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婚約の法的把握と慣行および法意識

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(1)婚約の法的把握と慣行および法意識. 日本における婚約の把握ーとくに慣行および法意識と關連して. 婚約についての立法諸例. 幽婚姻の自由と婚約 =. 婚約成立の間.題. 三 q. 樽入れおよび結納と婚約の成立. 儀式 に 海 け る 婚 約 合 意 の 成 立. 箪純合意による婚約の是認. ㈲. 婚約違反に封する効果について. 婚姻の自由と婚約. 高. 梨. 公. 之. 婚姻の法的把握と慣行および法意識. 三八七. 婚姻が突如として生れ︑いわぼ﹁はじめに届出ありき﹂ という事態が生ずることは︑ いかなる場合においても絶封. ㈲. 樹 現代における樽入れの慣行と法意識. ③. ㈹. D.

(2) 婚姻の法的把握と慣行および法意識. 三八八. に考えられないことである︒届出に至るまでには︑そこにおのずと輕過的段階があり︑とくに婚姻すべき約束︑いわ. ゆる婚約の存することが一般といわねばならない︒しかも︑こうした婚約は︑わが慣習法上婚姻に準ずる効果さえ認. められてきたものである︒それにもかかわらず︑婚約規定はついに今日に至るまで成文として制定されるに至らず︑. いや草案としてさえほとんど考慮を受けるところがなかつた︒このことは︑一方にフランス法の影響を考えてよいと ︵一︶. 思うが︑他方︑そして主として︑届出婚と婚姻自由との重畳的働きかけを考うべきものであろう︒周知のように日本民. 自由な意思の合致が彊く要求されてくること. 法は︑明治の初年からかなり強い態度で届出婚を維持してきたが︑同時に近代的婚姻自由もその理想であつた︒この. 爾者が絡みあうと︑そこに双方當事者の1婚姻屈出の時における. になる︒もち論︑後者の展開は︑さし當り親の撞行に蹄しやすい許嫁などの排除をも考えたはずである︒こうして︑. 屈出婚の維持と届出時における自由の確保を︑奮日本の地盤の上に考えるとき︑婚約の規定はしばらく設くべからざ るもののようにみえたのであつたろう︒. ノ上タリトモ︑双方ノ戸籍二登記セサル内ハ其効ナキモノト看徹スヘク::﹂であるが︑これに封し﹁八年第二百九號ノ論遙. ︵一︶ 周知のように屈出婚を樹立したものとして知られているのは︑明八・コ丁九日太政官達二〇九號﹁婚姻::縦令相封熟談. テ論ス可キ儀ト相心得ヘシ﹂という明一〇・六・一九日司法省達丁四六號による太政官指令が傳えられている︒しかし︑後者. 後其登記ヲ怠リシ者アリト雌モ︑既二親族近隣ノ者モ夫婦・:・ト認メ︑裁判官二於テモ其實アリト認ムル者ハ︑夫婦・:シ以. あつて︑民事においてはなお八年蓮の趣旨が守られていたのだと考える蝕地がある︒この黙については山主政幸﹁肚曾科學と. は謀殺・故殺・犯姦等の刑事事件に封し︑内縁者を凡人としてとり扱うべきや否やの宮峙縣判事からの擬律伺に封する指令で しての法學﹂ ︵ 昭 二 八 ︶ 一 七 八 ー 八 ○ 頁 を み よ ︒.

(3) 奮民法第二章草案は︑婚約規定を蔚くまれな例外として︑﹁婚姻ヲ爲サントスル約束ハ其婚姻ヲ爲スノ義務ヲ生セス︑. 然レトモ約束者ノ一方力正當ノ理由ナクシテ其履行ヲ拒ムトキハ他ノ一方二封シテ損害賠償ノ責二任ス﹂という規整. を意圖した︒しかしこれは︑﹁双方ノ爲メニ宜クナイト見タナラハ破談ヲスル方力宜シイ﹂︑婚約は﹁公秩二關スル事柄. テアルカラ無効﹂︑﹁武士三一言ナシトカ云ツテ生涯娘ノ不幸息子ノ不幸トナルヤウナコトヲ輕々二取扱フ﹂べきでな. いーというような論擦から削除されている︵法典調査會一三七回︑明二八.コ.一五日︑﹁同議事速記録﹂四函五七i八三. 丁︑谷口知李﹁親族法﹂︵昭一〇︶二一四頁参照︶︒さらに上叙の瓢を明白にいうのは大到明三五・三・八日であるが︑それ. によると﹁民法施行ノ前後ヲ問ハス︑法律ハ結婚ノ時特二當事者双方ノ自由ナル意思ノ存スルヲ必要トセルカ故二︑其. ノ自由ナル意思ノ結合二因リテ戸籍二登録シタル時︑又ハ戸籍吏二届出テタル時ヲ以テ︑始メテ其婚姻ヲ有効トセリ︒ ︵二︶ 由是観之ハ︑將來婚姻ヲ爲スヘシトノ豫約ノ如キハ法律ノ認許セサル﹂ものだとする︵民録八輯三巻一九ー二〇頁︶︒いず. れの立場も︑届出における自由な合意を奪重しようとする氣持だけはかなりはつきりしているように思う︒しかし︑. こうした態度は︑大正四年の大審院民事聯合部到決にょる︵内縁を意味する︶婚姻豫約の是認︑これに便乗した昭和. 六年の大審院到決の︵情交を件う︶婚約の是認によつて︵民録一二輯五三頁︑新聞三二四〇號四頁︶︑漸吹に崩れる一途を. 辿つてきた︒これは︑當事者の意思なくして許嫁されるというようなことがまず考えられなくなつた時代の攣化に支. 持され︑また多く婚約の効力を認める外國法の存在にも支援されているのであろう︒のみならず︑理論的にも届出の. 時における合意というものがしばしば要求し得ないものであることが反省される︒當事者が戸籍吏の前で届書を書く. 三八九. ことが要請されているならいざ知らず︑そうでないかぎり屈書作成と届出の問には必然的な時間のずれが起る︒こと 婚姻の法 的 把 握 と 慣 行 お よ ぴ 法 意 識.

(4) 婚姻の法的把握と慣行および法意識. 三九〇. に届出とは受理を意味すると解せられている場合には︑このずれはむしろ一般化されることさえ考えられるのであ ︵三︶. る︒こうして︑身分行爲は合意によつて成立し︑届書の作成がなされればその後に有効な撤回のないかぎり届出によ. つて効力襲生︑あとからその効力を覆し得ず︑というような見解さえ生れてくる︒もしそうなら︑婚約もまたかくの. ごときものとして把握せらるべく︑とくに明文の届出要求がない以上これを侯たず︑合意とともに襲効するものとし. て支障なさそうである︒こうして婚約の有効論は︑ともかく日本肚會の實状によつては︑婚姻の自由と爾立し得る可. ︵二︶. われわれは豫約無効論に鉗しても深い敬意を挑うべきであると考える︒豫約がかつての婚約のように︑本人の意思の無観な. 能性を持つことになつた︒. いしはいちじるしい強制に基いて行われ得る杜會的・纒濟的地盤に支持されている場合に︑それが本人の意想に出でる場合をも. 包括して︑一義的に無効としてしまうことも︑矛︑れはそれでやはり一つの立法態度であると思うからである︒問題は後者を保. ているような豫約否認論は︵後述︶︑日本ではこういう意味においてのみ重要であるに過ぎない︒. 護しつつ︑前者を抑えて個人主義的婚姻の助長を行うにいずれがよきかという決噺にかかつている︒米國において問題とされ. ︵=↓︶ この貼については加藤一郎﹃身分行爲と届出﹄︵﹁家族法の諸問題﹂︵昭二七︶五一九頁以下︶をみよ︒しかし問題はある︒か. へば婚姻につき學式と同棲︶に遡ろうし︵前掲書五三四頁等︶︑これに一歩を進めれば合意そのものの存在する時︵例えば豫約. ように合意を重んずるときは︑行爲成立の時は届書作成の時というに止らず︑さらに合意を確實にする杜會事實があつた時︵例. 婚約についての立法諸例. でない単純な婚姻約束︶にまで遡りはしないか︒. 二.

