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軟弱地盤対策としての敷金網工法の変形抑制効果に 関する研究

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

軟弱地盤対策としての敷金網工法の変形抑制効果に 関する研究

白井, 康夫

http://hdl.handle.net/2324/2236210

出版情報:九州大学, 2018, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

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(様式2)

氏 名 : 白井 康夫

論 文 名 : 軟弱地盤対策としての敷金網工法の変形抑制効果に関する研究 区 分 : 甲

論 文 内 容 の 要 旨

九州の有明海沿岸一帯には,有明粘土として知られる圧縮性に富む超軟弱な粘性土地盤が広く分 布する。このような軟弱地盤上に盛土等の土構造物を構築すると,盛土本体や基礎地盤の圧密沈下 が工学的に問題となるだけでなく,盛土法尻や側方地盤にも変形が生じて建設用地外の家屋や水路 等の構造物に亀裂が生じたり,水田が沈下して水が張れなくなるなどのトラブルが発生する。この ような場合,深層混合処理工法や浅層混合処理工法による軟弱地盤対策が行われるのが一般的であ るが,盛土法尻および側方地盤の水平変位低減を目的として,「敷網工法」が適用されることも少な くない。

「敷網工法」には敷設材によってジオテキスタイルなどを用いた「ジオシンセティックス工法」,

ひし形金網を用いた「敷金網工法」などがあり,すべり対策,盛土補強などに主に用いられ,その 設計手法は既に道路土工指針等に具体的に示されている。それに対して,変形抑制対策としての「敷 網工法」,特に「敷金網工法」については,工学的な補強メカニズムや具体的な設計手法は明らかに されていない。それにも係らず,「敷網工法」が変形抑制対策として実務上,広く用いられているの は,側方地盤の水平変位が抑制されるという定性的で経験的な事実,および浅層改良工法に比べて 低コストであり施工性が良く,熟練技術者を必要としないことなどが要因である。しかしこの数年,

地盤工学的な視点からの変形抑制メカニズムの検討が十分になされていないこと,設計手法が示さ れていないことなど,施工根拠が不明瞭なため当該工法の採用が敬遠される場面も出てきている。

そのため,一刻も早い変形抑制メカニズムの解明および設計手法の確立が実務上,強く望まれてい る。

このような背景のもと,本研究では変形抑制対策としての敷金網を用いた軟弱地盤対策工法の設 計手法を提案することを最終目的とし,室内・現場実験により敷金網工法の変形抑制効果を証明す るとともに,変形抑制メカニズムを明らかにして簡易式による周辺地盤の変形予測手法を提案する。

ここで,「敷網工法」のうち「敷金網」を研究対象としたのは,「ジオシンセティックス」は素材,

引張強度,変形特性,網目の形状・大きさなど様々な商品があるが,「敷金網」は日本工業規格(JIS) により品質が統一されていること,さらにジオシンセティックスよりもコスト的に優れているため である。

第1章では,本研究の背景と目的を示した上で,本論文の全体の構成をまとめている。

第2章では,敷金網工法の変形抑制メカニズムに対する課題を明確にするために既往の研究成果 を整理し,ジオテキスタイルの拘束効果がジオテキスタイルに発生する引張力に起因する効果と拘 束効果の和として表せること,さらに,拘束効果は土のダイレタンシー特性と関連付けられること を示した。また,敷金網にも同様の拘束効果があり,敷金網に作用する張力が土の自由な変形を妨 げて拘束し,敷金網に挟まれた土の拘束圧が増加すること,さらに,拘束効果を変形係数の増加と

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して考え,それが敷金網の変形抑制効果であるとする研究成果を示した。しかし,変形係数の増加 では実際の敷金網の変形抑制量を説明することはできず,本研究における課題であることを言及し た。

第3章では,敷金網工法が盛土法尻および側方地盤の水平変位抑制対策として効果的であること を証明するために,新北九州空港連絡道路の現場事例を整理した。盛土底面に50cmの間隔で2層 の敷金網を用いて,厚さ8m の道路盛土が行われた現場事例であり,動態観測結果を整理した。結 果,盛土中央の沈下量が3mと大きいにも係らず盛土法尻の水平変位5cmと相対的に極端に小さい ことから,盛土法尻の水平変位の低減に敷金網の変形抑制効果が寄与していると推察した。また,

施工時の敷金網の張力測定結果から,敷金網による側方地盤の変形抑制メカニズムは敷金網自体の 引張力だけでなく,敷金網に挟まれた地盤内に生じる拘束効果も存在する可能性があることを示し た。ただし,敷金網を敷かない場合との比較ができなかったため,評価は抽象的なものに留まった。

そこで,第4章では敷金網の変形抑制効果および拘束効果を具体的に証明するため,敷金網を模 した金網およびポリエチレンネットを用いて室内土槽実験を行った。金網を敷設しない場合よりも 金網を敷設した方が法尻の水平変位が小さくなる土槽実験の結果を得て,敷金網による側方地盤の 変形抑制効果を証明した。また,敷設時に緩みの生じるポリエチレンネットを用いた実験において も,金網を敷設しない場合よりも盛土法尻の水平変位が小さくなる結果を得て,敷金網の変形抑制 メカニズムが金網自体の引張力だけではないことを明らかにした。

第5章では,敷金網による盛土側方地盤の水平変位抑制メカニズムおよび拘束効果を地盤工学的 に明らかにした。二次元弾塑性 FEM解析を通して,水平変位の抑制メカニズムは敷金網に挟まれ た地盤内の最小主応力が増大すること,それにより盛土底部が破壊せずに変形特性を失わないこと であると結論付けた。また,最小主応力の増大は,敷金網に挟まれた地盤が敷金網によって自由な 変形を拘束される際に発生する増加応力であり,土のうの理論を用いることにより定式化した。そ して,この敷金網に挟まれた地盤内に発生する最小主応力の増大が,拘束効果であることを示した。

第6章では,盛土法尻および側方地盤の水平変位低減対策としての敷金網工法を広く知ってもら い,簡易に設計できることを目的として設計手法の提案を行った。具体的には,盛土高さや軟弱地 盤の厚さを何ケースも変えて二次元弾塑性 FEM解析を実施し,盛土中央の最終沈下量と軟弱地盤 層厚および敷金網敷設時の側方地盤の水平変位の関係を設計チャートとして作成した。無対策時の 盛土中央の最終沈下量を通常の一次元圧密理論で算出し,この最終沈下量と軟弱地盤層厚の関係か ら前述のチャートを用いることにより,敷金網を敷設した場合の盛土法尻および側方地盤の水平変 位量を算出する設計手法を提案した。

第7章では,本論文で得られた結果を総括し,これを受けて今後の課題と展望を整理した。

参照

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