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博士(農学)齋藤勝一 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(農学)齋藤勝一 学位論文題名

A0 ´競アル bacter 7zicotinovora7zs GS‑9 株によるレノヾン

か らの DFAIV 生産とその生理的機能に関する研究 学位論文内容の要旨

  レ バ ン は 、p‑26結 合 の ポ リ フ ラ ク タ ン で あ り 単 子 葉 植 物 の 貯 蔵 多 糖 と し て 天 然に 存 在 す る 。 ま た レ バ ン は 、Bacillus subtilisSerraぬ たvanlcumなど のレ バン スク ラー ゼ の 作 用 に よ ル ス ク ロ ー ス か ら も 容 易 に 調 製 で き る 未 利 用 多 糖 資 源 で あ る 。 ま た 、 こ れ ま で 様 々 な オ リ ゴ 糖 で 新 機 能 性 糖 質 と し て の 生 理 作 用 な ど が 調 べ ら れ て き た が 、 オ リ ゴ 糖 は 化 学 的 に 様 々 な 構 造 が 考 え ら れ 、 そ れ だ け そ の 機 能 ・ 生 理 作 用 も 多 様 性 に 富 む 可 能 性 を 秘 め て お り 、 そ の 機 能 性 評 価 の た め 、 そ し て そ の 実 用 の た め に 安 価 か つ 安 定 し た 大 量 調 製 法 の 確 立 、 新 規 オ リ ゴ 糖 の 機 能 性 の 解 明 が 今 後 も 期 待 さ れ て い る 。   こ の よ う な 背 景 の も と 、 未 利 用 多 糖 資 源 と し て そ の 有 効 利 用 が 求 め ら れ る レ バ ン を 原 料 に 、 そ の 構 造 の ユ ニ ー ク さ か ら 新 機 能 性 オ リ ゴ 糖 と し て 期 待 さ れ る 非 還 元 性 ・ 環 状二ニ糖類ダイフラクトース・アンノヽイドライドIV (di‑D‑fructose‑2,6 :6,2 ‑dianhydride:

DFAIV)の生産とDFAIVの生理機能解明を目的とした研究を行った。

  本研究の結果を要約すると以下の通りである。

1.DFAIV生産菌の探索とDFAIVの生産

  土 壌 中 よ ル レ バ ン 資 化 菌 の 探 索 を 行 い 、DFAIV生 成 酵 素 生 産 能 の 高 いGS‑9株 を 分 離 し た 。 本 菌 は グ ラ ム 陽 性 の コ1Jネ 型 細 菌 で あ り 、 詳 細 な 生 理 試 験 と り ボ ソ ー ム 蛋 白 質 の 二 次 元 電 気 泳 動 に よ る 分 析 か ら 、Arthrobacter nicotinovorans GS‑9株 と 同 定 した 。   GS‑9株 は 、 レ バ ン を 単 一 炭 素 源 と し た と き に の み 培 養 上 清 中 にDFAIV生 成 酵 素 を 産 生 し 、 培 養 上 清 粗 酵 素 の 活 性 は 最 高3.3 U/mlで あ っ た 。 そ の 培 養 上 清 粗 酵 素 液 に よ る レ バ ン か ら の 生 成 物 はDFAIVと フ ラ ク ト ー ス の み で あ り 、 そ の 時 のDFAIVの 収 率 は 75Y0であった。

2.LFTaseの精製と諸性質

  DFAIV生 成 酵 素 の 酵 素 化 学 的 特 性 とDFAIV生 産 に お け る 反 応 特 性 を 知 る た め 、GS‑9 株 の 培 養 液 よ り DFAIV生 成 酵 素 の 酵 素 精 製 を 行 い 、 諸 特 性 の 検 討 を 行 っ た 。   本 酵 素 は 、exo型 に レ バ ン を 分 解 し 、 分 子 内 転 移 反 応 に よ りDFAIVを 生 成 す る レ バ ン フ ル ク ト ト ラ ン ス フ ェ ラ ー ゼ(LFTase)で あ り 、 分 子 量 約52000の 単 量 体 か ら な る 新 規 なLFTaseで あ る と 確 認 で き た 。 レ バ ン か ら の 酵 素 反 応 の 最 終 産 物 はDFAIV、 フ ラ ク ト ー ス 、 レ ノ ヾ ン ビ オ ー ス と2種 類 の 未 知 オ リ ゴ 糖 で あ り 、 フ ラ ク ト ー ス 、DFAN、 レ バ ンピオースは重量比で675:15であった。

(2)

  本酵素はくp‑2,6フラクトシル結合を持つレバンやレバンオリゴ糖にのみ作用しDFA IVを生成した。その最小鎖長は3糖のレバントリオースであり、基質鎖長が長くなるに つれDFAIVの割合が増加する傾向が見られ、高重合、低分岐のレバン、つまりSerraぬ 1e vanicum由来のレバンがDFAIV生産に最適な基質であることが明らかとなった。基質 を高濃度とすると、分子間での転移反応が確認でき、DFAIVを基質としたときには、

