パジャマ」は男女とも着用するが,) 「ネグリジェ」は,女1生だけが着屠する ものをさす。一⑦
○「パジャマ」は,上衣とズボンに分かれているものをさすが,「ネグリジェ」は,
ワンピース型のものをさす。一⑫
○「パジャマ」の方が,「ネグヲジェ」よりも,実爾的である。一㊥
以上の3点についての意識は,はっきりととらえられたが,次の点については,被 験者の意見がまちまちになり,一一般的な傾向はわからなかった。
O「パジャマ」は,寝ている時だけ着るものをさすが,「ネグリジェ」は,寝室着と しても着るものをさすという意識。一④
したがって,「ネグリジェ」を,寝室着と規定するような意識は,あまり強くない と考え.られる。
貯金/預金<㊧甲乙一8>
このテストにとりあげた,次の4点については,いずれも,はっきりした使い分け の傾向が認められた。
○郵便局に預ける場合に1ま「貯金」を遭い,銀行に預ける場合には「預金」を用い o一く∂
○「預金」よりも,「賎金」の方が,やさしいことばという感じがする。一④ ○金額としては,「貯金」よりも「預金」の方が,高額のものをさす。一㊥
OIS分で積み立てたり,たくわえたりする金を呼ぶ場合には,「預金」よりも,「貯 金」を這いて呼ぶ。一㊥
かす/くず/ごみ/ちり/ほこり<㊧甲一8,乙一8,甲一11,乙一1i>
○カンナ・ノコギリなどを使うと鵠てくるものを呼ぶ場合セこは,「かす」よりも,
「くず」を用いて呼ぶ。〈甲一8,ア〉
○料理をしたあとで捨てるものを呼ぶ場合には「かす」「ちり」よりも「くず」か「ご み」を用いて呼ぶ。〈乙一11,ウ〉〈乙一8,イ〉〈甲一8,イ〉
まず,〈乙一11,ウ〉の結果から,「かす/くず」では,「かす」を用いる よりも「くず」を用いて呼ぶ方が普通だとみられる。次に,「ごみ/ちり」の対 立において,この問いを試みたく乙一8,イ〉では,「ちり」は胴いず,「ご
み」を用いて呼ぶという傾向が出ている。それでは「ごみ/くず」ではどうか。
この点についてく甲一8,イ〉の結果をみると,両者の間には,はっきりした 使い分けの傾向が見られない。したがって,以上の調査結果から,この意味の場 合には,少なくとも「かす」「ちりjよりは,「くず」か「ごみ」を嗣いる傾向 の方が強いと推定される。
O紙きれ・布きれなど,紙や布の使いはしを呼ぶ場合には,「ちり1「ごみ」よりも 「くず」を用いる。〈乙一8,ウ〉〈甲一8,ウ〉
〈乙一8,ウ〉によると「ごみ/ちり」の対立においては「ごみ」が選ばれ てはいるが,ゆく甲一8,ウ〉では「ごみ/くず」の対立でFくず」が選ばれて いる。したがって,「ごみ/ちり/くず」のうち,この意味の場合に「ちり」を 占いる傾向は,きわめて弱く,「ごみ」か「くず」を用いるのが普通だと認めら れる。さらに「ごみ」か「くず」かと言えば,「ごみ」よりは,「くず」を用い て呼ぶ傾向の方が強いと推定される。
○ほうきで,はき集めて捨てるものを呼ぶのには,「くず」「ほこり」「ちり」より も,「ごみ」を用いる。〈甲一8,エ〉〈甲一11,イ〉〈乙一8,ア〉
<甲一8,Pt>の結果から,「ごみ/くず」では「ごみ」。〈甲一一11,イ〉
の結果から,Fちり/ほこり」では「ちり」ということになる。そこで,「ごみ」
と「ちり」の間では,この意味の場合,どちらが選ばれるかについて調べた,
〈乙一8,ア〉によると,「ごみ」を使う傾向が,はっきり現われた。
○机や棚の上にだんだんにたまり,はたきではたくようなものを呼ぶのには, 「ご み」rちり」よりも,「ほこり」を用いる。〈乙一8,エ〉〈甲一1圭,ウ〉
「ごみ/ちり」について調べたく乙一8,エ〉の結果では「ちり」。次に「ち り/ほこり」について調.べたく甲一11,ウ〉の結果では「ほこり」が選ばれて いる。したがって,「ごみ/ちり/ほこり」の中で,この意味の場合に「ごみ」
を用いる傾向は,きわめて弱く,「ちり」か「ほこり」を用いる。さら1: ,「ち り」よりは「ほこり」を用いて呼ぶ傾向の方が一層強いと推定される。
○「ほこり」の方が,「ちり」よりも,こまかい。〈甲一11,ア〉
これは,アンケート調査の圏答とは,まったく逆の結果が出た点で興味深い。
○大気中の微細な粒子を,科学的に呼ぶのには,「ほこり」よりも,「ちり」を用い て呼ぶ方が適している。〈甲一11,エ〉
○水分などをしぼりとった,残りを呼ぶのには,「くず」よりも「かす」を用いる。
〈乙一11,ア〉
○液体の底にたまった不純物などを呼ぶ場合には,「くず」よりも「かす」を用いて 呼ぶ。〈乙一11,イ〉
○人々が選び抜いたあとに残ったものを呼ぶときには,「くず」よりも1かす」を用 いる。〈乙一11,エ〉
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きり/もや/かすみ<㊧甲一一9,乙一9>
○「もや」 「かすみ」よりも,「きり」の方が,見通しが悪い(密度が濃い。)一
く甲一9,ア〉〈乙一9,ア〉
