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バーチャル環境におけるナレッジマネジメント

ドキュメント内 博 士 論 文 (ページ 30-33)

第 2 章 文献レビュー

2.2 ナレッジマネジメント

2.2.9 バーチャル環境におけるナレッジマネジメント

「場」においても記載したように、バーチャルは場の 1 つであり、バーチャル な場とは相互作用が実際に会っていない場面で起きる状況のことを言う。メン バーは何らかの技術を利用してコミュニケーションをとることになる。バーチ

Virtual

Inter-organizational

Distributed Traditional

High

High Low

Low

Affiliation Dispersion of Team Members

Geographic Dispersion of Team Members

Virtual

Inter-organizational

Distributed Traditional

High

High Low

Low

Affiliation Dispersion of Team Members

Geographic Dispersion of Team Members

ャルが場である以上は、理論的には文脈の共有は起こりうる。

現在のプロジェクトにおけるバーチャル環境の状況は、Katzy et al. (2000) の次 の言葉によく表されている。「技術の進歩によってプロジェクトのバーチャル化 は進んでおり、それに伴って機会と困難さも増加している。(p.1)」 彼らは、組 織を跨ったプロジェクト・メンバーがいる場合を対象として、空間と組織的な 観点からバーチャル・プロジェクトを定義している。「チーム・メンバーの所属 が分散」しており、「チーム・メンバーが地域的に分散」している場合、それは バーチャルと定義される(図 2-5)。この定義では、本論文の中国と日本の間の プロジェクトはバーチャル環境におけるプロジェクトとなる。Katzy らは、バー チャル・プロジェクトにおけるナレッジマネジメントの研究のためのフレーム ワークを提示し、バーチャルなプロジェクトにおけるナレッジマネジメントの プロセスへのインプットとして、(1) 外部環境 (2) プロジェクトの特徴 (3) チー ム・メンバーの特徴 (4) 技術環境 を挙げ、アウトプットを出す形になっている。

インプット-プロセス-アウトプットの形での研究のための検討事項を提案し ている。しかしながら、Katzy らは、文化的な観点での検討事項を挙げてはおら ず、また、研究フレームワークの提示にとどまっている。

図 2-5. 組織を跨ったプロジェクトの分類

(出所:Katzy et al., 2000, p3.)

バーチャル環境の特性に関しては、Jensen and Jackson (2007) が、バーチャル 組織における社会的不確実性の 4 つの概念要素に関する理論を提案している。

彼らの不確実性とは、不完全な知識のことを指している。そして、社会的不確

実性は知識創造および共有に負のインパクトを及ぼすとしている。ただし、あ る程度の不確実性はイノベーションやハイパフォーマンスにとっては必要な条 件であるとも言っている。社会的不確実性の概念的要素は以下になる。下記の 要素の特性が高まった場合は、社会的不確実性は低下する。社会的不確実性を 減らすことは、地理的な分散や多文化環境における管理に効果があるとしてい る。

 同時性 (Concurrence):組織の構成員の空間的な分散の度合い

 一貫性 (Coherence):組織の構成員間における見識の一貫性

 認識性 (Cognition):組織が情報を処理し取り込み、知識とする能力

 適合性 (Conformance) 振舞の合法性の程度、攻撃性が信頼の元どこま で許されているかといった、個人に必要とされる組織との適合要件

基本的な主張は不確実性の低減であるように、バーチャル環境においては、

相互作用における知識の質と量は、リアルな場と比較して制約が出てくる。そ のため、知識をいかに移転・共有・保管するかという手法が、先行研究におい ては最も研究されている (Kasvi et al., 2003; Kotlarsky et al., 2008)。不確実性の低 減であるため、不確実なものをそのまま包括的に理解するという暗黙知に関し ては、研究数は少ない。しかしながら地理的に分散した環境では暗黙知の移転 の問題があることは認識されている (Koskinen et al., 2003)。

ナ レ ッ ジ マ ネ ジ メ ン ト 観 点 で の バ ー チ ャ ル 組 織 に 関 す る 文 献 を 扱 っ た Becoming Virtual (Klobas and Jackson,eds, 2007)、グローバル環境での知識プロセ スに関する文献を扱った Knowledge Processes in Globally Distributed Contexts (Kotlarsky et al. eds, 2008)、バーチャル・チームにおける文献レビュー (Powell et al.,

2004) においても、組織構成や知識の移転・共有の手段に関する研究が多く、バ

ーチャル環境における暗黙知識プロセスに関しては先行研究においては議論さ れていない。

ドキュメント内 博 士 論 文 (ページ 30-33)