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歯科用貴金属合金のアノード溶解機構に関する研究

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

歯科用貴金属合金のアノード溶解機構に関する研究

中川, 雅晴

https://doi.org/10.11501/3073278

出版情報:Kyushu University, 1993, 博士(歯学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)
(3)

歯科用貴金属合金の ア ノ ー ド溶解機構に 関す る研究

中 川 雅 晴

(4)

目次

第 1 章 緒言

1 - 1. 歯科用貴金属合金の腐食 2

1 - 2. 歯科用貴金属合金の ア ノ ド溶解機構に 関す る現在 ま での研究

1 - 3. 本研究の目的お よ び本論文の構成

「hu nkU

第 2章 歯科用貴金属合金の ア ノ ー ド溶解挙動

2 - 1. 実験方法 1 2

2 - 2. 結果と 考察

2 - 2 - 1. Cu-Au、 A g -A u、 C u - P d、 Ag-Pd二元 系合金の ア ノ ー ド溶解挙動

2 - 2 - 2. Cu-Au-Pd、 Ag-Au-Pd合金の ア ノ

ド溶解挙動 3 8

2 - 2 - 3. 歯科用貴金属合金の ア ノ ー ド溶解

挙動に 対す る 合金の微視的組織の

2 0

影鎧E 4 9

(5)

第 3章 ア ノ ド溶解過程の コ ン ビ ュ ー ターシ ミ ュ レ ー シ ョ ン

3 - 1 ・ シ ミ ュ レ ー シ ョ ン モ デルの概要 6 9

3 - 2. Cu-Au-Pd合金に お け る定電位分極過程の

シ ミ ュ レ ー シ ョ ン

つL

qu 1 . シ ミ ュ レ ー シ ョ ン モ デルの構築 一 7 5

3 - 2 - 2. 結果と 考察

C U 0.7 A U 0.3-x P d x合金の定電位分極挙動

のシ ミ ュ レ ーシ ョ ン 一 一 一 8 6

( 2 ) 定電位分極シ ミ ュ レ ーシ ョ ン 後の合金

元素の分布 一 一 一 一 一 一 一 9 1

( 3 ) シ ミ ュ レ ーシ ョ ン に よ る合金表面性状

の変化 一 一 一 一 一 一 一 9 4

( 4 ) C u - A u -P d合金の ア ノ ド溶解挙動を

コ ン ト ロ ール す る 因子 一 一 一 一 9 4

3 - 3. 動的分極過程の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 9 8

3 - 3 - 1. シ ミ ュ レ ー シ ョ ン モ デルの構築 - 102

(6)

3 - 3 - 2. 結果と 考察

( 2 )

( 3 )

( 4 )

第 4章 総括

参考文献

Cu-Au、 Ag-Au、 Cu-Pd、 A g - P d二元系合

金の動的分極挙動の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン

112

シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ る合金表面性状

の変化 117 一 相合金の動的分極挙動の シ ミ ュ レ ー

ジ ョ ン 一一 一一 120

動的分極挙動 を コ ン ト ロ ール す る 因子

1 2 5

132

138

付録 - 146

(7)

多有 1 糸者 自

(8)

1 - 1. 歯科用合金の腐食

現在の歯科医療では、 口腔領域の欠損し た硬組織 の代 替材料と し て 金属材料、 セ ラ ミ ッ ク ス材料、 高分子材料 が用い られ て い る。 乙 れ らの材料は 使用す る部位に 応 じ

た 機械的性質、 物理的性質を有す る だけで なく生物学的 な安全性が保証 され て いなければ な らない。 す なわ ち、

1 ) 化学的に 安定 であ る、 2 ) 毒性、 ア レ ルギ一反応を 示さない、 3 ) 発ガ ン 性、 抗原性を示さない、 4 ) 周囲

の生体組織との 適合性が よ い、 な ど の条件を 満足す る必 要があ る。

金属材料は その優れ た機械的性質、 加工性、 鋳造性の た め に 歯冠修復用、 義歯床用と し て 多く用い られ て い る。

し かし、 口腔内は常に 唾液に さ らされ て お り、 さ らに 酸 性、 ア ル カ リ性の飲食物を摂取す る た め 金属材料に と っ て は厳し い腐食性の環境に あ る。 金属材料の腐食は 合金 を構成す る元素の溶解を伴い、 溶出し た金属イ オ ン が体 内に 取り込まれ ると、 金属 ア レ ル ギーや金属中毒な ど の 直接的原因とな るお それがあ る。 ま た金属表面に 腐食生 成物が形成され ると変色の原因と な る。

現在歯科医療用と し て 用い られ て い る金属材料は金、

銀、 銅を ベー ス と す る貴金属系合金、 銀、 パ ラ ジ ウ ムを ベー ス と す る銀系合金、 ニ ッ ケ ル、 コ バル ト、 ク ロ ムあ るい は チ タ ン を ベー ス と す る 非貴金属系合金お よ び ア マ ル ガ ム合金であ る。 ア マル ガ ム合金は水銀に よ る水銀汚

(9)

染、 水銀中毒のため に 早くか ら そ の利用は 減少傾向に あ り、 ニ ッ ケ ルを含有す る合金はN iイ オ ン の発ガ ン 性や ア

レ ル ギーのため に 既に 使用を中止す る 方向に あ る。 また 純 チ タ ン お よ び チ タ ン 合金は、 耐食性や生体適合性 に 優 れ た材料 であ るが、 融点が 高く雰囲気中の酸素や鋳型材

と 反応し やすい ため に 鋳造が困難 であり、 歯科材料と し て広く応用し て い くため に は ま だ研究改良の余地を残し てい る。

と れ らの合金の中 で貴金属系の合金は歯科修復用合金 と し ての歴史が古く、 金銀 パ ラ ジ ウ ム合金も含め ると最 も 多く使用 され てい る金属材 料 であ る。 元来、 歯科用貴

