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スペースシャトルの飛行管制について

ACBM 側

3.6  スペースシャトルの飛行管制について

3.6.1 ジョンソン宇宙センター(JSC)の概要

ジョンソン宇宙センターは、1961年9月にテキサス州ヒューストンに設立されました。

主要業務としては、

  ・有人宇宙飛行用宇宙船・関連系の設計・開発・試験   ・宇宙飛行士の選抜・訓練

  ・有人ミッションの企画・実施

  ・宇宙医学・工学と科学実験装置開発

  ・スペースシャトル計画のプログラム管理とオービタの開発   ・宇宙ステーション開発及び計画全体の管理

・ スペースシャトルと宇宙ステーション計画のインタフェース責任  が行われています。

  名称  :Lyndon B. Johnson Space Center   所在地:Houston Texas 77058

 以下に、JSC内の地図を図3−10に示します。

図3−10 ジョンソン宇宙センター(JSC)内の地図

3.6.2 飛行のための地上管制

 スペースシャトルの運用は、ジョンソン宇宙センター(JSC)内のミッションコ ントロールセンター(MCC)から静止軌道上のデータ中継衛星を介して行われます。

 地上管制の主な役割は、軌道上のスペースシャトルの飛行を支援することです。特 に姿勢に対する制御等は、シャトルの搭載コンピュータ・システムにはプログラムさ れていないので、地上で考慮しなければなりません。

3.6.3 ミッション・コントロール・センター(MCC)の概要

 ジョンソン宇宙センター(JSC)内にあるMCCは、1965年のジェミニ計画以来 米国の有人宇宙機の管制を全て行ってきました。MCCは、JSC内のビルディング 30に設置されており、飛行中のシャトルの状態を24時間体制でモニターしてシャトル クルーを支援しています。シャトルの打上げ直後から着陸までの全期間に渡り、MC Cはシャトルに対する通信及び支援活動の中心となります。なお、1995年からシャト ルの運用は宇宙ステーションの管制のために作られた新しいMCC (ビルディング 30S)に移行しています。

A.主要業務

飛行管制チームの業務としては、飛行活動の追跡、主要マヌーバ、予定変更、予 期しないイベントへの備え等があります。以下に各担当の主要な業務を示します。

(ア)フライトディレクター(FD):シャトルミッション全体に対して責任を持つ。

(イ)キャプコム(CAPCOM):運用管制チームと宇宙飛行士間の交信の中継点とし て機能する。

(ウ)フライトダイナミクス・オフィサー(FDO):マヌーバ(軌道変更、姿勢制御)

を計画したり、誘導担当者(ガイダンスオフィサー)と協力して、軌跡をモ ニターする。

(エ)ガイダンスオフィサー(GDO):シャトル搭載の航法及び誘導コンピュータの ソフトウェアをモニターする。

(オ)データ処理システムエンジニア:各種データ処理システムの状況を評価する。

(カ)フライトサージャン(宇宙航空専門医):クルー活動、クルーの健康状態等 をモニターする。

(キ)ブースターシステムエンジニア:メインエンジン、固体ロケットブースタ、

外部タンク等についてのモニター及び評価を実施する。

(ク)推進系エンジニア:ガスジェット姿勢制御システム及び軌道操作エンジン等 についてのモニター及び評価を実施する。

(ケ)誘導、航法及び制御エンジニア(GNC):シャトル全体の誘導、航法及び制御 系システムをモニターする。

(コ)電気、環境及び消耗品システムエンジニア(EECOM):シャトルの燃料電池用 の低温タンクの温度、キャビン冷却系、キャビン圧力、オービタ内照明等を モニターする。

(サ)計装及び通信システムエンジニア(INCO):飛行中の通信及び計装システム を計画し、モニターする。

(シ)地上管制(GC):地上の管制システムの運用を管理する。

(セ)保全、機構系、アーム及びクルーシステムエンジニア(MMACS):ロボットア ーム、オービタの機械システム等の運用をモニターする。

(ソ) 広報担当オフィサー(PAO):広報活動をリアルタイムでサポートする。

 上記(ア)〜(ソ)の担当は、各1名です。(交代勤務によるメンバー数は除く)

ただし、その後方で技術的な支援を行う多数の要員がいます。

B.通信

シャトルとの通信及び追跡は、追跡・データ中継衛星システムを用いて行われます。

このシステムは、3機の静止衛星からなっており、1機は予備です。地上局は、ニュ ーメキシコ州のホワイトサンズにあります。

NASA通信網(NASCOM)によってホワイトサンズ局をはじめとする追跡局 とMCCを結んでいます。

万が一、JSC/MCCが完全に機能不全に陥った場合に備えて最低限のバックア ップ設備がホワイトサンズ試験施設(WSTF)にも備え付けられています。

図3−11にデータ通信の概要を示します。また、図3−12にMCC内部の写真 を示します。

図3−11 シャトルと地上との間のデータ通信の概要 TDRS

(追跡・データ中継衛星)

DOMSAT

(米国内用通信衛星)

飛行中のシャトル

TDRS地上局 (ホワイトサンズ)

ジョンソン宇宙センター      (JSC)

ミッション管制センター   (MCC) JSC地上局

・データの中継 ・シャトルの飛行管制

図3−12 ミッション・コントロール・センター(MCC)内部

4.着陸について

4.1 概要

 地球への帰還は、まずペイロードベイのドアを閉じることから始まります。

次に姿勢を変え、オービタ後部を進行方向へ向けます。この姿勢で軌道制御 用エンジンを作動(軌道傾斜角が28度程度と小さい場合は、アフリカ東海岸 沖からオーストラリア西海岸の上空で実施)させることにより、オービタは 減速され、地球周回軌道から大気圏突入のための楕円軌道に突入します。

 エンジンの作動が終了すると、オービタは再び機首を進行方向に向け、ハ ワイ上空近辺で大気圏突入に備えます。この時、オービタは仰角(水平面に 対する機軸の傾きの角度)40度になるように機首を引きおこします。これは、

大気抵抗により十分減速できるようにすると同時に、オービタが加熱され過 ぎないようにするためです。この時の高度は約120 キロメートル、速度は秒 速7.6 キロメートル、着陸地点から約8千キロメートル離れています。

 高度が約53キロメートル、速度が秒速4キロメートルまで減速してきた時、

ここまで仰角40度を保って降下してきたオービタは、これより後次第に仰角 を減少させ、高度23キロメートル、速度が秒速0.76キロメートルに達した時 には、仰角は約10度にまで下がっています。

以後、普通のグライダーと同様に大気中を滑空しながら着陸地点に接近し ていきます。こうして、大気圏に突入してから約40分後、スペースシャトル の地球への帰還は終了します。(着陸時のタイヤ接地速度は約350km/h )

オービタは、フライト開始当初は、カリフォルニア州のエドワーズ空軍基 地(内のNASAドライデン飛行研究センター(DFRC))に着陸することが多かっ たのですが、最近ではケネディ宇宙センター(KSC)への着陸が普通になっ ています。これは、KSC以外に着陸すると、着陸後のKSCまでの輸送費 用(ボーイング747の上に積んで空輸します)がかかるためであり、現在では、

1日延期してでも可能な限りKSCへ着陸するようです。