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博士(歯学)橋本弥生 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(歯学)橋本弥生 学位論文題名

Effect of BIVIP on the Differentiation of Bone    Marrow Stromal Cells into Osteoblasts        in a Collagen‑Gel Culture

学 位 論 文 内 容の 要旨

    緒言

  BMP (Bone Morphogenetic Protein;骨形成夕ンパク質)は骨基 質 に 存 在 し , 骨 を 誘 導 す る 生 理 活 性 を 有 す る た め , 種 々 の 骨 疾 患 に 対 す る 応 用 が 期 待 さ れ る が , そ の 臨 床 応 用 の 前 に は , 使 用 す るBMPや , こ の タ ン パ ク 質 の 而vivoに お け る 機 能 発 現 に 不 可 欠 で あ る キ ャ リ ア ー の 選 定 な ど , い く っ か の 問 題 が 残 さ れ て い る 。 近 年 , 久 保 木 ら は 硬 組 織 形 成 過 程 に 関 連 す る 要 素 を O骨 形 成 に 直 接 寄 与 す る 細 胞 ◎ そ の 細 胞 が 生 成 す る 細 胞 外 マ ト リ ッ ク ス ◎ 細 胞 外 マ ト リ ッ ク ス に 沈 着 す る ミ ネ ラ ル @ 硬 組 織 形 成 を 制 御 す る 制 御 因 子 , の 4つ の 要 素 に 分 類 し て , こ れ ら4 要 素 を そ れ ぞ れ 詳 細 に 分 析 す る と と も に , 各 要 素 間 の 相 互 関 係 を 明 ら か に し て4大 要 素 を 総 合 す る こ と に よ り 初 め て 硬 組 織 形 成 の メ カ ニ ズ ム を 理 解 で き る と 報 告 し て い る 。 未 解 決 の 大 き な 問 題 の ー っ は 細 胞 外 マ ト リ ッ ク ス と 有 カ な 制 御 因 子 の ー っ と し て 考 え ら れ て い るBMPの 相 互 作 用 で あ る 。 す な わ ち , ラ ッ ト 背 部 皮 下 ゛ にBMPを 埋 植 し て 骨 を 誘 導 す る 実 験 に お い て , 種 類 の 異 な るBMPの キ ャ リ ア ー は 骨 形 成 に 対 し て 大 き な 影 響 を 与 え る こ と が 示 唆 さ れ て き た 。 そ れ に 対 し , 面vitro系 で は こ れ ま で 多 く の 実 験 者 に よ りBMPの 効 果 が 調 べ ら れ て き た が , 培 地 中 に BMPを 加 え , そ の 効 果 を み る と ぃ う 実 験 が 多 く , 細 胞 外 マ ト リ ッ ク ス とBMPの 相 互 作 用 に つ い て 考 慮 さ れ て い な か っ た 。  そ こ で 本 研 究 で は 未 分 化 細 胞 か ら 骨 芽 細 胞 ヘ 分 化 し て ゆ く と 考 え ら れ て い る 骨 髄 問 質 細 胞 の 培 養 系 を

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用い,典型的な細胞外マトリック.スであるコラーゲンが 構築する環境の下に,BM.Pの作用がどのように影響を受 けるかを検討した。

    材料と方法

  6ー 8週 齢 雄 のWKAH系 の ラ ッ ト 大 腿 骨 よ り 通 法 に 従 っ て 骨髄細胞 を採集し ,15%FCSを含む口‑MEM培地 (以 下 標準培地 と称す。)中で培養し,非接着性の細胞を除 去 後 ,継代し 実験に供 した。こ の細胞を ,次の3種 の条 件下で培養し, 骨芽細胞への分化過程を比較分析した。

す なわち, 〇標準培地中に種々の濃度のりコンピナント BMP2(rBMP2)を添加した培養,◎Maniatopoulusらの方法に従 い108Mデキサメサゾン.lOmMpーグリセロリン酸を添加し た 標 準培地に ,さらに 種々の濃 度のrBMP2を加えた 条件 で の培養, ◎種々の濃度のrBMP2を含むI型コラーゲン・

ゲ ルを敷い たデイッシュの上での標準培地による培養の 3種 であ る 。上 記3種 の 培養 条 件 下で の 骨髄 細 胞の 分化 過 程を,位 相差顕微鏡にて細胞の形態を観察するととも に,骨芽細胞のマーカーとしてのアルカリフオスフんター ゼ 活性やオ ステオカルシン,細胞基質のカルシウム含有 量 な ら ぴ に DNA量 を 生 化 学 的 に 分 析 し た 。 .

