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解の局所一意性

ドキュメント内 実効的双曲型作用素の初期値問題 (ページ 87-92)

第 6 章 解の局所存在と一意性 69

6.3 解の局所一意性

が成立するのでv= ˆGop(h1)fとして命題6.1.1が証明された.

初期値問題(6.1.4)でϕ0=ϕ1= 0のときの解作用素

Gˆ:L1((−δ0, τ) :Hs+n)3f(t)7→u(t)∈ ∩1j=0Cj([−δ0, τ];Hs+1j) についてもGˆに対する議論を繰り返すことによってGˆが有限伝播であるこ とがわかる.したがってPに対する局所解の存在定理の証明と同様にして次 が得られる.

定理 6.2.1. p(0,0, τ, ξ) = 0 の危点はすべて実効的双曲型であるとする.こ のとき δ >0, n > 0 およびx= 0の近傍 Ω が存在し, 任意の|τ| < δと 任意の f L1((−δ, τ);Hs+n)に対して(−δ, τ)×ΩでPu = f を満たす u∈ ∩1j=0Cj([−δ, τ];Hs+1j)で

X1 j=0

kDjtu(t)ks+1j≤Cs

Z τ t

kf(t)kn+sdt, −δ≤t≤τ を満たすものが存在する.

である.ここでC= (cij)はd+1次の正方行列でκ(x) = (κ0(x), κ1(x), . . . , κd(x)) とすると

cij = X

0k,ℓd

2κ(0)

∂xk∂xi

∂λk(0)

∂yj

η¯

で与えられる.したがってQpのHesse行列から定まる2次形式とする とき

˜

p(ϵy,η¯+ϵη) =p(ϵλ(0)y+O(ϵ2)¯+ϵ(Cy+tκ(0)η) +O(ϵ2))

=ϵ2Q(λ(0)y, Cy+tκ(0)η) +O(ϵ3) (ϵ→0) が成り立つ.ゆえに(0)¯ でのp˜のHesse 行列をQ˜とすると

Q˜ =tKQK, K= λ(0) O C tκ(0)

!

となる.つぎにtK =σ, すなわちtKはシンプレクティック行列である ことに注意する.これを確かめるにはλ(0)κ(0) = Iに注意すれば(0) が対称行列であることをいえばよいがこれは容易である.したがってσQ˜ = σtKQK =K1(σQ)KとなってσQ˜とσQは相似となりその固有値は一致す る.

次にHolmgren変換と呼ばれるつぎの局所座標系の変換を考えよう.

y0=x0+ϵ Xd j=1

x2j, yj=xj, j= 1,2, . . . , d. (6.3.25)

ここでϵ >0は正の小さな定数である.

˜

p(y, η) =p(y0−ϵ|y|2, y, η0, η+ 2ϵη0y) (6.3.26) は容易に確かめられる.このとき

補題 6.3.2. ΩをR1+dの原点の近傍とし,特性方程式p(x, ξ0, ξ) = 0のξ0

に関する根は任意のx∈,任意のξ Rdに対して実であるとする.このと きr >0とϵ0>0が存在して,任意の|ϵ| ≤ϵ0についてp(y, η˜ 0, η) = 0のη0

に関する根は任意の|y| ≤r,任意のη Rdに対して実である.

証明. r >0を{|y| ≤r}が変換(6.3.25)によるΩの像に含まれるように1つ 選ぶ.q(s, τ, η, y, ϵ) =p(y0−ϵ|y|2, y, τ+s, η+ 2ϵsy)とおく.qsの高々2 次の多項式でs2の係数をa(y, ϵ)とするとa(y,0) =1であるからϵ0>0が存 在して|ϵ| ≤ϵ0,|y| ≤rなら1/2≤ |a(y, ϵ)| ≤3/2としてよい.故にこのとき q(s, τ, η, y, ϵ) = 0のsに関する根は(τ, η, y, ϵ)C×Rd× {|y| ≤r} × {|ϵ| ≤ ϵ0}=U に関して連続である.次にImτ≤0,Ims <0, (τ, η, y, ϵ)∈ U のとき q6= 0を示そう.そうでないとするとImˆτ 0,Imˆs <0でqs,ˆτ ,ηˆ,y,ˆ ˆϵ) = 0

となる(ˆτ ,ηˆ,y,ˆ ϵ∈ Uが存在する.sに関する根は(τ, η, y, ϵ)に関して連続 であったから必要ならτˆを少し動かしてImˆτ <0と仮定できる.

