• 検索結果がありません。

博士学位論文審査報告書

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "博士学位論文審査報告書"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)2015年1月5日. 博士学位論文審査報告書 大学名. 早稲田大学. 研究科名. スポーツ科学研究科. 申請者氏名. 原. 学位の種類. 博士(スポーツ科学). 論文題目. ストローク指標とストロークの軌跡におけるクロール泳とオーシャン. 怜来. スイムの比較 Comparison of stroke index and stroke trajectory between front crawl and ocean swim 論文審査員. 主査. 早稲田大学教授. 村岡. 功. 博士(医学)(東京医科大学). 副査. 早稲田大学教授. 土屋. 純. 博士(人間科学)(早稲田大学). 副査. 早稲田大学教授. 金岡 恒治. 博士(医学)(筑波大学). オーシャンウォータースイミング( OWS)は、海、川、湖などの自然環境で泳ぐ 競技のことを指し、競泳とは異なってコースロープで区切られたレーンは無く、水面 上に浮いているブイを目標に泳ぐ。そのため、選手はクロール泳で泳ぎながら呼吸動 作の際に前方確認を行う。この泳ぎをオーシャンスイムといい、OWS にとっては重 要な技術であり、特にライフセーバーにはその習得が必須となっている。このように、 オーシャンスイムでは前方確認のために競泳ではみられないヘッドアップ動作を行う が、その際のスイミングフォームを検討した研究は極めて少ない。唯一、トライアス ロンレース中のストローク頻度を測定した研究はみられるものの、オーシャンスイム における詳細な動作分析は行われていないのが現状である。 そこで、本論文では、推進力の発揮に大きく貢献する腕に注目して、オーシャンス イムを行った際の、(1)右手の指先の軌跡、(2)両腕のストロークコーディネー ション、および(3)泳速度をあげた際の両手の指先における軌跡の変化、を明らか にすることを目的とした。 本論文は7章から構成されている。第1章の「序論」では本研究に至った背景と目 的、第2章の「文献考証」では、オーシャンスイムに関する研究の現状、および泳動 作に関する研究の現状(泳ぎのバイオメカニクス、ストローク頻度とストローク長、 ストロークコーディネーション・局面時間比率、指先の軌跡、呼吸動作)について、 これまでに得られている知見を詳細に記述している。その上で、未だ検討されていな いオーシャンスイムの動作分析に関わる3つの研究課題を設定した。 第3章では、「研究課題1」として、ライフセーバーが行うオーシャンスイムとク ロール泳における指先の軌跡の違いを右手で検討した。被験者は水泳のトレーニング 1.

(2) を十分に積んでいる男子大学生9名(競泳群)とオーシャンスイムのトレーニングを 十分に積んでいる男子大学ライフセーバー9名であった。試技は 50m 室内プールにお いて行われ、被験者には実際のサーフレースのレースペースに合わせるために 50m を 35 秒のペースで泳がせた。 その結果、ライフセーバーのスイミングフォームに関して、①クロール泳では、競 泳選手に比べてエントリー+キャッチ局面時間比率が有意に小さく、プル局面時間比 率が有意に大きかった。また、指先における進行方向速度の最小値(後方に水を押す 際の手の速度の最大値)が、1 ストロークの早い時点で現れていた。②オーシャンス イムでは、クロール泳に比べてエントリー+キャッチ局面時間比率が大きく、また、 平均値に有意差は見られなかったものの、多くの被験者が入水後に手を上方へ移動さ せてから後方にかきはじめていた。このストローク特性は、水を多く捉えてヘッドア ップ動作を行うためのものと考えられた。さらに、ストロークの前半で前方確認動作 を行うことから、進行方向速度の最小値が、クロール泳に比べて 1 ストロークの遅い 時点で現れることが明らかとなった。 第4章では、「研究課題2」として、両腕のストロークコーディネーションに及ぼ すオーシャンスイムの影響について検討した。被験者はオーシャンスイムトレーニン グを十分に積んでいる男子大学ライフセーバー12 名とした。試技は流水槽プールにお いて行われ、被験者は実際のサーフレースでのレースペースに合わせるために、50m を 35 秒のペースで、クロール泳とオーシャンスイムの2試行を行った。 その結果、ライフセーバーがオーシャンスイムを行う際には、①クロール泳に比べ てストローク頻度を高くし、ストローク長を短くしていることが明らかとなった。ま た、オーシャンスイムでは、非呼吸側に比べて呼吸側の腕における非推進局面時間比 率およびエントリー+キャッチ局面時間比率が有意に大きかった。これらはヘッドア ップ動作を行うためにより多くの水を捉える必要があることによると考えられた。一 方、②ストロークコーディネーションに有意差は見られず、ライフセーバーはクロー ル泳とオーシャンスイムにおいて、同様に左右対称的なストロークコーディネーショ ンを示しており、常に推進局面が生じるように腕を動かしていると考えられた。 第5章では、「研究課題3」として、オーシャンスイム時の左右のストロークに及 ぼす泳速度の影響について検討した。被験者はオーシャンスイムトレーニングを十分 に積んでいる男子大学ライフセーバー10 名とした。試技は 50m 室内プールで行われ、 被験者はクロール泳とオーシャンスイムにおいて、両腕の動きを撮影するために、そ れぞれ左右方向からの2回の全力泳と2回の 80%泳を行った。 その結果、泳速度を上げた際に、①クロール泳ではストロークに変化がみられたが、 オーシャンスイムではクロール泳に比べてその変化は小さかった。②進行方向の最大 値においては、オーシャンスイムではヘッドアップ動作を行うために、泳速度を上げ ても、呼吸側では手を入水した後の前方への移動距離は長く、推進効率の低いストロ ークを行っていたが、非呼吸側では 80% 泳の時から効率の良いストロークを行って おり、速度上昇に伴う変化はみられなかった。このように、オーシャンスイムでは呼 吸側と非呼吸側におけるストロークの特徴がクロール泳とは異なることや、泳速度を 上げた際にもクロール泳に比べてストロークをあまり変化させないことが明らかとな 2.

