形式的線形化による多項式形フィードバック制御について
(昭和58年4月11日 原稿受付)
情報工学教室高田等
〃 生 田 顕
北九州工業試験場田上真人
On a Polynomial Feedback Control via Formal Linearization
by Hitoshi TAKATAAkira IKUTA
Masato TAGAMI
Ab8traet
In thls paper, it is proven that a polynomlal feedback control law is derived by applyi㎎the
formal lineaτization method and the maximum principle to a given nonlinear system, with quadratic performance index. An example whose nonlinear system includes a product term of
state and control variables iUustrates several features of the polynomial feedback contro1.一つの変数とみなし,その拡大次元リカッティ方程式を 形式的に解くものである。従ってその計算は,(1)のよう
1.序論線形二次形式の最適制御問題は,線形状態フィードバッ に簡単で,しかも高次多項式項まで配慮した場合と同程
ク制御則により容易に求まる。その際制御則ゲインはリ 度の高評価が期待される。本手法を用いた具体例の数値 カッティ方程式の解である。これに反し,非線形最適制 実験は既に報告されている6}・7)が,その根拠となる理論 御問題の制御則の計算は一般に容易でない。これは通常, 的導出はなされていない。そこで本稿ではこの制御則が,
二点境界値問題を解くことになり解法が極めて難しいy 最大原理を用いて近似的に導出されることを示した。さ このため次の各種の近似解法などが提案された。 らに具体例として,システム方程式に操作量と状態量の (1)一次テーラー展開による線形二次形式問題への変 積の項がある場合の非線形二次形式問題を,数値実験に
換法2} より検討した。これらにより,本形式的線形化法による② ハミルトンーヤコビ式や随伴方程式のテーラー展開 非線形制御問題の妥当性が更に立証された。
近似法3) 引
2.聞題の股定
(3)形式的線形問題への変換法5) 6)
などである。(1)は制御則合成が簡単であり広く利用され 次の非線形の二次形式制御問題を考える。非線形シス
てきた。しかし線形近似のため非線形性の強いシステ テムがムや,十分に原点近傍でない場合に対しては,満足な制
元(の=∫(ズω)+(Cω+9(κ(の))μ(r) (1)
御ができない。(2)は(1)よりも制御評価がよいが制御則合
成が複雑である。(3)は口)の簡単さと②の評価良さを兼備 で記述されるとしよう。ここでκはη次元状態ベクトル,
した制御則を求めようとしたものである。 μは祝次元制御ベクトル,Cはη×吻行列,∫(・)はη次 さて㈲のうち特に,形式的線形化法を基にした状態 元ベクトル値解析関数で∫(0)=0,およびg(・)はη×
フィードバック制御法6は,状態変数の各多項式を新しい 祝行列値解析関数でg(0)=0とする。
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最小にすべき制御評価は二次形式の タのみを有している。なお(5)(6)より,∂φ (κ)/∂κTがκの
r一蝶諜蒜1)㎡(2)驚式でまが原鰍 油こ}
従って(4)(5)から,2V次まで考慮した形式的線形システ
としよう・Qと力は…非負定値対称行列・Rは…ムがL一計す1)次元ベクトル空間において
正定値対称行列,7 は転置記号, oは初期制御時刻,お
2== ノ12−{一(フz4 (7)
よびむは最終時刻を表す。以下簡単のため,明瞭な箇所
での時刻rの表記を略す。 として構成される。ここで9はこの空間内の・L次元状 態ベクトル,および
3.形式的線形化を用いたフィードバック制御
により表現できるとしよう。ただしφ向(κ)はxの〃次多 である。Aはμに依存したパラメータBを含むけれど