金属合金の優れ た耐食性は 金 な ど の化学的あ る い は電気 化学的に 安定な貴金属元素に よ っ て 達成 され てい た が、

近年社会的な要請に よ っ て 価格の高い 金や白金の含有量 を でき る だけ低く抑 え た合金が望まれ る よ うに な っ てき た 。 そ の よ うな背景か ら、 歯科用合金の貴金属濃度を ど と ま で下げ る こ と が でき るか と い う こ と に 関心が高ま り、

こ れ ま で に 多くの金 合金、 銀合金の電気化学的な腐食試 験の結果が報告 され てい る。

歯科用貴金属合金は、 一般に Au、 Ag、 Cu、 Pd、 P tを基

本成分と し てい る。 ζ れ らの構成成分のなか で相対的に 貴なAu、 P d、 P tの総量を貴金属度 ( n 0 b i 1 i t y ) と し て 表 し てい る。 貴金属度の高い 合金ほ ど 優れ た耐食性を示す 傾向があ り ( 1 ) ( 7 )、 歯科用貴金属合金の耐食性は、 合金 の貴金属度に よ っ て 決定 さ れ る。 また、 合金の耐食性は

(10)

組織によ っ て も 大き く左右 され る。

Germanらは、 Au-Ag-Cu三元系合金の腐食は第二相の生 成によ っ て促進 され る こ とを示し た (8)0 Corsoらは、 歯 科用金合金にお い て、 C uがAgの偏析を引 き起 こ し腐食速 度を高め る こ とを示し た (9 )。 多く の歯科用貴金属合金は

AgとCuを含有し てい る た め鋳造の際 に、 Ag-rich相とCu - r i c h相の ミ ク ロ 偏析が生じ る。 Ag - r i c h相が形成され る と、

乙 れが優先的 に 腐食され る た め合金の耐食性が劣化す る こ とが報告され てい る (1 0 )ー (15)

方、 歯科用金合金お よ び銀合金にPdを添加す る と耐 食性、 耐変色性が改善 され る こ とが報告され てい る (1 6 )

ー (34)0 LangらはAu-Ag-Cu合金にPdを添加す る と耐変色性、

耐食性が向上す る こ とを示し、 そ の効果はAuよ り も 強い こ とを報告し た (17)

Suoninenらは、 Au-Ag-Cu合金に 数 % のPdを添加す る と P dが試料表面に 濃縮 され バル ク中か らの元素の拡散が抑

制 され る 乙 とによ っ て 試料表面の硫化物の生成速度が著 し く減少す る こ とを報告し た け3)

V a i d y a n a t h a nらはPdを含有す る 二元系合金の 一連の腐 食実験 を行い、 P dを含有す る 合金はPdに 由来す る 不動態 化によ っ て耐食性が向上す る ご とを報告し て い る。 彼 ら は、 P dに よ っ て 生じ る 不動態化を、 ド ナ ー ア ク セ プ タ

理論によ っ て 説明し た ( 2 5、 2 6 )。 す なわ ち、 P dは 4 d軌道に 甲子空孔 を有し、 こ の た め 溶存酸素との化学吸着が生 じ 生成し たPdOが合金表面を覆 っ て 不動態化が生 じ る こ と を

(11)

報告し た。 N i e m iら はAg-Pd-Cu-Au合金の腐食実験を行い、

Cuの選択的溶出に よ っ て表面にPd濃縮層が生成し、 表面 のPdに 酸素が化学吸着す る こ とを不唆し た ( 2 8、 2 9 )

0・Br i e nとGerman はAg -P d合金の腐食実験を行い、 Pd濃度 が25'-"'" 50at% の合金 で腐食が最も抑制 され る ご とを不し、

Pdに よ る不動態化の可能性を示し た けo )

以上の よ うに、 歯 科 用 貴金属合金 お よ 貴金 属を 含 有 す る合金の腐食挙動に つい て は多く の 報告がな され てい

るが、 こ れらの腐食挙動を総括的に 説明 で き る腐食機構、

特に ア ノ ド溶解機構に つい て は 未だ十分に は解明 され ていな い。

1 - 2. 歯科用 金属合金の ア ノ ー ド溶解機構に 関す る

現在 ま での研究

P i c k e r i n gら はCu-Au二元系合金の ア ノ ド溶解に 関す る一連の研究を行い、 貴金属元素と非貴金属元素の合金 に お い て は非貴金属元素のみがイ オ ン 化し て優先的 に 溶 液中に溶出し、 そ の 過程を律速す るの は 一 重空孔機構に よ る非賞金属元素の固体内拡散 で あ る こ とを示し た ( 3 6 )

(3 8 )

S wa n n はCU3Au合金を場化鉄水溶液に 浸せ き し た 実験を

行い、 C uの優先的な 浴出 は腐食 ト ン ネル を形成す る こ と に よ っ て生じ、 A u原子 は表面拡散 す るか あ る い は 度 イ

- 5 -

(12)

オ ン 化し て 表面 に 再度析出す る と と に よ っ て 腐食ト ン ネ ル内 に 濃縮され る こ と を示し た。 ま た、 こ の過程でAu原 子は固体内拡散をし な い と と を示し た ( 3 9 )。

Pickeringと ByrneはCu-Au合金の ア ノ ー ド溶解機構が ア ノ ード分極 の電位に よ っ て異な る こ と を示し た ( 4 0 )。

す なわ ち、 動的 分極曲線に お い て電流密度が急激に 増加 す る電位を Ec、 ア ノ ード分極電位を E と す る と E > Ec

では表面のCuが溶出し た後、 合金表面近傍にCuの 枯渇層 ( A u濃縮層) を生成す る が、 表面荒れが生じ る た め、 に、? のC u枯渇層は合金内部か ら のCuの拡散の障害と な ら ずCu の 連続的な溶出が 生じ る。 方、 E < Ecでは表面のCuが 溶出し た後 に 生成す るCu枯渇層 Au濃縮層 が、 内部か

