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第2章 南部地域の現状と課題

2-1 チュニジア及び南部地域の概要 2-1-1 チュニジアの概要 (1)国土 チュニジアは、地中海の南に位置し、西 にアルジェリア、南東にリビアと国境を接 する。 国土面積は、16 万 3,610 km2で、 わ が 国 の 面 積 の43%にあたる。国土は、北 部の小高い丘(テル)に覆われた緑の多い 山岳地帯のテル地域、中部のステップ気候 の草原が広がるステップ地域、南部の広大 なサハラ砂丘・ショット(塩湖)・草木の 生い茂ったOasis(オアシス)などがある サハラ地域と大きく3 つの地域に分けるこ とができる。 北部地中海沿岸は、地中海性気候で年間 降雨量が多く、 首都チュニスで 470mm 前 後、 北 端 の ビ ゼ ル ト で は1,000mm を超え ている。北部地中海沿岸にはテル山地があ り、その谷間を北東にメジェルダ川が流れ ている。メジェルダ川流域にはチュニジア で最も肥沃な穀倉地帯であるメジェルダ平 野が広がっている。メジェルダ平野の南に は、アルジェリアから続くアトラス山脈が 伸びており、国内最高峰であるシャンビ山 (1,544m)以東がドルサル山地となってい る。なお、北部では冬に雪が降ることがあ る。 ドルサル山地が地中海からの湿気を遮る ため、ドルサル山地より南はガベス湾岸ま でステップ気候となっている。ドルサル山 地 以 南 の 西 部 地 域 の 標 高 は400m ~ 800m で、 東 部 地 域 の 標 高 は400m 以下である。 東部地域はステップ平原と呼ばれている。 ス テ ッ プ 高 原 の 南 に は5,000km2の ジ ェ リド湖(塩湖)がある。南部地域は沿岸部 を 除 い て、 砂 漠 気 候 の サ ハ ラ 砂 漠 が 広 が り、春から夏にかけてサハラ砂漠から北に シロッコと呼ばれる熱風が吹き出す。ガベ

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ス県のマトマタ辺りから南東にダール丘陵がリビアまで続く。ダール丘陵から東には標高 200m 以下のジェファラ平野が広がる。ガベス湾の沖にはジェルバ島が存在する。 (2)人口・民族・言語 チュニジアの人口は2010 年で 1,054 万 7,000 人と推計されている。人口密度は 64.5 人 / km2で、日本の1/5 以下である。首都のあるチュニス地区は全人口の 1/4 近くを占めてい る。近年の人口は年率1%程度で増加しており、この増加率が現在まで同様と仮定する と、2012 年央の人口は 1,075 万 9,000 人と推計される。 表2-1 人口の推移 2006 2007 2008 2009 2010(構成比) 人口(7 月 1 日、千人) 10,128 10,225 10,329 10,440 10,547 (100%) 増加率 --- 1.0% 1.0% 1.1% 1.0% ---男 5,062 5,105 5,156 5,207 5,26250%)5,066 5,120 5,173 5,232 5,28550%) チュニス地区 2,314 2,348 2,381 2,408 2,44423%) 北東部 1,413 1,425 1,440 1,457 1,47014%) 北西部 1,215 1,214 1,215 1,218 1,21912%) 中東部 2,309 2,344 2,380 1,418 2,45323%) 中西部 1,371 1,377 1,286 1,395 1,406 (13%) 南東部 933 940 947 957 9639%) 南西部 573 577 582 586 5936%)

出所:Annuaire Statistique de la Tunisie 2010, Institut National de la Statistique

チュニジアの人口の約2/3 を 15 歳~ 59 歳のいわゆる経済活動人口が占めている。しか しながら、チュニジアの人口構成もいわゆる釣り鐘型に移行しており、長期的には若年労 働者人口、ひいては労働者人口の数が減少することが予測される。 表2-2 2010 年における年齢層ごとの人口構成 年齢層 人口(千人) 構成比(%) 60 歳以上 1,048 10 59 歳~ 15 歳 7,003 66 5 歳~ 14 歳 1,644 16 0 歳~ 4 歳 853 8 合計 10,547 100

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-12 - チュニジア国民の約98%はアラブ人、ベルベル人の血を引いているといわれている。 人口の1%をフランス人、イタリア人などのヨーロッパ人が占めている。チュニジアには ジェルバ島を中心にユダヤ人のコミュニティがあり、その歴史は長いが、1900 年代半ば まで10 万人いたユダヤ人の人口は 2003 年までに 1.500 人に減少した3。公用語はアラビア 語である。チュニジアのアラビア語は他のマグレブ方言と同様にベルベル語の語彙を含ん でいるといわれている。

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いる。人口の

1%をフランス人、イタリア人などのヨーロッパ人が占めている。チ

ュニジアにはジェルバ島を中心にユダヤ人のコミュニティがあり、その歴史は長

いが、

1900 年代半ばまで 10 万人いたユダヤ人の人口は 2003 年までに 1.500 人に

減少した

3

。公用語はアラビア語である。チュニジアのアラビア語は他のマグレブ

方言と同様にベルベル語の語彙を含んでいるといわれている。

出所:La Tunisie en Chiffres 2009, Institut National de la Statistique

図2-1

2009 年における人口ピラミッド

(3) 政治

1959 年に公布された憲法により、チュニジアの政治システムは世俗主義的民主

制となっている

4

。行政執行は大統領・首相が行うが、首相の任命権は大統領にあ

り、首相は大統領の補佐である(憲法第

37 条)。大統領は、首相の提案に基づい

て閣僚の任免を行い、閣議を主催する(憲法第

37 条)。首相・閣僚の機能は指示

された政策の実行(憲法第

57 条)することである。大統領は、任期 5 年の公選制

で、再選制限はない(憲法第

50 条)。

立法権は国民議会(下院)にあるが、立法権についても大統領に優越が認めら

れている。

2002 年の憲法改正により上院の創設が決められ、2005 年より二院制

に移行した。国民議会議員は任期

5 年の公選制で(憲法第 18 条・第 22 条)、定員

214 名である、上院の議員の任期は 6 年で、半数が 3 年ごとに交代する(憲法

22 条)。定員は 126 名で、85 議席が間接選挙により、41 議席が大統領により

任命される(憲法第

19 条)。

3 http://country-facts.com/ja/country/africa/85-tunisia/910-demographics.html による。 4 「チュニジア現在の政治体制・政治制度」一橋大学大学院社会学研究科准教授福富満久氏執筆

出所:La Tunisie en Chiffres 2009, Institut National de la Statistique

図2-1 2009 年における人口ピラミッド (3)政治 1959 年に公布された憲法により、チュニジアの政治システムは世俗主義的民主制と なっている4。行政執行は大統領・首相が行うが、首相の任命権は大統領にあり、首相は大 統領の補佐である(憲法第37 条)。大統領は、首相の提案に基づいて閣僚の任免を行い、 閣議を主催する(憲法第37 条)。首相・閣僚の機能は指示された政策を実行(憲法第 57 条) することである。大統領は、任期5 年の公選制で、再選制限はない(憲法第 50 条)。 立法権は国民議会(下院)にあるが、立法権についても大統領に優越が認められている。 2002 年の憲法改正により上院の創設が決められ、2005 年より二院制に移行した。国民議 会議員は任期5 年の公選制で(憲法第 18 条・第 22 条)、定員は 214 名である、上院の議 員の任期は6 年で、半数が 3 年ごとに交代する(憲法第 22 条)。定員は 126 名で、85 議 席が間接選挙により、41 議席が大統領により任命される(憲法第 19 条)。 憲法は司法の独立を保障している(憲法第65 条)が、裁判官は大統領を議長とする最 高司法評議会により任命される(憲法第66 条)。裁判機構は、破棄院(最高裁判所)、10 3 http://country-facts.com/ja/country/africa/85-tunisia/910-demographics.html による。 4 「チュニジア現在の政治体制・政治制度」一橋大学大学院社会学研究科准教授福富満久氏執筆

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の控訴院(高等裁判所)、24 の第一裁判所(地方裁判所)、83 の州裁判所(簡易裁判所) から構成されている。

チュニジアでは1988 年の憲法改正で複数政党制が認められたが、与党立憲民主連合Rassemblement Constitutionnel Démocratique:RCD) が政治を支配してきた。RCD は 1988 年まで社会主義憲政党(Parti Socialiste Destourien:PSD)という名称で一党支配を行い、複 数政党制承認後にRCD と改称した後もチュニジアの支配政党であり続けた。5 2010 年 12 月にチュニジア中南部で発生した大規模抗議デモを機に反政府デモが全国に 拡大し、2011 年 1 月には 23 年国家元首の座にあったベン・アリ大統領は国外に退去し、 2011 年 3 月には憲法も停止された。2011 年 10 月に実施された新憲法制定のための議会(制 憲国民会議)の議員選挙では、初の自由選挙が実施された。その結果、11 月には第 1 党 (89 議席)となった穏健イスラム主義政党「エンナハダ (再生党)」、第2 党(29 議席)6の中道政党「共和国のた め の 会 議(Congrès pour la République:CPR)」、 左 派 の 「労働・自由民主フォーラム(Forum Démocratique pour le