(3) った。 第6章の「総合討論」では、オーシャンスイムに特徴的なヘッドアップ動作を行う ために、①手を入水後に上方へ移動させるとともにエントリー+キャッ局面時間比率 を大きくしていること、②両腕のストロークコーディネーションは左右対称であった が、呼吸側の腕では非呼吸側に比べて非推進局面時間比率を大きくしていること、③ 泳速度を上げても、局面時間や時間比率を大きく変化させないこと、呼吸側の腕では 手を入水した後の前方への移動距離を変化させていないことや、非呼吸側では 80%泳 から効率的なストロークを行っていることについて、総合的な論議を展開している。 そして、これらの結果から、オーシャンスイムを指導する際には、呼吸側の腕では入 水後に手を上方へ移動させ、前方への移動距離と時間を長くして水をしっかりと捉え ることでヘッドアップ動作を行う一方で、非呼吸側の腕では入水後の手の前方移動距 離を短くし推進局面時間を長くすることで、呼吸側の非効率な動作を補助することが 必要であるとしている。 第7章の「今後の課題」では、本来のオープンウォーター環境下でのヘッドアップ 技術を正確に再現することや、ヘッドアップ動作をより詳細に記述するためには、肘 の角度変化や体幹の傾きおよびキック動作など、全身の動作を明らかにすることが必 要であるとしている。また、本論文ではオーシャンスイムにおける最適なスイミング フォームを定義するまでには至らなかったことも反省点として挙げられている。 以上、本論文には今後検討すべき課題は残されているものの、世界で初めてオーシ ャンスイムの動作を定量化し、詳細に明らかにした本論文の意義は極めて大きいと言 える。そして、これらの成果は、現在投稿中の1編の論文の他に、以下に記した学術 雑誌に掲載されており、関連する分野の研究者からも高い評価を得ている。これらの ことより、本論文審査委員会は、原怜来が申請した博士学位論文について、博士(ス ポーツ科学)の学位を授与するに十分値するものと認める。 1)原怜来、村岡功:ライフセーバーが行うヘッドアップスイムが手部の軌跡に与え る影響について.日本運動生理学雑誌、20(2)、37-46、2013 2)Hara,R., Y.Gando, I.Muraoka: Effect of head-up motion on stroke paramet ers and arm coordination of the front crawl in surf lifesavers. Gazzetta Medica Italiana Archivio per le Scienze Mediche, 175(12), 621-627, 2014 以. 3. 上.

(4)

参照

関連したドキュメント

観点 1:戦前における学生剣道界の剣道に対する取り組みの実態(第 1 章) 観点 2:剣道競技の目的である有効打突の思想の変遷(第 2 章及び第 3

本博士学位論文は、選手の適切なセルフコンディショニングの過程が競技力向上に結びつ くとの仮説をコンディション マネジメント

副査 早稲田大学准教授 吉永 武史

本博士学位申請論文は、ラグビー選手の前十字靭帯(ACL)損傷の受傷メカニズムとして新たに Indirect

第 2 章は、第 1 章で提示された本論文の問題意識に基づいて、多様な先行研究のレビュ ーを行っている。第 1 節では Marshall(1922)や

こうして文化としての定位置を得た民俗芸能の研究に真の意味での画期が訪れる。それ

この傷害予防モデルとして van Mechelen らが提唱する

第 4 章では術後 9~12 ヶ月の ACL 再建患者を対象に主観的指標,Hop tests,大腿筋力,Shingle