博 士( 医 学 ) 鈴木 左 知 子
学位論文題名.
AutocrlneproduCtionofepithelialCell―deriVed neutrophilattraCtant‐78induCed
bygranulOCyteC010ny− Stimulatingf・ aCtorinneutrophilS ( 顆 粒 球 コ ロ ニ ー 刺 激 因 子 ( G. CSF) に よ る 好 中 球 の epithelialcell―derivedneutrophilattractant‐78(ENA−78)の自己分泌)
学 位 論 文 内 容 の 要 旨
顆粒球コロニー刺激因子(G‑CSF)は、骨髄前駆細胞から好中球への分化、成熟を促進し、さら に成熟細胞の機能を亢進させる(好中球の寿命を延長させ、活性酸素の産生と貪食能を高める)サ イトカインとレて知られており、これらの効果に基づき現在好中球減少時の重症感染症において広 く用いられている。一カ、好中球の重要な機能のーつとして、生体の炎症部位への動員が挙げられ るが、G−CSFが好中球の炎症部位への動員を刺激するかどうかについてはまだ角牟明されていない。
今同我々は、好中球動員に対するG‑C.SFの効果並びにその機序について、好中球に発現している 遺伝子に対するG‑CSFの効果を検討することにより解明しようと試みた。まず好中球に発現して いる9000以 上 の 遺伝 子に つい てDNAマ イク 口アレ イ法 によ りG―CSF刺激 下お よび 非刺 激下 で の発現を比較検討し、さらに好巾球の走化性をin vitroで検討することにより、特定の遺伝子に対 するG―CSFの効果および好中球の走化性亢進との関連を確認した。
この実験において、好中球の走化凶子として報告されているepithelial cell・derived neutrophil attractant・78(ENA−78)のmessenger RNA (mRNA)発現が、G−CSF刺激下において非刺激下と比較し1 7倍高く誘導されることが確認された。またG−CSF刺激下での好中球は走化性が亢進するが、抗 ENA―78抗体および抗CXCR−2抗体により走化性が抑制されることが示された。これらの所見より、
G‑CSFにより好巾球におけるENA−78の自己分泌が誘導され、好巾球の炎症部位への動員を高める ことが示唆された。
実験方法
1. 試 薬G―CSFは 協 和 発 酵 よ り提 供 を 受 け た 。2Hg/kgのG―CSFを 点滴 静注レ た場 合のm漿 中 G―CSF濃度は20ng/mlである。抗ENA−78抗体および抗CXCR‑2抗体はR&DSystelns(Minneapolis, MN)より購入した。
2.細胞好中球t劃連常人より採取した末梢血より以下のカ法で分離した。末梢血単核球をFicolト Paque(Amersham Pharmacia Biotech.Uppsala,Sweden)により遠心分離除去し、沈殿物を2%ヌチ
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ルセ ルロ ース とと もに 混和 し赤 血球 分画 と好 中球 分画 に 分け 、更 に好 中球 分画 に混 入し てい る 赤 血 球 を 低 張 性 シ ョ ッ ク に より 除去 した 。得 られ た好 中球 はり ン酸 緩衝 液で2度洗 浄し た。 こ の方法で得られた好巾球 の純度は99%であった。
3. DNAマ イ ク 口 ア レ イ 法G‑CSFlOng/rnl処 理 ま た は 末 処 理 の 好 中 球 をTrizol Reagent (Life Technologies,Tokyo,Japan)とと もに24時 間培 養しtotal RNAを抽 出し た。 更にmRNAをtotal RNAよりQuickprep mRNApurification kit (Amersham Pharmacia Biotech)を用い て抽出した。遺伝 子 の 発 現 量 の 違 い をDNAマ イ ク 口 ア レ イ(UniGEM human(Kuraboindus伍es,OsakaJap孤 )で 振 り分けた。
4. ノ ー ザ ン ブ 口 ッ ト 解 析total心乢 へ20肛gを1.2% ホル ム アル デヒ ドア ガロ ース ゲル 上で 電気 泳 動 し ナ イ ロ ン 膜 (HybondN,Anlersham) に 移 し た 。 そ の後 、膜 をrandompdmefDNAlabelingbt (Talほrabiomedicals,Toky0,Japan)を用いて32Pで標識したD搆→78に対する相補的DNAくcDNA) プロ ープ でハ イプ リッ ド形 成を 行い 、膜 を洗 浄後X線フ ィル ムに 写し た。D溝‐78に 対す るcDNA 断片はreVerSetrallSCdptaSe‐p01ymeraSeCh甜nreaC60n(RT―PCR)法で増幅しク口ーニングを行い、
