同期機の動揺抑制に対する界磁電圧制御への
オブザーバーの適用
(昭和50年5月31日 原稿受理)
第二部電気工学教室上 田 隆三
情報工学教室高田 等
電気工学教室大学院中垣俊平
皿気工学教室高田茂夫
Application of Observer to Field Excitation Control for Suppressing the Hunting of Synchronous Machine By Ryuzo UEDA Hitoshi TAKATA Shu皿pei NAIくAGAKI Shigeo TAKATA
This paper describes the dual mode field excitation eontrol determined with the estimated
、t。te value e・nstm・ted by the・・t・nd・d li・ea・・bserver and imp1・mented f。r supPres・i皿g th・
hunting of synchroコous m且chine、 At the beginning of estimatio叫it is considered that the
estimated values have large error. Therefore, there might be cases which ¢ause instabilitywhil。 implem・nti・g the c・nt・。l d・t・・mined with these estim・ted・・1・…。・t・i・i・g high・・r…
It is reasonable to apply the contr⑪1 after the estimatedΨalues approach the true values w{th.
su缶cient accuracy. The judgement of th已degfee ol observatio口 can be made by using the t。t。1・n・・gy f・耐i。・,・nd・1・・th・d・・l m・d…nt・。1, b…d・・t臨」・dg・m・・t・i・pτ・・ti¢ally
e丘ective for the supPressio皿of huntin9.含している。そこで制動係数および界磁時定数を考慮し 1・ 序 論 た実際的系に対して,直接最小時間制御問題を解くこと
電力系統の過渡安定度を向上させるために,同期機の をせず,上記のエネルギー関数をこの系に対して構成 界磁電圧制御に関しては数多くの研究があるu剛。鉦者 し,界磁電圧の切換を,オンラインで行なうものであ 等は特に最大原理1〔基づいた最小時間制御が系統の安定 る。この界磁電圧のBang−Bang制御で・最終定常点の 性向上に極めて有効適切なる方策となりうることを示し 近傍に設定した線形化領域内に状態点を移行させる。次 た4}相。しかし,これはその理謝内卓越性にもかかわら に最終定常点への収束を速くしかも非振動的に行なうた
ず,実系統へのオンライン適用が極めて唖である。そ めi・m・ltip1・−r・・t・・gi・・の総を導入して聯フィ、こで鞠等は,最小時酬御1・よる酬班のB・・g− 一ドバッ酬恥行なう・いわゆるDu・IM°deC°n−
B・・g切換をP。n・,y。gi・の切換閲数の代剖1ごエネ t・・1である61・しかしこのような制御を斯するため1こ
ルギ珊数による手法について酬した・。剛臓剛 は詮ての酬が曽rに既知で鮒ればならないが・一般 特性は調鵬数および界剛定数を儂醐すると,節 に全ての状態剛接姐測できるとは限らない・モこで本角に関して2階の微分方程式で記述され,力学的保存系 稿では,観測を一サイクル応答平均値検出器丁川こより行
として表わされる.この系に対し酬,揺抑制を界蹴圧 なうことを1]町提として鋼1幽の動揺方程式を離散イヒ近の高々1回の切換で行なうものと仮定すると,その切換 似し,それに基づいて拡張線形オブザーバー8}を構成
時間はエネルギー関数を用いてオンラインで構成でき, し,これを用いて文献6)の方法により制御を行なった
かつこ櫨,物理的に意味のある負荷角の制御醐を包 場合について検討する・オブザーバーによって得雌定位で制御方策を決定する場合,次のような問題が生じ ε∫、1誘起電圧 る。すなわち推定開始直後では推定誤差が大きく,推定 吟d:界磁電圧 開始直後からの推定苗で制御を実行すると,同期機の動 ∫∫が界磁電流 揺を却って大きくする場合があるので,制御開始は推定 P」.:機械入力
値が真値に十分近づいたと考えられる時点から行なうこ 飢負荷角とにする。電力系統の状態推定に関して,拡張線形オブ である。また系統定数を
≧:畿灘麟麗㌶讐:議1 ぽ(M二旦 ω)
れない状態値の推定には・かなりの時間を要することが・ θエ=1.0,エ,=1、0,7㌔1=0.ユ,P .=0.8
文献9)および繊文でも醐された・モオ・故観測雛 に選ぶ。
規範のみでは全推定値が真値に十分近くな・ったと判定す .
