• 検索結果がありません。

博士(農学)山口岳広 学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(農学)山口岳広 学位論文題名"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博士(農学)山口岳広 学位論文題名

     カ ラ マ ツ ヤ ッ バ キ ク イ ム シ に 関 与 す る 青 変 菌

(〇りんLOS と ornap むceae (MIJNCH )H .andP .SYDOW ) 対す る カ ラマ ツの樹体 反応と 萎凋枯死 に関する 研究

学位論文内容の要旨

  カラマツヤツノヾキクイムシに付随してカラマツの樹体内に運ばれる青変 菌の1種Ophiosめmロpiceaeをカ ラマ ツに 接種す るこ とにより,この青変菌 の侵 入に対 する カラ マツの 樹体 の反 応, 特に辺 材内 部で起きている反応を 明ら かにす ると とも に,青 変菌 によ る枯 死に至 る経 過を観察し,その機構 につ いて解 明を 試み た。ま た, 青変 菌の カラマ ツ樹 体への侵入・病徴の進 展 に 関 与 す る 環 境 条 件 を 接 種 実 験 に よ り 明 ら か に し よ う と し た 。   青変菌〇. piceaeをカラマツに接種すると,接種部周辺の辺材には通導が 阻害された部分が生じる。この部分の含水率は3 8.7%と非常に低かったが,

こ の部 分 を 中 心にSEMで観 察を行 なっ た。 その 結果, 辺材 の通 導阻 害部分 にお ける仮 道管 内で は有縁 壁孔 の閉 塞が 普遍的 に見 られた。これは青変菌 の侵 入に対 する カラ マツ樹 体側 の反 応と 考えら れた 。また,未同定の不定 形の 物質が 仮道 管内 に付着 して いる のが 観察さ れた 。これは有縁壁孔の閉 塞のように普遍的に見られることiまなかった。青変菌の.菌糸は放射組織を 通っ て放射 方向 ヘ侵 入し,軸方向ヘiま仮道管の閉塞した壁孔を貫通して進 展し ていた 。青 変菌 の菌糸 は, 放射 組織 特に放 射柔 細胞を通過して半径方 向ヘ 辺材と 心材 の境 界部付 近ま で達 して いた。 菌糸 は軸方向樹脂道および 水平 樹脂道 内に も観 察され たが ,エ ピセ リウム 細胞 には外見上の異常は観 察されなかった。

  青変菌の点接種では通導阻害部分があまり広範囲に広がらないことから,

樹幹 を1周す る接種 を行 なうことにより,萎凋枯死に至る経過を観察した。

(2)

全周穿孔, 全周剥皮,半 周2段剥皮の3方法 で接種を行なった。接種後25 日後には木 部圧ポテンシャルが急激に低下する接種木が現れ,2カ月後に は接種した カラマツ5本の うち全周穿孔 は全部が,また全周剥皮,半周2 段剥皮では それぞれ4本と3本が萎凋枯死に 至った。接種したカラマツ辺 材をSEMで観察 したところ,早材における仮道管の有縁壁孔の閉塞が広範 囲に起こっており,壁孔の閉塞率は接種部周辺と接種部より上部では非常 に高い率であった。

  次に,青変 菌を4月から8月ま でカラマツの 枝に接種して,接種後の辺 材の通導阻害部分およぴ内樹皮の変色の推移を調査した。通導阻害部分は 気温が低い4月を除き3日後 には出現し,急 速に拡大するが,どの月でも 2週間から1カ 月でその拡大 はほぼ停止して いた。内樹皮の変色長もほぼ 同 様 の 傾 向 で あっ た 。SEM観 察に よ って ,接 種 点か ら0〜5mmと ,10〜 15mmの箇所で,前実験と同様に早材部仮道管の有縁壁孔の閉塞率を求めた。

この結果閉塞率の高い部分が,接種後の時間の経過とともに接種点付近か ら遠方ヘ,また形成層付近から材の中心部分へと拡大しており,ほぼ辺材 の通導阻害部の拡大に対応した動向を示した。これらのことから,青変菌 による辺材の通導阻害は,仮道管のキャビテーション(空洞化)による有 縁壁孔の閉塞と深い関連があることが示唆された。青変菌の再分離を行な ったところ,菌の侵入に先立って辺材の通導阻害部分が形成され始めるこ とが明らかとなり,また,青変菌の進展範囲iま通導阻害部より狭い範囲に 限られていた。

