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第2章 文献レビュー

2.5 プロジェクト・ナレッジ・マネジメント

・セットベース・コンカレント・エンジニアリング28

・生産技術者のプロジェクト早期参画

・デジタル・ツールの活用

・大部屋制度による仕様検討

・リソースの最適配置

といったことに取り組んでいる。

ブリティッシュ石油で開発された。このモデルにさらに得られた知をナレッジ・バン クに蓄積していく必要がある。

知識移転には「連続移転」,「平行移転」,「近接移転/遠隔移転」という3つのタイ プがある。これはまさにプロジェクトの活動にあてはめられる。連続移転は同じ場所,

同じチームの一連のプロジェクト間の「知識移転」があてはまる。場所は異なるが同 時に走っている一連のプロジェクト間には「平行移転」があてはまる。異なる時間に 異なる場所で走っている一連のプロジェクト間の知識は,同じような文脈で利用され る知識か,異なった分野で利用される知識かによって,それぞれ「近接移転」,「遠隔 移転」と呼ばれる。

ビジネスにとってのナレッジ・マネジメントは知識を利用して,業績を上げ,それ を学習して知識化するというループで考える必要がある(図2-17)。

知識 業績

利用

学習

図2-17: 知識・業績のループ

出典: Milton(2009)

本書では,プロジェクト内の知識流通のための事前学習,事中学習,事後学習では,

それぞれ下記のような取り組みを行うこととしている。

①事前学習

・範囲設定・評価段階: 範囲設定会議,顧客インタビュー,アイデア創出とイノ ベーション,業務契約企業の参画,

る。

・コンセプト選択・設計段階前: 仲間で助け合い,選択肢評価技法,ビジネスの ためのアクション・ラーニング,仲間で相互確認

・定義と設計段階の前: 仲間で助け合い,ビジネスのためのアクション・ラーニ ング,技術的限界達成法,業務契約企業の参画

・実行・建設段階: 技術的限界達成法

・運用段階前: 運用と保守のノウハウ

②事中学習

・異なるプロジェクト段階での学習

・行為の後の反省(After Action Review: AAR)

・AARと技術的限界達成法

・実践コミュニティ

・プロジェクト反省ミーティング

・ナレッジ・エンジニアとナレッジ・マネジャーの選定

・教訓・活動記録

③事後学習

・振り返り見る(設定,プロセス,記録)

・知識の歴史(プロセス)

これらの取り組みを知識の再利用を促進するためのマネジメント・システムを構築 することの重要性を説いている。

2.6 おわりに

未来駆動によるプロジェクト・ナレッジ・マネジメントの研究にあたり,4 分野 の先行研究を行った。4つの分野とは,

・クロスファンクショナル・チーム(CFT)

・コンカレント・エンジニアリング(CE)

・フロントローディング

・プロジェクト・ナレッジ・マネジメント である。

CFTの先行研究から,

・その起源が日本であること

・各組織の機能を交差させることで,昔ながらのやり方,慣習を変えることが出 来る可能性がある

・CFTは決して万能薬ではないこと

・トップダウン,通常業務では達成できない高度かつ具体的な目標を設定する

・目標を達成するための新機軸を打ち出す

・メンバーのコミットメントをとること

ということについて学ぶことができる。また,開発設計のプロジェクトのナレッジ・

マネジメントを見据えると,プロジェクトに参画するステークホルダーにおける知の 協創は必須であり,その協創の機能,場の先行研究とも関連があるといえる。

コンカレント・エンジニアリングの先行研究からは,

・アメリカが日本を素直に研究,学んだ概念であること

・並行化は開発期間短縮の重要な視点であること

・工程並行化とCFT機能を絡ませ,成果につながる

・研究開発と製造工場を真に有機的に協力し合う形にするのは,大事な目指す 型である

・CEを支援するためのITを含むエンジニアリング・ツールのサポートが大事 である(3D-CAD等)

・マトリクス組織を絡めることも必須要素である ということについて学ぶことが出来る。

フロントローディングはの先行研究からは,

・コンカレント・エンジニアリングを成功させる重要な概念である

・知恵というツールを使い,CFT 的概念をコンカレント・エンジニアリングに 持ち込むことが必要

・開発期間短縮に大きく寄与する概念である

・昨今のDFX活動と大いに関係がある

・設計検証,仕様検証,設計工程といった視点を考えることもできる

ということについて,コンカレント・エンジニアリングと合わせて考えることが必要 である。最近の開発設計のプロジェクト・マネジメントにおいては,開発期間短縮要

請が非常に激しく,かつその中で市場・顧客ニーズからの品質,コストを遵守するこ とは必須である。これらを実現するアプローチとして,従来からコンカレント・エン ジニアリング,フロントローディングに取り組まれてきた研究,企業も多い。

プロジェクト・ナレッジ・マネジメントはまだ新しい分野の学問であるため,

Milton(2009)を先行研究テーマとした。事前・事中・事後といったプロジェクトの知 を活用すること重要性がわかる。

本研究の未来駆動をふまえると,戦略的ロードマッピングという研究分野も関連が あるといえるかもしれない。Phaal らは(2004),“テクノロジー・ロードマッピング・

テクニックは戦略的な技術計画を支援するために,業界で広く活用されるようになっ てきた。”と述べている。このようなアプローチの一部を取り出し,プロジェクト・

マネジメントに効果的に活用するという解釈をとると,この分野についての研究との 連動も将来的に考える必要もあるかもしれない。

このような 4 つの先行研究テーマと戦略的ロードマッピング的な視点をふまえ,4 事例を分析する。

3 章 事例分析 1: 開発初期段階の設計構想と