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博士(歯学)小林大祥 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(歯学)小林大祥 学位論文題名

 Time‑Dependent Expression of Bone Sialoprotein Fragments in Osteogenesis Induced by Bone lVIorphogenetic Protein

BMP誘導 骨形 成にお ける 低分 子型 骨シア 口夕 ンパ ク質の出現とその意義

学 位 論 文 内 容 の要 旨

  【目的】骨マトリックスタンバク質は、その構成要素を主成分であるI型コ ラーゲンと非コラーゲン性夕ンバク質に大別することができる。これらの構 成成分の殆どは骨芽細胞が産生したものである。骨の形成機序を生化学的に 考えるにあたり、骨芽細胞を含めた4大因子論が提唱されている。それらは、

1)骨形成に関与する細胞(骨芽細胞を含む)、2)細胞外マトリックス、

3)体液のミネラルイオン、4)制御因子、の4つの因子である。ここにあ げた4つの因子が有機的に統合されて骨の形成が生じるものと考えられる。

こ の観点から著者らは、制御因子である骨形成夕ンパク質(BMP)と細胞 支持体として一種の細胞外マトリックスとしての機能をはたしていると考え ら れる 担体の くみ あわ せに注 目し 、異所性骨誘導実験を行なってきた。

Reddiら は 担 体 と し て 骨 不 溶 性 基 質 (IBM)を用 い 、BMPと 複 合 し て 皮 下もしくは筋肉内とぃった骨の無い部位に埋植した際に、軟骨性骨化の過程 を経て骨が誘導され、さらに骨吸収の過程へとぃたる一連の変化が生じるこ とを明らかにした。こうした理由から、.この実験系は骨形成の過程において 生じる細胞外マトリックスの変化を生化学的に追求するための最適なモデル と考えられた。現在、骨の細胞外マトリックスとして注目されているものに、

骨に特有の非コラーゲン性夕ンパク質で石灰化、骨芽細胞制御による骨形成、

および、破骨細胞の制御による骨吸収への関与が報告されている骨シアロタ

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ンバ ク 質(BSP) が ある 。 そこ で 本研 究 では 、BMP異 所性 骨 誘導 系 にお けるBSPの 出現状況の 経時的変化 を追求し、 その機能について考察した。

  【方法】成牛脱灰骨より4Mグアニジン塩酸にて抽出後、3段階クロマトグ ラ フ イ ー を 行 な いBMPの 部 分 精 製 を 行 な っ た 。 部 分 精 製BMPO.lmgをI BM 20mgに含浸し、WKAH系、オス、4週齢ラ ット背部皮 下に埋植し た後、

1、2、3、4、5、6、8、 10、 20週 に 摘 出 し 形 態 学 的 、 生 化 学 的 分 析を行なっ た。形態学的分析としては、摘出物を10%中性緩衝ホルマリン にて固定後、ヘマトキシリンエオジン染色を行なった。生化学的分析として は、骨形成 のマーカー としてBMP異所性骨誘 導系において確立されたアル カルフォスファターゼ活性測定、カルシウム、およぴオステオカルシンの定 量を 行 なっ た 。BSPにつ い ては 、 抗BSPモ ノ クロ ー ナ ル抗 体 を用 い て摘 出物 中 にお け るウ エ スタ ン ブロ ッ テイン グ法による 同定、ELISA法によ る定量を行 なった。ま た、摘出物 中に確認さ れたBSPの合成状況を確認す るために5週摘出物に対して3H] prolineにより代謝的に標識した。さらに、

BSPの局在状 況を検討す るために、5週摘出 物を4%/ヾラ ホルムアル デヒ ドにて固定、O. 5M EDTA,O.05M Tris‑HCl,pH7.4による脱灰を行なった 後、 抗BSPモノ ク ロ ーナ ル 抗体 を 用いて 免疫組織学 的分析を行 なった。

  【結果】生 化学的分析結果と組織学的分析の結果とをあわせて1週から2 O週まで の異所性に 誘導した骨 の形成状況 を経時的に追求したところ、BM P誘導骨中において骨がりモデリング期に移行しはじめたことが認められた 5週にお いてウエス タンブロッ テイング法 により53kDa、および30kDaに抗 BSPモノク ローナル抗 体に対して 強い反応が 認められた。これらは正常の ウシ骨およ びラット骨の抽出物に認められる57kI)aのBSPと異なるもので あった。そ こで、ウシBSPを用い た競争試験 を行なったところバンドが消 失し、双方ともBSPの低分子の代謝産物であることが確認された。そこで、

