第 8 章 結論
8.3 理論的含意
バーが未来/ありたい姿を見据えてインタラクションされ,顧客ニーズの多様化と開発 期間短縮要請を実現するための知創出に変換されるといえる。その知を実現するため には,これまでの常識を覆すための革新が必要であり,そのためにも従来業務のミッ ションを見直し,施策実施タイミングの前倒し,重複業務の見直しと効率化が必要な のである。
② 知を創出するメンバーを拡大し,プロジェクトに巻き込む
フロントローディング実践にあたっては,社内関連・他仕向地対応部門はも ちろん,顧客やサプライヤーといった異なった知を保有・創出するメンバー を巻き込み,プロジェクト全体の成功につなげる必要がある。
③ 未来駆動/ありたい姿をプロジェクトの知として織り込む
これまでの過去のプロジェクトの知,プロジェクト遂行中の知,プロジェク ト終了時の振り返りの知(事前・事中・事後の振り返り)だけでなく,中期 計画や将来のプロジェクトをイメージしたありたい姿,未来駆動起点の知を 織り込むことが必要である。
④ プロセスとミッションの同時見直しの必要性
知創出を通じて得られた施策の実施にあたっては,従来業務のミッションを 見直し,施策実施タイミングの前倒し,重複業務の見直しと効率化が必要で ある。
以上の理論的含意に基づき,商品開発・技術開発におけるプロジェクト・ナレッジ・
マネジメントにおいて,「未来駆動型プロジェクト・ナレッジ・マネジメント・モデ ル」(Future- Driven Model of Project Knowledge Management)を提案する(図8-2)。
未来駆動型プロジェクト・ナレッジ・マネジメントとは,顧客ニーズ,開発期間短 縮要請に対し,
① 社外ステークホルダーも含む関連メンバーの知識
② 未来/ありたい姿からの知識 を集め,未来の知を先行検討することで,
③ 当該プロジェクトと将来のプロジェクトをフロントローディングさせ,
コンカレントな計画を立案,共有し,実践+事業の成功につなげる
というモデルである。
一般的にプロジェクト目標設定の際は,
・顧客要求に基づくQCD目標
・類似プロジェクトからの振り返り/水平展開情報 等のみを起点に設定することが多い。
ここでいう未来駆動とは上記の通常のプロジェクト目標にとどまらず,
・組織/部門の中期計画や技術ロードマップ
・次期プロジェクトのQCD目標,網羅すべきスペック情報
・組織の革新計画(プロセス革新計画等)
等の情報を想定,活用することにより,当該プロジェクトの成功はもちろんのこと,
将来的に発生するプロジェクトの未来も検討,知を先行して作り込むことができると いうことである。そのような取り組みを行うことで,将来的なプラットフォームや知 の先行開発の検討にもつなげることができる(事業の中長期的成功と知識の蓄積)。
過去の知
外部も含む 開発関連 メンバーの知
当該プロジェクト
未来の知
の目 標
広い観点からの未来 の目標
・中期計画
・技術ロードマップ
・次期プロジェクト
・ありたい姿 など
未来知の フロントローディング
顧客ニーズや開発期間短 縮の実現だけでなく、
事業の中長期的成功と 知識の蓄積につながる
未来駆動
プロセスとミッション同時見直し
図8-2: 未来駆動型プロジェクト・ナレッジ・マネジメント・モデル