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博士(理学)藤川 修 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(理学)藤川   修 学位論文題名

Genetical significance of structures and textures of ZnS     minerals to Pb ‑ Zn ores from the Shinano Vein,        Toyoha mine, Hokkaido, Japan.

(豊羽鉱山信濃鎚産鉛・亜鉛鉱石のZnS鉱物の組織・構造の意義)

学位論文内容の要旨

  豊羽鉱床は,新第三紀中新世の玄武岩質〜安山岩質火山岩類及び堆積岩中に胚胎す る,本邦を代表する鉱脈鉱床である,特に信灑鑷は,特徴的な鶲状構造を示す鉛・亜 鉛鉱 釁であ り,従来 知られていたA8‑Pb‑Znに加えCu‑Sn‑In鉱化作用が認められる.

  鉱脈の産状及び鉱石の鐘下観察から信潤鍾の鉱化作用は7期(I〜 VI)に区分され,

銅一鍋一イ冫ジウム鉱石強m期に,特徴的な塙状構造を示す鉛・亜鉛鉱石はIV及ぴVI 期にそれぞれ認められる.これら各鉱化期の鉱脈誼邑視的には同一裂か中に認められ るが ,m期 とW期の両で は,他の期の閲係に比べ脈内で比較的大規模な交叉関係を示 す.一方, IV期以降の鉱脈は同一裂か中に鉱脈の外側から内側に対称的に認められる ことが多い.溌体包有物の均質化温度及びstannite‑sphlarite地質温度計より求めた 推定 温度は ,I期 からm期にかけて上昇し,1V期で急激に減少する傾向を示し,鉱物 鑓み合せや坑内での産状を考麌すると,m期とIV期の間で鉱化作用の性貿が大きく変 化し たもの と考えら れる.IV期とVI期に産出する鉛・亜鉛鉱石中に認められる特徴 的な篇状構造は主に,(1) 8alena(and/or pyrite)とZnS鉱物(sphaleri te  and/or uurtzi te)の繰り返し沈殿によるもの,(2)ZnS鉱物の結晶成長組嶺変化によるもの,

(3)化学組成変化に対応する色彩変化等に原因しており,(1)〜(3)は相互に密接に関係 しながら,全体として鴇状構造を呈する鉱石となっている,赤系の色を示すZnS鉱物は Cu,Sb,Pb,Cd等の 元索をlut.X以下含 み,画 像解析の 結果で は,色彩 誼主にSb (and/or Cd)含有量に開係している,赤色閃亜鉛鉱中では化学組成はCu:Sb=3:1を示し,

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結晶 構造 を考 慮す る とCu,Sbはsti bioluzoni te組成と して閃亜鉛鉱結晶中に含ま れて いる可能性が高い.

  ZnS鉱物 は 顕徽 鏡下 で様 々 な結 晶成 長組 織を 示 し, それ ら成 長組 織 は大 きく,結 晶の 集合形態(Fi rst  orde r)とその内部組織(Second order)に分類ぎれる.First  order組 織は ,基本麗讃として(l)dendritic,(2)spherul itic,  (3)col loform,(4)idioior ‑ phic bandの各組織に分類き れる.一般に一連の沈殿過程 において (1)→(4)に至る連 続 的 な 組 織 変 化 が認 めら れる ,実 際 には ,こ の一 連 の変 化の 繰り 返し , 又誼 途中 から 姑まる組織変化の繰り返しで 特徴づけられる.

  Second order組 織 は,(1)と(2)ではfeathery,(3)ではfeathery→fibrous,(4)では tabula r+ parallel  interg rotdth→sector  zoned isotropicの変化が譲められる.  こ こ でfeatheryか らtabularま で は 光 学 的 にwurtziteの み か ら な る .Parallelinter‑

gr。wthの 部 分で は光 学的 異 方性結晶(uu rtzi te)と,光 学的等方性結晶(sphalerite)が 共 存 し , 本 組 織 を経 て,ZnS鉱物 は最 終的 にsphaleri teのみ の晶 出へ と 変化 する ,化 学熱 力学 及ぴ 結晶 成 長論 的な 考察 から , 本輔 状鉱 石中に 認められるuu rtzi te誼, 溶存 亜 鉛 量 の か な り 高い 溶液 から 準安 定 相と して 沈段 し たも のと 考え られ る .一 方, 自形 のsphaleri teは ,し ばし ぱ 融食 され てお り, 低 過飽 和度 溶液 から モ の熱 水溶液と 平衡 に近い条件下で形成されたも のと考えられる.

