• 検索結果がありません。

博士(理学)齋藤 諭 学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(理学)齋藤 諭 学位論文題名"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博士(理学)齋藤   諭 学位論文題名

Multivariate Analyses of Geographic Variation in the Fightless Leaf Beetles of the Chrysolina angusticollis Species Complex (Coleoptera: Chrysomelidae) in Japan

( 日 本 産 オ オ ヨ モ ギ ハ ム シ 種 群 の 地 理 的 変 異 の 多 変 量 解 析 )

学位論文内容の要旨

  生 物 の 種 が ど の よ う に し て 分 化 す る か と ぃ う 問 題 は 、 生 物 学 が 解 明 し て い な い 主 要 な 課 題 の ひ と つ で あ る 。 動 物 で は 異 所 的 種 分 化 ( 異 な っ た 地 域 に 隔 離 さ れ た 集 団 が 新 し い 種 ヘ 分 化 す る こ と ) を 種 分 化 の 主 要 な 様 式 と す る 説 が 、 多 く の 研 究 者 に よ っ て 受 け 入 れ ら れ て い る 。 し か し 、 隔 離 さ れ た 集 団 の 内 部 で 実 際 に ど の よ う な 変 化 が 生 じ て い る か は ほ と ん ど 解 っ て い な い 。 さ ら に 地 理 的 隔 離 な し に 種 分 化 が 生 じ る と 考 え る 研 究 者 も 少 な く な い 。 近 年 、 種 分 化 の 理 論 的 側 面 に つ い て は 著 し い 研 究 の 発 展 が あ っ た が 、 野 外 生 物 集 団 に 関 す る 実 証 的 研 究 は 、 依 然 と し て 不 足 し て い る 。 生 物 の 地 理 変 異 に 関 し て も 記 載 的 な 研 究 は 多 数 存 在 す る が 、 様 々 な 理 論 を 検 証 で き る よ う な 定 量 的 で 信 頼 の 置 け る 研 究 は 極 め て 少 な い 。 そ こ で 本 論 文 で は 北 海 道 と 本 州 北 部 に 生 息 す る オ オ ヨ モ ギ ハ ム シ 種 群Chryso伽aa昭usd− c0ロ 抵complexを 材 料 と し て 、 形 態 形 質 の 地 理 変 異 の 詳 細 な 解析 を 行 った 。 本 種群 は 後 翅 の 退 化 し た 植 食 性 の 甲 虫 で あ り 、 形 態 の 異 な る 多 く の 地 理 的 変 異 集 団 が 含 ま れ て い る が 、 そ の 変 異 の 様 相 に つ い て は ほ と ん ど 把 握 さ れ て い な い 。   本 論 文 は2章 か ら 構 成 さ れ て お り 、 第1章 で は 形 態 形 質 の 地 理 的 変 異 パ タ ー ン の 解 析 を 行 い 、 第2章 で は 形 態 に よ っ て 区 分 さ れ た 集 団 間 の 遺 伝 的 な 関 係 を 解 析 し た 。

  ま ず 、 112の 集 団 を 用 い 、 後 翅 お よ び 雄 交 尾 器 の 様 々 な 部 位 を 含 む12計 量 形 質 の デ ー タ に 基 づ ぃ て 集 団 間 変 異 の 様 相 を 解 析 し た 。 ク ラ ス タ ー 分 析 と 正 準 判 別 分 析 の 結 果 、 集 団 は7つ の グ ル ー プ ( 以 後 計 量 形 質 グ ル ー プ と 呼 ぶ ) に 明 瞭 に 区 別 さ れ た 。 計 量 形 質 グ ル ー プ の 地 理 的 変 異 パ タ ー ン を 検 討 し た 結 果 。4計 量 形 質 グ ル ー プ は そ れ ぞ れ 特 定 の 地 域 に ま と ま っ て 分 布 し て い た 。 残 り の3計 量 形 質 グ ル ー プ は2、3の 地 域 に 隔 離 分 布 し て い た 。 集 団 間 の 形 態 計 量 形 質 の 差 異 と 、 集 団 間 の 地 理 的 距 離 と の 相 関 は 統 計 上 有 為 に 高 か っ た 。 ま た 、 地 理 的 変 動 パ タ ー ン の 統 計 的 解 析 (expenmentalv繃ogram) の 結 果 も 、 似 通 っ た計 量 形 質を 持 つ 集 団 が 特 定 の 地 域 に ま と ま っ て 分 布 し て い る こ と を 示 し た 。

