• 検索結果がありません。

博 士 ( 医 学 ) 及 川 欧

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博 士 ( 医 学 ) 及 川 欧"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 医 学 ) 及 川    欧

学 位 論 文 題 名

PCR 法 に よ る Epstein ― Barr ウ イ ノ レ ス の ヒ ト 体 内 常 在 部 位 と 遺 伝 子 発 現 の 検 討

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

    【はじめに】

  Epstein‑Barrウイル ス(EBV)は広汎なヒトへの浸 淫を示す一方で,様々な悪性腫瘍の 成 因に も密 接な 関連 を有 して いる .EBVは主 とし て幼小児期に 初感染後.宿主免疫に よ る制 御の もと ,通 常は 終生不顕性感染として経過する.しか しこの不顕性持続感染 は ,様 々な 危険 要因 の関 与を 契機 とし て破 綻 ,し ばしぱIBV本 来の腫瘍原性が顕在化 する.EBVが種々の組織に感染,多様な疾患を惹起 する可能性が示されつっある現在,

EBVの ヒト 体内 組 織分 布と その 発現 を明 確に する ことは,不顕 性感染の維持と破綻に 至 る過 程, ひい てはEBV関 連疾 患発 生機 序を 知る 上で 重要 であ る. 従来EBVは 口腔咽 頭 上皮 とBリン パ 球に 感染 ・常 在す るこ とが 明ら かにされてい るが,他の全身諸臓器 組 織に 対し てEBV体内 局在 の系 統的 検索 を施 行し た報告は極め て乏しく,その詳細は 依然不明である.

  ヒ トEBV感 染 に お け る 以 上 の よ う な 未 知 の 点 を 明 ら か に す る 目 的 で , 本 研 究 は polymerase cha血reamon(PCR)法を用いて全身諸 臓器組織中にEBVゲノムを検索,併せ てウイルス遺伝子の発 現についても恥溝レベルで検討した.

    【材料と方法】

1.対象およぴ検索材料

  EBV関連 疾患 の 既往 がな く, 分娩 時大 動脈破裂.心不全,急性心筋梗塞,脳梗塞,

気 管支 喘息 ,問質性肺炎,肺 癌,食道癌,胃癌,膵臓癌,肝臓癌にて死亡.剖検とな った18例(男11名,女7名,年齢22〜81才,平均63.8才)のEBV既感染者を対象とした・

剖検時,舌・口腔内上 皮・唾液腺,頚部・腋窩・腸間膜・鼠径部の各リンパ節,食道,

胃 噴門 側・ 幽門側,十二指腸 ,空腸,回腸,大腸,気管,肺,肝臓,胆嚢,膵臓,心 筋 ,脾 臓, 骨髄,膀胱,腎臓 ,副腎より組織の一部を採取,速やかに凍結保存した.

2.PCRによる各組織中EBV DNA検索

(2)

  各組織からpr・te血aSe一剛SD勘).hen01法にて抽出・精製したDNAに対し,EBVゲノムの ぬmm.W,lK断 片 中 の そ れ ぞ れ125bp,209坤 を 増 幅 す るm対 ( 以 下W・ 皿mer,K・ 皿nぱと記す)を用いてDNAIPCRを行った.

3.EBV遺伝子発現検索

  EBV潜 伏感 染遺 伝子 中, 細胞 内ウ イル スゲ ノム の維持 あるいはBリンパ球不死化活 性 に 必須 の特 異核 内抗 原(EBM`)1,EBNA2,潜伏感染膜蛋白(LMP)1,IMP2A,IMP2B各 遺 伝 子 と ,EBV複 製 サ イ ク ル に 重 要 な 前 初 期 遺 伝 子 ぬmm‐Zlef吋amop飢職 曲gfぬme n0.1(BZLF1) にっき,逆転写(RT).PcR法でm恥愼発現を検討した.被検組織より単相 曲閉0】個lanidine迅甜めヴ齟ate法にて抽出・精製した全RNAをもとに,各m恥u特異的3 ‐ mを 用 い てdDNAを 合 成 後 , 特 異5, / 3. ‐pdmer対 に よ る 増 幅 を 行 っ た . 4.特異的PCR産物の検出