これらのBSPフラグメントの合成状況を確認するためにrH]prolineによる 代謝的標識 を行なった結果、53kDa、30kDd双方の分泌が認められた。摘出

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物 中 のBSPをEL ISA法 に よ っ て 定 量 を 行 な っ た と こ ろ 、 埋 植 後5週 目 において急激に増加し以後リモデリングが生じて骨が維持されている時期に おいてほぼ一定の値を保つことがわかった。また、抗体染色の結果より、骨 マ ト リ ッ ク ス の 辺 縁 に 特 異 的 に BSPの 局 在 が 確 認 さ れ た 。     【考察】本研究において、骨に特異的なマトルックスタンバク質であるBS PのBMP誘 導 骨 中に お ける 発 現状 況 を時 間 経過 を おっ て 検討した。 その結 果 、骨 に りモ デ リン グ が生じ始 めると同時 に、BSPが 低分子型フ ラグメン トとして出現することが明らかとなった。低分子型のフラグメントについて は、以前より複数の報告がなされており、それらのフラグメントは骨芽細胞 もしくは破骨細胞の産生する内因性プロテアーゼによる代謝産物とされてき た が、 本 研究 に おけ る 代謝的標 識の結果に より、BSPはフラグメ ントの形 で 培養 上 清中 に 検出 さ れた。。 このことか ら、BSPは 骨芽細胞に より合成 されたのち早期のうちに内囚性プ口テアーゼによる代謝をうけ、その後に骨 表 層の マ トリ ッ クス に 局在 す るよ う に取 り 込 まれ る ものと考 えられる。

  機能的な 観点におい ては、BSPは石灰化、とくに初期石灰化に関与すると の1n vitro実験系 での報告が 以前よりなされている。本研究では、4週でカ ル シウ ム 量が 増 加の ピ ークを迎 えたのに対 してBSPは 骨のりモデ リングが 生 じ始 め る5週 で急 激 に増 加 する と ぃ う結 果 とな っ た。こ のように、BSP の増加 傾向とカル シウムの増 加傾向と比較して1週間の遅れが認められた。

ま た、 リ モデ ル ング 開 始期 の5週 に お いて 、 抗体 染 色によ りBSPが 骨芽細 胞が接している骨辺縁部のマト1Jックスに局在していることも明かになった。

以 上の 結 果を 総 合す る とBSPは 骨形成にお ける初期石 灰化ではな く細胞制 御による骨リモデリングへの関与が示唆される。

    細 胞 制 御 の 面 に おい て は、BSP中 に おけ るRGD配列 の 存 在お よ びBMP   誘導骨における局在状況から、骨芽細胞の細胞接着に関与しているものと考   えられる 。そしてBSPが骨マ トリックスと骨芽細胞問に介在し骨芽細胞の   制御に関 与している のではと考 えられる。さらに、最近BSPは破骨細胞に   対しても接着性を示し、その活性を上昇させるとの報告がなされ、一方、オ     一・343−・

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ステオカルシンは従来から破骨細胞の制御への関与が報告されている。本研 究の結 果は、ルモ デリング期 に移行した 時期よルオステオカルシンとBSP の増加 傾向にほぼ 一致が認め られ、さら にBSPが骨の表層に高いレベルで 局在していることから破骨細胞の支持および細胞制御にも関与すると考えら れる。

  以上の結果を総合して、BSPは骨のりモデルングの制御を含む多様な機能 を示すタンパク質であることが明かになった。

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学 位 論 文 審査 の 要 旨 主 査    教 授    戸 塚 靖 則 副 査    教 授    久保 木 芳 徳 副 査    教 授    松 本    章

学 位 論 文 題 名

Time‑Dependent, Expression of Bone Sialoprotein Fragments    in Osteogenesis Induced by Bone Morphogenic Protein

BMP誘導 骨 形成 に おける低 分子型骨シ ア□夕ンパ ク質の出現 とその意義

  審査は、久保木、松本および戸塚審査員の出席のもとに、申請者に対し、提 出論文の内容とそれに関連した授業科目について、口頭試問により行われた。

  本研究は、骨に特有の非ゴラーゲン性夕ンパク質の1つである骨シアロタン バ ク質(BSP)の骨形成 における役 割を明らか にすること を目的として、B MP異 所性骨誘導 系の骨形成 の←一連の過程におけるBSPの出現状況の経時的 変化を追求したものである。

