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第5章 VFM を企図したマネジメント機能強化と内部監査の役割

2 地方自治体の VFM 監査における内部監査人が果たす役割の意義

地方自治体においてVFM監査を実践するためには、まず監査の主題であるVFMの定義を 明確にし、VFM監査を定義する必要がある。さらに、VFM監査の目的を検討し、内部監査 人がVFM監査の実施にあたり果たすべき役割の意義を考察する。

2-1 VFMの定義

民間部門における利益のように、業績や成果を数値化することが困難な公共部門におい ては、非財務業績を業績指標によって数値化を図り、VFMが測定されている。VFMの定義 は、研究者や組織によって異なるため、本論文で採用するVFMの定義を明らかにする。

バタリーとシンプソン(Buttery, R. and R. K. Simpson)は、VFMを「インプットとアウ トプットの均衡であり、要求されるアプトプットの水準を最も経済的なコストによって達 成すること7」と定義している。また、ジョーンズとベイツ(Jones, P. C. and J. G. Bates) は、「VFMは公共部門が低コストで高品質のサービスを提供する際に実現されるものであ る。公共サービスが経済性、効率性、および、有効性である場合にVFMは達成され、この 3つの要素は相互に関連がある。経済性はインプットが最少化される際に達成される。効 率性は、最大化されたアウトプットが最少水準のインプットの負担で実現される。有効性 は、提供されたサービスが適切に住民の要求を満たしている場合に達成される8」と説明し ている。

一般的に、VFMは、経済性、効率性、および、有効性によって測定されるが、石原俊彦 教授は、「地方自治体における住民の存在は、パートナーシップのパートナーあるいは合名 会社の社員(無限連帯責任)に合い通じるものがある9」という受益と負担の観点から、経

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済性、効率性、および、有効性に達成度を加え、財源、インプット、プロセス、アウトプ ット、および、アウトカムを用いて図表5-2のとおり、VFMの概念を数式で示されている。

図表5-2 受益と負担のプロセス展開

出典:石原俊彦「地方自治体改革とニュー・パブリック・マネジメント ―公会計と監査の視点から求 められる行政評価―」『ビジネス&アカウンティングレビュー』第1号、2006年3月、11-12頁を一 部加筆。

プロセスとは、「行政サービスを生み出すための諸活動の時系列的連鎖10」を表しており、

VFMを定義する際、経済性、効率性、および、有効性に加え、プロセスに着目して効率性 および達成度を評価する。事務事業を構成する個々の活動であるプロセスに着目すること で、達成度の精緻な評価が可能となる。その結果、自治体におけるVFMを向上させ、事業 の有効性および効率性が高まることにつながっている。

2-2 VFM監査の定義

政策、施策、または、事務事業のVFMが達成されていることを確認するため、首長部局 など行政サービスの主体は、行政評価を実施している。前述のとおり、多くのわが国地方 自治体においても、期首において業績指標を用いた各施策や事務事業の目標を設定し、目 標の達成を目指して業務を行い、期末における評価を基に翌期以降の改善につなげる、と いったサイクルで行政評価が実施されてきた。しかし、わが国自治体において、首長部局 などの自己評価である行政評価の結果を独立的および客観的に評価するために、VFM監査 が幅広く実施されている状況ではない。VFM監査が幅広く実施されるためには、VFM監査 の定義を明示し、その必要性が認識される必要がある。

INTOSAI(最高会計検査機関国際組織:International Organization of Supreme Audit Institutions11)は、「業績監査の基本原則(Fundamental Principles of Performance Auditing)」 においてVFM監査を「経済性、効率性、および、有効性に関する監査12」と定義している。

VFM監査は、3E監査または業績監査と呼ばれることもあるが、本論文では業績指標の妥

当性または監査客体による業績指標の設定体制の監査を「VFM監査」として定義および総 受 益

負 担

インプット プロセス アウトプット アウトカム 財 源 インプット プロセス アウトプット

× × ×

<経済性> <効率性> <達成度> <有効性>

129 称し、3E監査または業績監査も同義に扱っている。

2-3 VFM監査を実施する意義と内部監査人の役割

地方自治体のVFMを向上させるためには、首長部局において業績指標を設定し、行政評 価を継続して実施することが重要である。行政評価は首長部局の自己評価であるが、施策 や事務事業の担当者が実施する一次評価に加え、一次評価者の上司や行政評価の担当課が 二次評価を実施する場合もある。また、住民や外部有識者による外部評価を導入し、首長 部局の自己評価を客観的な視点で評価している自治体もある。そのような状況において、

地方自治体のVFMを向上させるために、内部監査人はどのような役割を果たすべきであろ うか。

内部監査人がVFM監査を実施する意義は、ほかの内部監査を実施する場合と同様に、独 立した立場から、内部統制などのプロセスについて、その妥当性および有効性を評価する ことにある。内部統制には、その目的として「事業の有効性および効率性」が含まれてい る。つまり、内部統制の評価という観点から、VFM監査は内部監査人が実施する監査であ るといえる。

バタリーとシンプソンによると、VFM監査を実施する際、通常、内部監査人は以下の役 割を担う13

① VFMが弱いと思われる分野を特定する。

② 当該分野について詳細な調査を実施する。

③ VFMの現状を改善する提案を行う。

④ 首長部局が実施した改善策を監視する。

上記に加えて、内部監査人にはVFM監査の判断規準の設定という役割が追加される。内 部監査としてVFM監査を実施する場合、通常、確立されている判断規準が存在しない。そ のため、監査の主題であるVFMの状況を評価する際には、内部監査人自身が監査客体の合 意を得たうえで、VFM監査の判断規準を作成することが重要となる。VFM監査の判断規準 は明確に存在すればよいというだけではなく、利害関係者間で合意を得られている必要が ある14

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