ら のCuの拡散を阻害す る た めCuの溶出が抑制 され る こ と を示し た。

Fortyと DurkinはAg - A u合金を硝酸に 浸せ き す る実験を 行い、 相対的に 卑な Agが選択的に溶出し た後、 貴金属元 素のAuは表面に 残留し て表面拡散に よ っ て ア イ ラ ン ド を

形成す る こ と を不し た ( 4 1 ) ま た、 Fortyと Rowlands は Ag-Au、 Cu-Au合金を硝酸お よ び塩化鉄水溶液に 浸せ き す

る実験を行い、 非賞金属元素の選択的溶出は貴金属元素 の ア イ ラ, ン ド の生成、 成長に よ っ て 律速 され る ご と を不

し た ( 4 2 ) す なわ ち、 貴金属元素の 表面拡散に よ る ア イ

ラ ン ド の成長速度が非黄金属元素の溶出可能な領域 (ア イ ラ ン ド以外の領域) の減少速度を決定す る ご と を 示し た

(13)

金属を含有す る 歯科用合金に お い て も、 腐食は非貴

金属元素の選択的な溶出と 貴金属元素の表面濃縮に よ っ て 進行す る こ と が報告 され て い る ( 4 3 ) ー ( 4 5 )が、 そ の現象

の詳細 な メ カ ニ ズ ム の解明 は 未だ十分に はな され て いな い。

最近、 コ ン ビ ュ ー ター シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ っ て 腐食

挙動を再現す る試みがな され て い る。 S i e r a d i z k iら は短 範囲の原子の拡散を 考慮した パー コ レ ー シ ョ ン モ デルを 用いた 腐食挙動の コ ン ビ ュ ー ター シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を行

い、 A x B 1- x ( A : 非貴金属元素、 B : 貴金属元素

元系合金に お け る非貴金属元素の選択的な溶出現象を再

現し て、 と の モ デルの妥当性を示した は6)0 Qianら は元 素の溶出のしやす さを溶出確率で表し、 パー コ レ ー シ ョ

ン モ デルに 溶出確率を 導入した コ ン ビ ュ ー ター シ ミ ュ レ シ ョ ン に よ っ て、 F e - C r合金で生じ る不動態化現象を再 現した ( 4 7 )。 と れ は不動態化の機構の解明 のた め の新し い 試みと し て 注目 され て い る。

コ ン ビ ュ ー ター シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ っ て あ る現象を 再現す るた め に は、 対象と す る現象を ど の よ う に モ デル 化す るか が最大の問題 と な る。 しか し、 実験結果を う ま く再現で き る モ デル が構築 で きれ ば、 そ の現象の機構を 解明す る 一助と な る ばか り でなく、 実験が不可能な条件

下 での結果の 予測や複雑な実験結果の解釈 が可能と な る。

した が っ て、 コ ン ビ ュ ー タ シ ミ ュ レ ー シ ョ ン は腐食機

- 7 -

(14)

構を解明す る 上で有力な手段に な ると 考 え られ る。

1 - 3. 本研究の目的お よ び本論文の構成

現在使用され てい る歯科用貴金属合金は Au 、 c uなど の金属元素か らな る 多成分系合金であ る。

Pd、 Ag、

こ の よ うな合金の腐食挙動は 構成元素の種類や組成あ るいは 合 金の微視的組織に よ っ て著し く異な る た め、 それ らの ア

ノ ード溶解機構を解明す る こ と は容易で は ない。 本研究 は、 貴金属を含有す る こ元系お よ び = 元系合金の ア ノ

ド溶解挙動を定電位分極、 動的分極実験 に よ っ て検討し、

さ らに 貴金属を含有す る合金か らの構成元素の ア ノ 溶解過程の モ デルを 構築し コ ン ビ ュ ー タ シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を行 う こ と に よ っ て歯科用貴金属合金に おけ る ア ノ

ド溶解機構を解明す る こ と を目的と す る。

第 2 章 では、 ま ず歯科用貴金属合金を 構成す る 元素の 中 で相対的に 卑 な元素であ るCu、 Agと 貴な元素であ るAu、

P dで構成され るCu -A u、 Ag-Au、 C u - P d、 A g - P d二元系合金 の ア ノ ー ド溶解挙動を検討し た。

次に、 Cuお よ びAgに Auと Pdの両方を添加し たCu -A u - P d、

A g - A u - P d= 元系合金の ア ノ ド溶解挙動を検討し た。 非 金属元素に 貴金属元素を添加し てい く と、 合金の ア ノ ド反応 が急激に 抑制 さ れ る 濃度が存在す る。 乙 の よ う な貴金属元素の 濃度を し き い 値と 呼ん で い る。 し き い 値

近傍の組成では 合金の ア ノ ド溶解挙動 の変化を敏感に - B -

(15)

捉 え る と とが で き る。 そ 乙 で、 C uお よ びAgの ア ノ ー ド溶 解反応に 対す るAuとPdの効果の相違を明 らか に す るた め に、 貴金属濃度がし き い 値近傍のCu-Au-Pd、 Ag-Au-Pd合

金の動的分極お よ び定電位分極実験を行 っ た。

さ らに、 ア ノ ー ド溶解挙動 に 対す る合金の微視的組織 の影響を検討し た。 合金の腐食挙動 は、 構成元素の種類

や組成だ け で な く そ の微視的組織 に も大い に 影響さ れ る。

実用の歯科用合金は 多成分系 であ り、 そ の鋳造組織あ る い は時効処理後の合金の微視的組織は単相とは な ら ず、

多相に な る 場合が多い 。 特に Au-Ag-Cuを基本成分と す る 歯科用金合金は、 Cu-Agに 由来す る こ相分離が生じCu -

r i c h相とAg-rich相の二相が生じ る。 こ の よ う な合金は単 相合金に比 べて腐食速度が増大す る傾向があ る ( 8 ) ー ( 1 5 )

