博士学位論文審査報告書
2
0
0
全文
(2) 関節筋の内側広筋では筋硬度、MRI T2 値ともに運動介入直後に最高値を示していたのに対 し、外側広筋では筋硬度は有意な経時変化を示さなかったものの、MRI T2 値は運動介入直 後に最高値を示した。このように筋硬度の変化には筋間差があることが認められたものの、 筋硬度変化には筋内水分量の変化が必ずしも必要な因子ではない可能性が示唆された。 第 3 章では筋形状に着目し、高強度運動後の筋硬度変化と筋形状変化との関連性を、腓腹 筋内側頭を対象に検討した。その結果、腓腹筋内側頭の筋硬度、羽状角、筋厚、受動トルク は有意な経時変化を示し、いずれも運動介入 3 日後に最高値を示した。腓腹筋内側頭の筋硬 度の値、特に最高値では羽状角の変化の結果を反映している可能性が高いことが示唆された。 これは羽状角が増加したことによって、応力に対する抵抗が増したことによるものであると 考えられた。 以上より、運動後の筋硬度変化には筋内水分量の変化が、必ずしも必要な因子ではない可 能性が示唆され、逆に羽状筋では羽状角の増加を反映したものがその一因であると考えられ た。また、第 2 章、第 3 章の結果から、筋の受動的張力の増大を反映していた可能性もある ことが示唆された。 本論文は筋硬度の変動に関しての新たな知見を示唆するものであり、筋疲労に関する従来 の学説に対しての新説であり、その学問的価値は大きい。本論文は申請者が主体的に行った 研究であり、また 11 月 21 日の公開審査会でも高い評価を得た。したがって審査委員は全員 一致で申請者米津貴久氏が、博士(スポーツ科学)の学位を授与するに十分値するものと認 める。. 掲載論文 1. 米津貴久, 稲見崇孝, 齋藤輝, 久保孝史, 福林徹 : 大腿四頭筋に対する伸張性収縮後の MRI T2 値と超音波エラストグラフィによる筋硬度の関係について. 日本運動生理学雑誌, 23 (2) : 37-44, 2016 2. 米津貴久, 小野高志, 稲見崇孝, 川上泰雄, 広瀬統一, 福林徹 : ひずみエラストグラフィ による筋硬度と筋損傷指標との関係. トレーニング科学, 27 (4) : 101-109, 2016. 以上.
(3)
関連したドキュメント
特に本論文で注目したのは、安定的な経営が、年寄という、学校教育を受けた年限が短く (その多くの最終学歴は中学卒業である)、また組織経営について OJT ないし
審査要旨
主義的な認知理論(パーソナル・コンストラクト理論)を説明し、構成主義的な認
[r]
1 経験科学としての社会学の対象は「社会」である。このことは、あえて明言するまでもなく自
まず、ボーヴォワール自身の思想の叙述と、それに伴うサルトル批判という二つの面が、全体を通じて
第三部「清朝の文書の多様性」では,特定の時代・地域に関わる文書群ではなく,入関後の中央・地方のさまざ
本論文は、1042 年の遼宋増幣交渉の具体相を解明し、10~13 世紀の東アジアに出現した国際秩