    結果

1.標準培地中(条件1)でのBMPの添加

  通 法 通 りに 標 準培 地 で 培養 し た骨 髄 細 胞は 初 代培養 と類似し た線維芽細胞様の紡錘形から多角形へと形態を 変化させ たが,コロニーの形成は認められなかった。標 準培地にrBMP2を加えても,rBMP2の有無により細胞自体 の形態に変化は認められず、結節の形成も生じなかった。

  生 化 学 的分 析 でもBMPの 添 加に よ りALP活性 の 若干の 増加のみ を認めたが,その活性値は他の条件と比ベ,極 めて低いものであった。

2.デキサメサゾンとp・グリセロリン酸含有培地中(条件 2)でのBMPの添加

  デキサメサゾン・p‐グリセロリン酸添加培地にて培養 され た細胞 は,7日目 には石灰 化結節を 形成して いるの

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が認められた。rBMP2 220 ng/mlをデキサメサゾン・p‐グリ セロリン酸添加培地に加えたところ,類円形の細胞が集 積した結節を形成し,その中心部に現われた不透過部位 は rBMP2無 添 加 の も の よ り 広 範 囲 に 及 ん で い た 。   この 条 件で は , 添加 し たBMPの用量 に依存し てALP活 性 ,Ca量 が増 加 し ,骨 芽 細 胞へ の分化 が促進さ れたも のと思われた。

3.各濃度のBMPを含有するコラーゲン・ゲルの上での培 養(条件3)

  BMPを 含まない コラーゲ ンゲル上 では骨髄細胞は通法 の場合と同様に増殖し,コンフルェントの状態に至った 後,形態を多角形で敷石状へと変化させた。その後も細 胞は緩 やかに増 殖を続け 結節を形成 し,約2週で結節内 部に不透過像を認めるようになった。BMPを440 ng/ml以 上含むゲルでは,その結節形成および不透過像の形成が 早 ま り , 約7〜 10日 で 認 め ら れた 。 結 節は 肉 眼的 に は 白色の 不透過物 として認 められ,rBMP2の濃度が上昇す るにっれ,その不透過部も拡大した。

  種々 の濃度のrBMP2を含 むコラー ゲンゲル上で,骨髄 細胞を10日間培養したところ,ゲ´レ内rB M.P2濃度が44 ng/ml以 上におい て,マト リックス 中のCa含有量が無添 加群よりも有意に増加し,440 ng/ml以上ではALP活性が 用量依存的に明瞭に増加した。

  コラーゲンゲル上培養での経時的変化を検討したとこ ろ,BMPを含まな いコラー ゲンゲル 上で培養された細胞 でもALP活性は徐 々に上昇 が観察さ れたが,それに対し rBMP2 440 ng/Inl添加のコラーゲン上で培養されたものは 無添加 群にくら べて非常 に早期にALP活性値が上昇し,

1週で無添加群の約1.5倍とぃう高い活性を示し,2週,

3週で低下する傾向を示した。

  マト リックス 中のCa量 はBMPの有 無にかかわらず経時 的に増 加したが ,無添加 群では1週 ではCaがほとんど検 出されなかったのに対し,添加群では100pg/dishのCaを示 した。  オス テ オカ ル シ ン量 はrBMP2を添加 した群で は,1週 で無添加群に比ベ約6倍量のオス,テオカルシンを産生し ている のが認め られ,2週 でピーク に達しその後減少し

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た。一方,無添加群のオステオカ.ルシン量は,1週では わずかに検出されるのみであり,その後,徐々に上昇し,

3週目で添加群にほぼ近い値に至った。

  以 上の結果 より,BMPを含むコ ラーゲンゲル上にて骨 髄細 胞を培養 した場合 には,BMPを含まないコラーゲン ゲル 上で培養 した場合 よりも,ALP活性,Ca量,オステ オカルシンの産生が有意に早まり,骨芽細胞への分化が 顕著に加速されることが示唆された。