そ こ で、 Au-Cu-Pd、 Au-Cu-Ag、 Au-Cu-Ag-Pd合金を用い、

単相お よ び二相合金の動的分極挙動 に つい て検討を行 っ た。

第 3 章 で は、 賞金属を含有す る合金の ア ノ ド溶解 過

程を モ デル化し、 コ ン ビ ュ ー ター シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ っ て そ の現象を再現す る こ とを試みた。 第 2 章 で得 られ た実験結果を もとに 合金か ら金属元素が ア ノ ー ド溶解反 応に よ っ て溶出す る 過程を原子レ ベル で シ ミ ュ レ ー ト で き る モ デルの構築を行 っ た。 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ っ て 実験結果を再現 で きれ ば そ の現象の機構を解明 す る ご と が可能と なり、 ま た実験が不可能 な条件下に つい て も結 果の予測を行 う ご とが で き る。 本章 で は、 ま ず定電位分

- 9 -

(16)

極に よ る ア ノ ー ド溶解過程の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を行 うた め に 、Cuo .7AuO .3-xPdx合金の定電位分極過程の モ デルの 構築を行い、 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン と 実験結果との対応を検 討し た。 次に 動的分極曲線の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を行 うた

め にCu-Au、 Ag-Au、 Cu-Pd、 Ag-Pd二元系合金の動的分極 過程の モ デルの構築を行い、 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン と実験結 果との対応を検討し た。 さ ら に 二 元系合金の時効熱処理 に よ っ て生成す る 一 相共存状態の合金の動的分極曲線を

シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ っ て 再現す る こ と を試みた。

第 4章では、 本研究の総括を行 っ た。

- 10 -

(17)

気空� 2 主主 を局 不斗 F丹 重量 三住 居室 壬きr 歪主主 <7:>

フ"? --ノ ド ま容角卒肴主要力

令'A'Tム

(18)

2 - 1. 実験方法

1 ) 試料合金

c uお よ びAgに 対す るAu、 Pdの添加効果を検討す る た め

に、 A u、 Pdを単独で添加し た 種 々 の組成のCu -A u、 Ag -A u、

Cu-Pd、 Ag-Pd二元系合金、 お よ びAuとPdを両方を添加し たCu-Au-Pd、 Ag-Au-Pd三元系合金を作製し た。 作製し た 試料合金の配合組成をT a b 1 e 2 - 1 (二元系合金) お よ び

T a b 1 e 2 - 2 (三元系合金) に 示す。

試料合金に は純度99.99% のCu、 Au、 Ag、 P dを用い、 れ らを所定 秤 し て、 石英ガ ラ ス管に 真空封入し、 高

周波誘導溶解炉 に て 溶製し た。

溶製し た合金を均質化処理後、 試料面積が 5 X 5 mm2と な る よ うに 切断 し、 エ ポキ シ樹脂に 包埋し て、 表面を エ メ リー研摩紙 お よ び ア ル ミ ナ研摩液 (粒径o . 3μm ) で鏡 面研磨し た。

2 ) 腐食試験

2 ) - 1. 電解液

歯科用合金の腐食実験の電解液と し て は、 一般に 人工

唾液や1% N a C 1水溶液が用い られ る。 人工唾液は 複数 の塩

の混合物 であ り電気化学反応が複雑に な る た め実験結果 の解釈 に も困難が伴 う可能性が高い。 本研究は、 歯科用 A金の 口腔内に おけ る腐食挙動の解明 で は なく、 そ の 基

nJ白''A

(19)

Tab1e 2-1 Chemica1 compositions of

Cu-Au Cu Au

100

95 5

90 10 85 15 80 20 78 22 76 24 73 27 70 30 67 33 60 40 56 44 50 50 44 56

100

binary a110ys used (at%)

Cu-Pd Ag-Au Ag-Pd

Cu Pd Ag Au Ag Pd

100 100 100

95 5

90 10 90 10 90 10

85 15

80 20 80 20

75 25 75 25 75 25

70 30 70 30

65 35

60 40 60 40 60 40

55 45

50 50 50 50

45 55

35 65

25 75 25 75 25 75

100 100 100

(20)

Table 2-2 Chemical compositions of ternary alloys used (at%)

Cu-Au-Pd Ag-Au-Pd

Cu Au Pd Ag Au Pd

73 27 65 35

73 25 2 65 30 5

73 22 5 65 35

73 1 7 10

73 27 60 40

60 30 10

70 30 60 25 15

70 28 2 60 20 20

70 25 5 60 10 30

70 20 10 60 40

70 15 15

70 10 20 50 50

70 30 50 35 15

50 30 20

67 33 50 10 40

67 31 2 50 50

67 28 5

67 23 10

67 18 15

67 13 20

67 8 25

67 33

- 14 -

(21)

礎と な る ア ノ ド溶解機構の解明を 目的と し て い る。 そ こ で、 電解液と し て は io yitroな実験 でし ばし ば用い ら れ てい る1完Na C 1水溶液を用い た。

酸素は電気化学的に 非常に 活性で金属の ア ノ ー ド溶解 反応以外の反応を生 じ る可能性があ るので、 電気化学反 応を解析す る 場合は電解液か ら溶存酸素を除去す る と と

