第 5 章 エネルギー評価 43
5.5 エネルギー不等式
が成立することを示すのは容易である.次にhが¯gadmissibleであることを 示そう.それには補題 5.2.3の証明 (の一部)を繰り返せばよい.z = (x, ξ), w= (y, η)と書くことにすると|η|<hξiγ/2のときは有限増分の定理より
|h(z+w)−h(z)| ≤CM−1/2g¯1/2z (w)≤C h(z)(1 + ¯gz(w))1/2 (5.4.41) が成立する.つぎに|η| ≥ hξiγ/2とすると¯gz(w)≥ hξiγ/4 ≥M4/4である から
|h(z+w)| ≤C≤CM−1/2M1/2≤C h(z)(1 + ¯gz(w))1/8 (5.4.42) が成立する.ゆえにhはg¯ admissible でh ∈ S(h,¯g)である.したがって (5.4.40)と命題 7.4.1よりq+M−1 =h#h+r ここでr ∈S(M−2h2,¯g) ⊂ S(M−2,g)¯ である.定理7.5.1をop(r)に適用すると
(op(q+M−1)u, u) =kop(h)uk2+ (op(r)u, u)≥ −CM−2kuk2 が得られ証明が終わる.
系 5.4.2. q∈S(1, G)とする.このときC >0 が存在し次が成り立つ.
kop(q)uk ≤ sup|q|+CM−1/2 kuk.
証明. kop(q)uk2 = (op(¯q#q)u, u)で q#q¯ = |q|2+r, r ∈ S(M2hξi−γ1,¯g), M2hξi−γ1≤M−2であるから(op(|q|2)u, u)を考えればよい.(sup|q|)2−|q|2≥ 0に補題5.4.5を適用すると
(op(|q|2)u, u)≤ (sup|q|)2+CM−1)kuk2≤(sup|q|+CM−1/2)2kuk2 が得られ,これより結論が従う.
∂xα∂βξℓ∈S(Mhξi1γ−|β|, gϵ)である.従って命題7.4.1よりℓ#ℓ−ℓ2∈S(M2, gϵ) が従い
op(ℓ2) =L2+ op(r), r∈S(M2, gϵ) (5.5.43) と書ける.M2≤ hξi1/2γ に注意するとPˆは
Pˆ=−Dt2+L2+Q+B0Dt+B1, Bi= op(˜bi), ˜bi∈S(hξiiγ, gϵ) (5.5.44) と書ける.θ >0をパラメーターとしてPˆθ=e−θtP eˆ θtを考えると(Dt−iθ) = e−θtDteθtよりPˆθは
Pˆθ=−A2+L2+Q+B0A+B1, A=Dt−iθ (5.5.45) となる.次にエネルギー評価を導くときに用いる weightを定義しよう.
定義 5.5.1. Φk♯n = op(ω−k/2ϕ−n), Ψnk♯ = op(ω1−k/2hξiγϕ−n), k = 0,1, . . . とおく.Φ0♯n, Φ1♯n はそれぞれ単にΦn, Φ♯nと書くものとする.Ψnk♯ について も同様である.以下記号を簡単にするためにパラメーターnを省略して単に Φk♯,Ψk♯と書くが,これらはパラメーターとしてn,M,γを含んでいること に注意しよう.
この節を通じて小文字で表された定数c, ˆc, ¯c,ci などはn, M,γ,θに依存 しないものとし,大文字で表す定数Cはnには依存するがM,γ,θには依存 しない一般には行ごとに異なる定数を表すものとする.
補題 5.5.1. K∗=Kとすると
2Im(ΦKu, ΦAu) =∂t(KΦu, Φu) + 2θ(KΦu, Φu) +2Im([Φ, K]u, ΦAu) + 2Im(KΦu,[Φ, A]u)−Re((∂tK)Φu, Φu)
(5.5.46) が成立する.またつぎの等式が成立する.
2Im(ΦK2u, ΦAu) =∂tkΦKuk2+ 2θkΦKuk2 +2Im(Φ[A, K]u, ΦKu) + 2Im([A, Φ]Ku, ΦKu) +2Im([Φ, K]Au, ΦKu) + 2Im(ΦAu,[K, Φ]Ku).