    考察および結論

  骨髄細胞の骨芽細胞への分化は,さまざまの制御因子 や細胞外基質およびそれらの組み合わせによって支配さ れると考えられている。顕著な局所制御因子としてBMP, およぴ典型的マトリックス成分のコラーゲンもそれらの 一部である。一方,強カな合成グルココルチコイドであ るデキサメサゾンが骨芽細胞への分化を促進させる因子 であることは本研究でも確認されたが,この制御因子は そのままの形では生体に存在しない。そこで本研究では,

生体成分であるコラーゲンのゲルがデキサメサゾンの作 用に代わり得ることを確認した上で,コラーゲン・ゲル 培 養系 を 用い てBMPの 効果 を 追求 した。そ の結果,BMP とコラーゲンの両者の組み合わせが,コラーゲン単独で の効果を顕著に加速させることが示された。この結果は BMPのよ うな局所 的制御因 子が細胞 外マトリックスと相 互反応して,独自の効果を発揮するものであることを明 瞭に示すものである。

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学 位 論 文 審 査の 要 旨

下河辺 久保木 松本

学 位 論 文 題 名

Effect of BMP on the Differentiation of Bone    Marrow Stromal Cells into Osteoblasts        in a Collagen‑Gel Culture

  審 査 は , 最 初 に 三 審 査 担 当 者 全 員 に よ っ て , 提 出 論 文 に つ い て 申 請 者 に 口 頭 に よ る 試 問 が な さ れ た 。 次 い で 久 保 木 審 査 員 に よ り , 生 化 学 分 野 の 筆 記 試 験 が 行 わ れ た 。 口 頭 試 問 に つ い て は , 論 文 の 緒 言 , 実 験 方 法 , 結 果 , 考 察 , 結 論 等 の 内 容 の 説 明 を 求 め , 各 項 目 毎 に 詳 細 に 質 疑 応 答 す る 形 式 で な さ れ た 。 本 論 文 の 要 旨 は 以 下 の と お り である。

  BMP (Bone Morphogenetic Protein;骨形成夕ンパク質)は骨基 質 に 存 在 し , 骨 を 誘 導 す る 生 理 活 性 を 有 す る た め , 種 々 の 骨 疾 患 に 対 す る 応 用 が 期 待 さ れ る が , そ の 臨 床 応 用 の 前 に は , い く っ か の 問 題 が 残 さ れ て い る 。 近 年 , 久 保 木 ら は 硬 組 織 形 成 過 程 に 関 連 す る 要 素 を @ 骨 形 成 に 直 接 寄 与 す る 細 胞 ◎ そ の 細 胞 が 生 成 す る 細 胞 外 マ ト リ ッ ク ス ◎ 細 胞 外 マ ト リ ッ ク ス に 沈 着 す る ミ ネ ラ ル O硬 組 織 形 成 を 制 御 す る 制 御 因 子 , の4つ の 要 素 に 分 類 し て , 硬 組 織 形 成 の メ カ ニ ズ ム を 理 解 で き る と 報 告 し て い る 。 ラ ッ ト 背 部 皮 下 にBMPを 埋 植 し て 骨 を 誘 導 す る 実 験 に お い て , 種 類 の 異 な る BMPの キ ャ リ ア ー は 骨 形 成 に 対 し て 大 き な 影 響 を 与 え る こ と が示 唆 さ れ てき た 。 そ れに 対 し , vi U0. 系 で は こ れ ま で 多 く の実 験 者 に よりBMPの 効 果 が

功 徳 章 宏 授 芳

授 授 教 教 教 査 査 査 主 副 副

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調 べ ら れ て き た が , 培 地中 にBMPを加 え, その 効果を み る と ぃ う 実 験 が 多 く , 細胞 外マ トリ ック スとBMPの相 互 作用 につ いて 考慮 され てい なか った。  そこで本研究で は未 分化 細胞 から 骨芽 細胞 ヘ分 化してゆくと考えられて いる 骨髄 問質 細胞 の培 養系 を用 い,典型的な細胞外マト リ ッ ク ス で あ る コ ラ ー ゲン が構 築す る環 境の 下に ,BMP の 作 用 が ど の よ う に 影 響 を 受 け る か を 検 討 し た 。