が不可欠 であ る。 本研究では電気化学的に 不活性な N2ガ ス を電解液中に バブ リ ン グす る こ と に よ っ て溶存酸素を 除去し た。

2 ) - 2. 対極お よ び参照電極

作用電極であ る試料合金電極をあ る電位に 設定す る 場 合、 そ こ での電流が支障なく流れ る よ うに す る た め に 作 用電極に 直列に Ptを対極と し て 用い た。

参照電極と し て は標準水素電極 ( N H E ) や飽和 カ ロ メ ル 電極 ( S C E ) が よ く用い られ るが、 本研究では取扱い が容

易 で電位の再現性の 優れ てい るK C 1飽和銀塩化銀電極 Ag/AgCl) を 用い た。 S C E電極、 NHE電極と の電位差は 次 式のと お り であ る。

E (SCE) = E (Ag/AgCl) 48. 4 m V E (NHE) = E (Ag/AgCl) 199 m V

本実験系で生 じ る ご と が予想さ れ る電気化学反応と そ の 平 衡 電位 (標準電 極 電 位 ) をT a b 1 e 2 - 3に 示す。

(22)

Table 2-3 Stand ard electrode potential Electrochemic al re action

Cu +CQ- � C u 十 戸 Ag+C見一 戸

C u ←--4

C u -ャ4 C u C Q -←4 P d + 4 C Q一 戸 A g -々ー4 P d 一ャ斗 Au +4CQ- �

A u ーャゐ A u ャーー

C u C Q + e

C U 2+ + e

A g C Q + e

C U 2+ + 2 e C u + + e

C U 2+ + C Q一+ e

P d C Q 42-+ 2 e A g ++ e

P d 2++ 2 e

A u C Q 4一+ 3 e A U 3+ + 3 e

A u ++ e

Potential(mV)

- 67. 6 -42. 1 18. 1 141. 1 324. 3 349.8 422.6 591. 0 7 19. 0 796.4 1304.0 1484.0

( 3 70C ) reference electrode A g / A g C Q (K C Q saturated)

- 16 -

(23)

2 ) - 3. 動的分極実験 (電流 -電位曲線)

金属 (電極) を そ の金属イ オ ン を含む 溶液に 浸せ きす る と、 Nernstの式に 従 う 位 E を示す。

E = E 0 + R T / n F Q.n ( a M n + / a M ) た だし、 E 0 金属の標準電極電位

R 気体定数

T 温度 ( K

n 価数

F Faraday定数

a M n + イ オ ン の活量

a M 金属の活

溶液と金属との聞に 平衡が成り立 っ て い る 場合、 す な わ ち金属イ オ ン の酸化反応と 還元反応の速度が等し い 場

ムt=l、 、 電位は平衡電位 (標準電極電位 ) EOを不す。 乙 の状

態、 では電流は 涜れ な い が、 金属の電位を と の平衡電位か ら ずら すと、 例 え ば平衡電位 よ り も正の方向に ずら すと、

酸化反応の速度が増加し て ア ノ ド電流が流れ、 方負 の方向に ずら し た 場合は カ ソ ード電流が流れ る。 反応の

駆動力は平衡電位か ら の ずれの大き さ に 比例し、 そ のと き流れ る 電流の大き さ は反応 速度を 示し て い る。 し た が っ て、 電位と そ の時に 流れ る 電流との関係を知 る こ とは

気化学反応を取り扱 う上 で極め て 重要 で あ る。

金属の腐食は ア ノ ド溶解 と 密接に 関係し て い る。 金 属の ア ノ ード溶解 は、 ア ノ ード電流と カ ソ ド電流が等

- 17 -

(24)

し く見かけ上 位 よ り も正の

流が涜れない電位、 す なわ ち自然電極 電 位側 で生じ る。 本研究では、 ポ テ ン シ オ ス タ ッ ト (北斗 工株式会社、 H A -3 0 1 ) と フ ァ ン ク シ ョ ン ジ ェ ネ レ ー ター (北斗 工株式会社、 H B - 1 04) を用い、

電位の掃引を -300mVか ら +1000mVま で 1 mV/secの速度で行 い、 ζ の間に 流れ る電涜密度の変化を 測定し た。

2 ) - 4. 定電位分極実験

動的分極曲線の測定は広い電位領域に お け る ア ノ ー ド 反応の速度を知 る上で有用であ るが、 電位を連続的に 変 化 させ て 測定す る ため、 特定の電位での ア ノ ド反応の 定量的な解析が困難 であ る。 一方、 一定の電位で分極を 行 え ば、 分極の際に 流れ る電流の時間積分値か ら ア ノ

ド反応の電気 を正確に 知 る こ と が で き る。 電気量は Faradayの法則 に 従 うので、 そ の値か ら 電気化学反応に よ

っ て溶解あ るいは析出し た 物質の量を求め る ご と がで き る。

F i g . 2 - 1は定電位分極に よ る電流密度i ( t) を分極関 ( t = 0 ) か らあ る時間 ( t) ま で積分し て 得られ る電気

ノてラ タ Q で表す であ る。 本研究では、 乙 の パ ラ タ Q に よ っ て ア ノ ド反応量の大小お よ び電 気化学的な安定性を定量的に 評価す る ( 4 5 )

- 18 -

(25)

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Fig. 2-1 Parameter Q in this study

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(26)

2 - 2. 結果と 考察

2 - 2 - 1. Cu-Au、 Ag-Au、 Cu-Pd、 Ag-Pd二元系合金 の ア ノ ー ド 溶解挙動

( 1 ) 動的分極挙動

F i g . 2 - 2 F i g . 2 - 5は、 それ ぞれCu -A u、 Ag-Au、 C u -P d、

A g -P d二元系合金を3 7 oc、 1 % N a C 1水溶液中 で電位を -3 0 0

mVか ら +1 0 0 0 m Vま で1 m V / s e c の掃引速度で変化 さ せた と き の動的分極曲線 であ る。 掃引を -3 0 0 m Vの電位か ら開始し てい る の です べての合金の反応は カ ソ ー ド反応か ら開始