Travail et les Libertés:FDTL、通称エタカトル)」(第4 党、 20 議席)の間で大統領・首相・国民会議議長ポストに 関する合意がなされ、制憲議会が開催された。12 月に は、CPR のマズーキ党首を暫定大統領、エンナハダの ジェバリ幹事長を暫定首相とする新内閣が議会で承認 され、セブシ移行期政権にとって代わった7。制憲国民会 議は新憲法の起草委員会を設立し、1 年後には国民投票 により憲法を制定した後、新政権を選ぶ総選挙を予定 したが8、同予定は遅れている。 (4)地方行政 チュニジアには24 のウィラーヤ(県)に分かれ、各 県 に は 中 央 省 庁 の ほ と ん ど が 出 先 機 関 を 置 い て い る。 各 県 の 県 知 事 は 中 央 政 府 に よ る に よ る 任 命 制 で あ る。 地方自治体としては県の下に位置する市があり、市長・ 市議会議員は選挙により選出される。 ① アリアナ県(Ariana) ② ベジャ県(Béja) ③ ベンナラス県(Ben Arous) ④ ビゼルト県(Bizerte) ⑤ ガベス県(Gabès) ⑥ ガフサ県(Gafsa) ⑦ ジェンドゥーバ県(Jendouba) 5 Wikipedia から引用 6 所属議員の離党により、2012 年 9 月時点で CPR、エタカトルの議席は、それぞれ 17 議席、16 議席となった。 7 外務省HP(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/tunisia/data.html)より抜粋 8 中東協力センターニュース(2012・2/3)

アリアナ県(Ariana)

ベジャ県(Béja)

ベンナラス県(Ben Arous)

ビゼルト県(Bizerte)

ガベス県(Gabès)

ガフサ県(Gafsa)

ジェンドゥーバ県(Jendouba)

ケルアン県(Kairouan)

カスリーヌ県(Kasserine)

ケビリ県(Kebili)

ケフ県(Kef)

マーディア県(Mahdia)

マヌーバ県(Manouba)

メドニン県(Medenine)

モナスティル県(Monastir)

ナブール県(Nabeul)

スファックス県(Sfax)

シディブジッド県(Sidi Bou Said)

シリアナ県(Siliana)

スース県(Sousse)

21) タタウン県(Tataouine)

22) トズール県(Tozeur)

23) チュニス県(Tunis)

24) ザグアン県(Zaghouan)

(5) 経済

1) 概要

チュニジア経済には小麦とオリーブを中核とする歴史のある農業、

1960 年代半

ばに発見された原油とフランス植民地時代に開発され始めたリン鉱石を主体とす

る鉱業、農産物と鉱物の加工によって成り立つ工業という

3 つの柱がある。

このため他のアフリカ諸国より工業基盤は発達しており、

1 人当たりの GDP は

4,200 ドル(2010 年)であり、モロッコやアルジェリアと共にアジアの新興国

とほぼ同じレベルである。

急速な成長を見せてきたのは縫製業などの欧州諸国の下請け産業である。国内

市場が狭いため貿易依存度が高く、フランス、イタリアを中心とした

EU 諸国との

貿易の占める比率が高い。

2010 年時点の輸出額 164 億ドル、輸入額 210 億ドルの

差額を埋めるのが、

25 億ドルという観光収入である。フランスやリビアに出稼ぎ

(出典)Wikipedia 図2-1-1.5 県の分布 図2-2 県の分布 出所:Wikipedia

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-14 - ⑧ ケルアン県(Kairouan) ⑨ カスリーヌ県(Kasserine) ⑩ ケビリ県(Kebili) ⑪ ケフ県(Kef) ⑫ マーディア県(Mahdia) ⑬ マヌーバ県(Manouba) ⑭ メドニン県(Médenine) ⑮ モナスティル県(Monastir) ⑯ ナブール県(Nabeul) ⑰ スファックス県(Sfax)

⑱ シディブジッド県(Sidi Bou Said) ⑲ シリアナ県(Siliana) ⑳ スース県(Sousse) ㉑ タタウィン県(Tataouine) ㉒ トズール県(Tozeur) ㉓ チュニス県(Tunis) ㉔ ザグアン県(Zaghouan) (5)経済 1) 概要 チュニジア経済には小麦とオリーブを中核とする歴史のある農業、1960 年代半ばに 発見された原油とフランス植民地時代に開発され始めたリン鉱石を主体とする鉱業、 農産物と鉱物の加工によって成り立つ工業という3 つの柱がある。 こ の た め 他 の ア フ リ カ 諸 国 よ り 工 業 基 盤 は 発 達 し て お り、1 人当たりの GDP は約 4,200 米ドル(2010 年)であり、モロッコやアルジェリアとともにアジアの新興国とほ ぼ同じレベルである。 急速な成長を見せてきたのは縫製業などの欧州諸国の下請け産業である。国内市場が 狭いため貿易依存度が高く、フランス、イタリアを中心としたEU 諸国との貿易の占め る比率が高い。2010 年時点の輸出額 164 億ドル、輸入額 210 億ドルの差額を埋めるのが、 25 億ドルという観光収入である。フランスやリビアに出稼ぎしているチュニジア人労 働者からの送金も大きな外貨収入源である。 2) GDP チュニジアのGDP は、2008 年から 2009 年にかけてのリーマンショックとそれに続く 世界不況にもかかわらずプラスの成長を遂げてきたが、2011 年には「ジャスミン革命」 による混乱からの観光収入・外国からの投資の急速な落ち込み、リビアの内戦の影響 など要因から、マイナス成長となった。しかしながら、2012 年には再びプラス成長と なることが予測されている。 なお、チュニジア当局・IMF の合同の予測では、今後 2017 年にかけて GDP の成長率 は増加し続け、同年には6%に達するとされている。インフレーション(消費者物価指 数)は2009 年~ 2011 年にかけての 4%程度に収まってきたが、2012 年には 5%に達す

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ると予測されている。 表2-3 GDP の推移 2008 2009 2010 2011*1 2012*2 名目GDP〔百万 TD(チュニジア・ディナール)〕 55,296 58,768 63,380 64,802 70,402 名目GDP (10 億米ドル) 44.9 43.5 44.3 46.0 46.1 GDP デフレーター 6.1% 3.1% 4.7% 4.1% 5.8% 消費者物価(平均) 4.9% 3.5% 4.4% 3.5% 5.0% GDP 実質成長率(%) 4.5% 3.1% 3.0% -1.8% 2.7% 1 人当たり GDP (米ドル) 4,346 4,171 4,199 4,320 4,284 国民総貯蓄(GDP に占める割合) 22.1% 21.9% 21.6% 16.8% 18.1% 総投資(GDP に占める割合) 25.9% 24.8% 26.4% 24.1% 25.1% 失業率 (%)*3 12.6 13.3 13.0 18.9 人口 (百万人) 10.3 10.4 10.5 10.7 10.8 為替レート(TD/ 米ドル)(平均) 1.23 1.35 1.43 1.41

出所 IMF Country Report N0.12/255

注*1:チュニジア当局・IMF による推計 *2:チュニジア当局・IMF による予測 *3:ILO の定義による チュニジアの各産業セクターの付加価値額が占める割合は、2006 年~ 2010 年の間で、 各セクターでの年ごとの成長率の違いから若干の変動はあるものの、大きくは変化し ていない。農業/ 漁業、製造業、サービス業はそれぞれ、約 10%、約 20%、約 45%を 占めている。ただし、細かく見ると、産業の高付加価値化をめざして政府が力点を置 いている機械/ 電気製品の生産の占める割合が着実に伸びる一方で、繊維 / 衣服 / 皮革 製品生産の占める割合は漸減しており、近年では前者が後者を大幅に上回っている。 2009/2010 年の農業 / 漁業セクターの実質成長は- 8.7%、GDP 成長への寄与率は- 0.7%(ポイント)であったが、2010/2011 年では好調な天候に恵まれ、それぞれ、9.2%、 0.7%(ポイント)に上昇した。一方、製造業の 2010/2011 年の実質成長は- 0.9%と なった。この原因は、化学製品の生産が大幅に落ち込んだ〔-38%、GDP 成長への寄 与率は0.8%(ポイント)〕こと、建設資材 / 陶器 / ガラス製品の生産が低迷した〔実質 成長は-3.0%、GDP 成長への寄与率は- 0.8%(ポイント)〕ことである。非製造業の 2010/2011 年の実質成長も革命の影響を受けて大幅なマイナスとなり(- 15.1%)、GDP 成長の足を引っ張ることとなった〔寄与率は-2%(ポイント)〕。これは、リン鉱石 (-70.9%)、石油(- 21%)の大幅な減産による。サービス業 / 商業は小幅ながらもマ イナス成長となった。観光は-23.0%と著しく低迷した。観光客は 30.7%減少し、480 万人程度となった。特にヨーロッパからの観光客は-44.1%と大幅に減少し、周辺のマ グレブ諸国からの観光客も18.6%の減少となった。運輸部門も- 7.0%の成長であった。

