本人の姿は見えず、専門職が「言葉」だけで本 人の様子を伝達し、自宅退院を決められても困る
と言う家族もいる。一方で自宅退院が厳しいと 思われる患者さんの家族が、「会っていないから わからない」と施設入所を決めることをためらう ケースも増えている。
入院時の面接で、前の病院での様子を尋ねると
「前の病院では、会えなかったから様子がよくわ からない」と話される家族が増えた。患者さん本 人に数ヶ月ぶりに「やっと会えた」と涙ぐむご家 族も少なくない。
「会う」ことで我々が得られる安心感と情報量 は想像以上に大きい。同時に「言葉」で伝えるこ との限界も痛感している。MSWの「武器」とも言 える面接が十分にできない時に、どうしたら伝わ るか、何を工夫すれば良いか、考えながら面接の 場に臨んでいる。
退院前カンファレンスは、退院後に関わる多職 種のスタッフと、患者さんと顔合わせする場であ る一方で、今までリハビリを行ってきた療法士 や、病棟で看護に当たっていた看護師にとっては
「引き継ぎ」の場でもあり、地域の多職種のスタッ フには、伝えておきたいこと、本人の希望や家族 の気持ち、背景を伝える大切な「場」であった。
冬に向け、第三波が到来しつつあるとも言われ ている。新型コロナウィルスとの戦いは、いつ終
わるか先が見えないが、コロナ禍でMSWの相談 支援の手段が制限されたことによって、逆に見え たこともある。
MSWにとっての「面接」の大切さを思い知らさ れ、電話やオンライン面接で、どこまで伝えられ るか。退院支援で関わる地域のスタッフと協力し 合い、患者さんが退院して、以前の生活を少しで も取り戻せるように、MSWができることは「言 葉」を使って、患者さんの「今」を伝え、退院後に 必要なことを、誠実に丁寧に伝えていくこと。
それはコロナ禍であってもソーシャルワークに とって「変わらないこと」であると、日々痛感し ている。
〈注〉
(1)厚生労働省ホームページ 報道発表資料(2020年11月)
「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働 省の対応について(令和2年11月15日版)」
(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14860.html)
〈参考文献〉
北川清一・久保美紀編著(2017)「ソーシャルワークへの招 待」,ミネルヴァ書房
尾崎新(1997)「対人援助の技法 「曖昧さ」から「柔軟さ・
自在さ」へ」,誠信書房
コロナ禍における医療ソーシャルワーカーの相談援助の変化
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新型コロナウイルスの流行は、過去に経験した ことのない勢いで全世界に蔓延し、人びとの移動 制限や、物やサービスの流通においても制限を加 えられるという事態を引き起こしている。今まで 当然のことだと思われてきた生活習慣や個人の 考え方を早急に改善しなければ、人類はコロナ禍 に打ち勝つことができない状況に追い込まれて いる。社会の各階層で、そして世界中の人びとが 新しい生活様式を学び、従来の習慣と異なる考え 方を模索し、新価値観を登場させ、それを多くの 人びとに共有を促していくことが、求められてい る。
グローバル化に依存した世界中の国々にとっ て、グローバル化した現在の生活スタイルが引き 起こしたとも言えるコロナ禍は、一国や大陸内で の改善努力や協調、連帯だけでは収束する見込み が立っていない。持続可能な社会を今後も継続し ていくためにも、労働や働きかた、働く場所等の 分野に範囲を絞り、現状がどのように変化し、今 後も変容していくのか考察する。