レバンからの2種の未知オリゴ糖のうち1種と同一と考えられるオリゴ糖が生成され、

DFAIVにレバンピオシル基が側鎖として結合したp‑2,1 ・レバンビオシル‑DFAIVと考え られた。本酵素によるレバンの酵素反応生成物に乾燥酵母を添加したところ、DFAIV 以 外すべての 糖質が発酵を受けて消滅し、DFAIV精製の効率化がはかれることがわ かった。

3.LFTase遺伝子のクローニングと大量発現

  LFTaseの分子レベルでの性質を明らかにすること及ぴLFTaseの生産性を高めること を 目 的 に 、 本 酵 素 の 遺 伝 子 ク ロ ー ニ ン グ と 大 腸 菌 で の 大 量 発 現 を 試 み た 。   LFTaseのアミノ酸配列を基に作製したオリゴヌクレオチドプローブによルプラーク ハイプリダイゼーション法によるスクリーニングを行い、得られた陽性クローンの約 3.6 kbp BamHI断片をpUC19にサプク ローニングしpLFT‑7Cを構築した。pLFT‑7Cを 保 持する大腸 菌中にLFTase活性 が発現し、 レバンからDFAIVの生成 も確認した。

  pLFT‑7C中には、1,554 bpからなる精製酵素標品から決定したアミノ酸配列すべて を含んだLFTaseをコードする1ft遺伝子が存在した。1ft遺伝子は、33残基からなるシグ ナルペプチドを含む517のアミノ酸をコードし、推定される分子量53,152がGS‑9株の 精製酵素標品とほぼ一致した。本酵素のアミノ酸配列は、イヌリンよりそれぞれDFA 工、DFAIIIを生成する2種類のイヌラーゼHとは相同性がなく、レバナーゼ、インベル ターゼなどのインベルターゼフんミリーの共通配列に類似する配列を有していた。即 ち本酵素が新規なものであることが確認された。

  得られたpLFT‑7CをもとにLFTase高発現プラスミドの構築を試みた。シグナルベプ チドの一部を削除しpUC18の1ac2に融合したpLFT.BB1では、そのクローン化LFTaseの N末端アミノ酸配列がGS‑9株のLFTaseのN末端配列と1個のアラニン残基の付加以外一 致し、LFTaseが大腸菌中で発現しシグナルベプチドの切断も確実に行われていること が確認できた。またGS‑9株の6倍となる高活性が得られ、このpLFT・BB1により大腸菌 中で容易にLFTaseを大量調製することができた。

4.DFAIVの生理的機能の解明

  これまでの検討により大量調製が容易となったDFAIVを用いて、その生理的機能の 解明を試みた。

  DFAWは、非う蝕性、非消化性の糖質でスクロースの40‑50Yoの甘味度がある。ラッ ト でのDFAIV摂 食効果の検討により、DFANのカルシウム、マグネシウム吸収促進効 果が確認できた。DFAIVは小腸部位ですべての群中最も高い約90%のカルシウム吸収 率を示し、ラット反転サックを用いた検討からも、DFAIVの高いカルシウム吸収促進 効果が確認できた。一方、小腸部位での高いカルシウム吸収促進効果のため、大腸部 位への到達カルシウム量が微量と考えられたことから、大腸でのカルシウム吸収促進 効果は確認できなかった。

(3)

  DFAIVは、むWVOにおいて大腸部位で腸内細菌により主に酢酸、酪酸、乳酸に転換 されており、腸内細菌による発酵を受けることが確認できた。しかし、而vitroでの腸 内細菌による資化性は確認できなかった。DFAIVは各消化管内容物中そして糞中にも 残存しており、DFAIVの腸内細菌による発酵は穏やかに進むことが明らかとなった。

このようにラット腸内細菌によるDFAIVの資化性は他のオリゴ糖とは異なる非常に特 徴的なものであり、DFAIVが他のオリゴ糖とは異なる新たな効果をもたらすことが期 待できる。

  以上により、これまで大量調製が困難であったDFAIVの大量調製法の確立と更なる 生産性の向上を成し得た。また、DFAIVがその生理機能としてカルシウム吸収促進効 果を有 する甘味糖 質であり、 新たな生理 機能が期待 できること を見いだした。

(4)

学位論文審査の要旨 主 査    教 授    冨 田 房 男 副 査    教 授    青 山 頼 孝 副査   助教授   横田   篤

     学位論文題名

Arthrobac 地ゲ7zicotinovorans GS‑9 株によるレノヾン か ら の DFAIV 生 産 と そ の 生 理 的 機 能 に 関 す る 研 究

  本 論 文 は 、 和 文120頁 、 図36、 表17、 引 用文 献136、5章 か ら なり 、 ほか に 参 考 論文4編が付されている。

  未利用 多糖資源 であるレ バンの有効 利用とそ の構造のユニークさから新機能性オリ ゴつ睹として期待される環状二:糖類ダイフラクトース・アンノヽイドライド1V(DFAIV) の生産とDFAIVの生理機能解明を目的として研究を行った。

