九州工業大学研究報告(工学)No.43 1981年9月 85
超関数列による非線形システムの
形式的線形化法
(昭和56年5月27日 原稿受付)
情報工学教室高田等
Formal Linearization of Nonlinear Systems by a Sequence of Distributions
・ by Hitoshi TAKATA
Ab8tract
拓this paper, a formaBinearization meth◎d f◎r n◎n面ear systems is considered in a case that linearly independent functions are distributions or generali宴ed functions in the sense of Schwartz. A given nonlinear system with an infinitely differentiable function is transformed into af◎m】al linear SyStem by i寵◎dUCing a Se餌enCe O品iStribUti◎nS. ESpecia自y, the f◇治al撫ear system is illustratively derived from the Rademacher functions which are simple distributions、
Simulation results by computer show that the formal linearization method is useful up to dls・
tr輌but輌ons.
1.序 論 が与えられたとしよう。ここで・=4/4τ,κεR,1〜は1 非線形システムは,線形独立関数列を導入することに 次元実ユークリッド空間・およびヌ:R→R はパこ関
より形式的線形システムへ変換される。従来,線形独立 するC°°関数とする。
関数列としては,多項式列や三角関数列のように微分可 区間〔α・b〕⊂Rで定義され・重み関数W(κ)≧0に 能な関数列についてのみ考察されてきた;)刷 対し
そこで本稿では・線形独立関捌として纈数 ‖が選 ∬φ鋤醐・・4・ニ・( キ∫)
ばれた場合のフーリェ展開を基にした形式的線形化法に
ついて糠した。これにより通常の微分力・できない不連 なる猷条件を齪する線形独立な超関数列
続点を含む関数なども,超関数微分としては微分可能で {φ゜(κ),φ1(κ),φ2(κ), … ,φM幻,……}
あり・形式的線形化ができる。さらに線形独立関数列と を導入する。ただし本稿を通してφ。(紛=1とする。なお して不連続点を有するRademacher直交関数系の場合 本稿における超関数はSchwa1匂によるものである。・)−6)
について・具体的な形式的線形化を行なった。Walshや すなわち,コンパクトな台をもつC°・級実数値関数の Haar直交関数系についても同様に形式的線形化が可能 全体をのとする。ので定義された実数値線形汎関数τを・
である。最後に数値実験により,超関数にまで拡張され 超関数と呼び,その全体をの で表わす。よってめの共役 た形武的線形化法の有効性を確認した。 空間が超関数の全体め である。また? ε紗・,φεのに対し 内積を7 {φ),例えばg(y)が可積分関数のとき 2.超関数列による形式的線形化
実軸上のある区間秘⊂雌義されたつぎの辮形 τ〈¢)全《1・四{助(τと9を同一視)
微分方程式 とする。このとき
Xω=∫(ズω) κωε〃⊂R {1) ・・4τ/吻:P−→−T{〆)
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として定まる汎関数4T/4yが7 の導関数である。つぎに 才における超関数z(のの微分方程式
線形独立な超関数列{T :行N}とは,任意の有限個の 4zぱ)/4,=、4z(力+δ zぱ。)=φ(κ( o))ε牙 (7)
{T }の線形結合
と考える。以後(7)を(1)に対する 形式的線形システム 翠4 Tゴ(¢)ニ0 と呼ぼう。