(5) 日本に痴ける婚約規定のこうした實歌からいえば︑外國法における婚約奪重ば少くもこれに優つていた︒しかも︑. 総じていえば大陸法に比較して英米法はさらに一窟優つている︒ここではまず大陸法の一典型としてドイツ民法をみ. ることから始めよう︒いうまでもなくBGBの婚姻規定は︑一たびは一九三八年七月六日の新婚姻法によつてナチス. この経緯については太田武男﹃戦後ドイッに於ける新婚姻法に就いて﹄論叢五九巻︵昭二八︶三號一四ξ頁以下︑なお一九. 的に︑つぎには一九四六年ご月二日の婚姻法により復蹄的かつやや進歩的に攣改され︑最後に最近のBGB改正案に ︵一︶ よつて男女同樺の實現と法統一の招來のためにふたたび民法そのものとしての改攣を受けようとしている︒ ⊃︶. 三條に由來するBGB改正草案については︑椿毒夫﹃ドイッ親族法の改正﹄論叢五九巻︵昭二八︶五號一六二頁以下︒. 四六年法の課文として︑桑田三郎・田村五郎﹃一九四九年・ドイッ婚姻法﹄新報六〇巻︵昭二八︶五號六八頁以下︒ボン基本法. それにもかかわらず︑婚約の規定は依然としてその生命を保ち︑BGB二一九七條乃至一三〇二條はその内容を攣. えていない︒もつとも︑これらは婚約そのものについて規定したわけではなく︑むしろその効果︑とくに違約の効果. を定めるものである︒ところでその婚約ぎま冒謎であるが︑それは一つの契約であり︑より詳しくいえば性を異にす. る二人が互いに婚姻を締結しよう︑そして肚會に封してその緊密な關連が是認される婚約者の地位という協同騰的關. 係を作り出そうとする︑表示された意思の合致だといわれている︵匡①置月ざ三ゑ一.冒一帥同一Pご㊦一一響ぎ.国簿一日一強雰目Φ︒ヌ碧胃︼貫. ︒鈎漣5︒婚約の形式は別になく︑輩なる相愛關係との限界は困難な問題だが︑婚約の指輪が贈られ︑婚約が公表. 一総︒. されるというように︑定型化された行爲があればそこではつきり認められる︒婚約の意思の代理は原則として善良の. 風俗に反するが︑表示の代理なら可能である︵森本﹁親族法要論共昭四︶四二頁も婚約の任意代理を表示の代理として認める︶︒. 三九一. 條件や期限も良俗に鰯れるときがあるけれど必らずしもそうはいえぬ︒親の同意を得られたら︑という婚約のように 婚姻の 法 葡 把 握 と 慣 行 お よ び 法 憲 議.

(6) 嫉嫌の法附把握と償存および法意識 である︵白95き♪鉾㌘Oあ●謡︷●︶︒. 三九二. ところで婚約をすると︑婚約者に適わしい態度をし︑また將來結婚するという︑軍に道徳的であるだけでなく法的. でもある義務が護生する︒もつとも婚約のゆえに婚姻の締結を訴求し得ず︑婚約不履行に封する違約罰を約束しても. 無効である︵一九九七條︶︒そのほか婚約者は︑刑法・民訴法・刑訴法等で特別のとり扱いを受けることにもなつてい. る︵馨︵由顕翼黎鱒零鐸鳶O駿ω︒︒ω玉︒︒ ︒ あ賠O議貫蕊︶︒婚約違反の本質的効果はいうまでもなく損害賠償だが︑. 親戚や友人といつたーに支沸うべく︑相手方に封してはさらに﹁婚姻. 重大な理由なくして婚約を解除した者は﹁婚姻を期待して出した費用または負うた債務から生じた損害﹂を相手方・. その父母・父母に代つて行爲した第三者. を期待してその財産や醤業について行つたその他の慮分から生じた損害﹂をも支沸う︵二一九八條︶︒この際︑相手方. に過失があるため重大な理由による解除をさせた場合には︑逆に相手方が上述の賠償義務を負う︵一二九九條︶︒要す. るに賠償義務は婚姻締結の場合の積極的利盆︵履行利盆︶については存せず︑ただ浦極的利盆︵信頼利盆︶︑つまり︑. もしかれが後日の解除をすでに當時豫見していただろうなら蒙らなかったはずの不利盆のみの賠償として存するわけ. である︵富巨§巨るト○¢鱒c︒︶︒それゆえ︑もち論精紳的損害に封する賠償などは請求できない︒これが許されるの. は性的に汚辱なき婚約中の女性目富器ど寂器く豊o嘗①ー︑−庭女性ある者のみを意味せず︑寡婦にも無汚辱性は認め. られるー⁝−が相手の男性に同棲を許した場合に限る︵一三〇〇條︶︒な痴婚姻の締結が行われないときは︑婚約の徴表と. して與えられたものを不當利得として返還しあわねぼならない︵一三〇一條︶︒これらの講求灌の時効は婚約解消後二 年︵一三〇二條︶ というようなわけである︒.

(7) ︵コ︶. 右のようなドイッ法の婚約規整は︑英國の法曹にとつてすこぶる力弱いものに感じられ︑ドイツでは婚約蓮反事件. は一般的關心をひくこと少く︑訴訟となることもまれで︑與えられる賠償額もはなはだ少いーと評されている︒. ︵二︶舅900げン..臼泣一■勢≦︑︑︵周03蒔bO窪09竃曽皇包鉢Q臼目琶冒魯期鳩く塾ど■83Fご9も藁臼︶︒本書はドイッの. る︒﹁婚約違反の訴はドイツの裁判所にはまれで︑なんら一般の關心を惹いていない︒このことは民法典︵一九二八條︶が︑婚. 団旨註浮国o昌oにおける劇匡鼠9m蜜龍のメムバーにドイツ法の概観を示すため書かれたものであるが︑つぎのようにいつてい. のである︒それゆえ︑その期待が︑花嫁・その父母・他の第三者をして花嫁の財産に不利を及ぼす現實の行動を惹起させたこ. 約不履行の場合の補償を一般に婚姻を期待して蒙つた現實の串費によつて生じた損害に限定して規定していることーに基く. きない︒重要な理由は相手方その人︑壌境または過失に基くものでなくてもよいとされる︒一方︑もし相手方に過失あり︑そ. とを護明する必要があるわけである︒のみならず︑この補償すら︑婚約破棄を正當化する重要な理由の存するときには請求で. れが婚約から身を引くに足る重要な理由となるような場合は︑その過失者はかれまたはかの女自身他の當事者に補償しなけれ. ばならない︑一二九九條﹂︒﹁ただ一つの場合のみ︑非財産的損害についての補償が請求できる︒すなわち婚約の女が性的に汚. 辱なきものであつて︑しかも相手方に性的交渉を許したという場合︑かの女はその純潔性喪失に封し金銭による正當な補償を. 主張することができる︒二二〇〇條をみよ︒こうした事件で判定される額は︑同種の事件につき英國の裁判所によつて一般に 判定されるだろうものよりも遙かに少い﹂と︒. ところで︑それなら大陸法に比較してより強く婚約を保護するという英米法の規整はどんなものであるだろうか︒. ここではやはりその典型として英法をとり︑若干の考察を加えておくに止める︵炉Hの段騨轟零﹃8β国お邑亀︑のご9. 目窪誉閑Φ鋸賦o器﹄汀浮Φ倉ピo盈OFぢ蟄もや¶下o︒恥︶︒それによると︑婚約鷺o巨器9旨曽崔鍵難は當事者相互の︑. 有効な婚姻をするという契約である︒﹁相互の﹂ととくにいうのは一方的な鷲09ぎでは足らず他方の器8営馨8が. 一孟三. いる意味だが︑もち論同時的になされないでも適嘗な期間内になされればよい︒書面による謹明も︑今日では詐欺法. 婚姻の法約把握と慣行および法瀬識.