(5.5.47)
証明. 最初の等式は
(ΦKu, ΦAu) = ([Φ, K]u, ΦAu) + (KΦu,[Φ, A]u) + (KΦu, AΦu) と書いて∂t=iA−θより2Im(KΦu, AΦu) =∂t(KΦu, Φu) + 2θ(KΦu, Φu)− Re((∂tK)Φu, Φu)に注意すればよい.次の等式は(ΦK2u, ΦAu)を変形してい くと
(ΦK2u, ΦAu) = ([Φ, K]Ku, ΦAu) + (KΦKu, ΦAu)
= ([Φ, K]Ku, ΦAu) + (ΦKu,[K, Φ]Au) + (ΦKu, ΦKAu)
= ([Φ, K]Ku, ΦAu) + (ΦKu,[K, Φ]Au) + (ΦKu, Φ[K, A]u) + (ΦKu, ΦAKu)
= ([Φ, K]Ku, ΦAu) + (ΦKu,[K, Φ]Au) + (ΦKu, Φ[K, A]u) +(ΦKu,[Φ, A]Ku) + (ΦKu, AΦKu)
となる.右辺の最後の式の(ΦKu, AΦKu)以外の4項は虚部の2倍を考え れば(5.5.47)の右辺の最後の4項に一致しているので2Im(ΦKu, AΦKu) =
∂tkΦKuk2+ 2θkΦKuk2を示せばよいがこれは明らかである.
以下2Im(ΦPˆθu, ΦAu)を評価してゆく.最初に2Im(ΦL2u, ΦAu)を考察す る.まず2Im([A, Φ]Lu, ΦLu)を評価する.∂tϕ=ω−1ϕであったから[A, Φ] = inop(ω−1ϕ−n)で,したがって
2Im([A, Φ]Lu, ΦLu) = 2nRe(op(ω−1ϕ−n)Lu,op(ϕ−n)Lu)
である.ϕ−n#(ω−1ϕ−n)−ω−1ϕ−2n ∈ S(M−1ω−1ϕ−2n, gϵ)であるから系 5.4.1と補題5.4.3より次を得る.
2Im([A, Φ]Lu, ΦLu)≥2n(1−CM−1)kΦ♯Luk2. (5.5.48) つぎに2Im(ΦAu,[L, Φ]Lu)を評価しよう.まず
ϕ−n#(ℓ#ϕ−n−ϕ−n#ℓ) =−n{ℓ, ψ}ω−1ϕ−2n+r1+r2, r1∈S(M−1ω−1ϕ−2n, gϵ), r2∈S(ϕ−2n, gϵ)
(5.5.49) と書けることをみよう.∂xα∂βξℓ ∈ S(M2hξi1γ−|β|, gϵ), |α+β| = 3 ゆえ命題 7.4.1 と補題 5.3.3 よりℓ#ϕ−n−ϕ−n#ℓ+i{ℓ, ϕ−n} ∈ S(ϕ−n, gϵ)である.
一方(5.3.25)より{ℓ, ϕ−n} = −in ω−1{ℓ, ψ}ϕ−n +in ω−1{ℓ,hξi−γ1}ϕ−n−1 で(5.3.24)よりω−1{ℓ,hξi−γ1}ϕ−n−1 ∈ S(ϕ−n, gϵ)である.命題 5.1.2より {ℓ, ψ} ∈ S(1, gϵ)に注意すると定理 7.4.1より(5.5.49)が従う.ゆえに補題 5.4.3より
(ΦAu,[L, Φ]Lu)≤nkop({ℓ, ψ})Φ♯AukkΦ♯Luk +CM−1kΦ♯AukkΦ♯Luk+CkΦAukkΦLuk
と評価される.命題5.1.2と系5.4.2よりk(op({ℓ, ψ})vk ≤(|κ|+CM−1/2)kvk が成り立つので
|(ΦAu,[L, Φ]Lu)| ≤n(|κ|+CM−1/2)kΦ♯AukkΦ♯Luk+CkΦAukkΦLuk が成立する.|([Φ, L]Au, ΦLu)|も同様にして評価されるので結局
2|(ΦAu,[L, Φ]Lu)|+ 2|([Φ, L]Au, ΦLu)|
≤2n(|κ|+CM−1/2) kΦ♯Auk2+kΦ♯Luk2
+C kΦAuk2+kΦLuk2 (5.5.50) を得る.次に[A, L] =−iop(∂tℓ)で∂tℓ∈S(hξiγ, gϵ)よりϕ−n#ϕ−n#(∂tℓ)∈ S(hξiγϕ−2n, gϵ)であるから補題5.4.3より
2|(Φ[A, L]u, ΦLu)| ≤2kop(∂tℓhξi−γ1)Ψ♯ukkΦ♯Luk
+CM−1kΨ♯ukkΦ♯Luk ≤(c0+CM−1) kΨ♯uk2+kΦ♯Luk2 (5.5.51)
が成り立つ.したがって(5.5.47), (5.5.48), (5.5.50)および(5.5.51)から次を 得る.