を構成したとき,あらゆるφεのに対しすべての係数砺 (7)においてNが有限次Nで打ち切られた場合について が零のときのみ等号が成立することを意味する。 考える。Aが に関しC°°級の行列で,しかもbが に関 さてここでφ・(x(の)(γ=1,2,3,……)に対する運 し連続なベクトルのときには,方程式(7)は普通の解しか 動方程式を求めよう。ただしφ・(κ(∫))はκに関する超関 もたない(文献〔4〕,PP122参照)。従って、4, bが定数の 数φ・(κ)にκ=κ(力を代入したかに関する超関数φ・ぽぱ)) ときには普通の線形微分方程式として取り扱うことがで
=φ。。κぱ)である。(1)よりκぱ)のκ階微分は定数係数 きる。
α(γ1…,γ・)を用いて っぎに超関数列{φメκ):γε2V}としてRademacher直
禦=認.。α・九一・ 交関数系㎝が選ばれた場合につい壕しよう・
・(♂帯 D)晦(♂幕 )))η×…・(∫… ・))ぴ &M・m・・h・・関数系1・よる形式的線形化
(2) 線形独立な超関数列として,つぎの拡張されたR。d,macher として記述される。∫はκに関しC°°しかもκ( )は(1)の微
関数系を考える。
分方程式の解だから に関し連続である。よって(2)の右
{φ〆κ)}は区間〔初一ρ/2,〃2+ρ/2〕⊂R(〃托1〜,ρ>0)
辺が に関し連続である・これはすべての・について成 上で麟され漣み徽力w,。ド1の直交関数系であ 立するので・・ωは に関しc°°関数である・従って参考 り洛φ㈱の中心肋で高さは1とする.すなわち 文献〔6〕(pp777)より,超関数φ〃=1,2,3,…)に
対しつぎの合成関数の微分 φ゜(x)ニ1 2一ρ/2<κ<幼+ρ/2
⑳醤・ ・・=4鵠・撃4砦ii・)ル倒(3) 如・={一㍑;1ζ蕊
遷㌶・/一を{φ砲):刷に関しフ卿二{一㍑:驚:二雛認1
ロ
_㌫蕊㌶∵)㎞=ピ::濃1二蕊: 侶)
4κ (5) (〃=1・2,3・…,2〃−1)
となる.ベクトル表示で ただし綱=勿一ρ/2+(仁1)躍
である。Fig.1はこの概略図を示す。
眺剛4且φ(・・ ・)+δ(φ(燗))(6) ここで{φ、。):,副の鋤方程式を求める.このた
ただし めκに関する微分を計算すれば
φニ〔φ1,φ・,……,φ・,……〕τ 4φ燗悟=誉1λ、、ωδ、、m(。)+{4φ。㈲/剃 =1
、4= α11 6!12 .°・.・・ α1/V ・…@ ..
α21 α22 ◆・・... α2ハr ....・.
αノV1 α1V 2 ‥ α〜V〃
ただし
λ、1(,)=編一ρ/2=1,λ8、,.,ω=λ沈+ρ/2=1
λ8 (r}=2(−1) }1 (ゴ=2,3, ・・・… ,2「)
となる9)ここでδ、、ω(κ)はκ=s (γ)点以外はδ、、ω(幻=
b=〔α10, α20, ,αNO, 〕7 0であり,しかも任意の可積分関数g(・)に対し
である.φ,・、の値域を包含する線形空間才を齢し(6)を ∫1δ・、綱9・鋤=・(w・)
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を満たすDiracのδ関数である。また{4φア(x)/4κ}は, を
φ,(κ)の不連続点以外における普通の意味の導関数であり, 司r)=〔sgn z1( ), sgn z2( ),……, sgn z,( ),…〕T
ここでは とする。ξ(の=φ(ξ)を満たす点ξεRでもってκ(力の {4φ,(κ)/4κ}=0 解苅力=ξと定める。なおz(のが有限次ベクトル である。従って(3)より z(の=〔z1ぱ), z2(r), …, ZN(∫)〕T
4禦=4鵠)蜘・ ㌶叉)諜驚㌶當欝間幅で存
ア ユ
=Σλ・・ωδ・・《・)(κ(『))ノ〔(ズ( )) 鋤=ξ (12)
となる・ここで右辺をフーリェ展開しベクトル表示すれ で綱の近似解と定める.このときの誤差限界はρ/2・+1で ある。ば㈲より
4φぽぱ))/直=・4φ(κ(∫))+b (9) 次に具体例により数値実験を行なう。
である。ただしAとbの各要素は(5)よりγ=1,2,3,
…,η=0,1,2,3,……に対し ,
鋤一閨F2竃1λ嚇綱∫・・綱此/∬ll2φ1ぽ・血 m−,/2 m
=去竃碗霊2δ・祠・・卿血 偽(功
である。∫(κ)は連続であり,φ。(κ)の絶対値は一定値であ る。故にφ。(κ)の符号が変化する点においては,∫(κ)φ。(幻
にδ関数を乗じた積分値は零である。よって
・m=†(∫(勿一そ)一ノ(解+そ)) 残(カ
+隠(−1)←1∫M))伽(・・m) oo
コ コ
となる.特に,≦㍊蕊( )) い
1 肉ω
m−P/2 m 全 m+P/2
偽ω
φ2ω
鋤一(∫(沈一÷)一∫(吻+号))/ρ
となり,行列Aの右上三角行列の要素がすべて同じ値と φ《X
なる.