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-16 - 表2-4 産業各セクターの付加価値額の GDP に占める割合(名目市場価格による) (単位:%) 2006 2007 2008 2009 2010 農業/ 漁業 10.2 9.4 8.4 9.1 8.0 製造業 ・食品加工/ タバコ ・繊維/ 衣服 / 皮革製品 ・その他製造業 ・石油精製 ・化学製品 ・建設資材/ 陶器 / ガラス製品 ・機械/ 電気製品 17.7 3.1 4.2 1.9 1.2 1.6 1.6 4.0 18.3 3.2 4.4 1.9 0.9 1.7 1.6 4.7 19.5 3.1 4.0 1.8 1.7 2.4 1.5 4.9 18.4 3.2 3.7 1.8 1.4 2.1 1.5 4.7 18.4 3.2 3.6 1.8 0.0 2.2 1.5 6.0 非製造業 ・石油/ 天然ガス ・鉱業 ・電気/ ガス供給 ・給水 ・建設/ エンジニアリング 12.1 5.1 0.7 1.0 0.4 4.9 13.1 6.3 0.7 1.0 0.3 4.7 14.3 7.3 1.3 1.0 0.3 4.4 11.9 5.1 0.8 1.0 0.3 4.7 12.7 5.9 0.9 1.1 0.3 4.5 サービス業/ 商業 ・維持/ 修繕 ・商業 ・ホテル/ レストラン ・運輸 ・郵便/ 電気通信 ・金融 ・その他商業サービス 45.0 0.4 8.7 5.8 8.7 4.3 4.1 13.1 44.4 0.4 8.4 5.6 8.7 4.2 4.5 12.6 43.4 0.4 8.0 5.4 9.0 4.3 4.4 11.9 45.5 0.4 8.7 5.5 8.9 4.7 3.9 14.0 45.9 0.4 8.7 5.5 9.0 4.9 3.9 13.6 非商業サービス ・行政サービス 16.9 16.4 16.7 16.2 16.1 15.7 16.7 16.3 16.7 16.2 GDP(要素価格) 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

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表2-5 産業各セクターの付加価値額の実質成長と GDP 成長への寄与 (単位:%) 実質成長 GDP 成長への寄与 2010 2011 2012 2010 2011 2012 農業/ 漁業 -8.7 9.2 2.9 - 0.7 0.7 0.2 製造業 うち食品加工/ タバコ 建設資材/ 陶器 / ガラス製品 機械/ 電気製品 繊維/ 衣服 / 皮革製品 化学製品 1.1 2.2 3.0 25.0 6.0 6.8 - 0.9 0.5 - 3.0 5.0 0.5 - 38.0 2.5 4.0 2.0 3.0 0.5 4.0 0.2 0.1 0* 1.0 0.2 0.1 - 0.1 0* 0* 0.2 0* - 0.8 0.4 0.1 0* 0.2 0* 0.1 非製造業 うち鉱業 石油/ 天然ガス 4.7 13.0 3.5 - 15.1 - 70.9 - 21.0 5.3 61.8 5.0 0.6 0.1 0.2 -2.0 -0.7 -1.3 0.6 0.1 0.3 サービス業/ 商業 うち商業 運輸 通信 観光 金融 5.2 3.4 2.8 13.5 4.3 5.0 - 1.9 1.0 - 7.0 11.2 - 23.0 3.5 3.2 1.0 2.0 11.2 3.0 3.5 2.1 0.2 0.2 0.6 0.2 0.2 -0.8 0.1 -0.5 0.5 -1.2 0.1 1.3 0.1 0.1 0.6 0.1 0.1 GDP(市場価格) 3.0 - 1.8 - 3.5 3.0 -1.8 3.5

出所: 53rd Annual Report, Central Bank of Tunisia

2011 年のチュニジアの総固定資産形成は前年に比べて 10%近く落ち込んだ。これは、 石油採掘・鉱業・通信・観光・運輸セクターでの大幅な投資の減少による。また、農 業/ 漁業、社会施設での投資も少額ながら減少している。一方、製造業、特に建設資材 / 陶器 / ガラス製品の生産のための投資は増加した。固定資産形成の内訳をみると、サー ビス業/ 商業が半分以上を占め、ユーティリティサービス・鉱業・建設業などの非製造 業が2 割程度、製造業が 13%前後で、農業 / 漁業は約 7%にとどまっている。 表2-6 近年の総固定資本形成 金額(百万TD) 増減(%) 構成(%) 2010 2011 2012* 2011/2010 2012/2011 2010 2011 2012 農業/ 漁業 製造業 非製造業 サービス業/ 商業 社会施設 1,035 1,839 3,581 8,082 1,044 1,000 2,008 2,512 7,572 1,000 1,090 2,136 3,506 7,858 1,000 - 3.4 9.2 - 29.8 - 6.3 - 4.2 9.0 6.4 39.6 3.8 0.0 6.6 11.8 23.0 51.9 6.7 7.1 14.3 17.8 53.7 7.1 7.0 13.7 22.5 50.4 6.4 合計 15,581 14,092 15,590 - 9.6 10.6 100.0 100.0 100.0

出所 : 53rd Annual Report, Central Bank of Tunisia

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-18 - 2011 年のチュニジアの国民総貯蓄は、- 24.8%、金額にして- 16 億 4,500 万 TD(チュニジア・ ディナール)と急速に減少し、GDP に占める割合は 15.9%、資産変動を含む必要資金に占める 割合は72.8%にまで減少した。 表2-7 投資への資金供給 金額(百万TD) 増減(%) 2009 2010 2011 2012* 2011/2010 2012/2011 総固定資本形成 GDP に占める割合(%) 資産変動 14,206 24.2% 239 15,581 24.6% 1,063 14,092 21.8% 907 15,590 22.3% 56 - 9.6% --- 14.7% 10.6% ---93.8% 総必要資金(総固定資本形成+ 資産変動) 14,445 16,644 14,999 15,646 - 9.9% 4.3% 国民総貯蓄 12,834 13,361 10,253 11,144 - 24.8% 8.7% GDP に占める割合(%) 国民総貯蓄/ 総固定資産形成 国内調達率(国民総貯蓄/ 必要総資金) 21.9% 90.3% 88.8% 21.5% 87.5% 81.9% 15.9% 72.8% 68.4% 15.9% 71.5% 71.2%

--出所: 53rd Annual Report, Central Bank of Tunisia

注* 地域開発計画省による 2012 年経済予算に基づく推計 3) 雇用 2011 年の全産業による新規雇用需要数は-約 10 万 7,000 人となった。特に、就業者 数も含めて考えると、農業/ 漁業、建設 / エンジニアリング、製造業、運輸 / 通信、観 光の分野での新規雇用需要数が大きく減少した。一方、公的サービスの分野では約2 万 人の雇用創出が図られた。 チュニジアではこれまで労働集約・低付加価値型産業が振興されてきており、一方で 高等教育の普及が進み、新規に雇用市場に加わる者の79%が高等教育を修了している にもかかわらず、産業構造が求職者の要求とマッチしておらず、また、高等教育・職 業訓練機関が高付加価値産業の必要とする人材を十分に供給できないことから、高等 教育を終えた若年層の失業問題が深刻となっている。 チュニジア政府は、3 万 5,000 人の公的雇用、2 万人の民間部門での雇用創出を図る よう行動を始めている。また、2011 年 3 月から 3 億 4,000 万 TD の費用の AMAL プログ ラムにより、14 万 4,000 人の卒業生の就職支援を行っている。これらの取り組みにもか かわらず、革命とその後の政治・経済情勢により表2-8に示すように新規雇用需要 はマイナスとなっている。 失業率に関しては、性・地域により大きく異なっている。チュニジアでは、女性の中 等・高等教育への就学、社会進出はアラブ諸国のなかにあっては異例に高いが、雇用 面では依然として大きな性差が認められる。2010 年・2011 年の全体の失業率が、それ ぞれ、13.0%・18.9%であるのに対して、性別でみると、2010 年は男:10.9%・女性: 18.9%、2011 年は男性:15.4%・女性:28.2%となっており、景気後退が女性の雇用に 対して大きく影響を与えていることが分かる。 失 業 率 は 地 域 に よ る 格 差 が 大 き い。 特 に 南 部 地 域 で の 失 業 率 は 高 い( 南 東 部:

