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社会経済フレーム(人口・社会セクターの開発指標、 GDP など)の設定 2) 計画目標項目に係るベースライン調査・推計

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第4章  開発計画策定型技術協力への提言

1) 社会経済フレーム(人口・社会セクターの開発指標、 GDP など)の設定 2) 計画目標項目に係るベースライン調査・推計

Point 4:

Gabes Port Point 1:

Southwest Tunisia - North Tunisia

Point 6:

GP1 (Libya – Tunisia) Point 7:

Libya - Tunisia

Point 2:

GP1 (Southeast Tunisia - North Tunisia)

Point 5:

Zarzis Port Point 3:

Gabes Railway

Point 8:

Southwest Tunisia – Southeast Tunisia

Point 9:

Southwest Tunisia – Southeast Tunisia

図4-3 交通調査地点

⑥ 上下水道

上下水道について、水道会社などから給水率・給水量・下水普及率データを入手す る。また、淡水化プラント(位置・造水量)・送水網(送水網地図・送水量)に関し てのデータも入手する。また、最近の上下水道整備プロジェクトから上下水道整備の 単位コストを調査する。

⑦ 電力

電力系統図(single line diagram)、発送配電データ、電化状況のデータを入手する。

また、最近の電力発送配プロジェクトから電力供給プロジェクトの単位コストを調査 する。

⑧ 通信

電気通信網について、中継施設の分布、回線容量を調査する。また、電話(固定・

携帯)・データ通信の最新の普及状況を調査する。また、最近の通信網整備プロジェ クトから単位コストを調査する。

(3)計画条件の設定

1) 社会経済フレーム(人口・社会セクターの開発指標、GDPなど)の設定 2) 計画目標項目に係るベースライン調査・推計

-116- 3) 既存国家社会経済開発計画の分析

4) 既存地域開発戦略・計画の分析

5) 他の開発パートナーの支援状況・政策に係る分析

(4)南部地域開発戦略・計画の策定 1) 地域開発ポテンシャルの分析・評価

現況調査に基づいて、農業(牧畜を含む)、漁業・養殖業、食品加工・その他製造業、

商業/貿易、観光に関して、増産・付加価値増額が可能な品目・サービス種を列挙す る。これらの品目・サービス種について、市場拡大の可能性・経済性の観点からの評 価を行う。

2) 開発ビジョン・コンセプトの策定

地域開発ポテンシャル分析・評価の結果で挙げられた品目・サービス種に関して、

チュニジア政府・開発パートナーの開発戦略・支援政策を考慮したうえで、可能な増 産額・付加価値増加額を推計する(開発ビジョンの策定)。推計にあたっては、農業・

漁業・鉱業と食品加工業・その他の製造業の関係に注目して、南部地域での産業の高 付加価値化を検討する。

3) 地域開発戦略・計画の策定

策定された開発ビジョン・コンセプトに基づいて、各産業セクターの増産品目・付加 価値額を達成するための戦略・計画を策定する。

4) 優先セクターの選定

開発ビジョン・コンセプトの策定、戦略・計画の策定で検討された増産品目・付加価 値増額サービス種に関して、クライテリアを設定し優先セクターを選定する。

5) アクションプランの策定

優先セクターとして選ばれた品目・サービス種の増産・付加価値目標を達成するため に必要なアクションを、ステークホルダーごとにまとめたアクションプランを策定す る。

(5)インフラ整備戦略の策定

地域開発戦略・計画、アクションプランの実施に必要となるインフラ整備のための戦略 を策定する。また、インフラ整備に必要な投資額も概算する。

(6)環境社会配慮

JICAガイドラインでは、「マスタープラン調査の場合はIEEレベルで、環境社会配慮調 査を行い、環境緩和策(回避・最小化・代償含む)やモニタリング及び環境社会配慮実施 体制の案を作成する」としている。