(8) 嫉姻の法的把握と慣行齢よび法童識. 三九四. 砿蜜言審9厚讐翻の適用がないから不必要であり︑必らずしも言葉による契約である必要すらない︒態度・行動でも. 婚約は成立する︒ただし間接の表明については問題である︒この婚約の不履行に樹しては男女いずれからでも訴の提. 起が許されることになる︒もつとも婚約に婚姻の日が決められてないときは適當な期間内に婚姻するという約束と解. して違反を考えねばならない︒條件付婚約も有効とされているから︑これについては成就のとき︑相手方があらかじ. め絶封的に婚姻を拒否するとき︑その他相手方が第三者と婚姻して婚約の實行ができなくなつたときなどに違反の成 立をみることになる︒. さて︑ところで英法では︑婚約蓮反の主張をナるためにやや特別な讃明を必要としていることが注目される︒すな. わち日冨国く峯窪8周葺旨げ霞卜馨①畠冨①暮卜8冨3器ρPは︑婚約違反の訴訟に勝つために原告は︑かれまたはか. の女の供述謹言がこうした婚約の存在を支持する何かほかの目暮9箪な︵關蓮性ある︑重要な︶謹撮にょつて補張される. 要のあることを規定している︒この謹族は一鍔§邑なものでさえあればよいので︑原告の話自騰を補強する強い性質. のものでなくてもよい︒婚約そのものが行われる前の當事者の行動などでも構わない︒手紙や第三者の面前ではつき. り婚約したことが立謹されないでも︑當事者の行動・かれ等が血族や友人から受けた評贋等々には婚約の直接謹擦の ︵三︶ ない場合に婚約の護明に役立つものとされる︵置8毛・置1・ ︒O︶︒. oミもρPご﹄①9 ①い﹃.9頃﹂雪︶は︑原告女が被告 婚約についてのりーディング・ケースとされている劇①器宣<9幹①旨︵HQ. 男の子を産んでいる場合だが︑原告の補強誰擦は二つの會話のうちにみいだされた︒第一は被告が原告のきようだいに子の出. ︵三︶. に偶然別室で聴回た原告が被告にいつた言葉︑あなたはいつも私と結婚するといつていたのに約束を争らない︑これに封する. 生前いつた言葉︑自分は原告と結婚するつもりで︑かの女が捨てぬかぎり何でもする︒第二は原告のきようだいが子の出生後.

(9) 々この種の立詮を拒むことは婚約に關する謹明をいちじるしく困難にすることが考慮されているのである︒もつとも被告男が. 被皆の沈獣︒・ーつまり補張される謹擦は契約を確定するまでのものでなくても契約を支持すればよいというわけであり︑馨. 補強謹擦とはならないーとされている︒なおこの判決は︑立石後出九六−七頁に紹介されている︒. 原告女から︑あなたは私と婚約した︑という手紙を貰いながら放置しておいたという事實だけでは︑この法律の意味における. 婚約違反があつても︑いわゆる特定履行署①︒包需魯旨影9︒を求めることはできない︒婚姻に入るという含理的. な期待が破れたときは金銭賠償で償われることになる︒しかし︑婚約違反の訴においては︑感情を傷けられ︑歳月を室. 費した等の︑いわゆる心情的損害賠償ωΦ暑ぎ露§︵一善麟σ蔓窃が罰金嘗Φま①の計算に算入されるし︑被告の違反にょ. つて起された嚴格な金銭的損害のみが考慮される項目だというわけではない︒賠償は蒙つた損失の補償金として被害. 者に與えられ︑感情・愛情・傷いた斡りおよび婚姻できなかつたこと −をつねに含んで定められるようになつてい. る︒この場合賠償額は被告の財力によつても攣化する︒なお被告が原告の貞操を侵している場合は事態は一層悪いも. のとして賠償額の決定に影響する︒−ところで婚約違反に際し︑指環その他の贈り物が行われていたらどうなるか︒. 女が婚約を破棄したときは︑指環は返えす︑というのが婚約に内包された條件である︒男が婚約の實行を拒むときは. 指環の返還を請求できない︒婚約が雨者の話し合いで終了するときは指環および同種の贈り物は互いに返還しなけれ. ばならぬよう考えられている︵置曾等織下o ︒︶︒. さて婚約違反の訴に封し︑被告は原告の詐欺もしくはこれに類似する行爲を主張してその責めを冤れようとする︒. それは︑やや詳しくいえば︑被告が婚約の肩○鍔密をし︑もしくはそれを承知するに際し︑原告の側の眞の實情が到. 三九五. つていたなら︑決して胃・鼠器したりそれを承諾したりしなかつただろう!という主張である︒その有力なものを 婚姻の法的把握と慣行および法意識.

(10) 婚姻の法的把握と慣行齢よび法意識. ︑. 三九六. 例示すると︑原告が︑その財産状態や從前の生活の重大な特異黙について不實を述べ︑悪意で隠しだてしたりしたこ. と︑その享有の正當な分け前について被告を欺すつもりで財産を秘密に庭分したこと︑婚約後に到明した被告の性的. 無能力︑とくに女性の不品行︑婚約するとき男が知らなかつたことを要しようが︑例えば女に男がその父でない子が. あるというようなとき︑婚約後における原告の被告に封する行動が︑飢暴・粗野・滲酷であつて被告の生涯の幸幅を. 委ねがたいような場合︑原告が被告を解放邑霧器身筈Φ覧篶昌註崩・寒富畠鴎魯鼠誉していたこと︑例えば長い間會 いもせず便りもしないというようなときーなどである︵ま一曾薯●o︒㌣恥︶︒. 上述したような英法の態度は︑もち論アメリカ法のうちにもとり入れられた︒その態容は︑各州もとより一義的に ︵四︶ 示し得ないわけであるが︑大たいにおいて著差ないといい得るのであろうか︒しかし︑この馳アメリカでは︑最近婚. 約違反訴訟宮雪96な8旨密ω三錺による婚約保護を慶止する州が増加しているのであつて︑注目に贋いする︒もつ. とも︑それは︑女性が生活のために婚姻によらないで濟む濁立性を獲得しきつたことを地盤とし︑婚約關係が不嘗に. この貼については立石芳枝教授の﹃アメリカ法における婚約違反﹄が詳しい︵﹁家族法の諸間題﹂︵昭二七︶八七頁以下︶︒. 破棄されることは不幸なことには違いないが︑でも破れた婚約の方が悪い婚姻よりはよいと考えるのも︑日本などと ︵五︶ は違つた實情による慶止である︒ ︵四︶. ︵五︶旨2霞舅岩目ぎ搾ピ曽崔貯鴨讐②毎①岡魯巨一ぎ一逡刈もる器はその脚註で︑一九四三年一月に婚約違反の訴は一〇の州. ρ9<臼巳霞の報告によるとしている︒立石教授の學げるもの. で慶止されている︒すなわち︑卜鼠び即巨20普需自巳欝OO一〇β創PH田ロo量Hロ師宣屡欝竃器舞oげ垢①辞の坤ま一〇げ蒔魯コ2①名臼①お①ざ. 20期属o詩㌔①屋①ξき宣であるとし︑スタンフォードの国. は一一であつて若干のくい違いがあるが︑これは一九五〇年現在の新しいものだそうであるへ前掲書九二頁︶︒これによると︑.