(10)

27.2%、南西部:29.5%)。北部地域では、チュニス地区(District)が 14.5%、北東部は 22.3%であった。最も失業率が低かったのは、中東部の 11.9%であったが、中西部では 26.9%と高い数値であった。 表2-8 産業各セクターの新規雇用需要 (単位:千人) 2008 2009 2010 2011 農業/ 漁業 鉱業/ エネルギー 建設/ エンジニアリング 製造業 運輸/ 通信 観光 その他商業/ サービス業 公的サービス - 8.1 2.2 20.1 21.5 3.8 3.5 18.8 8.5 21.1 - 1.4 14.7 - 37.9 8.2 4.4 26.7 7.7 - 3.1 - 1.7 27.3 33.5 5.1 - 4.6 15.3 6.7 - 41.3 - 1.5 - 14.8 - 25.5 - 11.4 - 10.4 - 21.7 19.9 合計 70.3 43.5 78.5 - 106.7

出所: 53rd Annual Report, Central Bank of Tunisia

(注)2011 年第 3 四半期での統計庁による国家人口雇用調査結果による 表2-9 雇用関連主要指標 (単位:千人) 2008 2009 2010 2011 2011/2010 2012/2011 労働年齢人口(15 歳以上) 総労働者数 総活動率(%) 被雇用者数 雇用率(%) 新規求職者数 新規労働者需要 新規求職充足率(%)*2 失業者数 失業率(%)*2 高等教育終了者失業率(%)*2 7,806 3,604 46.2% 3,156 40.4% 82 70.3 85.7% 448 12.4% 20.6% 7,932 3,689 46.5% 3,199 40.3% 85 43.5 51.2% 490 13.3% 23.4% 8,038 3,769 46.9% 3,277 40.8% 80 78.5 98.1% 492 13.0% 23.3% 8,175 3,909 47.8% 3,171 38.8% 140*1 - 106.7 - 76.2% 738 18.9% 33.1% 1.3% 2.2% 2.4% -5.9% 80.5% 0.4% 1.7% 3.7% - 3.2% 75.0% - 235.9% 50.0%

出所: 53rd Annual Report, Central Bank of Tunisia

*1 リビアからの帰国労働者を含む

(11)

-20 -

22

出所: IMF Country Report N0.12/255

図2-3 各地域の失業率

出所: IMF Country Report N0.12/255

図2-4 学歴別の失業率

4) 対外収支

2011 年の対外経常収支赤字は GDP の 7.3%に達した。主な理由は、観光収入が

32%減少したことによる。2010 年に比べて輸出は若干増加したものの、それ以上

出所:IMF Country Report N0.12/255

図2-3 各地域の失業率

22

出所: IMF Country Report N0.12/255

図2-3 各地域の失業率

出所: IMF Country Report N0.12/255

図2-4 学歴別の失業率

4) 対外収支

2011 年の対外経常収支赤字は GDP の 7.3%に達した。主な理由は、観光収入が

32%減少したことによる。2010 年に比べて輸出は若干増加したものの、それ以上

出所:IMF Country Report N0.12/255

図2-4 学歴別の失業率

4) 対外収支

2011 年の対外経常収支赤字は GDP の 7.3%に達した。主な理由は、観光収入が 32% 減少したことによる。2010 年に比べて輸出は若干増加したものの、それ以上に輸入が

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増えたことも原因となっている。外国からの直接投資も急速に落ち込み(-68%)、こ のため、外国からの借入金により外貨の流入が増えたにもかかわらず、外貨準備金は 前年の95 億米ドルから、75 億米ドル(商品輸入の 3.8 カ月分に相当)にまで減少した。 2012 年に入って観光収入は +33%と回復し始めた(1 月~ 4 月)が、強い輸入需要の伸 びと、ヨーロッパの景気後退の影響による輸出の伸びの鈍化から経常収支はあまり改 善していない。外国からの直接投資は回復(+28%)しつつあるものの、6 月末の外貨 準備高はさらに67 億米ドル(輸入の 3.8 カ月分に相当)まで減少しており、チュニジ アの外国でのショックへの脆弱性は依然高まっている。 表2- 10 対外収支 (金額単位:百万米ドル) 2008 2009 2010 2011 2012 経常収支 - 1,712 - 1,234 - 2,105 - 3,371 - 3,245 貿易収支 輸出 エネルギー 非エネルギー 輸入 エネルギー 非エネルギー うち食品外 - 4,010 19,184 3,311 15,872 - 23,194 - 3,988 - 19,206 - 17,095 - 3,699 14,419 1,953 12,465 - 18,118 - 2,066 - 16,052 - 14,879 - 4,575 16,431 2,315 14,116 - 21,006 - 2,653 - 18,353 - 16,810 - 4,799 17,824 2,592 15,231 - 22,623 - 3,409 - 19,214 - 17,339 - 5,141 17,976 2,973 15,003 - 23,117 - 3,748 - 19,369 - 17,648 サービス・移転(正味) 非要素サービス・移転(正味) うち観光 要素サービス・移転(正味) うち労働者送金 利息支払い 2,298 2,643 2,751 - 345 1,977 - 742 2,465 2,525 2,571 - 60 1,964 - 685 2,470 2,460 2,461 10 2,063 - 632 1,428 1,552 1,680 - 124 1,990 - 623 1,896 1,867 1,916 29 2,033 - 655 資本・金融収支 贈与を除く資本・金融収支 資本収支 3,378 3,296 79 2,867 2,699 164 1,913 1,822 82 1,617 1,450 154 3,911 3,751 148 金融収支 外国直接投資(正味) 中長期借款 支払 元金返済 3,299 2,562 - 10 1,416 - 1,426 2,702 1,437 339 2,019 - 1,679 1,831 1,309 145 1,845 - 1,700 1,463 417 603 2,630 - 2,027 3,763 1,166 2,166 3,910 - 1,744 短期資金 誤謬・脱落 総収支 準備金の増減* 金融ギャップ 747 0 1,666 - 1,027 … 926 0 1,633 - 1,623 … 377 0 - 192 1,078 … 442 0 - 1,754 1,984 … 431 0 666 - 653 0 外貨準備高(金額単位:10 億米ドル) 9.0 10.6 9.5 7.5 8.2

出所:IMF Country Report N0.12/255

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-22 - 表2- 11 対外債務関連指標 2008 2009 2010 2011 2012 経常収支の対GDP 比(%) - 3.8% - 2.8% - 4.8% - 7.3% - 7.0% 外貨準備高の輸出(商品)月数換算(カ月)*1 4.4 6.6 5.1 3.8 4.0 中長期対外債務残高(10 億米ドル) 中長期対外債務残高の対GDP 比(%) 16.3 38.5% 16.7 37.4% 16.4 37.2% 17.1 39.5% 19.0 42.1% 短期対外債務残高(10 億米ドル)*2 短期対外債務残高の対GDP 比(%) 4.3 10.3% 4.8 10.8% 5.0 11.3% 5.0 11.5% 5.2 11.5% デットサービスレシオ(%) 8.6% 11.9% 10.5% 11.7% 10.4% 輸出(商品)伸び率(%) 5.5% -9.6% 6.7% - 1.5% - 1.5% 輸入(商品)伸び率(%) 7.3% 1.0% - 1.8% - 6.0% 5.0%

出所:IMF Country Report N0.12/255

注*1 年末の外貨準備高に対する当年の輸入額に対する比率 *2 借入期間が 1 年以下の借款 (6)歴史 チュニジアの歴史の概略を表2- 12 にまとめる。 表2- 12 チュニジア略史 年 代 略 史 先史代以降 内陸部にはベルベル人が居住 紀元前9 世紀以降 都市国家カルタゴとして栄え、ベルベル人とフェニキア人の文化が融合 紀元前2 世紀央 ローマ帝国がカルタゴを征服、ローマ化の始まり 5 世紀前半 ゲルマン系ヴァンダル族がカルタゴを占領し、ヴァンダル帝国を建設 6 世紀前半 東ローマ帝国がヴァンダル帝国を滅ぼし、ビザンチン文化が開花 7 世紀 ウマイア朝によるジハード、イスラム化・ベルベル人の南下の始まり 12 世紀~ 16 世紀 ハフス朝時代 13 世紀後半 第8 回十字軍でフランス王国のルイ聖王がチュニジア侵攻 16 世紀~ 18 世紀初 オスマン帝国属領時代 18 世紀~ 19 世紀 フサイン朝時代 19 世紀後半 近代化政策〔富国強兵策、中央集権化、税制改革、徴兵制度、服装のヨーロッ パ化、士官学校設立、国営工場建設、フランス人軍事顧問団の受入れ、憲法 (ドゥストール)制定、近代的議会・裁判所設立〕の実施 1881 年~ 1956 年 フランス保護領時代 20 世紀初 青年チュニジア党〔後にドゥストール(立憲)党に発展〕によるチュニジア人 の市民権・政治参加に向けた活動開始