。 ヵ も,ここで近似を行いAは〃に独立として取り扱う。2項式の全体・すなわ腰素が雷(Ση=〃 =1)カ〉らなる を用いて表せば(2)は
←+ hベクト職例えば 牢(オプ)ノ1z( 了)+†∬一一(9)
φ2(κ)=〔吋,κ1κ2,…,X1κη,堵,κ2κ3,…,π幻丁 ただし
カ
であ黙㍑三議㌫しよう.五=[矧Q={劉 0①
(1)に(3)を代入して と記述される。(7×9)は線形二次形式制御問題なので次の
コ
φ1(κ)=(∫(κ)_g(克)R−lcrΣ昔φ為(κ))+Cμ リカッティ方程式 エ カエユ
とおく.♂ぷ)+仇 (4){㌫デP冊仰+Q=°ω
・。 ただし
A1ゴ=∂(∫(κ)−9(κ)1〜『1CτΣ、P海φ力(x))/∂φ∫(κ)lx−o
たエ
ll暮㌶㌘㌶蕊:蒜 P]6鷲ヨ ω
φゴ(κ)=∂φゴ(κ)/∂κ「え を逆時間で解くことにより,最適制御則がZ=〔勾,2》「,
=∂φ (κ)/∂κτ(∫(κ) ・・…・,話〕τに対し
ぼ
一(C+9(κ))R− Cτ蒼1P・φ・(κ)) μ=_R−1びPz
エ パ
=Σノ1 ゴφゴ(κ) (5) =−1〜−1CτΣPl向.z為
ゴ=1 海=1
とおく。ただし として定まる。ここでP々=丑々およびφ向(κ)=為とお 、傷〆=∂{∂φ (π)/∂xτ(ノ(κ) くことにより(1)(2)の準最適多項式形制御則
リ ガ
ー(C十9(κ))R−1巴ΣP允φ々(κ))}/∂φ∫(x)1π=o(6) ・μ・=rR−IC「ΣP々φ克(κ) (13)
々=1 力=1
なるP1〜P伺+1をパラメータにもつ行列である。すなわ が⑬すなわち(3)の形で定まった。
ち、4パ1≦ ≦ノ)は鳥を含まず乃〜巳.1までのパラメー 特にg(κ)=0でτプ=。。の場合には,参考文献6)の
制御則そのものである。
次}、OD⑬↓、よる制御則は,最大原理を用いても導出さ λ1(zノ)一∂(†φr(珈φ1㈲)/∂φ1㈲
れることを示そう。 =.4φ1(『プ)+量0・φゴ 〆=2
4.最大原理との関係 より
(4)(5)の非線形システム,(2)の制御評価,および(3)の 丑( プ)=ノ1 君(τノ)=0 ( ≧2) 0》
フィードバック制御則を, である。0ηをα8)に代入すれば
関数 φゴ:κ→φ (κ) ピ≧1) 量(孔φ々+」几φの+Qφ1+ノ猛自」医φ、
カェ ゐエ
の張る関数空間上で関数表現すれば次の通りである。 ・。 . … 。
=Σ(具φ々+1㌔ΣA角ゴφ〆)−Plα〜−ICτΣ」らφ白エ んニ ゴヌゐ んエ
φ1=Σノ11、φ、+Cμ ⑭
・・{ ゴ=1
り
モゴ=Σノ1∠」φ5 ( ≧2 」= ) 一(惣元驚_丑+ρ)由
1−†φr(む)五φ1(存)+十∬(φrQφ1+・・醐 +急{真+熱本+(品一BC甘1cτ)蹴
㈱ =0ロ
況=−1〜−1Cτ(ΣP力φD。 ⑯ となり 丘=1
P向(む)=0 閻
1if〔φ(の, P(の,λ(τ), r〕
(々≧2)
一』φ1+†(ロΣP々φ々A=1)「CR−1σ(躯φ・) である.よってB、 r( ≧1)とおき,(8卿を用 ロ
+λ『(Σ(Alr C』〜−1Cτ巳)φ」) いれば09)伽‖2Dは,」V次まで考慮した場合(IDのリカッティ ゴコエ
。。 。。 方程式にまとめられる。それ故第3節の形式的線形化に
+具λ聰んφ・) よる解は,本節の関数麹したシステムに対する最大原
である。、4 5がPK〃≧1)に独立と仮定すれば1V=1, 理による解と一致することが確かめられた。
2,3,…について さてここで伽⑳に注目しよう。Bは伽のη次元リカッ
幕+(脚(ゑ醐φ姦一crφ』 蕊璽㌫籔2;㍍:還ぷ
故に
一CR−℃・(量P、φ、一λ1)φ寿 をこついては(6)の説明よりA・(1≦ゴ≦鳶)がB〜P・−1ま 向=1 でのパラメータである。仮定より丑〜.昨二1が求められ 。。 ているのでノ蟻(1≦ ≦〃)の値は定まり,⑳がP々につ
λ1具蹴 0の き,つぎの線形微分耀式
となる・さらに
@ 糾Alr側C・B)・昂脇噌醐一・
器一+ρφ1+職1C・(勲φ・) 卿一゜)㈱
である。従ってすべての凡(〃≧1)はP1より順次に計
十(ノ11rα〜−1Cτ丑)τλ1
−Qφ1+命、 算される・ .