るのは泌ずし樋脈はない.そこで,オブザーパー 酬は速麟動分δを選び制酬始までは界磁碇 の収束性の齢を測る盛更},導入する必要がある.動 常臓すなわち輪=1・°…一μ…=1・°…」が・印 揺耀式の制臓数を顯すると,保存剰、なるので運 加されているものとする識械入力P・・は二定である 動エネルギーとポテンシ。ルエネルギーとの机すなオコ が未知とし1オブザーバー1こより遠度鋤分δを観測し
ち全エネルギー値は_定である。この全エネ、レギー齢 て・δ・δ・P ・酬定する・
定まると運助は・一意に決定されるという性質に着目し 3,拡張線形才ブザーパーの構成
て,オプザーパーによる推定値でこの量を計算し,これ
塒間に対してほぼ_定と考えられるようになっ塒点 嚇筋程竺(ツこおいて,
を,推定値が真値に十分近づいたと判断し,この時点よ 荊=δ エゴ=δ Xユ=P n (2)
り制御を開始する。そこで,本論文では制動係数は零と とおくと・
灘1欝㌫驚::㌶ {ii≡ニー 間
2 同期機の動特性 なる状態変数表示が得られる。
ただし,
お三r大酬直結し醐㈱象とし 次の仮定を 弓(e,ε丘。 よ田)担一(輪一』)
(1)同期機は制動巻線を持たず・かつ機械的制動係数 観測yは,1サイクル応答平均値検出器を用いて得るの
は無視でき・回転子は円筒形である・ で.電源1周期敏徽的な値を採る。(2)電機子抵抗,変圧器起電力は無視する。
王止二工2卍 (4)
(3)電機子誘起電圧は,界磁電圧と一次遅れの関係に あり,かつ界磁電流に比例する。 ただし・
(4)藷量の表示は,単位法による。 x・.冶…エ・(r・)r・全訂ルニo 1 2・…
このとき,同期機の動特性は次のように表わされる。 r:電源の周期
{三叉∵ ①翌欝 1::
(8右α: ∫4) と表わせる。(5)式の充工)を周期rでテーラー展開
ここで, すると,⊇伽速度嚇縦出力( 2.厚ルrニ ω) エ・一σω ω
x、:同期リアクタンス なる離散化近似方程式が得られる引。(6),(7)式より拡
丁、1,界磁閉路時定数 張線形オプザーパー・・を綱すると.(占一D段におけ
θ、:母線電圧 る推定値よ吉一1膚一、が与えられた場合の占段における推
定1直㌫汁は,次式で与えられる。 ただし・
三燃_よ_+κ、( A〃竃一〃畳凄_1) (8) ρ・=F・−1P・−1F・−1
オブザ_パ_ゲインπ、は,文献(・o)にi達って, 即=Q許百「c謹・
κ鳶=Q魔」君臼τ魂逼r『÷C歯)−1 すなわち・
P歯=臼一」輪百A)Qよ
・1(・ad) P・・c・(占一・,2ド・う・正定値対称行
列の範囲で任意に選ばれる係数行列
3.0 このようにオブザーパーゲイン」K止を選ぷと,線形化して得た誤差遷移式
e =(jrn一頁よ互よ)Fトle歯_11止_!
2.5 (10)
において,誤差の収束性
11 是1鳶11→0(A→o◎) (11)
2』
@ ノ 酬証される1°㌔
4.オブザーバーの推定度合の判定
1.5
1』
0.5
0
X1 3・ に基づいて構成した拡張線形オプザ
, 一パーによる推定結果を図1に示す。ただ し,初期其値,先験値をそれぞれ次のよう㌃1 {茎1:三1:1:i:::1:::1::隠欝)
ノ モの際、P。,qをP。=0.001エ(∬:単
/ 位行列),qニ1.0×10−〒に選んだ。
/ 図の(a)は荊,泊,(b)は為,泊,(c)は
屯,拘の時閥領域における特性である。
ハ へ
図1(n),エ1と司の特性 吟=(バーP蠕)2 (12)
. ただし,
・(・ad/・) x2 γ、,,一』。。歯
6.0
で定義したときの特性を(d)に示す。(b),
一 (d)より明らかなように,直接観測する状
ム
態値為に対する推定値竃牌は極めて,
4・O x2 収束が速く,これにより推定の度合を判定 するのは,困難である。そこで次に示すよ うに系の全エネルギーを推定の度合の判定
2.0 に用いる考え方,およびその計算結果より判定のために使用可能なことを示す。 (3)
式におけるエネルギー超分E
・。 1。 2i 3。,4。』『蹄t・! r・…一加・s・1−・〔E・
図1(b).エ2と三窪の特性 (13)
x3
L5
1.0
α5
(」・A−y杜ア
x3
@ ∠(\へ
0
0 10 20 30 40〔Hert s)
図1(の.エユと三,の特性 10
は,常に一定値を採る。ただしE。は,積分定数であり 任意に選ぺるが,ここでは(3)式の最終定常値
{;;≡鷺1(ε、e晶 工虜)) 陶 ム輌㌫=
