第 5 章 エネルギー評価 43
5.4 利用する擬微分作用素の有界性, 可逆性
と評価できる.同様にg1/2ϵ,z(w)≥M−1hξi−γ1/2|η|に注意すると|h(z+w)− h(z)| ≤ Chξi−γ3/2|η| ≤ CMhξi−γ1g1/2ϵ,z(w)≤ Cω(z)g1/2ϵ,z(w)を得る. ゆえに (5.3.31)より
|ω(z+w)−ω(z)| ≤Cω(z)g1/2ϵ,z(w) (5.3.33) が成立する.(5.3.30)と合わせてωはgϵadmissibleである.次にϕについて 考える.ϕ=ω+fよりϕ(z+w)−ϕ(z)は次のように書ける.
(f(z+w)−f(z))(ϕ(z+w) +ϕ(z)) +h2(z+w)−h2(z)
ω(z+w) +ω(z) . (5.3.34)
(5.3.32)より|f(z+w)−f(z)| ≤Chξi−γ1/2g1/2ϵ,z(w)である.また|h2(z+w)− h2(z)| ≤CMhξi−γ3/2gϵ,z1/2(w)も容易である.これらの評価を(5.3.34)に代入 すると
|ϕ(z+w)−ϕ(z)| ≤C
hξi−γ1/2
ω(z+w) +ω(z)(ϕ(z+w) +ϕ(z)) + Mhξi−γ3/2
ω(z+w) +ω(z)
g1/2ϵ,z(w)
(5.3.35)
を得る.(5.3.24)よりϕ(z)≥Mhξi−γ1/Cであるから
|ϕ(z+w)−ϕ(z)| ≤C(ϕ(z+w) + 2ϕ(z)) hξi−γ1/2
ω(z+w) +ω(z)g1/2ϵ,z(w) が従う.もしChξi−γ1/2g1/2ϵ,z(w)
(ω(z +w) +ω(z)) < 1/3 ならばϕ(z + w)/ϕ(z)−1≤(ϕ(z+w)/ϕ(z) + 2)/3より
2ϕ(z+w)/5≤ϕ(z)≤4ϕ(z+w) (5.3.36) が成立する.もしChξi−γ1/2gϵ,z1/2(w)
(ω(z+w)+ω(z))≥1/3ならばC2gϵ,z(w)≥ hξiγ(ω(z+w)+ω(z))2/9≥2hξiγω(z+w)ω(z)/9であるからϕ(z)≥ hξi−γ1/(2ω(z)) に注意し,自明な不等式2ω(z+w)≥ϕ(z+w)を利用すると
18C2(1 +gϵ,z(w))≥ϕ(z+w) ϕ(z) が得られ(5.3.36)と合わせてϕはgϵ admissibleである.
証明. まずa−1∈S(m−1, gϵ)は容易にわかる.定理7.4.1よりa#a−1= 1−r, r∈S(M−1, gϵ)と書ける.gϵ≤g¯よりr∈S(M−1,g)¯ ゆえ
|r|(l)S(1,¯g)= sup
|α+β|≤l,(x,ξ)∈R2d
hξi(γ|β|−|α|)/2∂xα∂ξβr≤ClM−1 が成り立つ.定理7.6.1よりMを適当に大きく選ぶとP∞
ℓ=0r#ℓはS(1,g)¯ で 収束するのでk=P∞
ℓ=1r#ℓ∈S(1,g)¯ とおく.このとき実はk∈S(M−1, gϵ) であることを示そう.任意のν ∈Nに対して0≤l≤νのとき
suphξi(γ|β|−|α|)/2∂xα∂βξk≤Cα,β,νM−1−l, ϵ(α, β)≥l (5.4.37) が成立することを示せば十分である.ここでϵ(α, β)は(5.2.10)で定義したも のである.(7.6.46)より|k|(l)S(1,¯g)≤Cl|r|(lS(1,¯′)g)≤Cl′M−1を得るのでν= 0の ときは成立する.いま0≤l≤νに対して(5.4.37)が成立すると仮定する.k は (1−r)#(1 +k) = 1, すなわちk=r+r#kを満たすのでこの式より
∂xα∂ξβk=∂xα∂ξβr+ X
α′+α′′=α,β′+β′′=β
Cα′,β′ ∂xα′′∂ξβ′′r
# ∂xα′∂ξβ′k
(5.4.38) が従う.いまϵ(α, β)≥ν+1とする.右辺第2項を評価しよう.ϵ(α′, β′)≥ν+1 なら(5.4.37)より∂xα′∂ξβ′k∈S(M−1−νhξi(γ|α′|−|β′|)/2,¯g)ゆえr∈S(M−1,g)¯ に注意すると ∂xα′′∂ξβ′′r
# ∂xα′∂βξ′k
∈ S(M−2−νhξi(γ|α|−|β|)/2,¯g)を得る.