本プロジェクトは、上述のとおりマスタープランよりも上位の開発戦略・計画を策定す るものであり、本格調査の段階でも、影響を及ぼしやすいセクター、事業内容及び事業対 象地域等が示されず、具体的な影響の範囲や被影響住民等を特定することができないもの であるが、本プロジェクトにおいても、マスタープランの場合と同様、計画段階から将来 的に想定される事業に基づいたカテゴリ分類を行い、継続的に環境社会配慮に係る管理を

実施する必要がある。そのため、環境社会配慮に係る調査の実施にあたっては、マスター プランを作成する際と同じIEEレベルの調査を実施することが適当である、と考える。

さらに、JICAガイドラインでは、「マスタープラン等においては、戦略的環境アセスメ ントを適用する」としており、本プロジェクトにおいても、マスタープランの場合と同様、

「戦略的環境アセスメント」を実施しなければならない。

JICA ガイドラインに基づき、「戦略的環境アセスメント」の考え方を適用した環境社会

配慮に係る本格調査実施時のTOR(案)については、以下のとおり。

1) 戦略的環境アセスメントTOR(案)

戦略的環境アセスメントの考え方〔プロジェクトよりも上位の政策、計画、プログラ ム(PPP)レベルの環境アセスメント〕に基づいた代替案の比較検討を行う。具体的には、

政策、計画、プログラム等の意思決定にあたり極めて重要な環境社会影響項目とその 評価方法を明らかにし、複数ある代替案の環境社会的側面の影響を含む比較検討を行 う。

a) チュニジアの関係機関を対象とした戦略的環境アセスメントの実施に向けた方法論 に係る協議

b) 開発戦略・計画の策定の際のベースラインとなる環境社会状況の確認〔自然条件、

社会経済構造(地域の部族構成、生計手段、雇用状況など)、土地利用状況等〕

c) チュニジアの環境社会配慮に係る政策・組織・制度の確認

① 環境社会配慮に政策及び組織の確認

② 環境管理に係る法的枠組みの確認

・環境基準(水質、大気質、振動、騒音等)

・国立公園・自然保護地域

・遺跡・文化財

③ 環境影響評価に係る法的枠組みの確認

・環境影響評価(EIA)

・戦略的環境アセスメント

・パブリックコンサルテーション

④ 用地取得に係る法的枠組みの確認

・用地取得手続き

・パブリックコンサルテーション

・補償(補償額の算定方法、補償方法、補償にかかわる組織等)

⑤ 上記a)及びb)に係るJICAガイドラインとの相違内容の分析及びJICAガイドラ インを満たすために必要な内容の確認

d) 開発戦略・計画の策定に係る環境社会配慮面の長期的な開発目標の設定

e) 開発戦略・計画を策定する際に配慮が必要な環境社会項目及び評価方法の検討(ス コーピングの実施)

f) 開発目標を達成するための開発戦略・計画(案)の作成

g) 開発戦略・計画(案)に基づく長期的な環境社会配慮面の正/負の影響予測

h) 負の影響を最小化し正の影響を最大化するための複数の代替案の比較及び最適案 の検討(ゼロオプション含む)

-118- i) 緩和策(回避・最小化・代償)の検討

j) 開発戦略・計画を実施する際のモニタリング方法及びモニタリング体制の検討 k) 本格調査期間内にチュニジア側の実施機関であるODSが計画地域のステークホル

ダーを対象に実施する合計3回のワークショップの開催支援

① 戦略的環境アセスメントの実施に向けた方法論

② 長期的な開発目標の設定

③ スコーピングの実施及びスコーピング結果のフィードバック

④ 長期的な影響予測及び代替案/緩和策

(7)計画目標値の設定

策定された地域開発戦略・計画、アクションプランの実施が計画目標項目の向上にどの 程度寄与するかを推計し、2023年・2033年における計画目標値を推計する。なお、計画 目標値の設定にあたっては、インフラ整備の経済効果も含めて設定する。

(8)投資促進・誘致戦略の策定

地域開発戦略・計画、アクションプランの実施、並びに、これらをサポートするインフ ラ整備に必要となる総投資額を推計し、①政府による投資、②国内民間セクターによる投 融資、③外国からの投融資(ODA・民間)に分類し、それぞれの投融資を確保するため の促進・誘致戦略を策定する。