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1961 年~ 1969 年 ブルギバ大統領、ベン・サラール首相時代、社会主義化(企業国営化、協同組 合農場組織化)政策 1970 年~ 1980 年 ブルギバ大統領、ヌイラ首相時代、経済成長政策、重化学工業投資促進、欧州 共同体諸国の資金援助、農業近代化、チュニスへの人口集中、貧富差拡大、失 業深刻化、対外債務による破綻 1980 年~ 1986 年 ブルギバ大統領、ムザリ首相時代、IMF 勧告食糧補助金カット、債務繰延 1987 年~ 2011 年 ベン・アリ大統領時代、民営化(構造調整)政策、EU との自由貿易協定、外 国直接投資振興、貧困格差・失業深刻化、言論抑圧、夫人の不正畜財 出所: 外務省チュニジア国基礎情報、Wikipedia、中近東協力センターニュース(2012・2/3)などに基づき調査団 作成 2-1-2 南部地域の概要 (1)土地・人口 南部地域は、①タタウィン(Tataouine)県、②メドニン(Médenine)県、③ガベス(Gabès) 県、④ケビリ(Kébili)県、⑤トズール(Tozeur)県、⑥ガフサ(Gafsa)県の 6 県からなる。 南部地域の面積は9 万 1,076 km2でチュニジア全土の55.7%を占める。南部地域の 2010 年 の人口は、156 万 2,800 人でチュニジア全国の 14.7%にあたる。人口密度は 17.2 人 /km2で 全国の64.8 人 /km2の約1/4 である。 南 部 地 域 の 人 口 の70.6%が都市部に住んでいる。チュニジア全国での都市部人口が 66.1%であることと比べると、南部地域での都市化の進展がうかがえる。 南部地域の人口推移をみると、1975 年~ 1994 年では全国を上回る年率で増加したのに 対して、1995 年以降の人口増加率は全国を下回っている。南部地域の農村部から、南部 地域内・チュニジア国内の都市部へ、あるいは、外国への社会移動が起きていると考えら れる。

(15)

-24 -

25

2-1-2 南部地域の概要

(1) 土地・人口

南部地域は、①タタウィン(

Tataouine)県、②メドニン(Médenine)県、③ガ

ベス(

Gabès)県、④ケベリ(Kébili)県、⑤トズール(Tozeur)県、⑥ガフサ(Gafsa)

県の

6 県からなる。南部地域の面積は 91,076 Km

2

でチュニジア全土の

55.7%を占

める。南部地域の

2010 年の人口は、156 万 2,800 人でチュニジア全国の 14.7%に

あたる。人口密度は

17.2 人/Km

2

で全国の

64.8 人/Km

2

の約

1/4 である。

南部地域の人口の

70.6%が都市部に住んでいる。チュニジア全国での都市部人

口が

66.1%であることと比べると、南部地域での都市化の進展がうかがえる。

南部地域の人口推移をみると、

1975 年~1994 年では全国を上回る年率で増加

したのに対して、

1995 年以降の人口増加率は全国を下回っている。南部地域の農

村部から、南部地域内・チュニジア国内の都市部へ、あるいは、外国への社会移

動が起きていると考えられる。

南部地域の年齢層ごとの人口構成は全国のものと同様に釣り鐘型に移行しつつ

あるが、全国レベルでは

20-24 歳の人口が最も多いのに対して、南部地域では

15-19 歳の人口が最も多く、少子化が全国に比べて 5 年程度遅れている。

出所:I Le Sud Tunisien en Chiffres 2010, Office de Développement du Sud (ODS), Ministrè de Développment Regional et Planinification (MRDP)

図2-5 南部地域の人口密度

図2-5 南部地域の人口密度 南部地域の年齢層ごとの人口構成は全国のものと同様に釣り鐘型に移行しつつあるが、 全国レベルでは20 ~ 24 歳の人口が最も多いのに対して、南部地域では 15 ~ 19 歳の人口 が最も多く、少子化が全国に比べて5 年程度遅れている。 表2- 13 南部地域各県の面積・人口 面積(2010 年) 人口(2010 年) 人口密度 (Person/km2) 面積(km2)南部地域に占 める割合(%) チュニジア全 体に占める割 合(%) 人口(人) 南部地域に占 める割合(%) チュニジア全 体に占める割 合(%) Tataouine Médenine Gabès 38,889 9,167 7,166 42.7 10.1 7.9 23.8 5.6 4.4 147,000 457,200 363,400 9.4 29.3 23.3 1.4 4.3 3.4 3.8 49.9 50.7 Sud Est 55,222 60.6 33.8 967,600 61.9 9.1 17.5 Kébili Tozeur Gafsa 22,454 5,593 7,807 24.7 6.1 8.6 13.7 3.4 4.8 151,600 104,000 339,600 9.7 6.7 21.7 1.4 1.0 3.2 6.8 18.6 43.5 Sud Ouest 35,854 39.4 21.9 595,200 38.1 5.6 16.6 Sud 91,076 100.0 55.7 1,562,800 100.0 14.7 17.2 Tunisie 163,610 --- 100.0 10,600,300 --- 100.0 64.8

出所: Le Sud Tunisien en Chiffres 2010, Office de Développement du Sud (ODS), Ministry of Regional Development and Planning (MRDP)

(16)

26

表2-13 南部地域各県の面積・人口

面積 (2010 年) 人口 (2010 年) 人口密度 (Person/Km2) 面積(Km2) 南部地域に 占める割合 (%) チュニジア全体 に占める割合 (%) 人口(人) 南部地域に 占める割合 (%) チュニジア全体 に占める割合 (%) Tataouine 38,889 42.7 23.8 147,000 9.4 1.4 3.8 Médenine 9,167 10.1 5.6 457,200 29.3 4.3 49.9 Gabès 7,166 7.9 4.4 363,400 23.3 3.4 50.7 Sud Est 55,222 60.6 33.8 967,600 61.9 9.1 17.5 Kébili 22,454 24.7 13.7 151,600 9.7 1.4 6.8 Tozeur 5,593 6.1 3.4 104,000 6.7 1.0 18.6 Gafsa 7,807 8.6 4.8 339,600 21.7 3.2 43.5 Sud Ouest 35,854 39.4 21.9 595,200 38.1 5.6 16.6 Sud 91,076 100.0 55.7 1,562,800 100.0 14.7 17.2 Tunisie 163,610 --- 100.0 10,600,300 --- 100.0 64.8

出所:Le Sud Tunisien en Chiffres 2010, Office de Développement du Sud (ODS), Ministry of Regional Development and Planning (MRDP)

出所: Le Sud Tunisien en Chiffres 2010, ODS, MRDP

図2-6

1984 年・2010 年の南部地域の人口ピラミッド

出所:Le Sud Tunisien en Chiffres 2010, ODS, MRDP

図2-6 1984 年・2010 年の南部地域の人口ピラミッド 表2- 14 南部地域の都市部・農村部の人口分布 (単位:%) 1984 1994 2004 2010 都市部 農村部 都市部 農村部 都市部 農村部 都市部 農村部 Tataouine Médenine Gabès 43.0 60.5 58.7 57.0 39.5 41.3 56.5 61.4 64.6 43.5 38.6 35.4 61.1 77.1 67.7 38.9 22.9 32.3 62.0 78.1 68.7 38.0 21.9 31.3 Sud Est 57.1 42.9 61.8 38.2 71.1 28.9 72.1 27.9 Kébili Tozeur Gafsa 29.7 63.8 62.4 70.3 36.2 37.6 54.7 71.1 70.2 45.3 28.9 29.8 53.9 70.3 73.2 46.1 29.7 26.8 53.9 70.4 73.8 46.1 29.6 26.2 Sud Ouest 54.8 45.2 66.5 33.5 67.8 32.2 68.1 31.9 Sud 56.2 43.8 63.6 36.4 69.8 30.2 70.6 29.4 Tunisie 52.8 47.2 61.0 39.0 64.9 35.1 66.1 33.9

