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オートファゴソームとは

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 107-110)

5.2 オートファゴソームの磁気分離とその成否確認の方法

5.2.1 オートファゴソームとは

5.1.2 本研究におけるハイブリッドナノ粒子の細胞への導入法

Ag@FeCo@Ag ハイブリッドナノ粒子の細胞内への導入法を考えた際、細胞の自発的なエ

ンドサイトーシスを利用すると、前述のように、様々なパラメーターが取り込み機構に影響す るため再現性が低くなる惧れがある。そこで、まずトランスフェクションによる導入を選択す ることとした。一方、トランスフェクション試薬を用いて数μmのサイズの樹脂ビーズを細胞 内へ導入すると、樹脂ビーズがオートファゴソームと呼ばれるオルガネラに内包されることが 吉森らによって報告されている[16,17]。オートファゴソームは細胞質内で形成されるオルガネラ であるため、通常のエンドサイトーシスを利用した場合は粒子をオートファゴソームへ送達す ることは難しい。そこで、本論文では、樹脂ビーズの替わりにAg@FeCo@Agハイブリッドナ ノ粒子を哺乳動物細胞へトランスフェクションすることでオートファゴソームにターゲティ ングし、ハイブリッドナノ粒子がオートファゴソームに内包されたことをプラズモンイメージ ングによって確認した後、オートファゴソームの磁気分離を行うことを考えた。本章では、ハ イブリッドナノ粒子を用いた汎用性の高いオルガネラの磁気分離の概念実証をオートファゴ ソームをモデルとして行った結果について述べ、既存のオートファゴソーム分離法と比較する。

LC3はオートファゴソームマーカーとして良く知られたタンパク質であり、細胞質に存在 している状態のLC3-Iと、LC3-IのC末端がフォスファチジルエタノールアミンと共有結合し 隔離膜やオートファゴソームにリクルートされた状態のLC3-IIがある[29,30]。LC3-IとLC3-IIは ウェスタンブロットにより分離することができ、それぞれの検出量を比較することで、オート ファジーの活性を調べることができ、LC3-II 量がオートファゴソーム数と正の相関を持つ[27]。 オートファジーは細胞内の恒常性維持において重要な働きをしているため、その機能不全はが

[31-33]、神経変性疾患[34,35]、感染症[36,37]などの疾患と深く関係している。

図 5-4 (a) オートファジーの過程。II はオートファゴソームの外側と内側に局在し、内側の

LC3-II は分解され、外側の LC3-LC3-II は Atg4 によりフォスファチジルエタノールアミンから切り離され LC3-I と なり再利用される。(b) NIH 3T3 細胞(上段)とマウスの骨格筋(下段)における飢餓状態による GFP-LC3 の発現量の変化[27]。左はコントロール。右は飢餓状態にした場合。GFP-LC3 がオートファゴソー ムに集積し点状に観察される。(c) 電子顕微鏡像[27]。一本矢印はオートファゴソーム、二本矢印はオ ートリソソームまたはアンフィソーム(オートファゴソームとエンドソームのハイブリッドオルガネラ)を示 す。オートファゴソームの特徴である二重膜が観察される。矢じりはオートファゴソームに取り込まれ た小胞体を示す。

図 5-5[16] (a) オートファゴソームに内包された樹脂ビーズの光学顕微鏡像(LM)と電子顕微鏡像

(EM)。LM の左から、GFP-LC3 の蛍光像、明視野像、及び合成画像(スケールバーは 2 μm)。EM で はビーズが二重膜構造(矢じり)に内包されていることがわかる。スケールバーは(上)500 nm、(下)

200 nm。(b) WB の結果。ビーズをトランスフェクションすると GFP‐LC3-II 量が増加した。Vinblastine はオートファゴソームとリソソームの融合を阻害する試薬である。従って Vinblastine+ではオートファゴ ソームが蓄積するため LC3-II の検出量がさらに増加した。

オートファジーは大きく分けて、マクロオートファジー、ミクロオートファジー、シャペ ロン介在性オートファジーの3種類に分類される。マクロオートファジーでは二重膜構造の隔 離膜が最初に形成されるのに対し、ミクロオートファジーではオートファゴソームを介さず、

リソソームの膜の一部が陥没することで細胞質成分を分解する。[38]また、シャペロン介在性オ ートファジーでは分解基質がシャペロンタンパク質により認識され、リソソーム内へ送り込ま れる。[38]一般的にオートファジーというとマクロオートファジーを指すことが多い。マクロオ ートファジーは分解する基質により更にいくつかのタイプに分類される。凝集したタンパク質 を基質とする場合はアグリファジー、損傷したミトコンドリアを基質とする場合はマイトファ ジー、外部から侵入したバクテリアを標的とする場合はゼノファジーと呼ぶ[26]。ゼノファジー では病原体が細胞内へエンドサイトーシスにより取り込まれ、エンドソームから細胞質へ脱出 したときに、病原体を駆除する目的で引き起こされる[39]。しかしゼノファジーは病原体に限ら ず、樹脂ビーズをトランスフェクションした場合にも引き起こされる(図5-5a)[16]。ゼノファ ジーは病原体により損傷したエンドソーム膜がユビキチン化されることで誘発される[17]。図

5-5bにはEffecteneというトランスフェクション試薬を用いてビーズを導入した 3時間後に細胞 膜を界面活性剤で溶解して得られた細胞抽出液に対してウェスタンブロット(Western Blot: WB)

を行った結果である。ビーズをトランスフェクションした場合、膜結合型のLC3-II量が増加し た。

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