ϵ(α′, β′) ≤ ν の項については (5.4.37)でl = ϵ(α′, β′)として∂xα′∂ξβ′k ∈ S(M−1−ϵ(α′,β′)hξi(γ|α′|−|β′|)/2,g)¯ なのでr ∈ S(M−1, gϵ) より定理 7.4.1に よると
∂xα′′∂ξβ′′r
# ∂xα′∂βξ′k
∈S(M−2−ϵ(α,β)hξi(γ|α|−|β|)/2,g)¯
⊂S(M−3−νhξi(γ|α|−|β|)/2,¯g)
となる.(5.4.38)の右辺第1項は∂xα∂βξr ∈ S(M−1−ϵ(α,β)hξi(γ|α|−|β|)/2,g)¯ ⊂ S(M−2−νhξi(γ|α|−|β|)/2,¯g)であるから以上より(5.4.37) が0 ≤ l ≤ ν + 1 に対して成立する.したがって帰納法によればすべてのν に対して成立し k∈S(M−1, gϵ)が示された.˜kに対しても同様である.
補題 5.4.2. mi > 0, i = 1, . . . , lは gϵ admissibleで mi ∈ S(mi, gϵ)と する.mをg¯ admissible でa ∈ S(mm1· · ·ml,¯g)とするとa˜i ∈ S(m,¯g), i= 1, . . . , l+ 1が存在して
a= m1#· · ·#mi−1
#˜ai# mi#· · ·#ml
, i= 1, . . . , l+ 1 (ml+1= 1) と書ける.mがgϵadmissible でa∈S(mm1· · ·ml, gϵ)ならば˜ai ∈S(m, gϵ) で˜ai= (m1· · ·ml)−1a+ri,ri∈S(M−1m, gϵ)で与えられる.
証明. l = 1とする.補題 5.4.1より m−11#(1 + k)#m1 = 1, m1#(1 + k)#m˜ −11 = 1となる k,k˜ ∈ S(M−1, gϵ)がある.˜a1 = a#m−11#(1 +k),
˜
a2 = (1 + ˜k)#m−11#aとおくとこの ˜a1,˜a2 ∈ S(m,g)¯ が求めるものであ る.mも gϵ admissible で a ∈ S(mm1, gϵ)ならば定理 7.4.1を適用すれ ば ˜ai −m−11a ∈ S(M−1m, gϵ) は容易である.mi がl 個のとき正しいと 仮定しl + 1個のときを考える.a ∈ S(mmi
Ql+1
j=1,j̸=imj,g)¯ でmmiはg¯ admissible であるから帰納法の仮定よりaˆi ∈ S(mmi,g)¯ が存在してa = (m1#· · ·#mi−1)#ˆai#(mi+1#· · ·#ml+1)と書ける.またmがgϵ admissi- bleでa∈S(mm1· · ·ml+1, gϵ)ならばˆai∈S(mmi, gϵ)である.従ってaˆiに l = 1のときの結果を適用すれば個数がl+ 1のときも成立することがわか る.