(17)

-26 - 表2- 15 南部地域の人口推移 (人口単位:千人) 1975 1984 1994 2004 2010 人口 人口 年増加率 (%) 人口 年増加率 (%) 人口 年増加率 (%) 人口 年増加率 (%) Tataouine Médenine Gabès 70.2 222.8 186.0 100.3 295.9 240.0 4.0 3.2 2.9 135.2 385.6 310.3 3.0 2.7 2.6 143.5 432.5 342.6 0.6 1.2 1.0 147.0 457.2 363.4 0.4 0.9 1.0 Sud Est 479.0 636.2 3.2 831.1 2.7 918.7 1.0 967.6 0.9 Kébili Tozeur Gafsa 69.7 52.9 185.0 95.4 67.9 235.7 3.5 2.8 2.7 131.6 89.0 307.7 3.3 2.7 2.7 143.2 97.5 323.7 0.8 0.9 0.5 151.6 104.0 339.6 1.0 1.1 0.8 Sud Ouest 307.5 399.0 2.9 528.3 2.8 564.5 0.7 595.2 0.9 Sud 786.5 1,035 3.1 1,359.3 2.8 1,483.3 0.9 1,562.8 0.9 Tunisie 5,577.3 6,966.2 2.5 8,785.7 2.3 9,910.9 1.2 10,600.3 1.1

出所:Le Sud Tunisien en Chiffres 2010, ODS, MRDP

2)教育・保健 南部地域の10 代以上の者の教育レベルをみると、非識字者の割合は 18.8%でチュニジ アの全国レベルの20.2%よりも低くなっている。初等教育・中等教育を終えた、もしく は、就学している者の割合も全国レベルよりも高い数値となっている。ただし、高等教育 を終えた、もしくは、就業している者の割合は全国レベルよりも若干低い。現時点では質 の違いは不明であるが、就学率でいえば、南部地域の教育レベルは、高等教育を除いて、 全国レベルに引けを取るものではない。 表2- 16 南部地域の 10 歳以上の者の教育レベル (単位:%) Tataouine Médenine Gabès Kébili Tozeur Gafsa Sud Tunisie

2004 非識字 基礎教育第1 サイクル 基礎教育第2 サイクル・中等教育 高等教育 不明 21.1 42.6 31.4 4.7 0.2 19.4 42.1 32.9 5.3 0.2 21.2 40.4 31.6 6.7 0.1 20.8 37.2 36.2 5.8 0.1 19.5 41.0 34.2 5.3 0.1 22.5 34.5 36.1 6.8 0.2 20.9 39.8 33.8 6.0 0.2 23.1 37.0 31.8 7.8 0.3 2008 非識字 基礎教育第1 サイクル 基礎教育第2 サイクル・中等教育 高等教育 不明 17.2 38.6 37.1 7.1 0.1 17.9 38.9 36.3 6.7 0.2 18.7 34.8 35.3 11.2 0.1 21.0 31.1 39.3 8.6 0.0 15.8 39.2 37.5 7.5 0.0 20.9 30.6 38.3 10.2 0.1 18.8 35.4 36.9 8.8 0.1 20.2 33.9 35.5 10.2 0.2 出所:Le Sud Tunisien en Chiffres 2010, ODS, MRDP

2008 年における南部地域の住民 1,000 人当たりのベッド数、基礎保健センター当たりの 住民数、補助出産の割合でみる限り、プライマリー・ヘルス・ケアのレベルではチュニジ

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アの全国レベルに対して大きな遜色はないように見受けられる。ただし、南部地域の人口 密度が全国平均の1/4 程度であることを考えると、南部地域農村部の住民にとっては、基 礎保健施設のアクセスはチュニジアの他地域農村部の住民以上に悪い可能性がある。医師 1 人当たりの住民数をみると南部地域はチュニジア平均に比べて多く、二次医療・高度医 療に関してはいまだ遅れているものと推測される。 表2- 17 南部地域の保健インフラ関連指標(2008 年) 病院 ベッド数 1,000 人 当たりの ベッド数 基礎保健センター 医師 医師1 人 当たりの 住民数 補助出 産の割合 (%) 地域 ロー カル 数 センター 当たりの 住民数 公的 民間 計 Tataouine Médenine Gabès 1 4 1 2 3 4 259 710 548 1.8 1.6 1.5 62 112 86 2,352 4,047 4,166 57 130 113 23 206 143 80 336 256 1,823 1,349 1,400 93.1 92.9 98.3 Sud Est 6 9 1,517 1.6 260 3,682 300 372 672 1,425 94.8 Kébili Tozeur Gafsa 1 1 2 3 4 6 249 308 549 1.7 3 1.6 57 32 91 2,607 3,197 3,682 57 68 126 26 13 69 83 81 195 1,790 1,263 1,718 96.3 99.1 96.7 Sud Ouest 4 13 1,106 1.9 180 3,256 251 108 359 1,632 97.2 Sud 10 22 2,623 1.7 440 3,508 551 480 1,031 1,497 95.5 Tunisie 33 109 18,771 1.8 2,083 5,012 5,801 5,732 11,533 905 92.5 出所:Le Sud Tunisien en Chiffres 2010, ODS, MRDP

3)インフラストラクチャー 南部地域の道路は、路線番号付き道路(幹線道路と推測される)が6,580 km、農道が 1 万3,080 km、合計で 1 万 9,660 km に及ぶ。舗装率は、幹線道路で 55%、農道で 21%、合 計では33%となっている。現地調査において走行した範囲では、幹線道路の舗装路面の 維持管理状況はほぼ良好と見受けられた。 表2- 18 南部地域の保健インフラ関連指標(2008 年) 路線番号付き道路 農道 合計 瀝青舗装 非舗装 瀝青舗装 非舗装 瀝青舗装 非舗装 Tataouine Médenine Gabès 745.2 1,113.2 539.8 1,600.1 856.9 214.7 387.8 490.0 638.3 3,156.2 2,500.0 725.5 1,133.0 1,603.2 1,178.1 4,756.3 3,356.9 940.2 Sud Est 2,398.2 2,671.7 1,516.1 6,381.7 3,914.3 9,053.4 Kébili Tozeur Gafsa 438.9 269.8 544.5 223.5 0.0 34.0 319.4 262.0 685.1 659.2 620.1 2,638.4 758.3 531.8 1,229.6 882.7 620.1 2,672.4

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Sud Ouest 1,253.2 257.5 1,266.5 3,917.7 2,519.7 4,175.2 Sud 3,651.4 2,929.2 2,782.6 10,299.4 6,434.0 13,228.6

舗装率 55% 21% 33%

出所:Le Sud Tunisien en Chiffres 2010, ODS, MRDP

南部地域の上水(飲用水)サービスについては、都市部ではタタウィン県(92.9%)、 メドニン県(94.3%)を除いて、99%以上の世帯に各戸接続がされており、全県の農村部 で、99%以上の世帯において飲用水へのアクセスが可能となっており、上水サービスが提 供されている世帯の率でいえば、全国平均レベル以上である9。 下水サービスに関しては、普及率(接続世帯の割合)が、メドニン県の26.8%からトズー ル県の86.6%と、県ごとのバラツキが大きく、南部地域の平均の普及率も 58.3%にとどま り、全国平均の84.6%を大きく下回る。今後の観光振興、漁業・養殖の振興を考えると下 水道インフラ整備のための投資が望まれる10。 電力供給に関しても、全国平均と同様に農村部を含めて、電化率が極めて高い。都市部 では全県において99%以上の世帯に電力が供給されており、農村部においても、ガベス 県(97.9%)ガフサ県(98.0%)を除いて、99%以上の電化率となっている11。今回訪問し た、ザルジスの工業団地でも、停電用の電源を用意していない工場が多いということか ら、サービスの質も低くないと推測される。ただし、今後の産業発展に電力供給が対応で きるかどうかはさらなる調査を要する。 表2- 18 南部地域の通信インフラ整備指標(2010 年) (契約口数単位:1,000 口) 固定電話 携帯電話 データ通信 契約口数 100 人当たりの回線数 契約口数 100 人当たりの回線数 契約口数 Tataouine Médenine Gabès 14.5 70.3 37.4 9.9 15.4 10.3 128.5 638.6 442.0 87.4 139.7 121.6 4.89 25.91 17.30 Sud Est 122.2 12.6 1,209.1 124.9 48.11 Kébili Tozeur Gafsa 14.9 13.9 31.8 9.8 13.4 9.4 168.6 176.3 266.5 111.2 169.5 78.5 6.07 3.77 11.49 Sud Ouest 60.6 10.2 611.4 102.7 21.33 Sud 182.8 11.7 1,820.5 116.5 69.43 Tunisie 1,300.0 12.3 9,853.0 92.9 602.77