補題 5.5.2. 次が成立する.
2Im(ΦL2u, ΦAu)≥∂tkΦLuk2+ (2θ−C)kΦLuk2
+2n(1− |κ| −c0/2n−CM−1/2)kΦ♯Luk2−2n(|κ|+CM−1/2)kΦ♯Auk2
−(c0+CM−1/2)kΨ♯uk2−CkΦAuk2.
次に−2Im(ΦA2u, ΦAu)を考えよう.(5.5.46)でK =I とし,(5.5.48)を L=Iとして適用すると
−2Im(ΦAu, Φu) =∂tkΦuk2+ 2θkΦuk2+ 2Im([A, Φ]u, Φu)
≥∂tkΦuk2+ 2θkΦuk2+ 2n(1−CM−1)kΦ♯uk2 (5.5.52) が成立する.同様の議論をΦ= op(ϕ−n)をΦ2♯= op(ω−1ϕ−n)に置き換えて 行うと
−2Im(Φ2♯Au, Φ2♯u)≥∂tkΦ2♯uk2+ 2θkΦ2♯uk2+ 2n(1−CM−1)kΦ3♯uk2 を得る.補題 5.4.3より
2|(Φ2♯Au, Φ2♯u)| ≤2(1 +CM−1)kΦ♯AukkΦ3♯uk
≤n−1kΦ♯Auk2+n(1 +CM−1)kΦ3♯uk2 が従うので
kΦ♯Auk2≥n∂tkΦ2♯uk2+ 2θnkΦ2♯uk2+n2(1−CM−1)kΦ3♯uk2 (5.5.53) が成立する.一方(5.5.52)でuをAuで置き換えると
−2Im(ΦA2u, ΦAu)≥∂tkΦAuk2+ 2θkΦAuk2+ 2n(1−CM−1)kΦ♯Auk2 を得るが右辺の2n(1−CM−1)kΦ♯Auk2のうちnνkΦ♯Auk2 (0 < ν <2)を
(5.5.53)の評価で置き換えると次の補題を得る.
補題 5.5.3. 任意の0< ν <2に対し次の評価が成立する.
−2Im(ΦA2u, ΦAu)≥∂tkΦAuk2+ 2θkΦAuk2 +2n(1−ν/2−CM−1)kΦ♯Auk2 +νn2∂tkΦ2♯uk2+ 2νθn2kΦ2♯uk2+νn3(1−CM−1)kΦ3♯uk2.
(5.5.54)
最後にIm(ΦQu, ΦAu)を評価する.つぎのようにおく.
B = op(b) = op((q+ ¯λhξiγ)1/2).
まずIm([Φ, Q]u, ΦAu)を考察する.命題5.3.1と命題7.4.1よりϕ−n#(ϕ−n#hξiγ− hξiγ#ϕ−n)∈S(ω−1ϕ−2n, gϵ)ゆえ補題5.4.3より
|([Φ,hDiγ]u, ΦAu)| ≤CkΦ2♯ukkΦAuk ≤C(kΦ2♯uk2+kΦAuk2) は明らかである.つぎにIm([Φ,op(q)]u, ΦAu)を評価しよう.まず
ϕ−n#q−q#ϕ−n=−inω−1{ψ, q}ϕ−n+r1+r2, r1∈S(bϕ−n,g),¯ r2∈S(M ω−1ϕ−n, gϵ)
(5.5.55)
と書けることを確かめよう.|α+β| = 3のとき∂xα∂βξq ∈ S(Mhξi2γ−|β|, gϵ) より命題 5.3.1と命題 7.4.1 よりϕ−n#q−q#ϕ−n = −i{ϕ−n, q}+r, r ∈ S(M ω−1ϕ−n, gϵ)となる.一方(5.3.25)から{ϕ−n, q} = nω−1{ψ, q}ϕ−n − nω−1{hξi−γ1, q}ϕ−n−1/2 であるが右辺第2項は補題 5.2.1と(5.3.24)より S(bϕ−n,¯g)であるから(5.5.55)を得る.補題5.2.1より{ψ, q} ∈S(M−1/2b,¯g) であるから(5.5.55)の右辺第1項はS(M−1/2ω−1bϕ−n,g)¯ となる.従って補 題 5.4.4と補題5.4.3より次を得る.