  青変菌の侵入・カラマツの病徴の進展に関与する環境条件について調べ るために,まず苗木に対する接種方法を検討した。カラマツ苗木に環状剥 皮を行ない,青変菌の菌糸片を巻き付ける方法で接種試験を行なった。こ の方法ではカラマツの木部圧ポテンシャルの低下,針葉の黄変落葉,萎凋 枯死と,成木の全周に青変菌を接種したのと同じ病徴を再現できた。次に 青変菌の胞 子を用いて接種実験を行なった。まず4種類の方法を用いて,

胞子による接種方法の検討を行なった。その結果,環状剥皮により上下に 連続しない隔離された樹皮部分をつくることにより,病徴の発現が多く見

(3)

られ,この方法が胞子接種において効果的であることが判明した。この方 法を用いて胞子濃度の差による病徴の発現について調査した。1X106個/ml までの濃度では,接種木をすべて罹病させることができたが,胞子濃度が 高いと病徴の進展も早かった。また,病徴を発現させることのできる胞子 の最低 濃度は,この 接種方法では10° 〜10→個/ml程度と推測された。

  苗木に 環状剥皮をして青変菌の菌糸片を用いる方法で,5月から8月ま で1月おきに,野外およぴすべての月で温度条件を一定にした温室内にお いて接種を行ない,接種時期の違いによる感受性の差を調べた。その結果 7‑8月 は接 種 後の 病 徴発 現 が5‑6月に 比 ぺて 遅 くな っ てい た 。木 部圧 ポテン シヤルの低下 もほぽ同様の 傾向であった。これらのことから5‑6 月 は7‑8月に比ベ感 受性が高いと 考えられた。 また,5月の野外 では低 温の影響により病徴の発現がやや遅れていた。

  水ストレスや摘葉あるいは剥皮処理による各種のストレスと,青変菌を 接種したカラマツの反応との関係を調べた。水ストレスを加えたカラマツ 苗木接種木では,湿潤な条件下のカラマツ接種木よりも,木部圧ポテンシ ヤルの低下が遅くなった。また,20℃と15℃では気温が低い方が病徴の発 現は遅れたが,.水ストレスを加えた接種木が病徴の発現が遅いのは同じで あった。これらのことから湿潤な条件のカラマツ接種木の方が感受性であ ることが示唆され,これはおそらくカラマツの水ストレスに対する生理特 性とも関連すると考えられた。摘葉処理を行なうと当年肥大生長量は減少 し,無処理のカラマツ接種木よりも病徴が早く進展する傾向が見らられた。

一方,剥皮処理では処理部分より上部で肥大成長が増大し病徴の発現が遅 れた。これらのことから,カラマツの光合成産物量は青変菌の侵入・病徴 の発現に対して影響があることが示唆された。

  以上の実験から得られた結果をもとに,青変菌―穿孔虫のカラマツに対 する加害に対して,樹体内で起こる反応について考察を加えた。青変菌は カラマツヤツバキクイムシの体表に付着してカラマツの樹体内に運ばれる。

昆虫の樹皮穿孔に伴い内樹皮に付着した青変菌は,発芽して内樹皮に拡大 進展するとともに形成層から辺材部へと侵入していく。辺材へは放射組織

(4)

を通じて侵入すると考えられ,軸方向へは仮道管内を進展して拡大してい く。一方カラマッは菌の侵入に対し,仮道管にキャビテーションを生じ有 縁壁孔を閉塞して抵抗するが,青変菌はこの閉塞した有縁壁孔を貫通して 進展していく。このカラマツの有縁壁孔の閉塞は,柔細胞の壊死・変成が 関与している一種の過敏感反応とも考えられる。青変菌の拡大範囲は無限 ではなく2〜3週間で停止し,〇.piceaeの場合はその範囲はそれほど大きく ない。しかし穿孔虫の集中的な攻撃を受けることにより隣接する辺材の通 導阻害部分が融合して辺材での水の通導が止まり,枯死に至ると考えられ た。  .、.