出所:Le Sud Tunisien en Chiffres 2010, ODS, MRDP

9 Le Sud Tunisien en Chiffres 2010, ODS, MRDP 10 同上

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通信関連のインフラについてみると、南部地域の固定電話の普及率(住民100 人当たり の回線数)は11.7 で、全国平均の 12.3 を若干下回るものの、携帯電話については、南部 地域の100 人当たりの回線数の平均は 116.5 で、全国平均の 92.9 を上回っている。ただし、 データ通信についていえば、契約口数が6 万 9,433 で、全国の総数の 60 万 2,765 の 11.5% を占めるのみである。南部地域の人口が全国の14.7%に当たることを考えると、データ通 信の普及は全国に比べて遅れているといえる。 2-2 上位計画等 2-2-1 第11 次 5 カ年計画(2007 ~ 2011) チュニジアでは、国家レベルの5 カ年開発計画となる総事業費 820 億 TD の「第 11 次社会 経済開発計画(2007 ~ 2011)」が 2007 年 6 月に発表された。 表2- 19 第 11 次経済社会計画の資金需要・供給計画 2002 年~ 2006 年 2007 年~ 2011 年 百万TD 構成比(%) 百万TD 構成比(%) 総投資 41,236.0 69.1 63,521.0 77.5 資本変動 1,164.6 1.8 2,968.4 3.6 債務元本返済・その他の支出 11,423.1 19.1 12,090.7 14.8 外貨準備金の増加 5,903.0 10.0 3,359.0 4.1 総資金需要 59,726.7 100.0 81,939.1 100.0 総貯蓄 38,348.4 64.2 59,702.3 72.9 外国からの投資・借り入れ・贈与 21,378.3 35.8 22,236.8 27.2 総資金供給 59,726.7 100.0 81,939.1 100.0

出所: Economic and Social Development of Tunisia 2007-2011 Towards a higher stage of growth, June 2007, Ministry of Development and International Cooperation(当時)

11 次 5 カ年計画では、以下のような主要目標と開発計画(Development Scheme)が設定さ れた。 (1)主要目標 1) 成長を加速し 1 人当たりの所得を増加させ失業を減らす。 2)  所得配分政策を模索し、人間開発のレベルを上げ、中流階層の地位向上と貧困の改善 を狙う。 主要目標を達成するために必要なステップとして以下を掲げ、これまでの取り組みを継 続・加速するとしている。 ・世界経済へのさらなる統合と輸出・外国からの直接投資の指向 ・有望な労働集約セクターの振興 ・資源の最適配分 ・国内・国際的な財務的安定性の保持 ・社会的平安の保障と所得配分の改善

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-30 - (2)開発政策 成長・雇用の促進・加速、投資支援、新規ビジネス創出促進・加速、輸出振興、主要経 済バランスの保持を目的として、以下の政策をとることとしている。 ・雇用の増進 ・投資促進と新規ビジネスの創出 ・輸出促進と正解経済への統合の強化 ・財務時バランスの保持と財務政策の策定 ・人的資源開発と社会の進展の強化 2-2-2 第12 次 5 カ年計画(2010 ~ 2014) 第12 次 5 カ年計画は、第 11 次 5 カ年計画の 2009 年までの成果を総括するとともに、2008 年秋以降の世界金融危機による経済情勢の変化に対応するため、「第12 次社会経済開発計画 (2010 – 2014)」が 2010 年 7 月に示され、5 カ年開発計画は置き換えられることとなった。 表2- 20 第 12 次経済社会計画対象期間での外国からの資金需要・供給計画 2007 年~ 2009 年 2010 年~ 2014 年 百万TD 構成比(%) 百万TD 構成比(%) 経常収支赤字 4,897.5 31.4 13,483.0 42.1 債務元本返済・その他の支出 5,579.1 35.7 13,627.0 42.5 外貨準備金の増加 5,139.7 32.9 4,930.0 15.4 総対外資金需要 15,616.3 100.0 32,040.0 100.0 贈与 459.3 2.9 765.0 2.4 直接投資・資本参加 8,120.8 52.0 17,200.0 53.7 政府借款 5,287.0 33.9 7,850.0 24.5 商業借款 1,749.2 11.2 6225.0 19.4 総対外資金供給 15,616.3 100.0 32,040.0 100.0

出所:Economic and Social Development of Tunisia 2010-2014 Towards an innovation and creation

表2- 21 第 12 次経済社会計画の主要人口・社会指標 2009 年 2014 年 人口 10,434 千人 11,025 千人 人口増加率 1.19% 1.17% 0 歳児の平均余命(歳) 74.4 歳 75.2 歳 非識字率(%) 19.4% 14.0% 社会保障適用率(%) 95.0% 98.0% 1 人当たりの所得(TD) 5,641 8,372

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部門別の年平均成長率に関し、「第11 次社会経済開発計画(2007 ~ 2011)」における 2009 年時点での実績と「第12 次社会経済開発計画(2010 ~ 2014)」における計画は表2- 22 のと おりである。 表2- 22 開発計画における部門別の年平均成長率 (単位:%) セクター 第11 次社会経済開発計画 の2009 年までの実績 第12 次社会経済開発計画 (2010 - 2014) 農業/ 漁業 2.0 2.7 製造業 2.4 4.2 繊維・衣服・革製品 -3.2 2.0 機械・電気機器 6.0 6.4 非製造業 5.7 6.1 サービス業 5.8 6.8 観光 2.4 5.1 通信 15.1 13.0 GDP 4.6 5.5

出所: Economic and Social Development of Tunisia 2007-2011 Towards a higher stage of growth, June 2007, Ministry of Development and International Cooperation(当時)

第12 次 5 カ年計画では、以下のような主要目標と開発計画(Development Scheme)が設定さ れた。 (1)主要目標 新開発戦略により、チュニジアが先進国に追いつくように次の段階に進むべく、以下の 目標が設定されている。基本的に第11 次計画の目標を踏襲しており、少し前進させてい る。 ・革新に基づいて、成長の質的変容を行い、新たな成長内容を確立する。 ・1 人当たりの所得を最高レベルとし、貧困を最低レベルとする。 ・可能性を模索し、雇用を刺激し、大学卒業者の失業率を減らす。 ・知能・知識社会を構築するために、定評のある教育・学習システムを適用する。 ・社会的進歩を強化する。 ・各地域のより緊密な連携を図り、統合を推進する。 ・環境経済の基礎を確立し、生活の質をさらに改善する。 (2)開発政策 開発目的を実現するためには、新たな経済構造を確立、投資促進を促進、さらなる統 合・輸出促進と輸出振興、金融強化、社会開発強化、人材開発への投資、地域開発振興、 環境経済の確立が必要であるとして、以下の政策を設定している。 ・経済構造の開発

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-32 - ・投資に向けた新たなアプローチの確立 ・雇用促進 ・世界経済への統合と輸出の促進 ・財政政策の効率化 ・社会開発の強化 ・人的資産への投資 ・地域開発の推進 ・環境経済を柱とする取り組みの確立 2-2-3 社会経済開発戦略(2012 ~ 2016)(ジャスミン・プラン) 上述のとおり、チュニジアでは国家開発計画として「第12 次社会経済開発計画(2010 ~ 2014)」が 2010 年に示されていたが、2011 年 1 月の革命後、同計画は暫定政府によって見直さ れ、2011 年 9 月に開催された G8 外相会合(ドーヴィル・パートナーシップに関する閣僚級フォ ローアップ会合)にて「社会経済開発戦略(2012 ~ 2016)(ジャスミン・プラン)(案)」とし て発表された。この開発戦略では、国内の安定化に向けて喫緊の課題である雇用問題の改善や 格差是正への取り組みに重点が置かれ、優先分野として下記が示されている。 ・治安回復 ・雇用(雇用創出、若年者向け職業支援プログラムの推進) ・経済、企業支援(経営悪化企業への支援、中小企業向け融資の拡充等) ・地方開発(地方開発へ予算を重点的に配分) ・社会的支援(貧困層への生活保障拡充、リビアからの帰国者支援) ただし、「社会経済開発戦略2012 ~ 2016(ジャスミン・プラン)」の位置づけは明確になっ ておらず、現時点では正式に承認されていない。新しい国家5 カ年開発計画は新憲法制定後に 策定されるという情報も得られている。しかしながら、国家戦略・開発計画において地域開発 が重視され、地方都市の発展による地域間格差の是正や雇用創出などに重点が置かれるという 方向性は変わらないといわれている。 2-3 地域開発計画関連制度及び既存南部地域開発戦略 2-3-1 関連法制度 (1)地域計画関連法規