(11) 日本における婚約の把握ーとくに慣行および漆意識と關連して. マサチュセッツが抜けて︑ネヴァダとウァイオミングが加わることになる︒. 三. ω婚約成立の問題 ︵一︶. すでに鰯れたように︑日本法は外國法の例に倣わず婚約について規定するところがない︒したがつてその庭理は︑. かつて主として到例により︑いま家庭裁到所の調停のうちに︑次第に累積されつつあるもののうちにこれを求めるほ. かない︒ところが︑嫁るべき規定を訣く場合の庭理は︑それが到決・調停・示談いずれによるものであるにせよ︑結. 局はその基礎を一般慣行や法意識に求めることになつてくる︒もち論︑これらの基礎は︑現代法理想の吟味を受け. て︵この際外國法の一瞥がやはり意昧を持つてくると思われるが︶︑あるいは無覗され︑あるいはそのままもしくは改造を受. けて受容されねばならない︒この爾面からの考察を意圖しながら︑ここでは重鮎を前者に切り換え︑まず婚約の成立 をとり扱つてみたい︒. のほか内縁關係等の解消を含んでいる︒そして﹁全髄の九割までが夫婦關係に入つたものである﹂とされる︵法曹時報四巻五. ︵一︶昭和二十六年の全國統計を例にとると︑全調停事件の一割張が婚姻豫約不履行に關するものであり︑それは純粋の婚約關係. 軍純 合 意 に よ る 婚 約 の 是 認. 號七二頁︶︒. ⑨. 三九七. ところで婚約の成立はいつであるかは抽象的には至極簡軍であるようにみえる︒つまり︑男女の將來婚姻しようと 婚姻の法的把握と慣行および法憲識.

(12) 麻姻の法的把握と慣行および法意識. 三九八. いう契駒があればその時とみてよさそうだからである︵例えば︑永田菊四郎︑﹁新民法要義四巻﹂︵昭二三︶七一頁︑和田干;婚. 姻法論﹂︵大一四︶七二六頁︶︒ところがこの馳については反封も少くない︒例えば︑情交や慣習上の儀式を件わない﹁男. 女問に於いて將來婚姻を爲すべき旨の軍純なる意思表示﹂について︑﹁法律上の意義ある行爲ではなくて︑純梓なる徳. 義上の契約﹂であり︑﹁此の種の關係は全く當事者の至純至誠なる情義に任せなければならないもの﹂とし︵岩田新﹁判例. 婚姻豫約法解説﹂︵昭一〇︶二七七−九頁︶︑また﹁必ずしも結納とか樽入とかの儀式を要せず誠心誠意將來夫婦たることを約. 束すれば成立すると解すべきだが・:或程度は公然性︑客翻性をもつことを要するであろう﹂とする︵谷口知李薪親. 族法講義ノート﹄民商二三巻一號二七頁︶︒この後者は到例が﹁男女力誠心誠意ヲ以テ將來二夫婦タルヘキ豫期ノ下二此ノ. 契約ヲ爲シ全然此ノ契約ナキ自由ナル男女ト一種ノ身分上ノ差異ヲ生スルニ至リタルトキ﹂とするに倣うものであ. ろう︵大判昭六・二・二〇同新聞三二四〇號四頁︶︒あるいはまた婚約を﹁確實に︑確定的に成立したものでなければならぬ﹂. ともする︵中川善之助﹁註解親族法﹂︵昭二四︶一五一頁︵島津︶︒我妻榮﹁改訂民法大意下巻﹂︵昭二八︶四五六頁も﹁確實な﹂合意. を要求する︒なお判例としてこれを高調するもの︑東地判昭二丁五二五日新聞四一三九號四頁﹀︒これを一暦嚴格に解すれば. ﹁宜しく結納式又は結納の交換授受を以て豫約たるの事實とし﹂︑﹁口約束は何等の効力も生じない﹂と読こうとする ようにさえなる︵中島玉吉﹁親族相績法改造論﹂︵昭二︶一四二頁︑一三四頁︶︒. ︵二︶. しかし︑婚約の成立を法的効果のもとに認めながら︑かように制限的に解することは︑明文の規定なくして至難で. あろう︒それが憲法違反だという議論はしばらく措くとしても︑婚姻それ自膣さえ明交で要求された屈出による合意. がありさえすれば︑畢式も︑同棲も共存を要求されるわけではない︒情交を件わない一切が道徳的契約に過ぎないと.

(13) いいきることは勿論︑結納を要求することも根擦に乏しい︒後者はせいぜい立謹の問題に過ぎない︒公然性がなくて. も︑不當破棄の蓮法性が阻却されるとは考えられず︑格段の確實性を求めるのもやはり立護問題以外のものとは思わ. 眞實の夫婦約束を無効親する何らの理由もないように思われる︒ここでは立謹問題や賠償額の. れない︒婚姻における自由を奪重する近代法のたてまえからはt婚約をそのゆえに否認し︑または特別の明文を置 くのでないかぎ り. これは改正民法の審議邉程を通じ各班に表われた議諭︒たとえぼ衆議院司法委員會における自由黛修正案は事實婚主義を原. 問題を離れて︑しばらく婚約の成立それ自艦を考えているのである︒ ︵二︶. て一般の慣習に從つて夫婦となつたとき等︶であるが︑効力の嚢生要件として届出を要する﹂としたいという︵昭二二・一〇.. 期として採川しようとし︑法律婚主義は﹁實際に反し︑憲法の根本精憩に反する﹂から︑少くも﹁成立要件は合意︵したがつ. 二七日︑鍛冶委員の代表誰明︶︒同じく本會議でも同様の提案がされ﹁憲法の第二十四條によりますれば︑婚姻は爾性の合意の. みに基いて成立するとあります︒この臓において︑原案を探川すべきでないことは明らかである﹂と難じられてもいる︵明禮. 禮三郎の代表説明︶9政府側の辮明は﹁自由なる合意の表明の形式を届出という形式によらしめたわけであつて︑それはやはり. 憲法の要請を充足するものであると考えた﹂というのである︵奥野政府委員の衆議院司法委員會︑昭壬丁九・九日における. 爾性の合意によつて成立するもので他の父とかあるいは戸主の同意とかいうようなものを必要としないということによつて︑ 答辮︶︒. 圖儀式における婚約合意の成立. こうして︑婚姻へのスタートが︑婚姻自由がそれをたてまえとするように︑懲愛によつて開始されるものにあつて. は︑男女の婚姻への約束︑つまり婚約が︑行動や言葉や手紙などによつて締結されるであろうし︑それらは他の何らの. 三九九. 儀式をも要せずして︑立派に婚約であることができる︒ところが︑日本における婚姻は︑今日なおその多敷が未知なる 婚姻の法的把握と慣行および法意識.