し、 電流{直が負と な る た め 負の電涜領域の値は絶対値 を と っ て正の側に プ ロ ッ ト してい る。

純Cuは約 - 2 0 0 m Vの電位で電涜密度の急激な増加 が生じ、

乙 の電位以上では高い電涜密度を維持し た。 乙 れは - 2 0 0

mVよ り も高い電位の分極に よ っ てCuの ア ノ ー ド反応 が激 し く生じ る ご と を示してい る。

本論文では、 動的分極曲線上で電流密度が急激に 増加 す る電位を Ec (臨界電位) で表す。

純Agの Ecは約1 0 0 m Vで、 それ以上の電位で ア ノ ー ド反 応 が激し く生じ てい る と と がわか る。 し カ〉 し な が ら、 そ の電流密度は1 0 0 2 0 0 m Vの電位で最大と な り、 それ以上 で は電位が高く な っ て も電流密度の 増加は みられ な い。

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(31)

純Auの Ecは約700mVで、 こ れ以上の電位 でAuの溶解が 生じ てい る。 純Pdの Ecは、 純Auの よ うに 明瞭 で は ない が、

4 0 0 m V以上でわ ずか に ア ノ ード溶解が生 じ てい る よ うであ る。

動的分極曲線に お け る純金属の Ecの値か ら、 l%NaCl水 溶液中 で は主と し て次 の よ う な ア ノ ード反応が生じ てい

る と 考え られ る。

C u + C - � c u C + e -60mV) ①

A g + C - �さ A g C 26m V ) ②

C u �主 C U 2 + + 2 e 141mV) ③ C u 己 C u + + e 326mV) ④ P d + 4 C Q � p d C 4 2一 + 2 e 7 19m V ) ⑤ A u + 4 C 一主主 A u C 4 - + 3 e 8 0 4 m V ) ⑥

ま た、 純Agの動的分極曲線の3 0 0 m V以上の電位 で電流密 度の増加がみ られない の は②の反応に よ っ て生じ るAg C 1

が難溶性 で あ り、 こ れが合金表面を カ パ し ア ノ ド反 応を抑制 す る た め と 考え られ る。

C u -A u、 A g -A u、 C u -P d、 Ag-Pd二元系合金の動的分極曲

線は、 貴金属元素 ( A u、Pd ) の濃度が増加す る と、 全体的 に 電流密度が減少し、 Ecが貴 な電位側へ シ フ し て い る

乙 と か ら、 合金の主た る ア ノ ー ド反応が抑制 さ れ る こ と がわか る。

ま たCu - A u、 C u - P d合金に お け る20 0 3 0 0 m V付近の電流 密度の ピ ク は合金表面に 存在す るCuの ア ノ ド溶解反 応、 に 対応し て お り、 A uあ る い はPd濃度が増加す る に つれ

- 25 -

(32)

て そ の値は小さ くな っ てい る。

c u -P d、 Ag -P d合金に おい ては、 c uの場合45 a t %以上、

Agの場合40at完以上のP dを添加し た合金に おい て顕著な不 動態化が生じ てい る。 すな わ ち分極電位 の増加に 伴い 電

流密度の急激な増加が生じ た 後に、 不動態化に よ っ て電 流密度は 減少し 著し く低い 状態を維持し て い る と と がわ か る。 ご の よ う なP dを含有す る合金の不動態化の機構に

つい てはい く つか の説が唱 え られ て い る。 そ の ひ と つは、

4 d軌道に電子空孔を有す るP dに 溶存酸素が化学吸着し て 不動態化が生じ る と す る説 であ る。 V a i d y a n a t h a nらはP d を含有す る合金に おい て生じ る不動態化を ド ナ ー ア ク セ

プタ一理論に よ っ て説明し て い る ( 2 5‘ 2 6 )

0 P dは4 d軌道に

o . 6個の電子空孔を有し、 ま た酸素が吸着 す る こ と に よ っ てP dの電子が酸素側へ移動す る た めP dには合計 で1 . 6個の 電子空孔が生じ る。 こ の よ う な電子空孔を有す る 元素を

ア ク セ プタ ー と よ ぶ。 ま たAgや c uな ど の 原子 は 最外殻 S軌道) に l 個の電子を有し、 ア ク セ ブ タ ー に 対し て電 子を与え る ド ナ ーの役割を 果 たす 。 ア ク セ プタ ー で あ る P dに ド ナ ー であ るAgやc uを合金化す る と P dの電子空孔は

A gやc uか ら与え られ る電子に よ っ て 充填され る。 Agやc u の合金化に よ るP dの電子空孔の充填の割合は

A g 0 r C u ] �

され、 こ の値が ] よ り 小

1 . 6 P d ]

い 場合P dの電子空孔は充 填 され な い。 し たが っ てP d の電子空孔がAgやC uに よ っ て 完全に 充填され る た めの臨界合金組成は、 61. 5 a t % A g ( 0 r

26

(33)

c u ) -3 8 . 5 a t % P dと な る。 す なわ ちA g -P d、 Cu-Pd合金に お い てはPd濃度が38.5at%以上の場合Pdの電子空孔は 充填され ず酸素の吸着が生じ る。 酸素の吸着に よ っ て合金表面に P d 0が生成し、 こ れが合金と溶液との接触を遮断し て 不動 態化が生じ る。

も う一つの説はPdが表面に 濃縮し て合金内部か らの構 成元素の拡散を抑制す ると い うものであ る。 Suoninenら はA u -A g -C u合金に 数 wt%のPdを添加し た合金の耐変色性の

向上は、 合金表面に Pdが濃縮し 合金内部か らの元素の抵 散が抑え られ表面での変色生成物の生成が抑制され る た め であ る こ とを報告し た ( 2 3 )。 彼 らが ESCAに よ っ て 確認し たPdの表面に お け る濃縮量はわ ずかl,...,_, 2wt%であ っ た。