によってE。を ・ に選ぶ。(13)式のEは,運動エネルギーT,ポテンシヤ
Eo=:加08x11十 κヨ1エ11 (15) ルエネルギーγを
Eハ
20
18
16
14
10
0 10 20 30 40 250(Hertz)
図1(e).」宮の特性
丁亭 禦8電圧⑭晦飽㎎制御で与えられるζと
γ=_b(cosxrcosエ11)_c(為工1−x31x11)(16) (20)式のHamiltonianは・補助変数(ψ1・〜ρ2)を 導入することにより
で定義すると,
才二=: 1断1」ピ2一トψF2{ニー占(]L十μノ)sillx1十P用} (22)
E二=丁十γ (17)
となる.モ轍描定値☆, で与えられる111・補臓数ψ辿の満足すぺ詰融
は,
ぬ ム
ので・xnぷ・エ31.勒は・A段において推定した最終定常 である。
値で・次のように与えられる・ また,操作量」 ∫は,潔を常に最大にするように,
ム ハ
エ3LA A=x3・輪 μ〆=1・51 n(一再siロエ1) (24)
隻一一
o㌻(』)li:1::1;:} :三㍍蕊竺:㌶:諸㌶::
このεぽ酬比鯛係にほぼ_定と翫られる の位緬醐を眠ωに示す・
ぬ
ようになった時点は,E身が力学的性質を満足するよう X2
S
A c, ・ F
になったことを意味するものと判断する。すなわち,推
ハ コ
定仙工惜が,真値エに一1 分近づいたと考える。そのこ (の ハ とを確認するためにEの特性を(e)に示す。これより
Eを上述のように考えることにより,推定の度合を判定
11 1
:i l B
l : 1
できること力卵る・
@ u(・1)川 1
5。Dロal Mode Controlによる界磁電圧制御の構成 (b)
x1
5−1.時定数τ1d1を無視した場合
界磁電圧制御は,定常励磁(eん。=1.Op.。.,」 ∫d。=1.0
,.,.)の上に誘起電圧の±1剛.までの変化が許容できる
A C l
1 、 F
l x】
S
B
ものとして鮒る・ま酬磁閉路時定数r沮輪図2ω L1瓢特雀)エネ」レ鞠数
=0とする。このとき,(])式は,2次保存系になる。
F点は,最終定常点で,軌道(ぬF),(』ヌF)は,拘=
{王=陥,, (2・) +・,・・一一ユ裡点に到違するもので・(2・)式のエ
ネルギー積分より(21)式を考慮すると, 拘=一占(1Tμ∫)Slnx1十P用 ただし,
(P・一」竪)(聞≦・)
ここで,叫は界磁制御電圧である。
系が,最初何等かの外乱で動揺しているとき,最終定
常点㈹・告・1−2占(・…1−・…11)
−P■(よ1−Xl1)==0 (25)
(BF)卓1−P・(エ1一工11)一・
である。図の(b)ではこれに対するポテンシャルエネ
る。ζのとき、最大原理川に基づいた最小時間制御が, すなわち全エネルギーは・常に0である。図2(ので例
えば初期点がC点工。であるとして,切換の過程を説 とおいた,
i籔議籔欝翼蕊{i三三蕊蕊) 働
点」Fに到達する。このとき,軌道(C5)は,
ただし,
Tx;一丁・』rP・(工1一工10)一・ (27) (・ ・・−1+・の
で,π∫を(29)式の切換関数∫晶 で決定することにょ ただし,
り,最終定常点Fの近傍に移行させることができ,こ エ・=(工!o,エコo)丁 のときのD。。IM。d,C。n・,。1の結果細・1、示す。
である。この際・ポテンシャルエネルギーUc5は・ ただし,時定数τd1により遅れを描伍するために,〃〆 σ・・一一P。(工1一工10)づ婿・ (28) を(3°)式の代わ眺
であり・図(b)i・示すよう1 σ・・と恥の交点8 ・2(rad/・)
が切換点である。すなわち,切換関数S目 を,
5即=び晶F一こノcs (29)
で定義すると,彫は, 4.0
〃∫=1・5fr (∫w) (30)で与えられ,切換がエネルギー関数によりオンラインで 決定できることがわかる。実際,これにより最終定常点
Fに制御できることを,図3に示す。ただし,ここで用いた苅,エ2の初期値は,4・で与えたときのものであり,
また最終定常点Fは,
エロ=0.927,エ21=0
である。
x2(rad/s)
4.0
3.0
x1(rad)
図4 位相面軌道(Td 1=0.1)
2.0
・ 一{:蕊)ll:ゴに1 (32)
1・0 で定めた。初期点,・最終定常点は,4.:および5・1・で 与えたものを用いている。線形フィードバック制御をδ 嵩1(エad/s)の点から行なった。このときのフィードバ 0
馳位相面軌道(T・1一剛 14;131 還㌫篭する蹴合の判定の必要性