  Galenaの成 長組 織 は一 連の 洗段 過程 に おい て,dendritic→elo ngated‑  grained‑*

banded組 織と 変化 す る,Gal ena結晶 の粒 度解 析 及びZnS鉱物との結晶境界の観察は ,一 連の 沈殿 過程 にお け るgalenaの相 対結 晶 成長 速度(ZnS鉱 物に対する)の増加を示唆 し,

galenaの 結 晶 成 長 は 共 存 す るZnS鉱 物 の そ れ に も 規 制 さ れ て い た 可 能 性 が あ る .   結 晶 成 長 組 織 等の 検討 から ,信 涜 鋪に 譲め られ る 鉛・ 亜鉛 輔状 鉱石 は ,鉱 石鉱 物の 急 速 な 沈 殿 に よ る鉱 化溶 液の 高遇 飽 和度 から 低過 飽 和度 溶液 への 連境 的 変化 過程 で形 成ぎ れた もの と考 え られ る. 一方 ,本 鉱 石中 では ,上述 の詁、晶成長組織の繰り返 しが 観 察 さ れ , こ れ は, 鉱化 溶液 の鉱 床 形成 壜へ の供 給 が断 統的 に趨 こっ て いた こと を示 唆 す る , 結 晶 成 長組 織お よび 鉱物 組 み合 せは ,本 鉱 石の 沈殿 が, 比較 的 高温 の, 天水 起源 の水 との 混合 に よる 希釈 の様 な鉱 化 溶液 の急 激な物 理化学条件の変化.に原因 して い た 事 を 示 唆 す る. この 様な 過程 で ,特 徴的 な縞 状 構造 を示 す鉱 石が 形 成さ れた もの と考えられる.

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

  Genetical significance of structures and textures of ZnS     mlneralStOPb− ZnoreSfromtheShinanOVein.     TOyohamine,HOkkaidO,Japan.

(豊羽鉱山信濃錮産鉛・亜鉛鉱石のZnS鉱物の組織・構造の意義)

  特定の元素が濃集している地質体である鉱床の研究において、その元素がどのよう なメカニズムで移動し、固定されるかは第ー義的に重要である。鉱床のうち有用物質 が経済的に採取可能な状態で濃集しているものは鉱山として開発される。札幌市南区 にある豊羽鉱脈鉱床は、近年錫、インジウム、タングステン、ガリウム、ビスマス、

コバルト、ニッケルなどの稀少金属も発見されてが、量的には、我が国第一級の銀一 鉛一亜鉛鉱山である。

  本論 文は豊 羽鉱山で1986年に発 見され、 現在開発中の信濃鏑にっいて、坑内に おける詳細な産状の観察と、採取した試料にっいて、申請者自身の開発したミク口ン オーダーでの色調の変化および包有鉱物の形と分布を解析する画像解析プログラムに よる解析を含む各種の室内実験結果と総合して、鉱物の生成すなわち、元素の固定プ 口セスにっいて考察したものである。

  鉱脈鉱床は、まず鉱液の通路となる割れ目の生成・熱水の供給と、そこでの鉱物の 晶出とぃう過程の繰り返しによって形成される。最大幅30メ―夕―を越える豊羽鉱 山信濃錮の鉱化作用は、この過程を解析することによって7期に区分される。このう

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三 宥

俊  

  大

井 谷

由 針

授 授

   

   

教 教

査 査

主 副

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ち、本論文の主な研究対象となった第4期の脈は、おもに閃亜鉛鉱、繊維亜鉛鉱(と もにZnS)と方鉛 鉱よりなり、特徴的な縞状構造を示し、また鉱山にとって重要な銀 を含んでいる。

  生成環境の解析にとって、その生成環境の変化を反映する性状の異なる縞よりなる 縞状構造の研究が重要である。本論文の縞状構造は肉眼的には、幅数mm程度の,褐色 の濃 淡の 縞の 集合 より なっ てい る 。申 請者 は光 学顕微鏡 .X線回折装置.EPMAを 駆使してこの縞を研究し、それが主としてZnS鉱物の種類・組織・含有少 量成分お よび共存鉱物を反映していることを明らかにした。

  それぞれの縞において、生成の早期から晩期にかけて、ZnS鉱物の種類は繊維亜鉛 鉱から閃亜鉛鉱に変わり、鉱物の外形とその集合状態は樹枝状から自形累帯組織に向 かっ て変 化し 、Cu、Sb、Cd等 の含有少量成分は1重量%程 度から0.1%以下に減少 する。共存する方鉛鉱の組織もこれに対応する変化を示している。これらの変化はい ずれも過飽和度の高い溶液からの晶出と、それによる過飽和度の低下を反映するもの である。一部にはー旦生成した鉱物の溶解したとみなされる状況が観察され、不飽和 にまで鉱液の濃度の低下したことを示している。

  このような変化が繰り返して起こる条件としては、間欠的な鉱液の供給と停滞、環 境の変化による過飽和状態、急激な鉱物の晶出による遇飽和度の低下が必要であるが、

申請者は鉱物中の流体包有物の均質化温度測定結果、硫化鉱物の組み合わせから推定 さ れ る 生 成 温 度 等 を 考 え 併 せ て 、 酸 化 的 な 地 表 水 の の影 響 を想 定し てい る。

  申請者が本鉱山から新たに見出したアンチモンと磁硫鉄鉱の組み合わせはやや高温 で還元的な鉱液を示すもので、上記の推定と整合的である。また方鉛鉱からミクロン サイズの微粒子として発見されたDiaphorite PbzAg3Sb3Saは、鉱山にとって経済的 にも 重要 な銀 の存 在状 態とし て、いわゆる含銀方鉛鉱の本質に迫るものである。

  本論文は豊羽鉱山の鉱石、とくにその縞状組織を研究し、それが過飽和度の低下の 反映であることを示し、そのメカニズムとして温度の低下と化学環境の変化を推定し、

さらに研究の過程で、鉱山にとって重要な銀のかなりの部分の存在状態を明らかにし たもので、学位論文に値するものと認められる。

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参照

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