初期値φαげ。Dはx=xぱ。)の値を代入したときのγ次 要素φ潮ぱ。Dの値が1,または一1なるベクトルである。
なおφ,ぽぱ。))が不連続点ならばφ,(κ(r。D=0とおく。
こうしてφ(・}の値域を包含する線形空間才上での形式 F1苦1 Rademacher関数系 的線形システム
蜘〃,一脚)+b。( 。)ニφ(鋤)げ OD 4・例題
が⑩より合成された。 システムが
ここで逆に,(1Dの微分方程式の解 X=κ・ κ(0)ε1〜 03)
z(r)=〔z1( ), z2α),……, gN( ),…〕τ で記述される場合において,前節のRademacher関数系 からκぱ)を求める方法について考える。各要素が琢 ) を用いて形式的線形化を行なう。
(γ;1,2,3,…)の符号と一致し絶対値が1のベクトル このときOD式∂z( )/ゴ ニ、4z(r)+bの,係数行列
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・4=〔αrη〕のγ×η要素は
5.結 言 αrカ=−2勿 (γ≦κ)
=0 (γ〉κ) 以上我々は超関数の形式的線形化法について考察し で,係数ベクトル6=〔α70〕のγ要素は た。特に超関数列としてRademache「直交関数系が選ば れた場合の具体的な導出を行ない,さらに数値実験を行
鋤=カ/2夕 なった.これにより形式的線形化法が,瀦の微分がで である・ きない関数に対しても超関数微分を用、、れば有効である
κ(0)=0・53・ z=0・5・ρ=1・0のときのz( ・)は ことがわかった。本稿では,与えられたシステムがC・・実 z( ・)=〔−1,1,1,1,1,−1,−1,−1,−1,1,…〕丁 数値関数の場合にのみ考察されているので,多次元のよ である。Figs、2〜3は考慮するRademacher関数系{φ。(κ)〜 り一般的なシステムへの拡張などについては,今後の研
φMκ)}の次数NをN=1〜10まで変化したときの,ωと 究にまちたい。
02)式により求めた近似値政∫)の軌跡である。なお比較の 本論文は不連続非線形問題を取り扱う場合の,一指針 ため微分方程式03)の解κ(r)の軌跡も図示する。これらの を与えるであろう。 ・
結果により,本手法の有効性が認められた。
1.1
1.0
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
参考文献
1)H・Takata: Transformation of a Nonlinear System into
真値 an Augmented Linear System , IEEE Trans. on Auto.
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一一一一一一『一一一一」
@ 7)LALyusternik and A. R. Yanpor skii: Mathematical Time(S) Analysis , Translated by D. E. Brown, Pergamon Press,1965.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0
Fig.2 N=1〜5次の近似値噸わと真値κ( )
舌.1
−… 茶9 真値
1・0 −一一一N=8 −一一Nニ9
0.9 ・…一 一N=10 r_...._
川
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0.5
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0
Fi苦3.N=6〜10次の近似値取z)と真値ぷ )