ノ ー ザ ン プ ロ ッ ト 解 析 の た め の プ 口 ー プ と し て 用 い た 。D岨―78のPCRプ ライ マー の塩 基配 列 を 示 す 。Forward;GGTTGGATGく 汀 CrTGTCCAA,reverse;CCITCCAGAAAGTCITCIp汀 5.Ruorescenceactivatedce11soner(FACS) 解 析 抗CXCR一2抗 体 お よ び 二 次 抗 体 で 染 色し た後 、 細 胞 をf、 |ACScむiber(BectonDickinson,Moun伽nvlew,CA) を 用 い て 解 析 し た 。 6.TranSwenchamber解 析 好 中 球 の 走 化 性 を 評 価 す る た め 、 下 記 の 方 法 でTranswe11chamber (COSter,Cam弧d弩e,MA)解 析を 行っ た。 (KSFで 処 理し24時 間培 養した後心}MH640培養液で 2度 洗 浄 し た 好 巾 球 を さ ら に24時間 培養 した 。そ の上 清 (600肛1)を20ゲ 。に 希釈 し、100肛1 中に 好中 球を 浮遊 させ た。RPMI一1640培 地を それ ぞれ 上 下のchqnlberに置 き、4〜8時間 ・培 養 し た の ち ド 段 のch弧berに 移 動 し た 細 胞 数 を 倒 立 顕 微 鏡 ド で 少 な く と も20箇 所 に おい て測 定 し た。 陽性 コン トロ ール とし て組 み換 型ENA−78Jong′mIをchamber下段に加えた系を作成した。
ま た 、camber下 段 に 抗ENA178抗 体ま たは 抗CXCR→2抗 体 を2肛びrn1ま で加 えた 系も 作成 した 。 結 果 :G−CSF未 処 理 の 好 中 球 と 比 較 し 処 理 後 の 好 中 球 に お い て2倍 あ る い は3倍 のm心 岨 発 現 を 認 め た 遺 伝 子 は そ れ ぞ れ122個 およ び50個で あっ た。 この 巾 で特 に好 巾・ 球の 走化 因子 とし て知 ら れ るD弧ー78お よびgranulocytechemotacticpmtelnー2(GCP・2)はそれぞれ17倍、4倍と高い増強が認 め ら れ た 。D嶮 一78はG―CSFで 処理 して いな い好 中球 では 発 現が 認め られ ない が、G―CSFの 量に 依 存 し て 発 現 の 増 強 が 認 め ら れ た 。 ま たD乢 へ −78の 受 容 体 で あ るCXCR2もENA−78と 同 様の 発現 を 示 し た 。 ま たG―CSFで 処 理 さ れ た 好 中 球 培 養 上 清 に よ っ て も好 中球 の走 化性 は増 強し た。 一方 、 組 み 換 え 犁ENA‐78に よ っ て 高 め ら れ た 好 中 球 の 走 化 性 は 抗ENA―78抗 体 お よ び 抗CXCR‐2抗体 に よ り 抑制 され た。 これ らの 結果 より 、G−CSFで刺 激さ れた 好 中球 はENA− ワ8を 自己 分泌 し、 その 結 果 好 中 球 の 走 化 性 が 亢 進 し 、 炎 症 部 位 へ の 好 中 球 の 動 員 を 高 め て い る こ と が 示 唆 さ れ た 。 こ れ ら の 実 験 結 果 は 、 好 中 球 減 少 時 の 感 染 症 に 対 す るG―CSF投 与に 際し てのG―CSFの 役割 を解 明 する一端となることが期待さ れる。
学位論文審査の要旨
学位論文題名
Autocrine production of epithelial cell‑derived neutrophil attractant
‐78 inducedby granulocyte colony‑stimulating factor in neutrophils
(顆粒球コロニー刺激因子(G‑CSF)による好中球のepithelial cell‑derived neutrophil attractant‑78 (ENA‑78)
の自己分泌)顆粒球コロニー刺激因子
(G‑CSF)
は、骨髄前駆細胞から好中球への分化、成熟を促進 し、さらに成熟細胞の機能を亢進させる(好中球の寿命延長、活性酸素の産生と貪食能 の増強など)サイトカインとして知られており、現在好中球減少時の重症感染症に広く 用いられている。一方、好中球が機能を発揮するためには、炎症部位に動員されること が必須であるが、G
―CSF
が好中球の炎症部位への動員を刺激するかどうかについては まだ解明されていない。本研究では、好中球遊走能に対するG‑CSFの効果とその機序 を明らかにするため、DNA microarray
にてG―CSF処理後に好中球において発現が増強 する遺伝子を探索し、遊走刺激因子の同定を試みた。健常人より採取した末梢血より好中球を分離し実験に用いた。分離した好中球の純度 は99%以上であり、得られた好中球について、G―
CSF(lOng/ml)
を加えて24時間培養し、洗浄後さらに
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時間培養したもの(G‑CSF処理好中球)と、G‑CSF
未処理好中球との間 でそれぞ れm‑RNA
を抽 出しDNA microarray
を行った。DNA microarray
により9000個 以上の遺伝子の発現の違いをG‑CSF
処理好中球と未処理好中球との間で比較したとこ ろ、G‑CSF
処理後に3
倍以上 発現が亢進 した遺伝子 は50
個同定され たが、この中で 最も発現 が亢進したENA
―78
につ いてノーザ ンブ口ット解析でmRNA発現亢進を確認 した後、ENA―78の好中球遊走刺激能を以下の方法で検討した。transwell chamber assay 法を用いて、G‑CSF
処理好中球培養上清と未処理好中球培養上清をそれぞれchamberの 下段に入れ、4
〜8
時間培養した後上段から下段へ遊走した好中球数を測定することに よりchemotaxis
を検討した。更に、G‑CSF
処理培養上清に抗ENA
―78抗体並びにENA‑
学 博彦