  次 に45集 団 を 選 び 、 前 胸 背 と 鞘 翅 の 色 彩 を7段 階 に 分 類 し て 、 集 団 ご と の 頻 度 を 求 め 、 ク ラ ス タ ー 分 析 と 主 座 標 分 析 を 行 っ た と こ ろ 、45集 団 は5つ の グ ル ー プ ( 以 後 色 彩 グ ル ー プ と 呼 ぶ ) に 区 別 さ れ た 。 色 彩 グ ル ー プ 間 の 差 異 の 程 度 は 計 量 形 質 グ ル ー プ 間 の 差 異 ほ ど 明 瞭 で は な か っ た 。 前 述 の 計 量 形 質 グ ル ー プ と 異 な り 、 個 々 の 色 彩 グ ル ー プ は 広 い 地 域 に 散 在 し 、 地 理 的 な ま と ま り を 作 る こ と は な か っ た 。 集 団 間 の 色 彩 の 差 異 と 地 理 的 距 離 も 有 為 に 相 関 し て い た が 、 相 関 の 有 意 水 準 は 計 量 形 質 の 差 異 と 地 理 的 距 離 と の 間 の そ れ よ り も 低 かっ た 。Expenmental vanogramに よ る 解 析 も 、 各 色 彩 グ ル ー プ が 地 理 的 な ま と ま り を 作 ら な い と い う 上     ―95−

(2)

記の傾向を支持した。

   さらに112 集団を幼虫体表と雌鞘翅表面構造に関する2 つの二値形質データ に基づぃて 3 グループ(以後論文の内容に従いES‑LS グループと呼ぶ)に区別し た 。 ES‑LS グ ル ー プ は、 い ず れ も い く っ か の 地 域 に隔 離 分 布 し てい た。

   これらの異なったデータセットに基づぃて作られた3 つのグループが、どのよ うに対応するかをクロス表を用いて検討した。計量形質グループと色彩グループ 間、頻度形質グループと二値形質グループ間には、明瞭な対応が見られなかっ た。一方、計量形質グループと二値形質グループ間には明瞭な対応が見られ、1 計量形質グループを除く全ての計量形質グループがいずれか1 つの二値形質グル ープに振り分けられた。

   以上の結果から、最終的に計量形質と二値形質のデータの組み合わせで9 つの グループ(以後形態グループと呼ぶ)を設定した。類似の色彩パターンが、それ ぞ れ の 形 態 グ ル ー プ の 中 で 繰 り 返 し 独 立 に 生 じ た と 考 え ら れ た 。    形態形質によって得られた9 つの形態グループの遺伝的類縁を知るために、各 グループ内の地理的に隔離分布している集団および広く分布しているグループ内 の遠隔集団を含む19 の集団を選ぴ、アロザイム電気泳動による遺伝的解析を 行った。    計13 遺伝子座の対立遺伝子頻度を集団ごとに求め、クラスター分析と主座標 分析を行った結果、これらの集団は2 つのクラスターに大別された。このうちひ とつのクラスターは北海道東部に広く分布する形態グループと勇払地方に分布す る形態グループからなり、もうひとつのクラスターは残りの 7 グループ全てに よって構成されていた。全般的に見ると、集団間の遺伝的距離は、地理的距離よ りも形態距離とよく相関していた。しかし、同じ形態グループに属する隔離され た集団は、相互に遺伝的に類似するというよりはむしろ地理的に近接した別の形 態 グ ル ー プ の 集 団 に 遺 伝 的 に 類 似 し て い る 傾 向 が 認 め ら れ た 。   13 遺伝子座の対立遺伝子頻度に基づき、近隣結合法と最尤法を用いて系統解 析を行った後に、厳密合意樹を作成した。この合意樹はオオヨモギハムシ種群が 少なくとも 6 つの系統を含むことを示した。クラスター分析で認められた勇払地 方の1 形態グループと北海道東部に広く分布している1 形態グループからなる系 統は、系統解析でも単系統群を構成しており、6 つの系統の中では、最も最近に 著 し い 形 態 ・ 遺 伝 的 分 化 を 伴 っ て 分 岐 し た こ と が 示 唆 さ れ た 。    以上の結果を総合して、本論文ではオオヨモギハムシ種群に18 の操作上の単 位を設定した。筆者らによって、これらの操作単位のうち少なくとも3 っは部分 的に生殖的隔離されていることが明らかになっていることと、今回の結果から、