(14) 婚姻の法的把握と慣行および法意識. −. .. 四〇〇. 男女の見合により︑仲人の斡旋によつてスタートされ︑當事者が直接に婚約するよすがすらないものが多いよう思わ. れる︒この場合︑當事者は︑みずから婚姻への意思を表示し得ず︑またはしないから︑それは必らず代理人ないし使者. を通じて行われることになり︑この際行爲は多くいまだ揺がない奮慣と法意識の支持のもとに推進され展開されるこ. とになる︒そうして︑これらにおいては︑いわゆるタルイレやユイノウ慣行が婚約認定の重大契機を︑今日においてな. お︑形成しているようにみえるのである︒もつとも︑そういうと︑今日の見合婚は交際期問などを設けることによつ. てかなり懸愛婚に近ずいておるものがあり︑少くも知合婚の趣を備えることになつて︑みずから直接に行う婚約が一. 般化されてきているという︑そういう議論も出るであろう︒しかし︑純梓の懸愛婚においてすらある程度はいえ︑ま. た相當期問の交際ある見合婚︑知合婚についてもいえることは︑その場合の當事者の約束が︑肚會慣行としての一定. 様式︑例えばタルイレやユイノウのようなものを履践することによつて始めて法的な婚約たらしめるという︑そうい. う意圖と内容を持つていることもまた少くないという事實である︒つまり︑みだりに違約すべからざるものだという. 法意識は︑見合婚の場合︑双方の内諾が仲介人のところに集まつたときただちに生ぜず︑さらに一定の様式による申 ︵三︶ 入と受諾とが慣行にしたがつて行われて始めて生ずることが普通であり︑見合婚の優勢ないし懸愛婚における婚約慣. 行の鉄除が︑懸愛婚においてすらまた同様の事態を生ぜしめている︑というわけなのである︒したがつて︑婚姻への. 約束を軍純な意思表示の合致に認めようとする立場からいえば︑この事態を認容するために︑そもそもその意思表示. ・自髄がこのような内容を持つて拘束力を設定しようとしているのだと解繹するほかない︒もとより他にこうした内容. を侯たず︑ただちにその効力を生ずるものはあつてよいし︑またあるべきだとすること當然である︒もつともこの解.

(15) 繹が︑婚約の自由を認めようとして輩純合意さえ尊重した前叙の立場を︑その實質に蔚いて顛倒することも事實であ. る︒かくては︑かつて排斥した︑婚約の公然性や要式性を認容する立場とその大部の結論を同じうしはしないか︒そ. れはまことにその通りなのである︒これらの立場といえども︑婚約をもつて輩純合意に擦らしめ得ずとしたには︑や. 法の明文に擦ぢずして〜認容されるというかぎり︑それはとくに合意それ自艦. はりこれを支持する肚會實態を鏡くみていた黙があるのであつて︑その黙はわれわれも決して反封ではない︒しかし︑. われわれは︑いやしくも婚約が. の形式ないしこれに加うるXを要求することができぬものであるとし︑一方現歌との安協を合意の内容に求め︑家的. 日本の婚姻において見合婚と懸愛婚とがどのような比率で存在するものかは判らないが︑手許にある一︑二のものを墨げる. 婚約慣行の個人化を企て︑婚約立法の基盤を形成しつつ︑合意そのものの猫立した存在を認めんとするのである︒ ︵三︶. のそれでは三二六に勤する一九四︵束京家裁﹁統計表﹂︵家事事件・少年事件︶昭二四年度二二頁︑同昭二五年度一ー六月二. と︑昭和二四年における東京家裁でとり扱つた離婚申立事件のうちでは見合婚五六五に封し懇愛婚二八五︑同二五年一ー六月. 樽入れおよび結納と婚約の成立. 二頁︶︒懸愛婚についてとくに破綻の多い日本の現歌からいえば︑この比率は相當のものといえるのではないか︒. ㈲. さて︑それでは婚約成立の契機として相當重要な役割を澹うとした慣行は何であるか︒その追求は︑婚約そのもの. の成立を考えるため︑もしくは少くともその成立の確謹を掴もうため︑とくに大切といわなければならない︒ところ ︵四︶ で︑日本の婚姻をその通常の脛過に印して捕えると大たいつぎのようになる︒まず第一は︑見合をして双方の婚姻意. 思あることを確かめるまでの段階である︒ここではハシワタシ等とも呼ばれる仲介者が活躍し︑調査や見合を経て爾. 四〇一. 者の内諾が招來される︒見合も實質的なそれと儀式的なそれとに分れる場合があり︑逆に省略されてしまうこともあ 婚姻の法的把握と慣行および怯意識.

(16) 婚姻の法的把握と償行および法意識. 四〇二. る︒後者は改まつた見含を必要としない懸愛婚や知合婚の場合が多い︒もつとも懸愛婚においても双方當事者を含む. 家の承諾を得るためには︑やはりこうした仲介者の活躍に侯たねばならないことが多いので︑婚姻過程を通常の経過. にひき入れようとする努力は随所に梯われる︒なお︑純粋の見合婚では︑話が當事者にまで達せず︑父兄によつて謝. 絶されてしまうことも多いのである︒つぎに第二段階としてタルイレあるいはユイノゥが行われることになる︒ここ. で正式の仲人が︑ハシワタシ︑その他親族・顔役のうちからたてられることとなり︑これらの者が女家に酒を持参し. て樽を入れ︑婚約をし︑多くはそこの共同飲食のうちに結納の打合せを行う︒ついでこの約に從つて仲人が結納をい. れ︑その席で畢式の打合せを行う︒これらの行事は︑男家または沖人が女家にいつて行うものが中心であるが︑仲人. が爾家から出るか出ないかとも關連して多くのニュアンスを帯びる︒しかし︑結納に樽入れが結びつき︑あるいは結. 納が畢式當日に行われたりして︑爾者の濁立存在を拒んでいる型も少くないようである︒これらの儀式が︑その襲生. において︑そもそも家と家との問の結びつきを象徴するものであつたろうこと︑ほとんど疑いを容れる鯨地もない. が︑今日では次第に當事者の意饗を表示する機會として成長しつつあるようであり︑それは注目に贋いすることでな. ければならない︒つぎに第三段階は畢式と披露であるが︑ここでも嫁迎え等にわずかに保存される婿入婚の名残りが. 嫁入婚と一つになつている例が多く︑都會化の進展は次第に當事者婚の色彩を強くしている︒こうして最後に︑第四 に︑届出による法律婚の成立が待たれることになるわけであつた︒. たとえば横濱地剣昭五・八・二七日は﹁原告力訴外相原某及高橋某の媒酌に依り昭和二年四月二四日被告ト婚約ヲ結ヒ︑同. 年四月三〇日結納ヲ交換シ︑被告家二於テ双方ノ親族立會ノ上婚姻ノ式ヲ學ケ︑婚姻ノ豫約ヲ爲シタルコトハ當事者間二争ナ. ︵四︶.

(17) ン::﹂といい︑婚約・結納・墨式を匠別する︵新聞三一六八號六頁︶︒岩田新博士は︑これを﹁最も珍奇なるは昭五・八.二. 七横濱地判﹂と評されるが︵前揚書二〇一頁︶︑どちらかといえばそういわれる方がむしろ珍らしいといい得ること後述する.. なお穗積重遠博士は︑今日の婚姻生活が通常経過する三時期として︑婚姻豫約期・事實婚期・法律婚期としたことがある︵﹃婚 姻豫約有敷鋼決の眞意義﹄志林一九巻︵大六︶九號六頁以下︒. 婚約の成立もしくはその確謹としてとり畢げたタルイレとユイノウについては︑しばしば後者が前者を覆つて灘察 ︵五︶. されている︒これは全國民事慣例類集などが先躍をなすものと思われるが︑それによると結納は﹁品物ヲ婦家へ贈リ︑. 婦家二於テ祝宴ヲ開キ媒介人井二親族ヲ饗宴シ新婦浬歯ノ式ヲ行フ︒此手綾ヲ爲セシ上ハ既二夫婦ノ契約成ル者ト. シ︑大ナル事故アルニ非ルヨリハ決シテ攣約セサル事ガ般ノ通例ナリ﹂というのである︵第一籍人事︑第二款諸式例︶︒と. ころが︑この原則に綾いて﹁梢麦異ル條款次ノ如シ﹂として列墾されるものを仔細にみると︑結納とは別に︑そし. ヲダル. ておそらくはその前にいわゆるタルイレを行う慣行が頻出し︑それに違約を許さぬ意識を持つていることが顯著なの. であつて︑類集の一般通例とするところは要約の誤りである襯すらある︒すなわち︑例えば︑﹁契約定レハ小樽ト唱. へ酒ヲ贈リテ約定ヲ表シ︑婚姻ノ日定リテ結納トシテ衣類ヲ贈ル事ナリ﹂︵陸中國謄澤群︶とするものがあり︵その他近. クチギメ. 江國滋賀郡・盤城國白河郡・越後國刈羽郡等︶︑そうしてそのタルイレをもつて﹁盃ヲ爲セシ後ハ攣約セサル例﹂︵安房國安房. 郡・耶郡︶・﹁口極・:シ爲セシ後ハ容易二違攣スヘカラサル習慣﹂︵下野國都賀郡︶・﹁之ヲ茶ト唱へ假結納ノ意味ニテ: ノ 爾後故ナク破談ヲ爲サントスルモ媒介人承諾セサル例﹂︵越後國魚沼郡︶・﹁酒ヲ爲タト唱へ決シテ遠約スヘカラサル者ト. 四〇三. ス﹂︵佐渡國難太郡︶・﹁濟潭:シ爲セル上ハ決シテ違約スヘカラサル習慣﹂︵豊葡國下毛郡︶とし︑とくにはつきりと﹁樽 婚姻の法的抱握と慣行および法出昼識.