補題 5.4.3. mi > 0, i = 1, . . . , lはgϵ admissibleでmi ∈ S(mi, gϵ)とし {1, . . . , l}=I1∪I2でI1とI2は互いに素とする.いまmをg¯admissibleと しa∈S(mm1· · ·ml,g)¯ とするとa˜∈S(m,g)¯ が存在し
(op(a)u, v)≤ kop(˜a) Π
i∈I1op(mi)ukk Π
i∈I2op(mi)vk, kop(a)uk ≤ k Π
i∈I1op(mi)op(˜a) Π
i∈I2op(mi)uk
が成立する.m >0をgϵadmissibleでm∈S(m, gϵ)またa∈S(mm1· · ·ml, gϵ) とする.このとき˜a= (m1· · ·ml)−1a∈S(m, gϵ)とおくと
|(op(a)u, v)| ≤ kop(˜a) Π
i∈I1
op(mi)ukk Π
i∈I2
op(mi)vk +CM−1kop(m) Π
i∈I1op(mi)ukk Π
i∈I2op(mi)vk が成立する.また
kop(a)uk ≤ kop(˜a)Πli=1op(mi)uk+CM−1kop(m)Πli=1op(mi)uk が成立する.
証明. 最初の2つの主張は補題5.4.2から明らかである.I1={i1, i2, . . . , is}, I2={j1, j2, . . . , jt}としよう.補題5.4.2よりr∈S(M−1m, gϵ)があってa= (mjt#· · ·#mj1)#(˜a+r)#(mi1#· · ·#mis)と書ける.ゆえに(op(a)u, v)≤ kop(˜a+r) Π
i∈I1op(mi)ukk Π
i∈I2op(mi)vkが従う.補題5.4.2よりr= ˜r#m, ˜r∈ S(M−1, gϵ)と書くと定理7.5.1よりkop(˜a+r)vk ≤ kop(˜a)vk+CM−1kop(m)vk であるから結論を得る.他の主張の証明も同様である.
系 5.4.1. m >0をgϵ admissibleでm∈S(m, gϵ)とする.このときC >0 が存在し(op(m)u, u)≥(1−CM−1)kop(√
m)uk2が成立する.
証明. √
mはgϵadmissibleで√
m∈S(√
m, gϵ)であるからm∈S(√ m√
m, gϵ) と考えて補題5.4.2を適用するとm=√
m#(1 +r)#√
m,r∈S(M−1, gϵ)と 書けるから後は明らかである.
補題 5.4.4. mi > 0, i = 1, . . . , lはgϵ admissibleでmi ∈ S(mi, gϵ)とし {1, . . . , l} = I1 ∪I2, I1, I2は互いに素とする.w > 0はg¯ admissible で w∈S(w,g)¯ でさらにw#w˜ =w# ˜w= 1となるw˜ ∈S(w−1,g)¯ が存在すると する.いまa∈S(m1· · ·mlw2,g)¯ とするとC >0が存在して
(op(a)u, v)≤Ckop(w) Π
i∈I1op(mi)ukkop(w) Π
i∈I2op(mi)vk
が成立する.またa∈S(m1· · ·mlw,¯g)とするとC >0が存在して次が成り 立つ.
kop(a)uk ≤Ck Π
i∈I1
op(mi)op(w) Π
i∈I2
op(mi)uk.
証明. Iiを補題 5.4.3の証明と同じとすると補題 5.4.2よりa˜ ∈S(w2,g)¯ が あってa= (mjt#· · ·#mj1)#˜a#(mi1#· · ·#mis)と書ける.従って仮定の
˜
w ∈S(w−1,g)¯ を用いて˜a=w#( ˜w#˜a# ˜w)#wと書けばw#˜˜ a# ˜w∈ S(1,g)¯ より結論を得る.つぎにa∈ S(m1· · ·mlw,g)¯ とすると補題5.4.2よりa= mi1#· · ·#mis#˜a#mj1#· · ·#mjt, ˜a ∈ S(1,g)¯ と書けるがa˜ = (˜a# ˜w)#w と書きmi1#· · ·#mis#(˜a# ˜w)∈S( Π
i∈I1mi,¯g)に注意して再び補題5.4.2より これをˆa#mi1#· · ·#mis, ˆa∈S(1,¯g)と書けばよい.