  また,青変菌のカラマツ樹体侵入に関与する環境要因としてiま,極端な 低温では青 変菌の侵入は遅れるが,気温がそれほど高くない5‑6月,カ ラマツヤツバキクイムシの成虫が穿孔する時期にカラマツが青変菌に対し て感受性で,気温の高い夏期にはやや抵抗性を示すことが判明した。また,

カラマツの光合成産物を減少させることが,青変菌一穿孔虫の加害に対し てい大きな影響があることが示唆された。これらのことから,穿孔虫―青 変菌の被害を防ぐためカラマツ林の施業においては,まず光合成産物の減 少を防ぐため適正な間伐などを行なって林分の健全度を維持することを提 唱した。

(5)

学 位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

     カ ラ マ ツ ヤ ッ バ キ ク イ ム シ に 関 与 す る 青 変 菌

(〇りん LOS とornap む ceae ( MUNCH ) H .andP .SYDOW ) 対 す る カラ マ ツの樹 体反応と 萎凋枯死 に関す る研究

  本 論 文 は9章 で 構 成 さ れ 、 図39、 表5、 写 真26、 号l用 文 献153、 総頁 数156頁 の 和 文 論 文 で あ る , 別 に 参 考 論 文30紹 が 添 え ら れ て い る 。

  本 研 究 は 、 カ ラ マ ツ の 枯 死 に 穿 孔 虫 に 付 随 し て 樹 体 内 に 運 ぱ れ る 青 変 菌 の1 が 関 与 し て い る 凝 い が 持 た れ 、 実 験 的 に 解 明 し よ う と し た も の で あ る 。 1) 青 変 菌0piceaeを カ ラ マ ツ に 接 種 す る と 、 接 種 部 周 辺 の 辺 材 に 通 溝 阻 害 部 分 が 生 じ 、 こ の 部 分 の 含 水 率 は387茎 と 非 常 に 低 か っ た 。SEMで 観 察 す る と 辺 材 の 通 導 阻 害 部 分 に お け る 仮 道 管 内 で は 有 縁 壁 孔 の 閉 塞 が普 遍 的 に見 ら れ た。

こ れ は 青 変 菌 の 侵 入 に 対 す る カ ラ マ ツ 樹 体 側 の 反 応 と 考 え ら れ た 。 2) 青 変 菌 の 苗 糸 は 放 射 組 織 を 通 っ て 放 射 方 向 へ 侵 入 し 、 軸 方 向 へ は 仮 道 管 の 閉 塞 し た 壁 孔 を 貫 通 し て 進 展 し て い た 。 青 変 菌 の 菌 糸 は 、 放 射組 織 特 に放 射 柔 組織 を 通 過 し て 半 径 方 向 へ 辺 材 と 心 材 の 境 界 部 付 近 ま で 達 し て いた 。 菌 糸は 軸 方 向樹 脂 道 お よ び 水 平 方 向 樹 脂 道 内 に も 観 察 さ れ た が 、 エ ピ セ リ ウム 細 胞 には 外 見 上の 異 常 は 観 察 さ れ な か っ た 。

3) 膏 変 菌 を カ ラ マ ツ に 接 種 し て萎 凋 枯 死 に至 る 経 過を 観 察 した 。 接 種25日 .後 に は 木 部 圧 ポ テ ン シ ャ ル が 急 激 に 低 下 す る 接 種 木 が 現 れ 、2カ 月 後 に は 接 種 し た カ ラ マ ツ5本 の う ち 全 周 穿 孔 は 全 部 が 萎 凋 枯 死 し た 。 接 種 し た カ ラ マ ツ 辺 材 をSE Mで 観 察 し た と こ る 、 早 材 に お け る 仮 道 管 の 有 掾 壁 孔 の 閉 塞 が 広 範 囲 に 起 こ っ て

夫明 諄 恒 嵐越 谷 十 五生 大 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

(6)

