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博 士 ( 工 学 ) 藤 井 利 侑

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 工 学 ) 藤 井 利 侑

学 位 論 文 題 名

円形立坑 への作 用土圧と周辺地盤の挙動に関する研究      学位 論文内 容の要旨

  

地下空間の利用には、そのアクセスとしての立坑は必須の施設で、これ を安全かつ、経済的に計画、設計、施工することは極めて重要である。し かし特に近年深い立坑で実施例の多い円形立坑に関して、施工事例は既に 掘削深さ73m にも達しているが、その設計に用いる土圧の適用性は未だ十 分に検証されていない。深い円形立坑の設計土圧は立坑周辺地盤の3 次元 的挙動に支配されると推定されるが、実際には、土圧を深さ方向に直線的 に増加する従来の2 次元の土圧理論に基づき設計している。そこで、本研 究では、円形立坑に作用する土圧を実験的、解析的に研究し、円形立坑に 作用する土圧と周辺地盤の挙動に関して明かにし、合理的設計手法の確立 に寄与することを目的としている。

  

本研究では、複雑な特性を示す立坑周辺地盤の挙動と立坑に作用する土 圧を、近時広く地盤解析の分野で応用されている遠心模型実験装置と、F

EM

解析を有効・的確に利用して解析している。

  

本論文は全7 章から構成されている。

  

第1 章は序論で、既往の研究を総括するとともに本研究を行った背景と 本研究の位置づけを述べている。

  

第2 章では地下空間利用の歴史と現状を整理し、我国における将来の都 市地下空間の必要性を展望している。地下空間へのアクセスとしての立坑 は掘削深さが50m を越えるものがすでに20 例近く施工されている。今後ま すます地下空間利用が活発になると考えられ、合理的で安全な設計施工技 術 面 で の 研 究 が 急 務 で あ る こ と を 明 ら か に し て い る 。

  

第3 章では、立坑に関する現状の設計基準(指針)を整理し、特に設計 土圧に関する課題を指摘している。現在我国にある各種山留めの設計に係 わる基準、指針のうち、深い円形立坑に適用されているのは「地中送電用 立坑・とう道の調査、設計、施工、計測指針(日本トンネル技術協会)」

である。この基準は他の基準と異なり、立坑の構造解析は3 次元解析を提 案しているが、設計土圧は十分な根拠に基づくものではなく今後の研究に 期待するものとして、従来の2 次元的土圧によっている。このような背景 の下で、現行の設計土圧の見直しと、地下空間の合理的設計手法を確立す るための本研究の有用性と意義を位置づけている。

  

第4 章では、立坑に作用する土圧と周辺地盤の挙動を明らかにするため に行った実験的研究の成果をとりまとめている。一連の模型実験は、ビー ム型遠心模型実験装置を利用したもので、これにより重力場での実験と異 なり、地盤の自重による影響を適切に考慮した考察が可能となる。実験は

2

つのシリ―ズを実施している。第1 のシリーズは、剛性の高い立坑模型 を強制的に内側へ変位させることによって掘削時の立坑の挙動を再現し、

第2 のシリ―ズでは実際に近い剛性の立坑模型を用い、立坑内の砂を除去 することにより立坑掘削過程を再現している。

‑ 126ー

(2)

  

実験の結果、以下の事実が明らかになった。

1

)円形立坑の掘削に伴う周辺地盤の挙動を的確に再現することにより、

  

乾燥 砂中で 立坑 周面に作用する静止土圧、主働土圧、主働状態時の地

    

盤破壊形状を捉えることができた。

2

)静止土圧係数は,密な地盤ではJaky の静止土圧に近く緩い地盤ではそれ

  

より小さい。

3

)円形立坑に作用する主働土圧は、立坑の変位が大きい場合はRankine の

    

土圧に比べて小さく、Berezantzev の提案値に近づく。実際の立坑では

    

壁剛性により変位が制限され、土圧はBerezantzev と

Rankine

による値

    