(18) 婚姻の法的把握と慣行齢よび法意識. 四〇四. 立即チ契約成ルノ敷ニシテ此樽ヲ開キタル上ハ故ナク其契約ヲ慶スルヲ得ス﹂︵羽後國秋田郡︶と述べるものさえある. のであつた︒そうして︑類集におけるこの關連は︑ただに明治初年の慣例のそれとしてだけではなく︑實は今日の慣. ︵六︶. 例としても安當するものがあるように思える︒タルイレは相當の部面においてユイノウに先行し︑それ自膣婚約であ. るか︑またはその確謹であり得︑その意味ではむしろユイノウの存在を掩つてしまうことが多いのではないか︒. 俗にいう鐵漿︵かね︶つけ︑明治三五年の序丈を持つある書物に﹁億愈いよ結納の儀式を終り︑之を受け納むれば︑古來の式. にては其儘嫁の爾を染むることを禮とせり︑是れ約束を攣ぜざるしるしといふ︑今は東京などにては婚姻したる後にても歯を. ︵五︶. 染むる者稀なる様になりたれども::﹂とある︵﹁増訂日本女禮式大全﹂︵明四五・二五版︶二三頁︶︒類集に表われた染歯は最. 判例のうちには︑ややあいまいだが﹁右當事者間に控訴人主張ノ如ク大正十二年十二月二十九日訴外野口豊吉夫妻ノ媒酌二. 近まで必らずしも死滅した慣行ではない︒. 新聞二五七四號一五頁︶︒これに反し︑樽入といつて. 依リ婚姻ノ豫約成立シ︑地方ノ慣習二從ヒ樽入ト稽盈ル儀式ヲ行ヒタル事實ヲ認ムルニ十分﹂とし︑親酒は飲んだが婚姻意思. ︵六︶. はなかつたという抗争を排斥したものがある︵東控判丈一五・五・一日. も﹁媒酌人タル::爾名力酒肴料トシテ金二圓ヲ被告家二持参シ︑被告ノ父夫婦及被告ノ祀母ノ居合セタル際︑固メ酒ヲ飲ミ. タルニ過キ﹂ざるもので︑﹁被告ノ奪驕親ヵ媒酌人二封シテ軍二婚姻ノ内約ヲ爲シタル﹂だけ︑﹁當事者本人二於テ法律上婚姻. タル﹂程度ではいわゆる前樽ないし内樽といわれるもの︑﹁結納ノ日取リ又は墨式ノ取極メ等ヲ爲シタルコトナク︑其儒退散シ. ノ豫約ヲ爲シタルモノト速噺﹂してはならぬーとするものもある︵水戸地土浦支部判昭六・七・三〇日新聞三三〇四號九. 頁︶︒もつとも︑この判決では結納と別に本樽入れを認めるわけで︑この場合は婚約の成立を認め得るのてあろうか︒. ︵七︶. こうして︑われわれは︑以下タルイレ慣行の存在と一般がこれに抱く意識とを問題とすることになつた︒もち論︑こ. れらの慣行の存在や意味については多くの︑とくに民俗學の領域から提供された優れた資料があり︑研究がある︒し.

(19) かしわれわれは改正民法施行下の今日の問題として︑その存在なり︑その意義なりを検討しなければならない︒その ︵八︶. 不完全さと偏りとを充分考えつつ︑われわれはその資料を昭和二十八年七・八月に行つた學生の調査のうちに求める. こととした︒これをもつて全般を概することが多少とも可能であるとすれば︑今日においてもタルイレ慣行はほとん. ど全國に行われるもので︑これによつて一般に婚約成立の意識が生じているーということになる︒その中心は︑仲. 人が女家の親に封し男家から持参した酒またはこれに代わる金銭を贈つて共に飲食し結納の日を定めることにあり︑. 爾後違約は責めらるべきものになる︒そして︑ここに女家といい男家というのも︑いわば當事者を代表するものとし て働くのだという意識が成長しているようである︒. 門﹁日本婚姻史論﹂︵昭二三︶など貴重な資料が多い︒本稿はまず﹁現代﹂という親野と法律解羅論としての見地から多少違つ. ︵七︶例えば﹁婚姻習俗語彙﹂︵昭二一︶︑﹁族と傳説︵婚姻習俗號︶﹂六巻︵昭八︶一號︑その他柳田國男氏の諸著作︑有賀喜左衛. た角度を採ろうとした︒したがつて︑タルイレやユイノウが實はかつての結婚式そのものであつたろうというような推論には. この贅料は日本大學法學部・経濟學部・文學部學生が郷里で調査した婚姻慣行報告から要約した︒叙述が詳しくなく︑間題. 鰯れないことにする︒. 黙を逸しているものも多く︑地域的な偏りも大きい︒しかし︑これでも︑いわば傾向的・大綱的把握ができないか︑というの. ︵八︶. が筆者の抱くはかない希望である︒. ㈲現代における樽入れの慣行と法意識. 以下︑われわれは現存するタルイレ慣行を︑やや煩わしいのに耐えて列畢してゆこう︒ただし︑ときにむしろユイ. 四〇五. 見合の結果双方よいということになると︑男の親はその仲人を通じて女の家に酒と金とをクチガタメと稽して購る. ノウとみ番べきものを混在させておく︒爾者の關連と複合とを考える上に多少の示唆があろうからである︒ ︵一︶東京. 婚姻の法的把握と慣行および法意識.

