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博士(医学)尾崎義丸 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(医学)尾崎義丸 学位論文題名

脳腫瘍放射線療法の臨床病理学的検討 学位論文内容の要旨

    はじめに

  最 近の 脳腫 瘍病理診断には免疫染色が導入され, より精度の高い診断が下されるようにな っ てきており,さらに細胞増殖カや癌抑制遺伝子変異の有無の検索なども加わってきてぃゝる.

こ れ らの 指標 に加えて新たに画像所見と組み合わせ た病理学的検討は,従来の報告よりもさ ら に詳細な情報を提供するものと期待される.その上で腫瘍の病理診断により放射線治・療効 果 の 判定 が検 証されれば治療方針の決定に反映され るし,逆に放射線抵抗性の腫瘍と判明す れ ば 医療 過誤 を是正することが可能となりうる.さ らに,これらの知見は腫瘍に於る放射線 感 受 性や 抵抗 性を規定する遺伝子の同定と単離に貢 献するであろうし,将来の遺伝子治療へ の 基 礎的 知見 ともなりうる.このような背景の下に 我々は,放射線照射後,腫瘍の再発のた め 手 術と なっ た症例の手術標本を用いて,放射線照 射特異的な脳の病理所見の把握と有効症 例 の 特徴 を明 らかにする事を目的として臨床病理学 的に検討を加えた.対象として.非放射 線 症例と対比し,放射線照射による種々の病態を提示することが可能となったので報告する.

    対象と検索方法

1.対 象と 細分 類: 中村 記念 病院(1993年1月〜2000年3月 )に て放 射線 療法施行後に腫瘍が 制御されず,外科手術を施行した症例42例(男性/女性:25/17,平均年齢52.5[25‑71]歳)を対 象と した .対 象の 病理 学 的診 断はschwannoma4,craniopharyngioma[cranio]2,glioma 16 (diffuse astrocytoma[DA]3,anaplastic astrocytoma[AA]4,glioblastoma[GB]5,anaplastic oligoden(lroghoma瞼O]2,ependymoma2),meta8tatiCbraintumor[meta]20であった.非 放射 線照 射対 象例 とし て58例 の手 術標 本も 合わせて組織学的に検討した.再 発期間により1 年 以 内 をearlyregrowth[ER] 群 ,2年 以 上 をdelayedregrowth[R] 群 と し , そ の 間 を intermediateregrowth[IR]群とした.

2. 放 射 線 治 療 : 照 射 線 量 はgammakniferadiosurgery盻KRS] 法 の 境 界 線 量 は8〜30Gy で,X線拡大 局所外照射の総線量が50〜61.6Gyであり,1)照射直前,2)照射効果による腫瘍 最小 縮小 時,3)再発 後の手術直前,の腫瘍体積を脳MRIにて腫瘍径を測定しっ腫瘍体積を概 算 し た . 治 療 効 果 は 腫 瘍 体 積 の 変 化 を RECISTcriteriaに 従 い 記 載 し た . 3. 病 理 学 的 検 討 :hematoXylin−eoSin染色 にてSChWannoma,glioma,metaで はbiZarre nuclei,broadhyalinelesion(本 検討 にお いて腫瘍組織内にみられた長径1mm以上にも及ぶ 幅広 い血 管結 合織 のhyahnizationで,我々はこの 所見をbroadhyalinele8ionと仮称した),

腫瘍壊死などの有無を記載した,cranloでは広範なghostce11s,keratin物質の有無を検討し た . 一 部 の症 例にp53,CD34,CD68,caspase3の免 疫染 色,TUNEL法を 用い たapoptosis検 出 の た め の 染 色 を 行 い , さ ら にMIB,1染 色 に よ る 増 殖 能 の 検 討 を 加 え た .

539 ‑

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4.遺伝子検索:p53免疫染色の施行16症例にでp53 gene mutation確認のため,exon5 ‑‑8 のPCR‑SSCP法を施行した.DNeasy Tissue Kit (Qiagen,CA)のprotocolに従って,parafin blockか らDNAを抽 出 し,PCRを 施行 し た .PCR反 応後exon5,6,7のPCRproductsは 15℃でっexon8は10℃でSSCPを施行した,

    結果及び考按

@腫瘍の組織別に放射線治療による縮小率,治療後の再発期間を調ベ,次の結果が得られた.