本実験 に お い ては、 C u - P d、 A g -P d合金を ア ノ ー ド分極

す ると、 Cuお よ びA gの優先的 な溶出に よ っ てPdが表面近 傍に 濃縮され ると 考え られ る。 こ の場合、 合金表面に お け るPdのl,...,_, 2 w t完程度の濃縮はPd濃度が30 a t %以下の合金 に お い ても容易に 生じ る こ とが予想され る が、 こ れ らの 組成の合金に お い て 不動態化は生じ て い な い。 不動態化 を 示し た合金のPd濃度はC u合金の場合4 5 a t %以上、 A g合金 の 場合4 0 a L %以上 であ り、 い ずれも ド ナ ー ア ク セ プタ 一理

論に 基 づく 不動態化が生じ る た め のPd濃度38. 5 a t %を超 え て い る こ と か らCu -P d 、 A g - P d合金系に お け る 不動態化は、

P dの電子空孔に 由来す るP d 0の化学吸着に よ っ て生じ て い

(34)

2 ) 定 電位分極

本章 2 - 1 の実験方法 で も 述べた よ うに、 特定の電位 で一定の時間分極し た と き の電流密度の時間積分値 ( Q は、 分極中に 生じ た ア ノ ド反応の総量を表し て い る。

t ( t 分極時間)

Q = 1 七) d t

試料合金を構成す る 元素の中で最 も貴な元素はA uであ る。 A uとC 1ーは 次の よ うな ア ノ ー ド反応を生じ る。

A u + 4 C Q. -fZ A u C Q. 4 - + 3 e 804mV)

本実験では、 A u以外 の構成元素の ア ノ ー ド反応を加速 す る 目的 で分極を7 0 0 m Vで行 っ た。 こ の電位ではCuとP dが

関与す る 種 々 の ア ノ ー ド反応が生じ る と 考え られ る。

Fig.2-6はCuに A uあ る い はP dを添加し た 合金を37 oc 、 1克 N a C 1水溶液中で7 0 0 m V、 10m i nの分極を行 っ た と き の Q の 値を プ ロ ッ ト し た も のであ る。 Q の値はCuに 5 a t克のA uあ

る い はPdを添加す る ご とに よ っ て 著し く 増加し、 そ れ以 上の添加で減少し て い る。 ま た 合金の ア ノ ド反応は30

a t完以上のA uあ る い は 4 5 a t完以上のP d添加に よ っ て ほ と ん

ど 抑制 さ れ て い る。

F i g . 2 -7は、 A gに A uあ る い はP dを添加し た 合金を37 oc、

1 % N a C 1水溶液 で7 0 0 m V、 10m i nの 分極を行 っ た と き の Q

の値を プ ロ ッ ト し た も のであ る。 A gに A uを 添加し た 合金 は、 A u濃度が増す に つれ て の値が小

- 28 -

な り、 A u濃度

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が40at%以上でA gの ア ノ ー ド反応が抑制 され る。 また、

A g に P dを添加し た 合金は、 P d濃度が7 0 a t %まで増加し て も Q の値は減少せず、 7 5 a t完以上で よ うやく ア ノ ー ド反応が 抑制され て い る。 と れ は、 7 0 0 m Vの定電位分極に よ っ て

P dの溶出が一部生じ てい る た め と 考え られ る。

以上 の定電位分極実験の結果か ら、 非貴金属元素に 貴

金属元素を添加す る こ と に よ っ て、 合金の ア ノ ー ド反応 は減少し、 貴金属濃度があ る 濃度以上に な ると ア ノ ー ド 反応は ほ ぼ完全に 抑制され る こ と がわか る。

また、 純銅の Q の値は少量のAuあ るい は P dを添加し た

合金の それ よ り も小さ く な っ てい る。 乙 の原因を解明す る た め に、 分極後の電解液中のCu濃度の測定と 合金表面 の SEM観察を行 っ た。

A uあ る い は P dの 濃度が0""'-' 15at%のCu -A u、 Cu - P d合金を 1 % N a C 1水浴液中で7 0 0 m V、 10m i nの分極を行 っ たと き の原 子吸光分析 に よ る のCuの 溶 出量 の分析値、 お よ び 次式

F a r a d a y �Il を 用い て 求め たCuの溶出量をF i g . 2 -8お よ びFig.2-9に 示す。

w = (M / n F) ' Q た だ し、 W C uの溶解

M : 原子量 (Cu= 63.5)

n 側数 (C uの場合、 n = 1 また は2)

F : Faraday定 数 (9 6 4 8 5 C/mol )

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Fig. 2-9 Changes in the amount of Cu dissolved with Pd content of Cu-Pd alloys: calculated Cu+( 0), Cu2+(ム) and analysed(・)

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(40)

原子 吸 光 分析の結果は、 ア ノード溶解に よ っ て実際、 に 溶 液中に 溶出し たCuの量を示す も のであ り、 純Cuか らのCu の溶出が5""'-' 10at%のAuあ るいはPdを添加し た合金よ り も 抑制され てい る と と を示し て い る。 ま た、 分析に よ るCu

の溶出量が 2 価 で計算し た 値に 近い こ と か ら、 C uは 主と し てCU 2 +イ オ ン と な っ て ア ノード溶解し てい る こ と がわ か る。 動的分極実験の結果で は純Cuに Auあ るいはPdを添

加し てい く と ア ノード溶解が抑制され る と と が示され て お り ( Fig.2-2、 Fig.2-4 参照)、 純Cuか らのCuの ア ノ ー

ド溶解量が5 ""'-' 1 0誕のAuあ るいはPdを添加し た合金よ り も 少なく な る こ と は考え に く い。 CuはC1 -イ オ ン と の反応 に よ っ てCu C 1を生成す るので 、