オオヨモギハムシ種群は完全もしくは部分的に生殖的に隔離された多数の地理的

品種(〓半種)から構成される上種(superspecies) である可能性が高いと結論し

た。本種群のように、顕著な地理変異の様相が詳細に解明された生物群は他にあ

まり類例がない。本研究によって基本的な情報が整備されたことにより、オオヨ

モギハムシ種群を材料として、側所性種分化、生殖的隔離機構の進化、交雑帯の

性格と進化的役割、とぃった、現在活発に議論されている進化生物学上の様々な

現象を研究することが可能になった。

(3)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教 授 教 授 助教授 教 授

馬渡 増田 片倉 木村

学 位 論 文 題 名

駿介 道夫 晴雄 正人

Multivariate Analyses of Geographic Variation in the Fightless Leaf Beetles of the Chrysolina angusticollis Species Complex (Coleoptera: Chrysomelidae) in Japan

( 日 本 産 オ オ ヨ モ ギ ハ ム シ 種 群 の 地 理 的 変 異 の 多 変 量 解析 )

  新 し い 種 が ど の よ う に し て 生 じ る か と い う 問 題 は 、 生 物 学 が い ま だに 解 明 して い な い主 要 な 問 題 の ー っ で あ る 。 現 在 広 範 な 支 持 を 受 け て い る 異 所 的 種分 化 仮 説で は 、 新し い 種 は 地 理 的 に 隔 離 さ れ た 分 集 団 か ら 生 じ る と 考 え る 。 し か し 、 地 理的 に 隔 離さ れ た 集団 の 内 部 で ど の よ う な 事 が 起 こ れ ば 種 分 化 に い た る の か 、 と い う 点 は 解明 さ れ てい な い 。さ ら に 、 分 化 し つ っ あ る 集 団 が 出 会 っ た 場 所 に 生 じ る 交 雑 帯 で 種 分 化 が最 終 的 に完 了 す ると ぃ う 仮 説 も 激 し い 議 論 の 的 と な っ て い る 。 ま た 、 隣 接 す る 集 団 が 地 理的 な 隔 離な し に 別の 種 ヘ 進 化 す る 側 所 的 種 分 化 も 、 少 な く と も 理 論 的 に は 可 能 で あ る こ とが 示 さ れて い る 。こ の よ う な 種 分 化 現 象 を 理 解 す る た め に は 、 生 物 の 様 々 な 形 質 に 見 ら れる 地 理 変異 の パ ター ン の 客 観 的 か つ 定 量 的 な デ ー タ の 積 み 重 ね が 必 要 で あ る こ と が 指 摘 され て い るが 、 従 来蓄 積 さ れ て き た デ ー タ の 多 く は 、 単 に 地 理 変 異 を 主 観 的 ・ 定 性 的 に 記 述し た も のや 、 特 定の 形 質 の 変 異 の パ タ ー ン の 記 載 に 留 ま る も の が ほ と ん ど で あ り 、 上 記 の養 成 を 満た し て いな い 。 こ の よ う な 現 状 の 中 で 、 著 者 は 東 ア ジ ア 冷 温 帯 域 に 固 有 の オ オ ヨモ ギ ハ ムシ 種 群 の地 理 変 異 を 多 変 量 解 析 の 手 法 を 用 い て 表 現 形 質 、 遺 伝 形 質 の 両 側 面 か ら詳 細 に 研究 し 、 その 全 貌 を 明 ら か に す る こ と に 成 功 し た 。

  オ オ ヨ モ ギ ハ ム シ 種 群 は ア ム ー ル 、 中 国 東 北 部 に 分 布 し 、 国 内 で は北 日 本 に生 息 し てい る 食 植 性 の 甲 虫 の 一 群 で あ る 。 後 翅 が 退 化 し て い て 飛 ぶ こ と がで き な い。 本 種 群に は 、 色 彩 や 後 翅 、 交 尾 器 の 形 状 に 著 し い 集 団 間 の 変 異 が あ る こ と が すで に 知 られ て い たが 、 中 間 的 な 形 態 を 持 つ 集 団 や 全 く 異 な っ た 形 質 を 持 つ 集 団 が 見 っ か って お り 、地 理 変 異の 実 体 は 不 明 で あ っ た 。 著 者 は 、 北 海 道 か ら 本 州 北 部 に 及 ぶ 計132地 点 か ら 自 身 で 採 集 し た 標 本