(20) 婚姻の法的把握と慣行および法意識. 四〇六. ハシカケの働きでよいとなるとクチガタメの日をきめ︑仲人が男の親戚と女の家に酒を持つてゆき︑女の親およひ仲人とこ. ︵青梅市︶︒. れを飲み︑結納の日をきめる1同時に結納を入れることもある︵北多摩郡拝島村︶︒. 双方内諾すると仲人はクチガタメをする︒この席には双方の仲人︵始めの仲介人がなるとは限らず︑より有力な親族などが. なる場合あり︑親分とも呼ぶ︶・親戚や近隣の代表三名づつ出席し︑そこで結納金の受領や式日の決定をするーー結納とだぶる. ハシワタシが見合をさせた上でよいとなると︑男方では親と仲人︵普通はハシワタシがなる︶で女方の親にタルイ. レする︒見合いから卉麺一︑二ヶ月内に行われる︒結納は式と同日に行うのが一般︵川崎市︶︒. 紳奈川. 例︵南多摩郡由井村︶︒ ︵二︶. 結納前に貰い方が酒肴を持参の上相手方を訪ね︑關係人が集つてタルイレをするが︑・〆︑れが濟むと︵拘束され︶身動きがで. つた例はな い よ う で あ る ︵ 横 濱 市 戸 塚 匠 ︶ ︒. きなくなる︒タルイレ後の破約は結納金の二倍くらいを償わねばならない︒もつとも話し合いで始末はつくので訴訟沙汰にな. 見合後男方の男の仲人︵普通仲人は夫婦だからそのうちの男︶が酒肴を持参︑女方の男の仲人・女の父・女と酒盛を. 結婚がきまるとハシカケは任務終了し︑仲人が男の家から女の家に樽詰の酒と肴とを持参︑タルイレが行われる︵横濱市鶴 埼玉. 見癌︶︒. して結婚の固い約束をする︒これがクチガタメである︵入間郡大井村︶︒. ︵コじ. この地方の結婚は九割までが見合だが︑見合婚後一週問内に仲人の所へ貰い方・遣り方から諾否の返事があつて︑縁談はタ. ルイレまたはカタメの酒できまる︒その後数日中に式の日取りをきめ︑結納は式の四︑五日前に行う︵兇玉郡丹荘村︶︒. 西部ではクチガタメ・クチガハメ・タルイレなどと呼び︑その際結納の金額・日取りその他を定める︒これをまた一杯酒と. タルイレには近隣のもの︑近い親戚等数人が出席し︑仲人は結納をいれるー結納との結びつき︵同北泉村︶︒. 千葉. この土地では普通見合婚で懸愛婚はほとんどなく︑まず親たちや伸人で大たいよいとなつて本人の見合となるが︑そ. も呼ぶ︵大宮市︶︒. れもよいとなると親や仲人によつて二千から一萬ほどの金銭が相手方に購られ︑これがタルイレでそれで結納の日がきめられ. ︵四︶.

(21) ハシワタシの努力で内談ができると︑かれか︑もしくは他の夫婦揃つた者が仰人にたち︑それは男叡・女家双方におかれる︒. る︒結納金は大たい三萬から一〇萬くらいである︵松戸市︶︒. 下見合と儀式的な本見合とが行われている︵眞壁郡鳥勿村︶︒. 栃木 下話をした者︑茅︑の人が不適嘗なら別の仲人をたて︑仲人は女家を訪れ親族・組合の者立合の上結婚を公表し︑タル. 結納は式の日に仲人が女家に持滲する︵束茨城郡西郷村︶︒. タルダテが行われる︒これはしめ樽の酒を贈るもので︑これで婚約の談とする︒ついで結納がある︵久舷郡︶︒. 茨城. 仲人が酒と結納金を持つて女家にゆく1結納との結びつきか︵市川市︶︒. 仲人は吉日を選んで嫁方の家でタルイレを行い結納の日をきめる︵印旛郡︶︒. ︵五︶. ︵六︶. 現左は見合後双方を遊びに出すなど交際を認めているものが多く︑タルイレはクチガタメ︑クチギメともいわれる︵下都賀. イレまたはクチガタメを行うが︑いまは省略されることも多い︒行う場合はここで結納や式の同取りをきめる︵足利郡三和村︶︒. 郡︶︒クチガタメには双方の媒酌人が双方の親を訪問︑そこでは近親や爾隣の人などを招いで祠宴を開き︑式の日取りなど. 群馬 貰い方から仲人と親または兄弟が親い樽に酒一升を入れて持参︵タルイレ︶︑くれ方ではその酒と別に肴を出して馳. をきめる︒結納は普通式當日に行う︵河内郡豊岡村︶︒. 走しまた一升入れて返す︒これは二並を献げる﹂の意で爾後違約は許されない︵勢多郡京ヶ島村︶︒. ︵七︶. これをまたタルダテといい︑仲人は一日に爾家を訪ね酒一升づつを持参︑近親︵近隣の者も入るf室田町︶と酒宴をして結. 納や式の日取りをきめる︒仲人は一人もの︑その他特別の事情がないかぎり話をした者がなり︑そうでないときはタノマレナ. タルイレによつて結婚の約束は成立する︒婚約ができるとタルがたつ︒男家から仲人が酒肴を持参し女の家族と酒宴しつつ. コウドをつくる︵群馬郡國府村︶︒. 旛島 會津北部地方では相當の格式︑勢力ある人々のやや職業的仲人によつて縁談の成立することが多い︒その決定がある. これをサケヵイというところもある︵勢多郡敷島村︶︒. 結婚の他の條件がきめられる︵確氷郡里見村︶︒. ︵八︶. 四Q七. と仲人は男家から酒一升を持つて女家にゆき︑爾親縁者とうち五合を飲み︑再び男家に蹄つて同様にし︑これで縁談が纒つた 婚姻の法的把握と慣行および法意識.

(22) 婚姻の法的把握と慣行および法意識. 四〇八. 仲人は酒樽で二升と赤色の魚を腹合せに並べたものを女家に持参︑うち一升を飲み︑式の日取り等を定め︑さらに男家に至. ものとされる︵會津北部︶︒. つて残りの一升を飲んで報告する︒これがタルイレで︑その終了と同時に結婚の約束が成ることである︒その後違約があれば. 仲人は女の家でヵタメを行い︑朱塗りの盃を受けて戻る︒この盃は女の身代りであつて男の家に保存し︑式が終つて嫁が移. 仲人は形式的な切腹をし︑一方違約者の家には爾後縁談のかかる可能性がなくなつてしまう︵双葉郡龍田村︶︒ つてきた後仲人を通じて女家に返す︵福島市︶︒. なつた﹂と稻し説宴を張る︵仙豪市︶︒. ︵九︶宮城 話が纒ると仲人が酒を一升買い︑双方の家に五合ずつ分け︑その酒を話をきめる場所へ持ち寄つて﹁一升︵一緒︶に. サケダテと呼ばれ︑見合で話が纏つた場合は翌日てもというように早くするのが一般︵秋田郡船越町・昭和町︶︒. あるいは鮮魚を持つて仲人がゆき︑相手方はこれを肴に酒を振舞う︵刈田郡遠刈田村︶︒ ︵一〇︶ 秋田. ︵二︶岩手結納とは別に男家の親からテウチザケと稻する酒を一升仲人を通じて女方の親に購る︒これを手打ち酒を打つとい. 男方から女方へ仲人を通じサケヲタテルと稔し帯・帯締めなどを贈り女の家からはその牛分くらいのものを返えすー−結納. う︒その後結納が入つてから本家などに知らせる︵稗貫郡矢澤村︶︒ とサケダテとの名稻の一致か︵盛岡市︶︒. ︵二一︶ 青森 息子が二〇から二四になつたところで親が嫁を考え︑候補者をみにゆき︑つぎに息子がゆく︒よいとなると親は給仕. 男の側の部落あるいは親族の長老が仲人となり︑話が纏ると相手方の仲人と交渉し結納等の日取りをきめる︒男の仲. 人︵仲人︶を頼んで交渉︑女方でもよいとなるとキメザケを飲んで話をきめる︵南津輕郡尾崎村︶︒. 人および男は女の家にいつてサケを濟ますと稔する一種の婚約式を行う︒違約の制裁はかなり嚴しく︑部落での結婚は爾後不. ︵二二︶静岡. 能となり︑違約の本人は親族からつき合われなくなる︵富ま郡富士町︶︒. 一方的に破棄すれば結納は. サケの日がきまると︑男方の仲人︑女方の仲人が女の家に行く︒下話をした人が別ならこれもゆく︒男方からは酒一升と同. 時に結納︵中流で一−一〇萬くらい︶を持つてゆく︒これが婚約でサケを濟ませ結納をして成立︑ とられそのほか若千の謝り料も佛わねばならない︵興津町︶︒.