い る こ と が予想され る。

こ れが純Cu表面に 生成し て

Fig. 2 -10は純Cuを70 0 m Vで分極し た後の試料表面の SEM観察像であ る。 10 s e cの分極で既に 表面に 生成物が 観察され、 3 0 s e cの分極では純Cuの表面全域に 生成物が観 察 され た。 こ の生成物 は X 線回折実 験か ら 塩化第一銅

C u C 1 ) であ る こ と が明か と な っ た。 Cu C 1は難溶性 で、

こ れが表面に 綴密に 生成し た た め に 溶液と Cuと の接触が 遮断 され ア ノ ー ド反応量が減少し た も のと 考え られ る。

F i g . 2 -1 1は 純Cuお よ びCu-5at完Au、Cu - 1 0 a t % A u合金を70

o m Vで30 s e c分極し た 後の試料表面の SEM観察像 であ る。

純c uはc u C 1が全面に 綴密に 生成し てい る が、 C u -5 a t % A u合 金 で は そ の が減少し、 C u - 1 0 a t % A u合金 で はCu C 1は ほ と

ん ど生成し ていない。

- 34 -

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Fig. 2-11 Scanning electron micrographs of Cu and Cu-Au alloys after anodic polarization for 30sec at 700mV in 1おNaCl

(a)Cu, (b)Cu-5at見Au, (c)Cu-l0atおAu

(43)

以上の結果か ら、 純Cuの7 0 0 m Vの分極に お い て は、 難溶

性のCu C 1の生成とCuの イ オ ン 化に よ る 溶解反応 が生 じ る が、 Cuに 数 % のAuあ る い はPdを添加す る と、 C u C 1の生成 が著し く抑制 さ れ、 Cuの イ オ ン 化に よ る 溶解反応だけ が 生じ る ご と が示唆さ れ た。

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(44)

2 - 2 - 2. Cu-Au-Pd、 Ag-Au-Pd合金の ア ノ ー ド溶解挙動

2 - 2 - 1 では、 Cuお よ びAgにAuあ るい はPdを添加す ると ア ノ ド溶解反応が抑制され、 そ の抑制効果は貴金 属元素の濃度に 依存し、 あ る濃度以上の貴金属元素を合 有す ると そ の合金の ア ノ ド溶解反応、 は著し く抑制 され

る ご とが示された。 貴金属を 含有す る合金に お い て、 そ の ア ノ ド反応が著し く変化す る貴金属濃度、 す なわ ち し きい 値近傍の組成では賞金属元素の添加効果を敏感に

t足え る と と が で き る。 こ こ では、 Cuお よ びAgにAuとPdの 両方を添加し た合金の ア ノ ド溶解挙動を 明らか に す る た め に、 貴金属濃度がし きい 値近傍のCUX(Au-Pd) l-X、

Agx (Au-Pd) 1ー×合金の動的分極お よ び定電位分極実験を行 っ た。 (実験に 用い た合金の組成はTable 2 - 2を参照

( 1 ) Cu-Au-Pd合金の ア ノ ー ド溶解挙動

Fig.2-12は70at%Cu-30at完(Au-Pd)合金を37 oc のl克Na C 1 水溶液中 で - 3 0 0 m Vか ら +1 0 0 0 m Vま で1 mV/secで電位を掃引 し て得た動的分極曲線 であ る。 A uの一部を5..-....- 10at%のPd で置換す ると、 EcはCu -A u二元系合金 よ も高く な る が、

それ以上の置換 では む し ろ低く な る。 こ の よ う な傾向は 図には示し て い ない が67 a t完Cu-33at完(Au-Pd)、 7 3 a t完c u -

2 7 a t完(Au-Pd)合金に お い て も 同様 であ っ た。 ま た30 0 m V付 -38 -

(45)

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(46)

近の電流密度の 増加は、 合金表面に 存在す るCuの溶出に 対応し て おりAuをPdで置換す る量が多くな る ほ ど その値 は小さくな っ てい る。

F i g . 2 -1 3はCUX (Au-Pd) 1-X (x=O. 67"-' 0.73)合金を37 oc、

1完Na C 1水溶液中 で70 0 m V 、 10m i nの定電位分極を行 っ た と き の Q の値をPdの置換量に 対し て プ ロ ッ ト し た ものであ る。 Q の値はAuの一部を少量のPdで置換す る こ とに よ っ て減少し、 大量の置換では 再度増加し てい る。

こ の よ うに Cu-Au合金のAuの一部をPdで置換す ると、 そ

の合金の ア ノ ー ド反応量はPd置換量とと もに 単純に は変 化し ていない。 こ の と とはAuとPdでは合金の ア ノ ー ド反 応抑制に 対す る 効果が異な り、 それ ぞれの寄与の程度が Pd置換量に よ っ て変化す る た め と 考え られ る。 乙 の点を

明 らか に す る た め に は70 0 m Vでの分極だ け でなく、 P dの溶 出が抑制 され る電位での分極実験 も行 う必要があ る。

70at%Cu-30at% (Au-Pd)系合金を300、 500 、 7 0 0 m Vで600

s e c定電位分極を行 っ た と き のPd濃度に 対す る Q の変化 を

F i g . 2 - 1 4 に 示す。 Q の値のPd濃度に よ る変化は電位に よ っ て異な る こ と がわか る。 すなわ ち、 3 0 0 m VではAuをPdで 置換す る が増加す るに つれ て ア ノ ー ド反応量は減少し

て い る。 50 0 m Vでは、 A uの一部を1 5 a t % ま でPdで置換し で も Q の値は ほ と ん ど変化し ていないが、 それ以上の置換 で は70 0 m Vの場合と 同様に Q の値は増加を示し た。

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