F(θ) = min

q(s,ˆτ ,θˆηy,θˆˆ ϵ)=0Ims, 0≤θ≤1

とおこう.(ˆτ ,ηˆ,y,ˆ ˆϵ)の選び方からF(1) <0である.一方q(s,τ ,ˆ 0,0,0) =

(s+ ˆτ)2= 0よりIms=Imˆτ >0なのでF(0)>0である.F(θ)はθに関し て連続であるから0<θ <ˆ 1があってFθ) = 0となりq(s,τ ,ˆ θˆηˆˆˆy,θˆˆϵ) = 0 となる実のsが存在する.一方Imˆτ <0であったからpの特性根が実である ことに反する.同じ議論を繰り返すとImτ 0,Ims >0, (τ, η, y, ϵ)∈ U の ときq6= 0が従う.以上のことからτ= 0と選ぶと|y| ≤r,|ϵ| ≤ϵ0のとき

˜

p(y, s, η) =q(s,0, η, y, ϵ) = 0 =Ims= 0 となり主張が示された.

補題 6.3.3. R1+d の原点の近傍Ωと正数 ¯ϵ > 0, ϵ > 0を適当に選ぶと suppf ⊂ {x;x0¯ϵ−ϵ|x|2}を満たす任意のf(x)∈C0(Ω)に対してsuppv⊂ {x;x0¯ϵ−ϵ|x|2}でΩ でPv=fを満たすv(x)∈C2(Ω)が存在する.

証明. 局所座標系の変換(6.3.25)を行いg(y) =f(x)と表すとΩ =˜ {y; (y0 ϵ|y|2, y) }とおくときg(y) C0( ˜Ω)でy0 ¯ϵではg(y) = 0であ る.P = op(p+ ¯P1+ ¯P0)であるからPを局所座標系y で表すとP = op(˜p+P1+P0′′)となる.補題6.3.1よりp(0, η) = 0˜ の危点はすべて実効的 双曲型であり,補題6.3.2よりϵを小さく選べばp˜= 0の特性根はすべて実で ある.したがってΩを十分小さく選べばΩ˜も十分小さくしたがって定理6.2.1 を適用できる.¯ϵ >0を{x;¯ϵ≤x0¯ϵ−ϵ|x|2}⋐Ωとなるように選んで おく.定理 6.2.1よりPw=gを満たすw(y)∈C2( ˜Ω)でy0¯ϵではw= 0 となるものが存在するがv(x) =w(y)と局所座標系xで表すとPv=fv の supportが{x;x0¯ϵ−ϵ|x|2}に含まれるのは明らかである.

最後に初期値問題の解の局所一意性を示そう.今u(x)は原点の近傍Ωで C2級でP u= 0を満たしx0< τ (|τ| ≤¯ϵ)でu= 0とする.ここでsuppf {x;τ ≤x0≤ϵ¯−ϵ|x|2}をみたすf ∈C0(Ω)に対して補題6.3.3のv(x)を とってくると

0 = Z ¯ϵ

τ

Z

Rd

P u·vdx0dx= Z ¯ϵ

τ

Z

Rd

u·Pvdx0dx = Z ¯ϵ

τ

Z

Rd

u·f dx0dx が成立する.このf は任意に選べるので{x;τ≤x0¯ϵ−ϵ|x|2}u= 0が 従う.

τ≤x0≤ϵ¯−ϵ|x|2 x x0

¯ ϵ

−ϵ¯ τ suppf

記号をx0=t, (x0, x) = (t, x)に戻して定理として述べておくと

定理 6.3.1. p(0,0, τ, ξ) = 0の危点はすべて実効的双曲型であるとする.この とき原点の近傍Ωと正数ϵ >0が存在し,|τ| ≤ϵであるτに対しu∈C2(Ω)

が 

P u= 0,∩ {t > τ},

Djtu(τ, x) = 0, j= 0,1, x∈∩ {t=τ} を満たすなら Ω∩ {t > τ}u= 0である.

ドキュメント内 実効的双曲型作用素の初期値問題 (ページ 87-92)