なお ア=ooのときは(20¢DでP向=0(〃≧1)とおけば
故に よ、、.しかも特に,仁0,A11とCが定数行列,Rと
ズ1+Qφ1+A5λ1=0 ⑬ Qが正定値対称定数行列,および行列〔C,、4、、C…,
となる。終端条件は ノlf「℃〕の階数がηのときには, Bのみならずすべての
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孔(鳶≧1)の解も存在し唯一である(証明略)。 10
以下具体例により本手法の有効性を検討しよう。 ノ 8
5.例題 次のスカラーシステムを考えよう。 6
元=κ2十(1+βκ)μ ㈱ {、一+∬_. ¢4・ βはパラメータであり,β=0のとき参考文献6)の例題 2
と一致する。T=5秒とした。 ODすなわち⑳㈱を用いて 制御則は次のように定まる。 0
炉一£P、。・ ㈲ 一1 ・−L・一・・… 51・βL・ たエ . Fig.2 菰o)=0.8固定時の」一β {隠忽撫:_。)メー1駆
(〃≧2).㈱ 、 N−・熟
次数Nをパラメータにし・胴一5次まで変化したと 嵩 ・ α6に固定したときのκ(0)の変化に対する評価1のカー \
ブである。これらの結果より,(κ(0),β)=(0,0)を含
2
2
むある領域内で,評価値が次数Nの増加とともにかなり 改善されることがわかる。次にこの領域について考えよ > 0
つ゜ @ −1・・−1・・一・・5 0・・51%1・・ Fig.3 濫o)=1.2固定時のJ一β 10 10
1 1
8 8
6 6
, 」V=1 2V=2
4 4
2V=3 /V=4 2 〜V=5 2
0 . 0
−1・5−1・°−°・5 @°°・51・°β1・5 −2 }1 ° 1X、,2
路g.1 澱o)={L4薗定時のJ一β Fig.4 β=一 園定時の」−X{⑳
閻のシステムに対しリアプノフ第2の方法による漸近 島(κ)=嬬
コ パ
安定領域8)を求める。⑭で7 =。。,従って㈱で昨=0 =一(1+βπ)Σ九〆+1+κ3 A定1 1げ
(左≧1)とおき,定数制御則ゲインを求める。こうして =一κ2−((1+βκ)Σ几π鳶+1+(β一1)κ3)
カをカ
得たB=1,凡俵≧2)値を用いて㈱より伽(N≧1)を ㎝
定める。これを㈱に代入すればN次まで考慮したときの となり吻》(x)<0の範囲が漸近安定領域である。苫とβ オが構成される。このときのリアプノフのγ(κ)関数を の2次元空間(κ,β)εR×1〜において,⑳の第一項は 脇(κ)=1/2κ2とおけば 一x2,第2項はが以上の項なので,κ=0の十分小さい
」V=1 ハr=2
2V=3」V=4
N=5
一2 −1 0 1 2 −2 −1 0 1 2
Xlo,
Xlo)
Fig・5β=0 函定時の」−Xo} Fi苦6 β={L6薗定時の」一』『《o)
一時栖{一軸輪㌻、
二⇒_ザ)
1.0
0.8
0.6
0,4
0.2
罰g.7 次数2Vに対する漸近安定領域(原点を含む開領域)
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近傍では砺(κ)<0であり原点は漸近安定である。よっ 参 考 文 献
て原点を包含し砺(κ)〈0の連結開集合UN((0,0)εUN 1)AP. Sage&C. C. White: Optimum Systems Control ,
⊂R×R)が漸近安定領域である。Fig.7は次数Nをパラ P「entice−Hall, Inc・1977
メータ}・しN−1−5次まで変化したときの醐一・2 Gi;蕊蕊:罐1,:!12㍑蒜鷺㌶1
のカーブを示す。すなわち原点を含む曲線に囲まれた領 Paper 70TP531−PWR
域で,境界を取り去った範囲が漸近安定領域UNである。 3)W・LGa「md: Additional Results on Sub−oPtimal Fee4 特にβ=0近傍でκ>0のときには,2Vとともに安定領
back Control of Non−linear Systems , Int,∫. Control, VoL 10,
No.6, pp.657−663,1969
域が拡大していく様子が明瞭である。 4)Y.Nishikawa, N. Sannomiya&H. ltakura:・A Method for
Suboptimal Design of Nonlinear Feedback Systems , Auto・
6.結言 matica, Vol.1, PP.703−712,1971
5)A.Wernli&G. Cook: Suboptimal Control for the Nonlinear 以上,形式的線形化による多項式形フィードバック制 Quadratic Regulat・r Prob亘em・, Aut・matica, Vol.11, PP.75−84,
御について考察した。これは多項式関数を状態変数とみ 1975
なしたシステムに,最大原理を適用しても導出されるこ6
ユ1監遮麗惣;㍑漂意蕊㍑
とが示された。さらに具体例により制御評価の様子が検 trol, Vo1. AC−24, N・.5,1979
討された。 7)高田(等)・内野・高田(茂): 多項式形拡大線形化による準最
適制御則。,九工大研究報(工学),No.40, PP.131−136,1980 最後に本数値実験に対し御協力頂いた,本学卒論生の 8)MVidyasagar:。Nonlinear Systems Analysis。, prentice.椎葉克文氏と野元一秀氏に感謝します。 Ha11, Inc.1978