5.z時鰍陥を考慮した場合 全ての状態値が磁鰻測できない船aに従って
次剛定数r。、を籾すると,(2)式よりエ、・㌔ 蹴したオブザーパ叫・よる推定値で,制筋鮭決定
x2(rad/s)
8.0
6.0
4.0
F
0
LO2.0
一2.0
一4.0
一6.0
一8.0
2.o XI(「ad) 1.。
図5 位相面軌道
x1(red)
する際,推定誤差が比較的大きいと考えられ −4・0 る推定開始直後から5−2.の制御を行なった
場合の結果を図5に示す。ζれより推定聞始
噸から制御桁なっても継定鮪の近傍 一5』
に状態を移すことができないことがわかる。
5−4・ 推定度合の判定により制御を開始し _6』
た場合
御蕊言匡癬漂欝黙↑ 図6位相面軌道
は位相面軌道で,図7は時間領域における特性である。 制のために適切ではなく,本手法で示したように推定の 線形フィードバックしたときの固有値をλ1=λ2=㌔ 度合を判定して制御を開始するのが望ましいことがわか
= 14・0に採って・フィードパックゲインを定めた。 る。しかし,ここで示したように速度変動分のみの観測
図7のβ・LはそれぞれBaロ9−Bang制御、線形フィ で負荷角,機械入力を推定するにはかなり時間を要する『一
hバック制御の開始時を示している。 のでこの点の改善が望まれる。
6.結 齢
参 考 文 献
雌誤差が大きいと考えられる時にその推蹴で 制 工)エILA・d・・s・・,・Th_n・.。1。fr。,h,。.
御描麟定して制雛行なうことは・1司期機剛揺抑 ・。・・m・・hi・e・・i・g・・tim・1・・nt・。1・h・・,,・・,
x1(rad)
1.5
1.0
0.5
ノ ノ
晃1 / i xエ_−F
4 ■ 4
1 1
ノ i i
ユL
O
O 10 20B 30 40 (Hertz)
A
図7(的.識と司の特性
x2{rad/5)
6』
4.0
2』
0
一2.0
一4、0
一6.0
L
10 20B 30
40
x2
{i≒lel,tz.:
直
図7(b).x2とエ2の特性
Pエoceedi皿gs of IEEE, Vo1.99, No」, pp.25− pp.316−329. April 1969.
2)35 jJC・蒜ll:。。nd呈凡Y_m。14)且蕊laもこ惣:罐i:、lb認1晋
P。w。, sy,t。ms st・hili・aH・・th・。・gh…it・− sy・・h・…u・m・・hi・e門, El・・t・i・・1 E・ginee「1ng
ti。。。。dノ。・9・v・m・・C。・t・・1・, IEEE T・…a− i・J・p・叫V。L 88, N・・12, PP・・2−52・Dece ctioロs on Power Apparatus and Systems, Vol. mber 1968.PAS.91、 N。.3,凧1166.1974, M・y/」…,1972. 5)S. T・k・t・, E・Oh…nd Y・N・g・n・叫 Su
3)。f㌃,霊蕊㌶蕊ご:㌃麗 。:C還ご1 霊謡:::11芸霊1言;;籠㍑麗゜蕊
by。。。it。ti。_・…1・,・EEE T・a・・a・・i・・・・・ …i・・1 E・g・ee・i・g i・J・p・n・V・L 88・N°・2 Power Apparat凹s and Sy5tem島, Vo1. PAS−88, pp.28−37、 Febr岨ry 1968.
6) S.Tnkata and R. Ueda, A dual mode exci・ 9) R. Ueda, H. Ta1£ata, S. Nakagaki&STa−
tatioロ control of synchronous machine for kata, On the estimation of transient state suppresing its hunting ,, IEEE T臼nsactions of power system by discrete nonlinear obse−
on Power Apparatus and Systems, Vo1. PAS− rver, , presentod at IEEE 1975 Sum皿er Mee−
90,No.4, PP.1541−1545, July/August,1971. ting証Sa且Fmncisco.
7) S.Takata, R. Uedn, E. Ollta&II. Nakashi− 10)高田等,上田陸三,高田茂夫, 離散形線形時変