【材料と方法】

    6ー8週 齢 雄 のWKAH系 の ラ ッ ト 大 腿 骨 よ り 通 法 に 従 って 骨髄 細胞 を採 集し ,15%FCSを 含む口‐MEM培地(以 下標 準培 地と 称す 。) 中で 培養 し,非接着性の細胞を除 去 後 , 継 代 し 実 験 に 供 した 。こ の細 胞を ,次 の3種 の条 件下 で培 養し ,骨 芽細 胞へ の分 化過程を比較分析した。

すな わち ,@ 標準 培地 中に 種々 の濃度のりコンピナント BMP2(rBMP2)を添加した培養,@Maniatopoulusらの方法に従 い10 8Mデキサメサゾン.lOmM[3‐グリセロリン酸を添加し た 標 準 培 地 に , さ ら に 種々 の濃 度のrBMP2を 加え た条 件 での 培養 ,◎ 種々 の濃 度のrBMP2を 含むI型コラーゲン・

ゲル を敷 いた デイ ッシ ュの 上で の標準培地による培養の   3種 であ る。 上記3種の 培養 条件 下での骨髄細胞の分化 過程 を, 位相 差顕 微鏡 にて 細胞 の形態を観察するととも   に,骨芽細胞のマーカーとしてのアルカリフオスフアター   ゼ活性やオステオカルシン,細胞基質のカルシウム含有   量ならびにDNA量を生化学的に分析した。

  【結果および考察】

    第1条 件に て培養 され た未 熟な 骨髄細胞にrBMP2を添   加した場合,ALP活性は上昇したが,石灰化結節の形成   はみられなかった。一方,第2,3の条件,すなわちDex   ・p−GPを含 む培地 中な らび にI型 コラーゲン・ゲルに   rBMP2を添加して培養した場合にはALP活性の上昇,オス   テオカルシン産生が早まり,骨芽細胞への分化が明確に   促進された。

    骨髄細胞の骨芽細胞への分化は,さまざまの制御因子

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や 細 胞 外 基 質 お よ ぴ そ れ ら の 組 み 合 わ せ に よ っ て 支 配 さ れ る と 考 え ら れ て い る 。 顕 著 な 局 所 制 御 因 子 と し てBMP お よ ぴ 典 型 的 マ ト リ ッ ク ス 成 分 の コ ラ ー ゲ ン も そ れ ら の 一 部 で あ り , BMPと コ ラ ー ゲ ン の 両 者 の 組 み 合 わ せ が , コ ラ ー ゲ ン 単 独 で の 効 果 を 顕 著 に 加 速 さ せ る こ と が 示 さ れ た 。 こ の 結 果 は BMPの よ う な 局 所 的 制 御 因 子 が 細 胞 外 マ ト リ ッ ク ス と 相 互 反 応 し て , 独 自 の 効 果 を 発 揮 す る も のであることを明瞭に示すものである。

  以 上 の 研 究 内 容 に つ い て , 主 査 お よ び 副 査 か ら 以 下 の ような質問がなされた。

(1)本研 究は,培養条件に より種々な細胞ヘ分化すると報告されて いる骨髄問質細胞を用い,骨芽細胞への分化を検討しているが,今 回の培養条件では軟骨細胞への分化は認められなかったか,どのよ う な 指 標 を も っ て 軟 骨 細 胞 の 有 無 を 検 討 し た か 。 (2)vitroでの骨芽細胞への分化および骨形成についてどのように 考えるか,またどのような指標を用いて骨芽細胞ヘ分化したとみな したか。

(3)本研究の結果の臨床的意義 等について,説明を求めた。

  これらの質問に対して,申請者から,専門領域における学識の理 解のもとに明快な回答ならぴに説明が得られ,また関連学科目につ いても幅広い学識を有していることが認められた。さらに久保木審 査員による筆記試験にも合格と判定された。

  以上の結果,本研究は歯科医学の発展に十分貢献するものであり,

審査の結果,審査担当者全員によって,本研究の論文は歯学博士の 学 位 を 授 与 さ れ る も の と し て 値 す る こ と が 認 め ら れ た 。

参照

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