  PCR産 物を アガ ロー ス電気 泳動後,nestedPCRはe虹mum弧珊idIe染色にて,他は32P標 識 し た 特 異 内 部 プ ロ ー プ に よ る S0umemb10thyM血 ぬ 0nに て 判 定 し た ・

    【結果】

1.PCRの検出感度

  既 知のEBV陽性 細胞 株中 , 定量 性の 面で 有用 と思 われ る細 胞株 を適 宜選択し,各PCR の 検 出 感 度 を 検 討 し た と こ ろ ,W‑及 びK‑primerによ るDNA‑PCRでは それ ぞれ1,5EBV ゲ ノ ム が 検 出 可 能 で あ り , ま たRT‑PCRでも 細胞1―2個相 当の レベ ル のmRNAを 検出 し 得 た こ と か ら , 今 回 採 用 し たPCR検 出 系 は 十 分 な 感 度 を 有 す る と 考 え ら れ た . 2.各臓器組織別EBV DNA陽性率

  EBV DNAの 検出 結果 はW‑,K‑両primer間で 概ね 一致 して いた .少 な くと もい ずれ か 一方 のprimerによ る増 幅でEBV DNAが 検出 され た場 合をEBV陽 性と した 場合,各組織別 のEBV陽性率は,口腔内上皮 ・唾液腺・舌15例中13例(13/15)(陽性率86.7卿,食道15/18

(83.3%),胃噴門部13/18(72.2%),胃幽門部4/9(44.4%),十二指腸3/11(27.3a/o),空腸3/9

(33.3卿,回腸2/9(22.20/0),大腸0/14(0%),肝臓0/18(0%),胆嚢0/12(0%),膵臓0/13(0%), 気管2/6(33.3%), 肺実質7/17(41.2%),リンパ節18/18(100%),脾 臓15/17(88.2%),骨髄 4/14(28.60'/0),腎臓8/17(47.1%),副腎7/15(46.7%),心筋0/12(0%),膀胱0/12(0%)であった.

3.各組織におけるEBV遺伝子の発現

  対 象 と し た18例中 ,複 数箇 所の 臓器 組 織か らEBV DNAが 検出 され た3例 に対 し.RT‑

PCR法 に てEBV遺 伝 子 発 現 を 検 討 し た 結 果,3例全 例の りン パ節 にLMP 2Aおよ びBZLF1 mRNAの 発 現 が 認 め ら れ た . ま た , こ の う ち1例 で はLMP 2BとEBNAl mRNAもり ンパ 節 に , さ ら にLMP2A mRNAが 胃 粘 膜 組 織 中 にも 検出 され た. 一方 ,脾 臓 ,腎 臓で はウ イ ル スDNAは 陽 性 で あ っ た も の の ,LMP 2A,LMP 2B,EBNA1い ず れ の 遺 伝 子 も 発 現 さ

(3)

れていなかった.EBNA2と【JMPl mRNAは3例とも検索した全組織で陰性であった.

    【考察】

  今回の検討結果から,以下の諸点が考察される.@口腔粘膜・舌・唾液腺などの傍 口腔咽頭組織,リンパ節,脾臓,上部消化管がEBVの体内主要常在部位となっている.

@リンパ節における潜伏感染遺伝子mRNAの高率な検出結果は,EBVが特異的機能形 質を発現しつっりンパ節内に感染細胞として存在することを示している.@ー部胃粘 膜組織にも潜伏感染遺伝子発現が検出され,リンパ系組織以外にもEBV感染細胞が存 在する可能性が考えられる.@EBNA2,LMP1遺伝子はいずれの組織中にも検出され ず,両遺伝子蛋白がEBV特異的キラーT細胞の認識抗原でもあることから,こうした潜 伏感染遺伝子の選択的発現が,宿主免疫のもとm3Vが持続感染する重要な機構のひと っと考えられる.◎前初期遺伝子の発現検索結果から,従来知られる傍口腔咽頭組織 とともに,リンパ節も体内EBV増殖の場となっていることが示唆される.◎一方,リ ンパ節とほば同等のEBV DNA量が検出されたにも拘わらず,脾臓ではいずれの遺伝子 発現も陰性であり,同じりンパ球に富む組織でありながら,ウイルスの感染様式が組 織部位依存的に異なる可能性が考えられる.

