第 3 章 事例分析
3.5 アンケート調査データの分析
3.5.3 アンケート調査データの分析 1 のまとめ
クロス集計の分析結果、およびカイ2乗分析の結果をまとめ、以下表 3-16に示 す。調査項目(3.4.2)と大項目番号、大項目の質問項目との関係を表 3-15に再 掲する。(詳細は、表 3-7、表 3-8を参照のこと。)
表 3-15: 調査項目と大項目番号、質問項目の関係(再掲)
調査項目(3.4.2) 大項目
番号 質問項目(大項目)
プロジェクト管理項目に対 す る 考 え 方 の 違 い は あ る か?
i 日中間でプロジェクト管理項目(品質、時間、リス ク、ビジネス)に対する考え方の違いが感じられる か?あるとするならば、気づいた時期はいつか?
考え方の違いに対する明確 化方法は異なるか?
ii 違いを明確化したか?したとするならば、その時
期はいつか?その方法はどのような方法か?
知 識 の 共 有 方 法 は 異 な る か?
iii 違いに関する知識を共有したか?したとするなら
ば、その方法はどのような方法か?
インターナショナル・プロ ジェクトにおける共通理解 を持つことができたか?
iv 日中間で共通理解は得られたか?
表 3-16: 記述統計の分析結果、およびカイ2乗分析の結果のまとめ
大項 目
変数
番号 変数
d-1_国籍(デモグラフィック変数)
クロス集計*1 カイ2乗*1 i i-1 考 え 方
の違い
i-1_クロス:
日中ともに考え方の違いがある。
(特に品質とリスク)
基準のような暗黙的な考え方の 違いがある可能性がある。
i-1_カイ2乗:
差がない。
( 違 い を 感 じ る 傾 向 は ほ ぼ 同じ)
i-2 違 い の 気 づ き の時期
i-2_クロス:
気づきの時期には日中差がある。
日本は、開始時、中国は、開始時と 構築・テスト時に気づく割合 が多い。一方では、中国は最後 になって気づいたという人も
若干見受けられる。日中間の経験差の影響。
i-2_カイ2乗:
差がある 気 づ き の 時 期 は異なる。
ii ii-1 違 い の
明確さ
ii-1_クロス:
日本:違いがやや明確ではない(暗黙知)
中国:違いは明確(形式知)
「PMBOK管理項目の基準値の認識」の
中でも、日本は暗黙知、つまり
「糊しろ」に関する部分に違いを、
中国は、形式知に近い部分に違いを感じている。
ii-1_カイ2乗:
差がある
ii-2 違 い の 明確化
ii-2_クロス:
日本:不明確な違い(何となく感じる 曖昧な違い)をそのまま許容し、
明確化しない場合もある。
中国:違いは不明確であったため、明確化した。
ii-2_カイ2乗:
差がない
ii-3 明 確 化 に よ る 考 え 方 の変化
ii-3_クロス:
日本:明確化しないので変わらない。
中国:明確化によって考え方が変わった。
ii-3_カイ2乗:
差がない
*1 分析で参照するための参照記号。 次ページへ続く
ii ii-4 明 確 化 の時期
ii-4_クロス:
日本:「開始時」(「構築・テスト時」)
中国:「構築・テスト時」(「開始時」)
日本の明確化対象は、暗黙知であり、
糊しろとしてのスコープや基準の可能性が高い とi) の分析結果で出ており、そのため、初期段 階での明確化が必要であったと推測される。た
だ、ii-2 で暗黙知を明確化しない場合もあると
出ているため、この部分は MCA で別途分析を する。
中国は、そもそも、回答数が少ないが、
その中でも、「構築・テスト時」における 明確化が多くなっている。
これは、違いが、形式知に属するもの
であり、具体的な内容であることが推測される。
N/A
ii-5 明 確 化 の相手
ii-5_クロス:
日本:中国メンバー 中国:日本のPM
日本は、中国のメンバーを配下において、管理 を
行っているため、直接メンバーに問い合わせを しているが、中国は、中国内部で問い合わせて おらず、日本のPMに問い合わせをして いる。面子を重んじる文化影響。がある。
N/A
ii-6 明 確 化 の方法
ii-6_クロス:
日本は、リアル、
1対多の「集団的な明確化」、
中国は、バーチャル、
1対1の「個人的な明確化」
N/A
iii iii-1 共有化 iii-1_クロス:
中国の方が、共有化の割合が高い傾向。
日本は、暗黙知としての違いである
ため、共有がしにくく、一方、中国は形式知で あるため、共有が容易なのではないか。
iii-1_カイ2乗:
差がある
iii-2 共 有 化 の方法
iii-2_クロス:
日本:会議(個人化戦略)
中国:DB(コード化戦略)
日本は暗黙知の共有が含まれるため、
文書化しにくいことと、伝達する内容が 多いため、文書化するのに労力がかかる ためであると思われる。
中国は、集団・組織データベースでの 共有が多く、形式知の共有をしている。
日本も集団、組織データベースでの文書 による共有は行っている。
iii-2_カイ2乗:
差がある
iv iv-1 共 通 理
解
iv-1_クロス:
中国のほうが、共通理解を もてた。日中で認識の差がある。
iv-1_カイ2乗:
差がある
*1 分析で参照するための参照記号。
この後、多重コレスポンデンス分析(Multiple Correspondence Analysis, MCA)を 行い、国籍・経験のデモグラフィック変数と各変数間の関係および構造を視覚 的に示す。記述統計の分析結果、およびカイ2乗分析の結果より、MCAにおけ る、組み合わせのパターンを以下に示す(表 3-17)。
表 3-17: MCAにおける国籍・経験と変数の組み合わせ
大項 目
変数 番号
変数 d-1_「国籍」・d-2_「経験」*1 との組み合わせパターン*2
i i-1 考え方の違い N/A
i-2 違いの気づきの時期 MCA_1
ii ii-1 違いの明確さ MCA_1, MCA_2
ii-2 違いの明確化 MCA_2
ii-3 明確化による変化 MCA_2, MCA_3, MCA_4
ii-4 明確化の時期 MCA_4
ii-5 明確化の相手 MCA_3, MCA_4
ii-6 明確化の方法 MCA_3
ii-6-1 明確化の方法(リアル/バーチャル) MCA_3-1
ii-6-2 明確化の方法(個人的/集団的) MCA_3-2
iii iii-1 共有化 MCA_5
iii-2 共有化の方法 MCA_6
iii-2-1 共有化の方法(リアル/バーチャル) MCA_6-1
iii-2-2 共有化の方法(個人的/集団的/組織的) MCA_6-2
iv iv-1 共通理解 MCA_1, MCA_2, MCA_5
*1 d-2経験は、「A社における勤続年数」を変数とする。
*2同じパターン名の場合は、同じ組み合わせとする。