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博士学位論文審査報告書

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Academic year: 2022

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(1)2016年 12月12日. 博士学位論文審査報告書 大学名. 早稲田大学. 研究科名. スポーツ科学研究科. 申請者氏名. 米津 貴久. 学位の種類. 博士(スポーツ科学). 論文題目. 運動介入後の筋硬度計測におけるStrain Elastographyの基礎的検討 The basic examination of the muscle hardness measured with Strain Elastography after exercise. 論文審査員. 主査 早稲田大学教授. 福林 徹. 副査. 広瀬 統一 博士(学術). 早稲田大学教授. 副査 早稲田大学教授. 博士(医学) (筑波大学) (東京大学). 川上 泰雄 博士(教育学)(東京大学). 本学位論文「運動介入後の筋硬度計測における Strain Elastography の基礎的検討」は昔か ら体力科学の分野で扱われている筋硬度に関しての研究である。昔から押し込み式筋硬度計 が使われてきたが、本研究は最近進歩の著しい超音波エラストグラフィを用い筋硬度の評価 を行った研究である。筋硬度の計測には Strain Elastography(SE)機能を搭載した超音波撮 像装置(EUB-7500/Prosoundα7、日立メディコ社製)を使用した。SE 画像撮像時には、硬 さの参照体となる EUP L65 用音響カプラー(日立メディコ社製、日本)をプローブに装着 し、リズミカルな微小圧迫を加えながら SE 画像を撮像し Strain Ratio(SR)を計測した。な お SE は皮膚上からの微小圧迫による組織のひずみを評価するため、これまでの筋硬度の概 念に最も近い超音波エラストグラフィであり、本法ではこれを用いその変化を筋内の水分含 量の変化、筋形状の変化と対応させた。 第 2 章では筋内水分量を MRI T2 値によって評価し、上腕二頭筋及び大腿四頭筋に対する 伸張性収縮後の SE による筋硬度評価と MRI T2 値をはじめとする各種指標との関係性を明 らかにした。その中でも実験 1 は肘関節屈曲筋群を対象に行い、間接的筋損傷指標を包括的 に検討した。その結果を受け実験 2 では MRI T2 値との関連性及び筋間差に関して大腿部を 対象に行った。実験 1 では上腕二頭筋に対して伸張性収縮を行った結果、筋硬度は有意な経 時変化を示したものの、MRI T2 値は有意な経時変化を示さなかった。その結果、筋内水分 量の変化を伴わなくても筋硬度は変化する可能性が示唆された。その他の測定項目として、 血清クレアチンキナーゼ活性、白血球数は変化しなかった。なお筋力は運動介入直後でのみ 有意な変化を示したため、一過性の筋疲労が生じたものと考えられた。また、肘関節伸展角 度については経時変化に主効果を認めたことから、受動的張力の増加が筋硬度増加に寄与し ていた可能性があると考えられた。 実験 2 では大腿四頭筋に対して伸張性収縮を行った結果、筋硬度、MRI T2 値共に有意な 経時変化を示したが、その変化の様相には筋間差が認められた。特に二関節筋である大腿直 筋に関しては、筋硬度は運動介入 1 日後に最高値を示したのに対し、MRI T2 値は運動介入 直後で最高値を示したように、筋硬度と MRI T2 値の最高値にずれが生じていた。また、単.

(2) 関節筋の内側広筋では筋硬度、MRI T2 値ともに運動介入直後に最高値を示していたのに対 し、外側広筋では筋硬度は有意な経時変化を示さなかったものの、MRI T2 値は運動介入直 後に最高値を示した。このように筋硬度の変化には筋間差があることが認められたものの、 筋硬度変化には筋内水分量の変化が必ずしも必要な因子ではない可能性が示唆された。 第 3 章では筋形状に着目し、高強度運動後の筋硬度変化と筋形状変化との関連性を、腓腹 筋内側頭を対象に検討した。その結果、腓腹筋内側頭の筋硬度、羽状角、筋厚、受動トルク は有意な経時変化を示し、いずれも運動介入 3 日後に最高値を示した。腓腹筋内側頭の筋硬 度の値、特に最高値では羽状角の変化の結果を反映している可能性が高いことが示唆された。 これは羽状角が増加したことによって、応力に対する抵抗が増したことによるものであると 考えられた。 以上より、運動後の筋硬度変化には筋内水分量の変化が、必ずしも必要な因子ではない可 能性が示唆され、逆に羽状筋では羽状角の増加を反映したものがその一因であると考えられ た。また、第 2 章、第 3 章の結果から、筋の受動的張力の増大を反映していた可能性もある ことが示唆された。 本論文は筋硬度の変動に関しての新たな知見を示唆するものであり、筋疲労に関する従来 の学説に対しての新説であり、その学問的価値は大きい。本論文は申請者が主体的に行った 研究であり、また 11 月 21 日の公開審査会でも高い評価を得た。したがって審査委員は全員 一致で申請者米津貴久氏が、博士(スポーツ科学)の学位を授与するに十分値するものと認 める。. 掲載論文 1. 米津貴久, 稲見崇孝, 齋藤輝, 久保孝史, 福林徹 : 大腿四頭筋に対する伸張性収縮後の MRI T2 値と超音波エラストグラフィによる筋硬度の関係について. 日本運動生理学雑誌, 23 (2) : 37-44, 2016 2. 米津貴久, 小野高志, 稲見崇孝, 川上泰雄, 広瀬統一, 福林徹 : ひずみエラストグラフィ による筋硬度と筋損傷指標との関係. トレーニング科学, 27 (4) : 101-109, 2016. 以上.

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