お り 、 壁 孔 の 閉 塞 率 は 接 種 部 よ り 上 部 で は 非 常 に 高 い 卒 で あ っ た ・ 4)責変菌を4月から8月までカラマツの枝に接種して、接種後の辺材の通導阻 害部分および内樹皮の変亀の推移を調査した。通導阻害部分は4月を除巻3日後 には出現し、急速に拡大するが2週間から1カ月でその拡大はほば停止した。内 樹 皮の 変色 長もほば同様の傾向であった。SEM観察によって、按種点から0〜 5mlと10〜1 5■mの箇所で早材部仮道管の有釁壁孔の閉塞卒を求めた。閉塞宰 の高い部分が接種後の時間の経過とともに接種点付近から遠方へ、また形成層付 近から材の中心部分へと拡大し、辺材の通導阻害部の拡大に対応した動向を示し た。責変苗による辺材の通導阻害は、仮道管のキャピテーション(空洞化)によ る有隷壁孔の閉塞と譲い関連があることが示唆された。

5) 苗木に 釁状剰皮をして青変菌の苗糸片を用いる方法で、5月から8月まで1 月おきに、野外およぴ温度条件を一定にした温室内におぃて接種を行い、接種時 期の違いによる感受性の差を調べた。その結果7‑8月は接種後の病徴発現が5・ 6月に比べて遅く、木部且三ポテンシャルの低下もほば同様の傾向であった。これ ら の こ と か ら 5‑6月 は 7‑8月 に 比 べ 感 受 性 が 高 い と 考 え ら れ た 。 6)水ストレスを加えたカラマツ苗木接種木は、湿潤な条件下゛のカラマツ接種木 よりも、木部圧ポテンシャルの低下が遅く、湿潤な条件のカラマツ接種木の方が 感受性であることが示唆ぎれた。

7)摘葉処理を行うと当年肥大成長量は減少し、無処理のカラマツ接種木よりも 病傲が早く進展する頓向が見られた。一方、制皮処理では処理部分より上部で肥 大成長が増大し病倣の発現が遅れた。カラマツの光合成産物量は脊変薗の侵入・

病敬の発現に対して影響があることが示唆された。

8)以上の実験結果から膏変苗一穿孔虫のカラマツに対する加害に対して、樹体 内で起こる反応は次のように考察される。虫体に付着してカラマツの樹体内に運 ぱれた青変菌は、内樹皮に付着して発芽し拡大進展するとともに形成層から辺材 部へと侵入していく。辺材へは放射組織を通じて侵入し、軸方向へは仮道管内を 進展して拡大していく,一方カラマツは菌の侵入に対し、仮道管にキャビテーシ ヨンを生じ有縁壁孔を閉塞して抵抗するが、青変苗はこの閉塞した有隷壁孔を貫 通して進展していく。旦.piceaeの拡大範囲はそれほど大きくないが、穿孔虫の

(7)

集中 的な 攻撃 を受 ける こと によ り隣 接する 辺材 の通導阻害部分が融合して辺材で の水の通導が止まり、枯死に至ると考えられる。

9) カラ マツの 光合 成産 物を 滅少 させ るこ とが 、青 変菌 ー穿 孔虫 の加害 に対 して 大き な影 響が ある こと が示 唆さ れた 。した がっ てゝ穿孔虫ー青変菌の被害を防ぐ ため カラ マツ 林の 施業 では 、光 合成 産物の 減少 を防ぐため適正な問伐を行って林 分の健全度を維持することを提言した。

  以 上の よう に本 研究 は、 穿孔 虫と 青変菌 によ るカラマツの枯死を実験的に明ら か に し た も の で 、 森 林 保 護 学 の 進 展 に 寄 与 す る と こ ろ 大 巻` 、 も の が あ る 。   よ って 審査 員一 同は 、別 に行 った 学力確 認試 験の結果と合わせて、本論文の提 出者山口岳広は博士(農学)の学位を受けるのに十分な資格があるものと認定した。

参照

関連したドキュメント

   第 2 章では、PDU 予熱器 において加 熱中のスラ

   第8

また自生 地の復元 を視野に入れた共生菌を保持したランの増殖も可能となった。これ

   罹病 残渣を地表 に放置ある いは土壌中 に埋没して も,約5 年間4.2X10 4

   第5 章では、各生物学的種の分離菌株についての培地での培養特性を調ぺた。天然培地( MDA , YDA ,PDA ,PCDA 】のなかの PDA とPCDA

   第

siphe trifolii Greville と同 定し た 。本 病菌 は、うどんこ病菌の基本的属Erysiphe と Microsphaera