1.DFAIV生産 菌の探索 とDFAIVの生産

  土 壌中よル レバン資 化菌の探索 を行い、DFAIV生成酵素 生産能の 高いGS‑9株を 分離 した。 本菌はグ ラム陽性 のコリネ型 細菌であ り、詳細 な生理試験とりボソーム蛋白質 の二次元電気泳動による分析から、Arthrobacter nicotinovorans GS‑9株と同定した。

  GS.9株は 、レバン を単一炭 素源とした ときにの み培養上清中にDFAIV生成酵素を産 生 し、最高3.3 U/ml活性を得 た。この粗 酵素液( 培養上清 )により 、収率75% でDFA IVを生成 できた。

2.LFTaseの精製 と諸性質

  DFAIV生 成 酵素 の 酵 素化 学 的特性 とDFAIV生産にお ける反応 特性を調 べるため 、GS‑

9株 の 培 養 液 よ りDFAIV生 成 酵 素 の 酵 素 精 製 を 行 い 、 諸 特 性 の 検 討 を 行 っ た 。   本酵素は 、exo型にレ バンを分 解し、分子 内転移反 応によりDFAIVを生成す るレバン フル ク ト トラ ン スフ ェ ラ ーゼ(LFTase)であり、 分子量約52,000の単量 体からな る新 規 なLFTaseで あ る こと が 明 らか と なっ た 。 レバ ン から の 酵 素反 応 の最 終 産 物はDFA W、 フ ラ ク トー ス 、 レバ ン ピオ ー ス と2種類 の 未知 オ1Jゴ 糖 で あり 、DFAIVの 収率 は 7590であった 。

  本酵素は 、p‑2,6フラ クトシル結合をもつレバンやレバンオリゴ糖にのみ作用して、

DFAIVを生成し た。その 最小鎖長 は3糖のレバ ントリオ ースであ り、基質 鎖長が長 くな るに つ れDFAIVの割 合 が 増加 す る傾 向 が 見ら れ 、 高重 合 、低分 岐のレバ ンがDFAIV生

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産に好適な基質であることが明らかとなった。本酵素によるレバンの酵素反応生成物 に乾燥酵母を添加したところ、DFAIV以外すべての糖質が発酵を受け消滅し、DFAIV 精製の効率化がはかれることがわかった。

3.  LFTase遺伝子のクローニングと大量発現

  LFTaseの分子レベルでの性質を明らかにすること、LFTaseの生産性を高めることを 目 的 に 、 本 酵 素 の 遺 伝 子 ク ロ ー ニ ン グ と 大 腸 菌 で の 大 量 発 現 を 試 み た 。   得られた陽性クローンの約3.6 kbp BamHI断片をpUC19にサブクローニングしpLFT‑

7Cを構築した。pLFT.7C中には、1,554 bpからなる精製酵素標品から決定したアミノ 酸配列すべてを含んだLFTaseをコードする1ft遺伝子が存在した。1ft遺伝子は、33残基 からなるシグナルベプチドを含む517のアミノ酸をコードしており、その配列は、イヌ リンよりそれぞれDFA工、DFAIIIを生成する2種類のイヌラーゼHとは相同性がなく、

インベルターゼフんミリーの共通配列に類似する配列を有していた。即ち、本酵素は 新規な酵素であることが明らかとなった。

  得られたpLFT‑7CをもとにLFTase高発現プラスミドの構築を試みた。シグナルベプ チドの一部を削除し、pUC18の1ac2に融合するよう作製したpLFT‑BBlでは、GS‑9株の 6倍となる高活性が得られた。このpLFT‑BBlにより大腸菌中で容易にLFTaseを大量調 製 す る こ と が で き 、 結 果 と し て DFANの 生 産 性 向 上 を 成 し 得 た 。

4.  DFAIVの生理的機能の解明

  これまでの検討により大量調製が容易となったDFAIVを用いて生理的機能の解明を 試みた。

  DFAIVはスクロースの40‑50%の甘味度がある。ラットでのDFAJV摂食効果の検討に より、DFAIVのカルシウム吸収促進効果が確認できた。DFAIVは小腸部位ですべての 群中最も高い約90%のカルシウム吸収率を示し、ラット反転サックを用いた検討から も、DFAIVの高いカルシウム吸収促進効果が確認できた。一方、このため、大腸部位 への到達カルシウム量が微量であることから、大腸でのカルシウム吸収促進効果は確 認できなかった。

  DFAIVは、面VI VOにおいて大腸部位で腸内細菌により主に酢酸、酪酸、乳酸に転換 されており、確実に腸内細菌による発酵を受けることが確認できた。DFANは各消化 管内容物中そして糞中にも残存しており、DFAIVの腸内細菌による発酵は穏やかに進 むことが明らかとなった。

  以上のように本研究は、新規オリゴ糖DFAIVの大量調製法の確立とその生理機能解 明に関して実用的、応用的な寄与が大きく、また、その過程で得られた酵素化学的知 見 や 遺 伝 子 情 報 な ど の 知 見 も 学 術 的 に 意 義 あ る 大 き な 成 果 で あ る 。   よって、審査員一同は、斎藤勝一が博士(農学)の学位を受けるに十分な資格を有 するものと認めた。

参照

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