脳MRI診断を用いた体積解析では,42症例中,放射線照射後に一時的な腫瘍体積の縮小30% 以上を示し,CRあるいはPRと判定されたものは14例(33.3%)であった,再発期間の検討では schwannoma、cramoの大部分がDR群に属し,緩徐な経過を示した.再発期間中央値は,

gliomaではDAが1.08年,epen(lymomaでは4.5年と著明な差を認め,ependymomaの放射線 感受性が示唆された.AA例では中央値3年,AO例では2.25年とDA例よりも緩徐な経過を示し た.またGBの再発期間中央値は3.04年であった.

(參病理学的にSChWannomaではbiZarrenuClei, broadhyahnele8ion が,CraIdoでは広範な ghOStCeuSが ,ghomaおよびmetaではtumorのcoagulationneCrOSi8,血管壁の6brinoid necr08i8が放射線照射効果の判定に有用と考えられた.またghomaではgradeu,mの症例 でtumorneCrOSi8,Va8CularhyahniZation,gradenの症例で iまbiZarrenuCleiも照射効果判 定の指標となった.

◎画像にて腫瘍影の増大のもとに再発と診断された症例の中に,病理学的に腫瘍の再発では なく,腫瘍壊死であった症例やma8siveproteinexudateからなる症例が存在した,このこと は , 今 後の 画 像 解析 で ,MRS,PET SPECT等 の 機 能的解 析の必要 性が示唆 された.

@GKRS法後のmetaの例では,TUNEL法,ca8pase3免疫染色で腫瘍細胞の広範なapoptosi8 所見を認め,しかもp53免疫染色で強陽性の症例が存在した.しかし,PCR・SSCP法ではp53 のmutationは 陰 性で あ った . ま たmetaの11例13検体 中10例12検体 でp53免疫染 色が 陽性であったが,PCR‐SSCP法でp53変異が確認されたのは5例6検体しかなかった,これ らの所見から放射線照射による遺伝子異常を伴わないp53が誘導されている可能性が示唆さ れた.しかし,p53変異と放射線感受性や抵抗性を明らかにするためには,さらに多数例での 解析が重要であると思われた.

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

脳腫瘍放射線療法の臨床病理学的検討

  放 射 線 照 射 後 , 腫 瘍 の 再 発 の た め 手 術 と な っ た 症 例 の 手 術 標 本 を 用 い て , 放 射 線 照 射 特 異 的 な 脳 の 病 理 所 見 の 把 握 と 有 効 症 例 の 特 徴 を 明 ら か に す る 事 を 目 的 と し て 臨 床 病 理 学 的 に 検 討 を 加 え た . 対 象 と し て , 非 放 射 線 症 例 と 対 比 し , 放 射 線 照 射 に よ る 種 々 の 病 態 を 提 示 す る こ と が 可 能 と な っ た の で 報 告 す る ,

  放 射 線 療 法 施 行 後 に 腫 瘍 が 制 御 さ れ ず , 外 科 手 術 を 施 行 し た 症 例42例 を 対 象 と し た . 対 象 の 病 理 学 的 診 断 はschwannoma4,craniopharyngioma[cranio]2,glioma 16 そ の 内 訳 は diffuseastrocytoma[DA]3,anaplasticastrocytoma[AA]4, glioblastoma[GB]5,anaplastic oligodendroglioma[AO]2,ependymoma2で , ま た metastatic brain tumor[meta] 20で あ っ た . 非 放 射 線 照 射 対 象 例 と し て58例 の 手 術 標 本 も 合 わ せ て 組 織 学 的 に 検 討 し た . 再 発 期 間 に よ り1年 以 内 をearly regrowth[ER]

群 ,2年 以 上 をdelayed regrowth[DR]群 と し , そ の 間 をintermediate regrowth [IR]

