ない。
本研究では,品質保証部門が開発の初期段階に積極的に参画し,開発期間短縮,設 計品質向上,手戻り削減に寄与するための取り組みを行うにあたり,池田(2007)の提 唱している
・設計検証のフロントローディング
・設計工程のフロントローディング
・仕様検証のフロントローディング という視点を取り入れつつ,
・振り返り分析による知識のフロントローディング と仮想取扱説明書による
・仕様検討の事前化による設計工程のフロントローディング
・顧客評価の事前化による設計検証のフロントローディング
・顧客使用方法の先行研究による仕様検証のフロントローディング
の必要性をまとめた。これは今後のフロントローディング視点として活用できると考 える。
要求定義
基本設計
詳細設計
結合検証
組合試験
単体試験
仮想取扱説明書
製作
製品
顧客評価の事前化
~設計検証のFL
顧客使用方法先行研究~仕様検証のFL
仕様検討の事前化~設計工程のFL
フロントローディング 振り返り分析
~知識のFL
FL :Frontloading
図6-5: 仮想取扱説明書を活用したフロントローディング
6.6 おわりに
ここでは,本章のまとめとして,(1) 過去プロジェクト振り返り展開,(2) ありた い姿から牽引,(3) 振り返り結果のプロジェクト間交流という 3 つの概念を用いて整 理し,プロジェクト・ナレッジ・マネジメントの視点を加味して解釈を加える。
(1)過去プロジェクト振り返り展開
D 社においてはこれまでうまく活用できていなかった設計段階,製造段階,出 荷後の品質問題を分析し,その結果をふまえたフロントローディング施策を検討し たことが成功要因と思われる。部門間に跨がるこれらの情報を開発の上流段階で部 門を越えて分析することは必須である。
(2)ありたい姿から牽引
本活動を推進するにあたり,品質保証部門がこれまでの業務ミッションを越えて,
仮想取扱説明書というツールを活用し,フロントローディング活動に参画できた。
これはある意味,開発スピードアップを実現するにあたっての顧客起点からのあ りたい開発プロセスへの革新といえるのではないか。これまでの業務ミッション にとらわれず,スキル/コンピテンシーを向上させ,プロセス革新を行っていくこ とが今後も求められる。
(3)振り返り結果のプロジェクト間交流
現在,D 社では品質保証部門メンバーの教育を行い,全商品開発において仮想 取扱説明書を活用することを目指している。そのためにはナレッジのトランスフ ァーと品質データのプロジェクト間活用は必須ということでテーマ化され,活動 が進んでいる。