([Φ, Q]u, ΦAu)≤CM−1/2 kBΦ♯uk2+kΦ♯Auk2 +CkBΦuk2+CM kΦAuk2+kΦ2♯uk2
.
(5.5.56)
補題 5.5.4. 次が成立する.
2Im(QΦu,[Φ, A]u)≥(n−CM−1/2)kBΦ♯uk2
−CM−1/2kΦ3♯uk2−CkBΦuk2−CMkΦ2♯uk2. 証明. まず2Im(QΦu,[Φ, A]u) = 2nRe Qop(ϕ−n)u,op(ω−1ϕ−n)u
である.
補題5.4.2を使ってω−1ϕ−n =ω−1/2#(1+k)#(ω−1/2ϕ−n)およびω−1/2#ϕ−n= (1 + ˜k)#(ω−1/2ϕ−n),k,˜k∈S(M−1, gϵ)と書くと
Qop(ϕ−n)u,op(ω−1ϕ−n)u
= op(1 + ¯k)Qop(1 + ˜k)Φ♯u, Φ♯u) + op(1 + ¯k)[op(ω−1/2), Q]Φu, Φ♯u)
と書ける.ここでr= (ω−1/2#q−q#ω−1/2) + ¯λ(ω−1/2#hξiγ−hξiγ#ω−1/2) は
r1∈S(M−1/2ω−3/2b,g), r¯ 2∈S(ω−1/2b,g), r¯ 3∈S(M ω−3/2, gϵ) (5.5.57) の和である.実際λ(ω¯ −1/2#hξiγ− hξiγ#ω−1/2)∈S(ω−3/2, gϵ)は命題5.3.1 と命題 7.4.1より明らか.同様にしてω−1/2#q−q#ω−1/2+i{ω−1/2, q} ∈ S(M ω−3/2, gϵ)が従う.つぎに
{ω−1/2, q}=ω−5/2(t−ψ){ψ, q}/2−ω−5/2{hξi−γ1, q}/4 (5.5.58)
であるが右辺第1項は補題5.2.1と(t−ψ)∈S(ω, gϵ)よりS(M−1/2ω−3/2b,g)¯ であり右辺第2項は補題5.2.1とω−2≤ hξiγよりS(ω−1/2b,g)¯ となる.以上 でrが(5.5.57)の和であることがわかった.ゆえに補題5.4.4より
(op(1 + ¯k)op(r)Φu, Φ♯u)≤CM−1/2 kBΦ♯uk2+kΦ3♯uk2 +CkBΦuk2+CMkΦ2♯uk2
が成立する.つぎに op(1 + ¯k)Qop(1 + ˜k)Φ♯u, Φ♯u)を評価する.k#(q+¯¯ λhξiγ)∈ S(M−1b2,g)¯ であるから補題5.4.4より(op(¯k)QΦ♯u, Φ♯u)≤CM−1kBΦ♯uk2 を得る.(Qop(˜k)Φ♯u, Φ♯u)なども同様に評価できる.最後に(QΦ♯u, Φ♯u)
に補題5.2.4を適用すればよい.
補題 5.5.5. c1>0が存在して
|((∂tQ)Φu, Φu)| ≤(c1+CM−1/2)(kBΦ♯uk2+kΨ♯uk2) (5.5.59) が成立する.
