安全マージン(MOS)又は曝露マージン(MOE)の計算
曝露レベルと NOAEL 間の差異は、リスクを示す第 1 の指標であり、その結果得られる比率を曝 露マージン(安全マージン(MOS))という。 N(L)OAEL を特定できる影響の場合について、リ スク判定は、影響アセスメントの結果と曝露評価の結果を定量的に比較することにより実施され る。これは、曝露を受けるヒトの(下位)集団と毒性のエンドポイントの組み合わせすべてについ て実施される。このステップでは、以下のパラメータを考慮して、N(L)OAEL が推定曝露を超過 する大きさを考慮する必要がある。
・様々な係数の中でも特に、実験データの変動から生じる不確実性 ・種内と種間の変動から生じる不確実性
・影響の性質及び重篤性
・曝露に関する定量的や定性的な情報を適用するヒトの集団 ・曝露の相違(経路、期間、頻度、及びパターン)
・観察された用量-反応の関係
・データの質に対する全体的な信頼性
これらの各パラメータを一つ一つ重み付けするには、専門的な判断が必要である。使用するアプ ローチには透明性があり、さらに、到達した結論に対する根拠を述べる必要がある。非常に明確 なケースでは手順の早い段階で結論に到達できるのに対して、境界的なケースでは影響及び利 用可能な曝露データのさらに詳しい分析を必要とし、より詳細な情報が必要となる場合がある。
MOS は、影響の結果と曝露評価の比率であり、以下の方法で導出される。
MOS(又は MOE) > 100 の場合、懸念なし
MOS(又は MOE) < 100 の場合、懸念あり。分析を見直すか、曝露を管理する MOS(又は MOE) = 1 の場合、分析を見直すか、又は曝露を管理する
MOS(又は MOE) < 1 の場合、強い懸念あり、直接の措置が必要
MOS の一連の作業例については p.143、MOE については p.145 を参照のこと。
又は = MOS / MOE N(L)OAEL(mg/kg bw/day)
曝露量(mg/kg bw/day)
N(L)OAEC(mg/m3) 曝露量(mg/m3)
DNEL と安全マージン(MOS)の比較
リスク判定からの結論
リスク判定の結論(3 つのパターン):
・ 現時点では、さらなる情報や試験の必要性はない。また、既に適用されている以上のリスク低 減措置は必要ない。物質には当面の懸念はない。さらなる情報が利用可能になるまで、再考の 必要はない。
・ 物質に懸念があり、アセスメントの見直しのためにさらなる情報が必要である。化学品とその 使用について、影響及び曝露に関するより詳細な情報を得るために、ステップ 5 及び 6 を繰り 返すことが必要になる場合がある。その後で、リスク判定を再度実施する。
・ 物質に大きな懸念があり、さらなる情報を直ちに収集するか、リスク低減のための推奨事項を 直ちに実施すべきである。この RMM を実施したら、再度リスク判定を行い、懸念の低減にこの RMM が有効であったかを確認する。
MOS = NOAEL 又は NOAEC 曝露量
MOS > 総合アセスメント係数の場合、懸念なし MOS < 総合アセスメント係数の場合、懸念あり
DNEL = NOAEL 又は NOAEC 総合アセスメント係数
曝露量 < DNEL の場合、リスクは十分に(adequately)管理されている 曝露量 > DNEL の場合、リスクは十分に(adequately)管理されていない
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ハザード評価及び曝露評価の両方の結果が しっかりしたものであり、かつ、全曝露シナリオと全エ ンドポイントに関する全曝露(全コンパートメント、経路、集団、及び期間)の RCR が 1 未満である、
又は対応する曝露マージン/安全マージンが 100 より大きいとき、物質のリスクの管理が適切であ ることが実証される。
a) 化学品の異なる性質、又は b) 化学品の異なる使用や関連する異なるヒト集団について、特定の化学 品に対して複数の結論に到達する場合がある。非常に簡単な例として、作業場ではリスク低減が必要と 示されるが、一般集団では示されないことがある。より複雑な状況では、ひとつひとつ評価が必要にな る場合がある。例えば、作業場でのみ使用される化学品が(遺伝毒性)発がん性物質であることが既に特 定されている場合、職場曝露はただちに、可能な最低レベルまで抑えられるべきである。最終消費者用 化学製品でそのような化学品が使用されている場合、注意深く考慮し厳格なリスク管理の予防措置が必 要になる。
リスク判定の結果として、それ以上の情報/試験又はリスク低減が不要な場合がある。しかし、そうで はなく既に適用済みのリスク低減措置では十分でないときは、追加のリスク管理措置が必要である。社 内文書には、到達した結論の根拠を必ず提示するべきである。理想的には、懸念される理由があるか、
またその理由は何かを検討した包括的な報告書を作成するため、定性的及び定量的な要素を総合するこ とが必要である。