以下本書では主にw=bとしてこの補題を利用する.
補題 5.4.5. q∈S(1, G)としある定数cについてq≥cが成り立っていると する.このときC >0が存在し次が成立する.
op(q)u, u
≥(c−CM−1)kuk2. (5.4.39) 証明. q−cを考えることによりc= 0と仮定できる.q∈S(1, G)より|∂xαq| ≤ CM2, |∂ξβq| ≤ CM2hξi−γ2 (|α| = |β| = 2)である.q ≥ 0より Glaeser の不等式から|α+β| = 1のとき|∂xα∂ξβq| ≤ CMhξi−γ1/2hξi(γ|α|−|β|)/2√q ≤ CM−1hξi(γ|α|−|β|)/2√qが従う.ゆえにh(x, ξ) = q(x, ξ)+M−11/2
≥M−1/2 とおくと|α+β|= 1のとき
|∂αx∂ξβh| ≤CM−1hξi(γ|α|−|β|)/2
√q/h≤CM−1/2hξi(γ|α|−|β|)/2h
が成り立つ.これから出発してh2=q+M−1を微分することによってつぎ を得る.
|h∂xα∂ξβh|≲ X
0<|α′+β′|<|α+β|
|∂xα′∂ξβ′h||∂xα′′∂ξβ′′h|+|∂xα∂ξβq|.
ここで|∂xα∂ξβq|≲M|α+β|hξi−|γ α+β|/2hξi(γ|α|−|β|)/2≲M−|α+β|+1hξi(γ|α|−|β|)/2h2 に注意すると帰納法で
|∂xα∂ξβh| ≤CαβM−|α+β|/2hξi(γ|α|−|β|)/2h (5.4.40)
が成立することを示すのは容易である.次にhが¯gadmissibleであることを 示そう.それには補題 5.2.3の証明 (の一部)を繰り返せばよい.z = (x, ξ), w= (y, η)と書くことにすると|η|<hξiγ/2のときは有限増分の定理より
|h(z+w)−h(z)| ≤CM−1/2g¯1/2z (w)≤C h(z)(1 + ¯gz(w))1/2 (5.4.41) が成立する.つぎに|η| ≥ hξiγ/2とすると¯gz(w)≥ hξiγ/4 ≥M4/4である から
|h(z+w)| ≤C≤CM−1/2M1/2≤C h(z)(1 + ¯gz(w))1/8 (5.4.42) が成立する.ゆえにhはg¯ admissible でh ∈ S(h,¯g)である.したがって (5.4.40)と命題 7.4.1よりq+M−1 =h#h+r ここでr ∈S(M−2h2,¯g) ⊂ S(M−2,g)¯ である.定理7.5.1をop(r)に適用すると
(op(q+M−1)u, u) =kop(h)uk2+ (op(r)u, u)≥ −CM−2kuk2 が得られ証明が終わる.
系 5.4.2. q∈S(1, G)とする.このときC >0 が存在し次が成り立つ.
kop(q)uk ≤ sup|q|+CM−1/2 kuk.
証明. kop(q)uk2 = (op(¯q#q)u, u)で q#q¯ = |q|2+r, r ∈ S(M2hξi−γ1,¯g), M2hξi−γ1≤M−2であるから(op(|q|2)u, u)を考えればよい.(sup|q|)2−|q|2≥ 0に補題5.4.5を適用すると
(op(|q|2)u, u)≤ (sup|q|)2+CM−1)kuk2≤(sup|q|+CM−1/2)2kuk2 が得られ,これより結論が従う.