証明. 補題5.2.1, 5.4.2よりϕ−n#∂tq#ϕ−n= (ω−1/2ϕ−n)#r#(ω1/2hξiγϕ−n) およびr∈S(b, gϵ)と書けるがこのrのnによらない部分を取り出そう.補題 5.4.2よりk,˜k∈ S(M−1, gϵ)があって(ω1/2ϕn)#(1 +k)#(ω−1/2ϕ−n) = 1, (ω1/2hξiγϕ−n)#(1 + ˜k)#(ω−1/2hξi−γ1ϕn) = 1と書けるから
r= (ω1/2ϕn)#(1 +k)#ϕ−n#(∂tq)#ϕ−n#(1 + ˜k)#(ω−1/2hξi−γ1ϕn) である.定理7.4.1より(ω1/2ϕn)#(1+k)#ϕ−n−ω1/2=l∈S(M−1ω1/2, gϵ) およびϕ−n#(1+˜k)#(ω−1/2hξi−γ1ϕn)−ω−1/2hξi−γ1= ˜l∈S(M−1ω−1/2hξi−γ1, gϵ) であるからr= (ω1/2+l)#(∂tq)#(hξi−γ1ω−1/2+˜l) =ω1/2#(∂tq)#(hξi−γ1ω−1/2)+
˜
rと書けるが補題5.2.1よりr˜∈S(M−1b,g)¯ .またω1/2#(∂tq)#(hξi−γ1ω−1/2)∈ S(b,g)¯ でこれはnによらない.従って補題5.4.4よりc1>0があってkop(r)vk ≤ (c1+CM−1)kBvkが成り立ちこれより結論を得る.
(5.5.46)でK=Qと選ぶと(5.5.56)および補題5.5.4,補題5.5.5から 2Im(ΦQu, ΦAu)≥∂t(QΦu, Φu) + (θ−C)kBΦuk2 +(n−c1−CM−1/2)kBΦ♯uk2−(c1+CM−1/2)kΨ♯uk2
−CM−1/2 kΦ♯Auk2+kΦ3♯uk2
−CM kΦAuk2+kΦ2♯uk2 (5.5.60) が成立する.
つぎにω1−k/2ϕ−nhξiγ = (hξiγω)(ω−k/2ϕ−n)と書くと補題5.4.3より (1−CM−1)kΨk♯uk ≤ kop(hξiγω)Φk♯uk (5.5.61) を得る.˜b∈S(b−1,¯g)を命題5.2.1のそれとすると(5.2.14)より˜b∈S(ω−1hξi−γ1,g)¯ であるからhξiγω = (hξiγω)#˜b#bと書くと (hξiγω)#˜b ∈ S(1,¯g)ゆえ定理 7.5.1よりc >ˆ 0があってkop(hξiγω)vk ≤cˆkBvk が成立する.そこでvを Φk♯uで置き換えると(5.5.61)よりつぎの補題を得る.
補題 5.5.6. ˆc >0, c >0,C >0が存在してk= 0,1,2に対し次が成立する.
c(1−CM−1)kΦhDi1/2+k/4γ uk ≤(1−CM−1)kΨk♯uk ≤ˆckBΦk♯uk. (5.5.62) 証明. 左端の不等式を示す.ϕ−nhξi1/2+k/4γ = (ω1/2hξi1/4γ )−2+k(ω1−k/2ϕ−nhξiγ) と書くとω1/2hξi1/4γ ≥1であるからk≤2のとき補題5.4.3よりc >0があっ て ckΦhDi1/2+k/4γ uk ≤(1−CM−1)kΨk♯ukが成立する.
(5.5.60)の右辺のkΨ♯uk2を(5.5.62)の評価式で置き換えてまとめると 補題 5.5.7. 次が成立する.
2Im(ΦQu, ΦAu)≥∂t(QΦu, Φu) + (θ−C)kBΦuk2 +n(1−c1(1 + ˆc)/n−CM−1/2)kBΦ♯uk2
−CM−1 kΦ♯Auk2+kΦ3♯uk2
−CM kΦAuk2+kΦ2♯uk2 .
残っている低階の項B0A+B1を評価する.˜bj∈S(hξijγ, gϵ)ゆえ補題5.4.2 から
2(ΦB1u, ΦAu)≤2kop(˜b1hξi−γ1+r)Φ♯AukkΨ♯uk
≤(¯c+CM−1)(kΦ♯Auk2+kΨ♯uk2)
(5.5.63) が成立する.また2|(ΦB0Au, ΦAu)| ≤CkΦAuk2も同様である.したがって 補題5.5.2,補題5.5.3および補題5.5.7とこれらの低階の評価から次を得る.
命題 5.5.1. 次が成立する.