群 と し た . 照 射 線 量 はgamma knife radiosurgery [GKRS]法 の 境 界 線 量 は8〜30 Gy で .X線 拡 大 局 所 外 照 射 の 総 線 量 が50〜61.6 Gyであ り,1)照 射直 前,2) 照 射効 果に よ る 腫 瘍 最 小 縮 小 時 ,3) 再 発 後 の 手 術 直 前 , の 腫 瘍 体 積 を 脳MRIに て 腫 瘍 径 を 測 定 し , 腫 瘍 体 積 を 概 算 し た . 治 療 効 果 は 腫 瘍 体 積 の 変 化 をRECIST criteriaに従 い 記載 した . 病 理 学 的 に はhematoxylin‑eosin染 色 ,p53,CD34,CD68,caspase3,MIB‑1の 免 疫 染 色TUNEL法 , p53 gene mutation確 認 に てexon 5〜8のPCR‑SSCP法 を 施 行 し た .   腫 瘍 の 組 織 別 に 放 射 線 治 療 に よ る縮 小率 ,治 療後 の再 発期 間を 調ベ ,体 積 解析 では , 42症 例 中 。 放 射 線 照 射 後 に 一 時 的 な 腫 瘍 体 積 の 縮 小30% 以 上 を 示 し た も の は14例 で あ っ た . 再 発 期 間 の 検 討 で はschwannoma,cranloの 大 部 分 がDR群 に 属 し た . 再 発 期 間 中 央 値 は ,gliomaで はDAが1.08年 ,ependymomaで は4.5年 と 著 明 な 差 を 認 め , ependymomaの 放 射 線 感 受 性 が 示 唆 さ れ た .AA例 で は 中 央 値3年 ,AO例 で は2.25年 と DA例 よ り も 緩 徐 な 経 過 を 示 し た . ま たGBの 再 発 期 間 中 央 値 は3.04年 で あ っ た . 病 理 学 的 にschwannomaで はbizarre nuclei, broad hyaline lesion が,cramoでは 広範 な ghost cellsが ,gliomaお よ びmetaで はtumorのcoagulation necrosis, 血 管 壁 の fibrinoid necrosisが 放 射 線 照 射 効 果 の 判 定 に 有 用 と 考 え ら れ た . ま たgliomaで は gradeH,niの 症 例 でtumor necrosis,vascular hyalinization,gradeuの 症 例 で は bizarre nucleiも 照 射 効 果 判 定 の 指 標 と な っ た , 画 像 に て 腫 瘍 影 の 増 大 の も と に 再 発

郎 男

和 和

嶋 坂

長 官

授 授

教 教

査 査

主 副

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と診 断さ れた症例の中に,病理学的に腫瘍の再発ではなく,腫瘍壊死であった症例や massive protein exudate か ら な る 症 例 が 存 在 し た. GKRS 法 後 の meta の 例 で は,

TUNEL 法 , caspase3 免 疫染 色で腫 瘍細 胞の 広範 なapoptosis 所 見を 認め ,し かも p53 免疫 染色 で強 陽性 の症 例が 存在 した .し かし, PCR ーSSCP 法 では p53 のmutation は陰 性で あっ た. また meta の11 例13 検体 中10 例12 検体でp53 免疫染色が陽性であったが,

PCR‑SSCP 法 で p53 変異 が確 認され たの は5 例6 検 体し かな かっ た. これ らよ り放 射線 照 射 に よ る 遺 伝 子 異 常 を 伴 わ な V p53 が 誘 導 さ れ て い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た ,    公 開発 表に当り,副査の宮坂教授から再発腫瘍の画像と病理との関連性,放射線効 果に よる 壊死 と生 物学 的増 悪に よる 壊死 のMRI 上の 鑑別 、masslve protein exudate の MRI 所 見 に つ い て な ど に つ い て 、 同 じ く 副 査 の 岩 崎 教 授 よ り 、 gamma‑knife radiosurgery と局所外照射の個別的検討について<時系列で表現された成果に関して、

放射 線感 受性 およ び抵 抗性 に関 する p53 以外のfactor に関してなどの質問があった。

最後|と主査の長嶋教授より,gamma‑knife の後、脳腫瘍が腫脹を示す報告例について、

転移 性脳 腫瘍の予後についての質問があった。これらの質問に対し,発表者はほぼ妥 当な解答をしていた。

   こ の論 文は ,gamma‑knife 照射 後の 手術標本を用いて,病理学的のみでなく,臨床 的な 解析 もなされていることで高く評価され,今後の脳腫瘍放射線治療における腫瘍 別の感受性,抵抗性の解明に大きく貢献し,期待される.

   審 査員 一同は,これらの成果を高く評価し,大学院課程における研鑚や取得単位な

ども 併せ 申請者が博士(医学)の学位を受けるのに充分な資格を有するものと判定し

た.

参照

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