(4)

を用いて本研究を行っている。論文は

2

部よりなり、第1 部で表現形の変異の解析、第2 部で遺伝的変異の解析結果が扱われている。

  

先ず、第1 部では、変異する表現形質を計量形質、二値形質、頻度形質に分類した後に、

計量形質と頻度形質についてはそれぞれの形質の性質に即した手法によってクラスター分 析と座標付けを行い、地理変異の様相を定量化、視覚化した。その結果として、オオヨモ ギハムシ種群を地理的なまとまりを持つ9 つの形態グループに分類し、同時に、似た色彩 が い く っ か の 地 域 で 繰 り 返 し 独 立 に 現 れ た こ と を 明 ら か に し て い る 。

  

ついで第2 部では、形態グループのメンバーの分布を考慮して

19

の代表集団を選ぴ、

アロザイム電気泳動法を用い集団間の遺伝的類縁の解析及び系統関係を解析した。ここで もクラスター分析と座標付けを行い集団間の関係を定量化、視覚化している。オオヨモギ ハムシ種群は遺伝的に異なるニつのクラスターに大別された。このうちーっは北海道東部 と勇払地方に分布する2 形態グループ、もうーっは北海道西部と本州北部に生息する残り の形態グループである。引き続き行ったアロザイムデータをもとにした系統解析によって、

北海道東部と勇払地方に生息する2 形態グループからなる遺伝的クラスターは、北海道西 部に生息する他の形態グ´レープの一部から急速な遺伝的変化を伴って分化したこと明らか にした。

  

さらに、これらの結果に基づき、オオヨモギハムシ種群が厳密に側所的に分布する多数 の半種

(semispecies)

からなる上種(superspecies) であること、および、隣接する構成メ ンバーの分布境界の少なくとも一部は、外部からの正常個体の加入と交雑によって生じた 雑種の淘汰によって平衡している特殊なタイプの交雑帯

(tension zone)

である可能性が高 いことを示した。

  

本研究はオオヨモギハムシ種群とぃう極めて複雑な地理変異を持つ生物を取り扱い、ほ

とんど解明されていなかった形態形質の地理的変異パターンを適切な多変量解析の手法を

用いてほぽ完全に解明した。著者の採用した手法は最新の信頼の置けるものであり、本研

究は地理的変異の研究としては国際的に見ても他に類例を見ない精緻な内容である。さら

に、本研究によって著者はオオヨモギハムシ種群が生物の異所的・側所的種分化モデルを

研究する大変有用な材料であることが明らかにしたが、これは将来のこの分野の研究の発

展に寄与するところが大きい。このように、これらの基礎的研究は生物学、進化学への貢

献が大きく、審査員一同は著者が北海道大学博士(理学)の学位を授与される十分な資格

があるものと認定した。

参照

関連したドキュメント

[r]

ス ト ー クス 方 程 式 に関 し て は儀 我 ・ 宮川 、非 線型シ ュレデイ ンガー方 程式に 関しては

な価値を有するものである。参考論文は,2 編あり,いずれも英文で国際誌に掲載済みあ るいは掲載決定済みである。.

た その際 ヌク レオプラズミン(NP) によるSNBP の完全な除去が伴うことを証明し た。ところが R

[r]

    3.   上葺己の地層に挟まれるS ‑ 1V 層とその相当層は海成層で、最終問氷期の堆積物

た。さらに本酵素の液胞膜上での立体構築についてカオトロピックアニオン処理で調 べ たところ, 9 種のサブュニットのうち,膜疎水性領域に結合しているDCCD 結合性の

銅一鍋一イ冫ジウム鉱石強 m 期に,特徴的な塙状構造を示す鉛・亜鉛鉱石は IV 及ぴ VI 期にそれぞれ認められる.これら各鉱化期の鉱脈誼邑視的には同一裂か中に認められ るが , m 期