(9)パブリックコンサルテーションの開催

パブリックコンサルテーションは以下の要領で3回開催する。

第1回目:インセプションレポート提出・説明・協議後、調査の手法・スケジュールを 説明する。

第2回目:現況調査・開発ポテンシャル分析・評価、開発ビジョン・コンセプトの策定 が終わった段階で、これらの結果を説明・確認するとともに、開発戦略・計 画策定、アクションプラン策定、インフラ整備戦略策定、投資促進・誘致戦 略策定で検討すべき事項に関しての意見を聴取する。

第3回目:地域開発戦略・計画の策定、優先セクターの選定、アクションプランの策 定、インフラ整備戦略の策定、投資促進・誘致戦略の策定が終わった段階 で、これらの結果を説明し、出席者からコ メントをもらう。コメントに対し ては、回答書を作成・配布するとともに必要に応じて、ファイナルレポート に反映させる。

4-3 プロジェクト実施上の留意点 4-3-1 本邦研修における留意点

本プロジェクトは南部地域開発計画の策定が目標となるが、計画策定のための手法となる

「参加型アプローチ」の導入が民主化革命を行ったチュニジア現政権として実施すべき絶対条 件となっている。したがって、本邦研修でも「参加型アプローチ」の制度と運営ノウハウをチュ ニジア政府に導入することが必要となる。

ただし、現状でチュニジア政府が暫定政権であるため、制度導入については不確実なものに ならざるを得ないが、運営ノウハウは制度導入を前提として日本の事例を伝えることが可能で ある。

このため、研修には北海道総合開発計画策定時や現在実施している中間点検、最終的なフォ ローアップ等の具体的な制度や組織構成や手順はもちろん、政府側で行っている具体的な準 備、手順、資料等々をできるかぎり情報提供することが重要となってくる。また開発委員会で のやり取りの模擬訓練も可能ならば実施することで、チュニジア政府職員の直接市民対話能力 向上にも資すると思われる。

以上より、具体的な講義として、下記のものが必要と考えられる。

講義1.北海道開発の概要(1コマ)

講義2.北海道総合開発計画の推移と概要(1コマ)

講義3.北海道総合開発計画の策定とフォローアップ(2コマ)

講義4.市民対話の模擬トレーニング(2コマ)

また、チュニジアで進めようとしている南部地域のような条件不利地に対する特別支援の根 拠となる法令については、特段整備されていないとのことであった。条件不利地への特別支援 は政治的決断が必要であり、チュニジアの現政権において実現するかどうかは不明だが、革命 のきっかけともなった地域格差の是正はチュニジアにとって避けて通れないことから、日本に おける条件不利地に対する各種法令等を紹介しておく必要がある。

講義5.日本の条件不利地政策の概要(1コマ)

〔離島振興法、過疎地域自立促進特別措置法、山村振興法、半島振興法、特定農山村地域に おける農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律(特定農山村法)、中山間地域 等直接支払制度に基づく「知事特認に係る農用地を有する地域」に基づいて指定された地域、

等〕

さらに地域開発に必要な資金を調達する手段を考えなければならないが、政府資金による民 間への地域開発資金供与ついて「地域開発銀行制度」で紹介する。また民間資金の運用につい ては、南部地域のことは南部地域自身が取り組まなければならないことから、少しでも自国の 民間資金を自国域内で回す仕組みとして「郵便貯金制度」や「信用金庫制度」について事例を 交えて紹介する。

講義6.地域開発銀行制度の概要(1コマ)

一方、チュニジアでの地域開発事例を基に政策討議を行うことが、研修員にとっては自国施 策を外から客観的に観るというまたとない機会になるため、現在ODSを中心に進められてい る構想もしくは計 画を事例に研修員と講師双方で議論する。例として、ODSとの協議の際に 話があったスファックス市成功事例の南部地域への適用等が考えられる。

講義7.南部地域開発の事例紹介と分析(2コマ)

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