「きり/もや」について調べた〈甲一9,ア〉においても,「かすみ/きり」
について調べたく乙一9,ア〉においても,「ぎり」の方が,見通しの悪い状 態をさすという結渠が出ている。
○遠くにたなびいている場合には,「きり」よりも,Fもや」を用いて呼ぶ。一一
く甲一9,イ〉
○慮分自身がつつまれてしまった場合には。「もや」よりも,「ぎり」を用いて呼ぶ。
〈甲一9,ウ〉
○夜間に発生したものを呼ぶのには,「かすみ」よりも,rもや」か「きり」を用い
て呼ぶ。〈甲一9,エ〉〈乙一9,イ〉
「かすみ/きり」について調べたく乙一9,イ〉では,この場合セこは「きり」
を用いるという傾向がみられるが,「きり/もや」について調べたく甲一9,
エ〉においては,答がまちまちになり,傾向はとらえられなかった。この結果か ら,この意味の場舎には,「きり/もや/かすみ」の中で,少なくとも「かす み」を用いるという意識は弱いと認められる。
○気象上のことばとしては,「かすみ」よりも,「きり」の方が適している。〈乙一 9,ウ〉
○「きり」よりも,「かすみ」の方が,文学的なことばである。一く乙一9,
エ〉
かたかけ/えりまき/マフラー一一/スカーーフ〈⑳甲一10,乙一10>
○(「かたかけ」「スカーフ」は,女性だけが用いるが,)「えりまき」「マフラー」
は,男女とも用いる。〈甲一10,ア〉〈乙一一一10,イ〉
「えりまき/かたかけ」について調べた〈甲一10,ア〉では,「かたかけ」
に男女とも着用するという箸えが集中した。一方,「マフラー/スカーフ」につ いて調べたく乙一10,イ〉においては,「スカーフ」に,男女とも着周という 答えが集中し,はっきりした傾向が認められた。
○洋服の場合に用いるとしたら,「かたかけ」ではなく,「え.りまき」である。一 く甲一10,イ〉
Orかたかけ 」には装飾的な感じがあり,「えりまき」の方が突用的な感じがする。
〈甲一10,ウ〉
○毛皮でできているのを呼ぶ場合には,「かたかけ」よりも, 「えりまき」を用い る。〈甲一10,エ〉
○頭にもかぶるのを呼ぶ場合には,「マフラー一 」よりも,「スカーフ」を用いる。一 く乙一10,ア〉
〇四角い形のものをさす場・餅こは「スカーフ」を馬い,細長い形をしているのをさす 場含セこは「マフラー」を用いる。〈乙一10,ウ〉〈乙一1G,エ〉
落花生/南京豆/ピーナッツ<㊧甲一12,乙一12>
○植物の名として窺う場合には,「南京豆」よりも「落花生」を用いて呼ぶ。一 く甲一12,ア〉
○殻をかぶったままの,なまの実を呼ぶのには,「ピーナッツ」「南京豆」よりも,
「落花生」を用いる。〈甲一12,イ〉〈乙一12,ア〉
「ピーナッツ/南京豆」について調べたく乙一12,ア〉によると,「南京豆」
を用いるという傾向が出たが,〈甲一12,イ〉によると, 「南:京豆/落花生」
については,「落花生」に答えが集中した。したがって,「 ■ 一一ナッツ/南京豆 /落花生」のなかで,この意味の場合に「ピーナッツ」を用いる傾向は,きわめて 弱く,「南京豆」か「落花生」を使うという意識が強い。さらに,「南京豆」よ りも「落花生」を用いて呼ぶ方が,普通だと認められる。
○煎って殻を取り去った,赤茶色の皮の豆を呼ぶのセこは,「落花生」よりも,「南京 豆」か「ピーーナッツ」を用いて呼ぶ。〈甲一12,ウ〉〈乙一12,イ〉
〈甲一12,ウ〉の結果によると,「薦京豆/落花生」では,この場合には「爾 京豆」を用いて呼ぶという傾向が,強く認められている。そこで,「南京豆/ピ ーナッツ」について調べたく乙一12,イ〉の結果をみてみると,ここセこは,は つきりした傾向は出ていない。したがって,この意味の場合「落花生/南京豆/
ピーナッツ」のうち,少なくとも「落花生」はあまり用いられないという点は確 かめられたが,「南京豆」を用いて呼ぶのと,「ピーナッツ」を罵いて呼ぶのと では,どちらが一般的かは,確かめられなかった。
○パターや塩で味をつけた白い豆を呼ぶの} こは,「落花生」「爾京豆」よりも,「ピ ーナッツ」を用いる。〈甲一12,エ〉〈乙一12,エ〉
「南京豆/落花生」について調べたく甲一12,x>の結果では,この場合に は「爾窟豆」を用いて呼ぶという傾向が,一往出ている。次に「ピーナッツ/南 京豆」で調べた〈乙一12,=一〉の結果をみると,圧倒的に「ピーナッツjが選 ばれている。したがって,この意味の二合,「落花生/南京豆/ピーナッツ」の うち,少なくとも「落花生」を用いる意識は弱く,「爾京豆」か「ピーナッツ」
を用いる傾向の:方が強いようであるが,どちらかといえば,「ピーナッツ」を用 いるのが,もっとも一般的な傾向と見られる。
○殻のまま煎ったものを呼ぶのには,「ピーナッツ」よりも,「南京豆」を瑚いる。
〈乙一i2,ウ〉
セーター/カーディガン/ジャケツ<㊧甲一13,乙一13>
○「ジャケツ」には,男性だけが着用するものという意識があるが, 「セーター」
「カーディガン」には,男性用のものをさすとか女性用のものをさすとかいう意識 58