2Im(ΦPˆθu, ΦAu)≥∂t
kΦLuk2+kΦAuk2+ (QΦu, Φu) +νn2kΦ2♯uk2 + (θ−CM) kΦLuk2+kΦAuk2+kBΦuk2 +2n(1− |κ| −ν/2−(c0+ ¯c)/2n−CM−1/2) kΦ♯Auk2+kΦ♯Luk2
+n(1−ˆc(c0+ ¯c)/n−c1(1 + ˆc)/n−CM−1/2)kBΦ♯uk2 +(2νθn2−CM)kΦ2♯uk2+ (νn3−CM−1/2)kΦ3♯uk2. 補題 5.5.8. n≥1とする.C >0が存在して次が成立する.
kΦuk ≤CkhDinγuk, kuk ≤CkΦuk, khDiγuk ≤CkBΦuk. 証明. 1番目の不等式は(5.3.24)よりϕ−n≤Cωnhξinγ ≤C′hξinγゆえ明らかで ある.つぎにϕ≤2ωからϕ−n≥(2ω)−n≥C >0より1∈S(ϕ−n, gϵ)であ るから2番目の不等式を得る.3番目の不等式はωϕ−nhξiγ ≥Cω1−nhξiγ ≥ C′hξiγ より補題5.5.6から従う.
さて命題5.5.1において1− |κ| −ν/2>0となるν >0を1つ選んで固定 する.次にnを
1− |κ| −ν/2−(c0+ ¯c)/2n >0, 1−c(cˆ 0+ ¯c)/n−c1(1 + ˆc)/n >0
を満たすように選んで固定する.このとき,そのようなnより大なる任意の nについて上の条件が満たされることに注意しておく.次にそのように選ん だnに対してM を本節の計算が正当化されるように,すなわち補題5.4.2が 適用できるように,さらに上の2式および補題5.5.8のcからCM−1/2を引 いたものおよびνn3−CM−1/2が正になるようにMを選びそれを固定する.
このとき,このように選んだM より大なる任意のM についてこの性質が成 り立つことは自明である.最後にγをγ≥M4 かつγ≥λM¯ 2を満たすよう に選んでそれを固定する.θ はまだ固定せず動かすものとする.M とγを 固定すると正定数C, Csが存在して
hξis/Cs≤ hξisγ ≤Cshξis, g0/C≤G≤Cg0, g0=|dx|2+hξi−2|dξ|2 が成り立つ.したがってS(hξisγ, G) =S(hξis, g0) =Ssであり,またkhDisγuk とkhDisukは同値である.またM を固定すると(5.1.4)よりtの動く範囲も 決まる.以下hξiγをhξiと書くことにする.このようにn,M,γを選んで固 定して次を得る.
命題5.5.2. 正定数c >0,c∗>0,δ0>0,θ0>0,が存在して|t| ≤δ0,θ≥θ0
のとき次が成り立つ.
2Im(ΦPˆθu, ΦAu)≥∂t
kΦAuk2+kΦLuk2+ (QΦu, Φu) +c∗kΦ2♯uk2 +c θ kΦAuk2+kΦLuk2+kBΦuk2+kΦhDi1/2uk2 +c kΦ♯Auk+kΦ♯Luk2+kBΦ♯uk+kΦhDi3/4uk2
.
定義 5.5.2. 次のようにおく.
E˜2(u) =kΦAuk2+kΦLuk2+ (QΦu, Φu) +c∗kΦ2♯uk2, E˜♯2(u) =kΦ♯Auk2+kΦ♯Luk2+kΦ♯Buk2+kΦhDi3/4uk2.
またE˜2(u)とE˜♯2(u)においてAをDtで置き換えたものをそれぞれE2(u)と E♯2(u)で表すことにする.
補題 5.5.9. C >0が存在して
E˜2(u)/C≤ kΦAuk2+kΦLuk2+kΦBuk2+kΦhDi1/2uk2≤CE˜2(u).
証明. 補題 5.2.4と補題 5.4.4よりCkBΦuk2 ≥(QΦu, Φu)≥ kΦBuk2/2で ある.補題 5.5.6よりCkBΦuk ≥ kΦhDi1/2ukであるからあとはω−1ϕ−n ∈ S(hξi1/2ϕ−n, gϵ)に注意すればよい.
したがって命題5.5.2はつぎのように述べることができる.
命題5.5.3. 正定数c >0,c∗>0,δ0>0,θ0>0,が存在して|t| ≤δ0,θ≥θ0
のとき2Im(ΦPˆθu, ΦAu)≥∂tE˜2(u) +c θE˜2(u) +cE˜♯2(u)が成り立つ.