(23) 下話は大てい爾親がして︑﹁昊れる﹂︑﹁貰う﹂の約束をして正式の申込に移る︒これは世話人︵隣組や親戚の人がなる︶が. 行うが約束固めをサケヲスマセルといい︑いまでは簡翠に行われているようだが︑男側持滲の酒に女側が肴を提供︑酒を酌み. 結納が戻されず︑または結納に償いするものを添えて謝まるということになる︵富土郡芝富村︶︒男と父と仲人が︑女︑︑その. 交してヵタメをし︑この際結納もとり交し︑あるいは結納金額・式の日取り等をきめる︒違約はいずれに非があるかにより︑. 村︶︒. 長野 一般にテジメと呼び金を持つてゆくが金額は一定していない︒そこで双方棚談して結納の日が定まる︵東筑摩郡紳林. 親︑仲人列席の上で結納を渡しオミキオサメを行う︵志太郡大富村︶︒ーいずれも結納との結びつきを示す︒ ︵一四︶. テジメは酒が常識だが金なら酒三升か五升代ぐらい︑結納とは別である︵北安曇郡常盤村︶︒. テジメが入つた家では﹁芹が入つた﹂と聡し︑その酒で親類や近所を呼んで吹聴する︵諏訪郡東村︶︒. テジメは結納の約一割くらいに常る金一封を仲人が持参する︵上伊那郡中澤村︶︒. 男方の男親と仲人とが酒を持つて女方にいつて影手暴げをして酒を入れる︒これで結婚話は成立し︑暦をみて式の日をきめ. 縁談がきまればサカナをとりかわす︒それは酒とするめで︑そのとりかわしによつて婚約は成立したことになる︵諏訪市︶︒. る︵小縣郡稻津村︶︒. 男方から酒一升︑するめ筆を仲人を通じて女方に購り︑女方の親・仲人・女を含めた席でサケが入る︒このとき必らず嫁と. 山梨仲介人を通じ女方に酒一升購る︵中瓦摩郡南湖村︶︒仲介人は男を女家につれてゆき︑持参の酒を飲んで式日や親分. なる女にも飲ませる︒縁談成立の時期はこのサケイレであると考えらられている︵北佐久郡村田町︶︒ ︵一五︶. サケイレと稻し縁談の成立ありとし席上結納をするf結納との結びつき︵南亘摩郡櫓穗村︶︒. をきめる︵豊村︶︒. 部落あ組長等役づきの人が話を纒め︑きまれば女の家でサケイレをして式日を護表︑結納は日取りがきまつて男方の仲人か. 新潟 男の家から媒介人とどちらかの片親とがついて︑キメザケとサカナ︵鯉または鯛一封︶を女の家に蓮ぶ︒これを一升. ら女方へ持参する︒. 四〇九. 飲んで一匹だけ食べ婿となる男の家に返す︒これは結納とは別で話をきめる會合である︵新潟市坂井輪村︶︒. ︵一六︶. 婚姻の法的把握と慣行および法意識.

(24) 婚鰻の法的把握と慣竹および法意識. 四一〇. キマリザケと稻して男方の親類が女家へいつて式日等をきめ︑酒を飲む︒その節りには女方から男方へ酒を返えす︒これで. 話が纏まると女家に双方の親・仲人が集まりキマリザケを飲んで結納の日をきめる︵新爽田市三久町︶︒. 一升を五合づつ︑肴を二尾封にして女家に持参しで贈る︵同松ヶ崎村︶︒これをサケヲスルといい︑近親者と披露の小宴を張. 本嘗に話が纏つたことになる︒なお結納は全燈的にしていない︒キマリザケが結納がわりとなつている︵佐渡郡金泉村︶︒. 富山男方から爾親または親代りとなるもの二︑三名︑媒酌人を件つて女方にゆき︑結納金・酒二本・肴一折︑その他手土. る︵同澤根村︶︒なお結納に相常するものは式常日に持滲するものがある︵同金澤村︶︒. 顧岡. 婚約の誰としてキメチャ︵酒・肴︶を女方に購る︵八女郡水田村1ーここの農家六六の調査では︑これで結婚成ると. 産若干を双方媒介人を通じて女方に贈り︑嫁となる者も挨拶にてて結納式を行うー爾者の結びつきか︵高岡市博勢町︶︒. ︵一七︶. ︵一八︶. 貰い方からスミ酒を入れる︒これをテウチともいい︑普通酒一升に肴︵千圓くらいの金の場合がある︶を贈る︒スミ酒が絡. 考えるもの三八︑式とするもの二四︑埴出とするもの四となつている︑松永元澄調査︶︒. れば結納︵茶親儀と呼ばれる︶の日取りや額をきめることになる︵築土郡子束村・友枝村︶︒. ハナシガタメの謹しに女方に清酒を贈る︵嘉穗郡大隅町︶︒これはスミ酒とかオチャとか呼ばれ︑清酒・するめ・昆布等で. 話がきまると仲人をたてチャノミという形で本人・その爾親・仲人等によつて具燈的な話し合いが行われ︑男方は結納を持. ある︵同穗波村︶︒これで婚約がきまるが違約されても泣き寝入りとなることが多い︵大隅町︶︒. 大分. 男側の仲人は女方へ縄張り︑清酒入れを行い︑そこで中親儀︵結納のとりかわし︶の日時および内容について打ち合. つてゆく︒違約した方は結納金を返えすが︑その他慰籍料を請求するようなことはない︵京都郡今川村︶︒ ︵一九︶. ロキキ︵男と女︑二人︶は婿となる男家でよいとなると酒一升に肴を持つて嫁となる女の家にゆく︒大てい一度では受けど. せをする︵ 中 津 市 ︶ ︒. 佐賀話をきめるときは一升の酒と一尾の鯛とを持つてゆく︑﹁一生一代﹂の意たという︵憩崎郡三田川村︶︒. キメ酒は漸時簡素化されつつある︵玖珠郡東飯川村︶︒. 海郡上浦町︶︒. られないが︑女方でも望んでいるときは三度目くらいで受けられ︑女の親や近親で酒を飲むことになり︑これで話はきまる︵南. ︵二〇︶.

(25) クチガタメとして↓升ガタメ︑つまり酒一升と魚一尾を女方に聡つて結納の日取りをきめる︵佐賀市︶︒. スミダルといい︑婚約が綴つた誰として略式に女方に茶を購る︒つぎに本式茶として結納が行われるが︑これは二つ. カタメお茶と稔し︑話がきまつた直後洒肴等を持滲する︵杵島郡白石町︶︒. 婚約違反に封する効果について. の樽に酒を入れ︑仲人︵婿となるもの自身︑その親もゆくことがある︶がいつて親儀盃をし︑結納金日録を購る︵球摩郡湯前. ︵午一︶熊本 町︶︒. ⑥. われわれは︑婚約成立の契機として︑いわゆるタルイレが︑今日なお重大であり︑これを婚姻自由理想との調整に. おいて補えることは現在なお無意義でないことを縷述してきた︒しかし︑これら慣行の示す違反に封する効果はしば. 盟≧G︒凶︑三萬圓まで︑. しば明確でなく︑法的解決としてはそのまま受容することができない︒これらは︑家庭裁到所における調停の結果な. どを調べることにょつてある程度補うすべもあるだろうが︑それとて慰籍料決定額がなし︑. 認\蕊楠︑一〇萬を超えるものがo︒\一︒ G じというのでは︑たとえ物件その他のもので支沸われるに\お楠を除いても︑さ. して重要な結果はでてきそうにない︵前掲法曹時報四巻五號二八九頁︑これは昭和二+六年の統計︶︒むしろこれらは他の立. 法例等を参照しつつ︑日本の地盤に印し新しい理想に慮じた解繹を大膿に行いゆくべき當の分野である︒本稿ではそ. 四一一. t昭二九・四・一二稿1. れを準備する前提として︑まず婚約の成立自禮をとり扱うに止めておく︒これが慣行の︑利用し得る一つの限度を示. すと考えるからである︒. 婚姻の法的把握と慣行および法意識.

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