地域開発関連の基本法としてCode de l’Aménagement du Territoire et de l’Urbanisme(国土 都市計画法、法律第94-122 号、1994 年 11 月 28 日)がある。同法は以下の構成から成っ ている。

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導入 第1編 国土(地域)開発計画 第1章 国土(地域)開発計画に係る省庁間委員会 第2章 国土(地域)開発マスタープラン 第3章 計画施行のフォローアップ 第2編 都市計画 第1章 都市計画策定が必要な地区の範囲指定 第2章 都市計画の策定 第3章 都市計画の承認と承認の効果 第4章 沿岸部・水運網での規制 第5章 都市計画・建築に関する規制 第6章 都市計画・建築に関する諮問委員会 第3編 都市計画事業の施行 第1章 都市計画基本区域と詳細計画 第2章 指定基本区域 第3章 所有者組合 第4章 区画 第5章 建築許可 第4編 罰則 第1章 区画に関する規定の違反に対する罰則 第2章 建築許可に関する規定の違反に対する罰則 第5編 経過措置 上記のように、同法の大半は都市計画に関する規定である。本プロジェクトは地域開発 計画の策定を目的としているため、同法のうちの第1 編(第 1 条~第 11 条)が本プロジェ クトに適用される可能性がある。 同法では、国土(地域)計画とは、「国もしくは地域レベルでの土地利用、大規模イン フラ整備・公共施設建設・町の建設プロジェクトでの土地利用の一貫性確保に関する、一 連の選択、方針・手順の決定」と定義されている(同法第2 条)。国土(地域)計画に関 して、停止、地域開発プログラム間・施設建設プログラム間の空間的な一貫性の確保、以 下の事項に関する意見の陳述をする省庁間の委員会(Inter-ministrial Committee)が設置さ れている。同委員会は、同委員会に提出されたいかなる事項に関しても、計画の一貫性を 保つために、計画の一部を停止する、あるいは、計画の一部を変更するなどの提案をする ことができる。採択された選択肢の間での一貫性の確保に資する、停止もしくは実現に向 けての提言をすることができる。また、執行もしくは環境影響に関しての意見を述べるこ ともできる(同法第3 条)。 ・大規模インフラ・公共施設プログラム ・大規模都市開発プログラム ・ 本法第 7 条に規定される、国または地域レベルもしくは大都市レベルのマスタープラ

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-34 - ・ 複数の局・庁あるいはそれらの監督の下に公共機関が策定したセクター開発・施設 整備マスタープラン ・国レベルでの土地利用計画もしくは環境保護を目的とする活動の手順 省庁間の委員会については、政令2003-1688 号(2003 年 8 月 11 日)に規定されている。 同委員会は首相を議長とし、①国防大臣、②内務・地方開発大臣、③財務大臣、④領土・ 土地大臣、⑤開発・国際協力大臣、⑥農業・環境・水資源大臣、⑦設備・居住・国土開発 計画大臣、⑧技術・通信・運輸大臣、⑨鉱業・エネルギー大臣、⑩文化・若者・レクリ エーション大臣、⑪観光・商業・工芸大臣、⑫スポーツ大臣、⑬高等教育・科学研究・技 術大臣、⑭保健大臣(すべて当時の名称)から成っているが、首相は有意義であると考え るならば委員に誰を招へいしても構わない(同政令第1 条)。 同委員会は定期的に、少なくとも年2 回、必要に応じて随時会合を行う。委員会の意思 決定はすべての委員の出席により行われ、同委員会での作業の結果はすべて議事録に記録 され、議事録はすべての委員に配布される(同政令第2 条)。 同 委 員 会 の 下 に、 技 術 委 員 会 が あ り、 技 術 委 員 会 は 設 備・ 居 住・ 国 土 開 発 計 画 大 臣 (ministre de l’equipment, de l’habitat et de l’aménagement du territoire, 当時)もしくはその代理 が議長を務める。技術委員会は、上記①~⑭の省の代表から成っている。委員は、関係省 庁により推薦され、設備・居住・国土(地域)開発計画大臣が決定する。技術委員会は、 省庁間委員会に提出されたファイルを検討し、技術ファイルを作成する(同政令第3 条)。 国土(地域)開発マスタープランは、近隣の地域との関係を考慮し、都市開発と農業・ その他の経済活動のバランスに留意しつつ、法令で定められた自然・文化サイト(考古 学的サイト・保全地区を含む)の保護に配慮した、地区開発の基本的な方向性を示すもの である。同マスタープランは、国の地方共同プログラムの実施と公共サービスの実施・強 化の方向を示しつつ、経済社会開発の展望の下で一貫性をもった土地利用計画を着実に実 施できるようにするものである。同マスタープランは、特に、一般的な土地利用、大規模 インフラの整備への道筋、交通運輸に関する一般計画、施設・構造物の位置、より重要な サービス・活動、考古学的サイトを含む文化サイト、保全あるいはより価値を高めるべき 保護地区と歴史的モニュメント、都市部の拡張・開発の一般的な方向づけを決定するも のである。同マスタープランは自然災害リスクや環境影響についても配慮する(同法第4 条)。 国土(地域)開発マスタープランの構成については、政令第97-2468 号(1997 年 12 月 22 日) で規定されている。同政令によれば、同マスタープランは、報告書と地図から成り(同政 令第1 条)、 報告書は以下の項目を含まなければならないとされている(同政令第 2 条)。 a)地理、都市、経済、社会、文化、代表的なサービス、道路網、地域の基礎的イン フラ、近隣地域との関係、特徴、成長への展望を網羅した現況の分析 b)環境の状態、利用可能な資源の分析、開発を方向づける手段、資源保全の必要性 と資源の利用可能期間

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c)近隣地域との関係を考慮した地域開発・都市成長計画の基本的な方向づけ、進化 の展望、都市開発と農業その他の経済活動の均衡、自然・文化サイトの保護の必 要性、環境への負の影響を避けるための方策 d)都市部での大規模インフラ・施設の影響範囲、都市構造とその周辺地区との調 和・統合のとれた経済社会開発計画 e)残された選択肢の実現のための主要フェーズの決定、都市化された空間・都市化 される空間の受容能力の確定 国土(地域)開発マスタープランは1/50,000 から 1/10,000 もしくは、詳細を示す必要が あれば他の縮尺の1 枚または数枚のカラーの地図で示される。地図は以下の内容を示す (同政令第3 条)。 a)一般的な土地利用 b)都市部の拡張エリア、再編・改修が必要なエリア c)農業・森林エリア、保全される森林エリアと植林される空き地 d)考古学的サイトを含む文化サイト、保全されるエリアと歴史的モニュメント、保 護あるいはより価値を高める都市あるいは自然の景観、自然災害・技術的な危険 の可能性から保護すべき空間 e)主要経済社会活動エリア、一般的に関心をもたれる主要施設 f)交通運輸ネットワークの計画と主要インフラ・道路網の整備手順、クリーンなサ イトでの交通手段 g)エネルギーネットワークでの重要な構成要素、通信、上水、ゴミ処理システム プログラム計画は、基礎インフラ、都市拡張、大規模施設・サービス、緑地・公立公園 計画、自然区域、考古学的・歴史的サイトの範囲設定と開発、経済活動地区の設置に関す る一連のプログラムが設定される。これらのプログラムは、経済社会計画の一部として、 財務評価を行ったうえで策定される(同政令第4 条)。 開発の影響を受けやすいエリア、大都市部では国土(地域)開発マスタープランの策定 が必要となっている。これらのエリアは、国土(地域)開発計画・都市計画を担当する大 臣と地域開発を担当する大臣とが、農業担当大臣・国家遺産担当大臣(文化・考古学的サ イトについて)相談のうえ、協議して策定する共同提案に基づく政令により定めることと なっている(同法第7 条)。国土(地域)開発マスタープランの策定が必要な地区は、政 令第98-2092(1992 年 10 月 28 日)により規定されている。南部地域における都市部地区 としては、大ガベス圏(Gabès, Ghannouch, Chenini-Nahal, El Matouya, Ouedhref)とガフサ県、 トズール県、ケビリ県、メドニン県、タタウィン県が指定されている。南部地域において 開発の影響を受けやすい地区として指定されているのは、ガベス ― エルジョルフ(El Jorf) とジェルバ島、ザルジス、南部サハラ地区(トズール ― ケビリ ― タタウィン)、ガフサ鉱 業地区である(同政令第1 条・第 2 条)。 上述のとおり同法が想定しているのは空間計画の要素が強く、現時点では地域開発(振 興)計画を担当している地域開発・計画省(MRDP)・南部開発公社(ODS)と空間計画 を主体とする国土計画を担当している設備省が並列している。本法律でも本プロジェクト

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