    【結語】

  本研究により,従来不明であったEBVの体内分布と形質発現の概要が明らかになっ たものと考えられる.これらの成績は,ヒトEBV感染の実態に関する基礎的知見を提 供するものであり,今後EBV関連疾患発生の機序解明と予知,および治療面における 研究の進展に資するものと思われる.

(4)

学位論文審査の要旨 主査 教授   大里外誉郎 副 査    教 授    吉 木    敬 副査    教授   細川真澄男

学 位 論 文 題 名

PCR 法 によ る Epstein ― Barr ウ イノレス の ヒト体内常在部位と遺伝子発現の検討

  申請者 及川欧の学位論文「PCR法に よるEpsteinーBarrウイルス のヒト体内常在部位と遺伝子 発現の検 討」は,Epstein−Barrウイ ルス(EBV)が多様なヒト悪性腫瘍の病因に関与する可能性が 示 され つっ ある 現 在,未だ不明の体内におけるEBVの存在分布と形質発現を 明らかにすること を 目的 とし てな さ れた 研究 であ る。EBV関連 疾 患の既往のない剖検例18例の各種臓器を,EBV D¥A BamHI‑lV 120bpおよびBamHI―K209bpを増幅するプライマーを用いてPCR法によりEBV D¥Aの 存在を検 索した。EBV遺伝子発現は臓 器より抽出されたRNAをEBV遺伝子EBNA1・2・3A.3B.3C・ Lp,LMP1・2A・2BのmR¥A,およびBZLF1こついてRT→PCR法により検索した。その結果,EBV DNA は全例100(Xのりンパ節と90(Xの脾臓に検出され,口腔内上皮8796食道83%胃73%が高率であった。

一方小腸30%気管33%肺41%骨髄29%腎臓47%副腎47%に検出されたが,大腸・肝臓・胆嚢・膵臓・

心筋・膀胱の諸臓器には検出されなかった。RT―PCR法による遺伝子発現の結果は,BZLF−1‑ LMP2A mRNAがり ンパ節全例に検出され,一部胃にLNIP2AmRNAが検出された。以上の成績はEBVが全身リ ンパ組織 ,上部消化管,上部呼吸器に常在し,主としてりンパ節 で増殖発現していることを意 味している。

  発表に 際して,細川教授,吉木教授,皆川教授,小林教授より 夫々極めて有意義な質問があ り,申請 者はおおむね適切な回答をなし得た。その後副査の細川 ,吉木両教授より個別に面接 を受け合格と判定された。

  本論 文は 従来 部 分的にのみ検索されていたEBVの体内存在部位と発現部位 を,初めて系統的 に 検 索 し こ れを 明ら かに し たも ので ,博 士( 医学 )に 値す る研 究と 判断 する もの で ある 。

‑ 298 ‑

参照

関連したドキュメント

Epstem-Barrウイルス(EBV)はパーキットリンパ瞳,伝染性単核症,上咽頭癌発生への関

  

(Fcgrt) は合計7 個のエクソンからなり、約11 kb の全長を有していた。個々の機能的 ドメイン(al ,a2 ,a3 ドメイン、膜貫通領域、細胞内領域)が各々別のエクソンによ っ てコー

   健常老年者の血清G‑CSF 値は,・年齢との相関を示さなかった.老年者感染症急 性期の血清G‑CSF 値な,健常老年者より有意に上昇 していた.血清G ‐CSF 値と願 粒

   一方,ハーバード大学の Seidman ,C ,E ,らのグルー プは, HCM 原因遺伝子がD14S 26 と 極めて密接な関係を有すること,さらに,D14S 26

mucilaginosa 遺伝子を増幅 することが示された。予想外に、もう一方のプライマー・セットは、他の Rothia 種の遺伝子を増幅し た。検出感度は 50 分および 20

潜伏感染と疾患との関係は,通常のウイルス検査 では,その証拠を得ることが出来ない。そこで我々

AcroMetrix EBV Low CSF Control EBV Low ○ 5×0.5mL 遺伝子検査用コントロール CSF AcroMetrix EBV Low Plasma control EBV Low ○ 5×0.5mL 遺伝子検査用コントロール Plasma