  本 実験 で は、BMPの 精製 は、成 牛脱灰骨か ら4Mグアニジン 塩酸にて抽 出 後 、3段 階クロマト グラフィー により部分 精製した。 部分精製BMP O.llgを 担 体 で あ る 骨 不 溶性 基 質(I BM) 20■gに 含 浸し 、WKAH系、 オ ス、4週齢 ラ ッ ト 背 部 皮 下 に埋 植 し た後 、1、2、3、4、5、6、8、10、20週 に摘 出 し、形態学的ならびに生化学的に分析した。生化学的分析は、骨形成のマーカ ーとしてアルカリフォスファターゼ活性測定、カルシウムおよびオステオカル シ ン の定 量 を 行っ た 。BSPに つ いて は 、抗BSPモ ノ ク口 ーナ ル抗体を用 い て ウ エ ス タ ン ブ 口 ッ テ ィ ン グ 法 に よ る 摘 出 物 中 のBSPめ 同定 とELISA法 に よる定量を行った。また、BSPの合成状況を確認するため5週摘出物を[゜

H lprolineにて 代 謝的 に 標識 し 、さ ら にBSPの局 在 を検 討する ため抗BSP モ ノ ク 口 ー ナ ル 抗 体 を 用 い て 免 疫 組 織 学 的 分 析 を 行 っ た 。   そ の結果、BMP誘導骨に おいて骨が りモデリン グ期に移行 し始めた埋植5 週以降において、ウエスタンブ口ッティング法により53KDaおよび30Xぬに抗B SPモ ノクローナル抗体に対して強い反応が認められた。これらは正常のウシ 骨 およびラッ ト骨の抽出 物に認めら れる57KDaのBSPとは異 なるものである が 、 ウシBSPを 用 いた 競 争試 験 でと も に消 失 し 、双 方 ともBSPの低分子 代

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謝産物であることが確認された。また、[3H ]prolineによる代謝的標識におい ても 、53XDaおよ び30KDa双方 の分 泌が認 めら れた 。ELISA法に よる定 量の 結果、BSPは埋 植5週 目に急 激に 増加 し、以 後リ モデ リングが生じて骨が維 持されている期間ほぼ一定の値を保つことが明らかとなった。オステオカルシ ンの量 はBSPと ほぼ 同様 の変 化を示 した が、 カル シウム量は埋植4週目に急 激に増加し以後ほぼ一定の値を保持していた。一方、BSPの局在については、

抗体染色の結果から、骨マトリックス辺縁に特異的に存在していることが確認 された。

  以 上 の 結 果 は 、BSPは 、BMP異所 性 骨 誘 導 系の 骨形 成に おい て、骨 のり モデリ ング に関 与し ていることを示唆している。これまで、BSPの骨形成に おける役割はよく分かっておらず、初期石灰化への関与を示唆する報告もあっ たが、 本研 究結 果か ら、BSPは、骨形成において、細胞制御により骨リモデ リングに関与していることが明らかとナょった。なお、細胞制御については、B SP中 に お け るRGD・ 配 列 の 存 在 な ら び にBMP誘 導 骨 に お け るBSPの 局 在 から、 骨芽 細胞 の細 胞接着に着目し、BSPが骨マトリックスと骨芽細胞間に 介在し て骨 芽細 胞の 制御に関与しているものと考察している。また、BSPと オステオカルシンの増加傾向がほば一致していることや、、オステオカルシンと 破骨細 胞と の係 わり などから、BSPは破骨細胞の支持ならびに細胞制御にも 関与している可能性があると推測している。

  論文の審査は、論文提出者による要旨の説明の後、本研究内容ならびに関連 する学問領域の知識について、主査および副査からの口頭試問の形で行われ、

い ず れ の 質 問 に つ い て も 明 解 な 説 明 な い し 解 答 が え ら れ た 。   骨の形成機序を生化学的に考えるに当たり、骨形成に関与する細胞、細胞外

゛マトリックス、体液のミネラルイオン、制御因子、の4っの因子からなる「4 大因子論」が提唱されている。このうち、細胞外マトリックスの機能について 4ま、従来から考えられていた細胞の支持のほか、最近ではレセプターを介した 細胞制御への関与が論議されているが、その事実を証明した研究はこれまで仝 く報告されていない。本研究は、細胞外マトリックスの骨形成に果たす機能的 役割に着目し、骨に特有の非コラーゲン性夕ンパク質の1つである骨シア口夕 ンパク 質(BSP) が、 骨形成 にお いて 、細胞 制御 によ り骨リモデリングに関 与レていることを生化学的に初めて明らかにしたことが高く評価された。本研 究の業績は、骨形成機序の解明に重要な示唆を与え、口腔外科学の分野はもと より、関連領域にも寄与するところが大きく、.瞭と(歯学)の学位授与に値す るものと認められた。

参照

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