の中間となる。

4

)円形立坑周辺地盤の破壊パ夕―ンは、立坑上部ではRankine の理論に基

    

づくすべり線に沿った滑動が観測され、立坑中間部では立坑壁面の近

    

傍で地盤が剛体的に下方へ動き、その下部では地盤は立坑下端へ向か

    

うすべり面の沿って生じている。

5

)地盤のすべり破壊パ夕―ンは応カレベルの影響を受け、立坑が深くな

    

るほど立坑周辺部の近くで発達する。

6

)主働時土圧分布と地盤内応力分布は、周辺地盤のすべり形状と密接に

    

関係している。

7

)立坑の剛性が同じであれば、作用土圧に及ぼすアスペクト比の影響は

る。 (

1

)弾塑 性

FEM

解析 より得 られ た結果 は本 研究の 遠心模型実験結果を良

    

く近似し、本研究で実施した解析的および実験的研究の妥当性が検証

    

された。

(2)

土圧分布に及ぼす壁面摩擦の影響は小さい。

3

FEM

解析よ り推定した深さ

20m

を越える立坑に作用する主働土圧は、

    Rankine

の主働土圧係数より求めた土圧より小さく,直線的に増加する。

    

この 理由は 、深さ

20m

程度を境として、立坑周辺地盤内の半径方向主

    

応力(作用土圧)に対する周方向主応カの比が小さくなるためと考え

    

られる。

  

6

章で は筆 者が計画、設計、管理に携わった最近の事例立坑の設計に ついて述べ、変位、土圧の実計測結果を、既往の研究結果を比較・参考して 評価した。実際の変位量、変位モードとも設計値と異った結果が得られた。

土圧は、掘削底以浅では設計土圧としたRankine 土圧に比べてやや大きく、

それより深い部分では小さい値となった。また立坑に作用する同一平面上 における土圧の分布は、従来の設計で仮定していた変動幅に比べて著しく 大きいこと等が明らかとなり、立坑土圧を適切に予測する手法を確立する には、今後の研究がさらに必要であるとされた。

  

7

章は 本研 究の総括で、確認と検証がなされた成果について整理と要 約を行い、今後に残された課題にっいて述べている。

   て頼 する あ    め信 施す で    との 実施 り    ま究 を実 通    り研 イを の    とル デ析 下    をょ 夕解 以    果に スの は    成ク クて 点    たツ ッい 要    しェ りつ の    究チ トに 果    研ス メ件 成    にロ ラ条 た    的ク パる つ    析の なあ な    解析 難の に    り解 困約 か    よと は制 ら    に究 で上 明    M研 究置 り    E的 研装 よ    F験 的は 究    性実 験で 研    塑、 実験 の    弾は

、実 連   

、的 とび 一    は 目 こ よ

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、 あ さ 5

。 高 と に 小第 るを こと       い 性 る こ

(3)

学位論文審査の要旨 主 査    教 授    土 岐 祥 介 副 査    教授    角田 輿史雄 副 査    教授    三田 地利之 副 査    教 授    石 島 洋 二

学 位 . 論 文 題 名

円形立坑 への作 用土圧と周辺地盤の挙動に関する研究

  地下 空 間 の利 用 に は、 その アクセス としての 立坑は必 須の施設 で、これを 安全かつ 経 済 的 に計 画 、 設計 、 施工 す ることは 極めて重 要である 。しかし 近年深い立 坑で実施 例の 多 い 円形 立 坑 に関 し て、 施 工 事例 は 既 に掘 削 深さ70m以 上にも達 しているが 、その設 計 に 用 いる 土 圧 の評 価 方法 は まだ十分 に確立さ れていな い。深い 円形立坑へ の作用土 圧は 周 辺 地盤 の3次 元 的挙 動 に支 配 さ れる こ とは 明 ら かで あ るが、 実際には、 深さ方向 に直 線 的 に増 加 す る従 来 の2次元 土 圧 理論 に 基づ き 設 計し て いる。 そこで、本 研究では 、円 形 立 坑に 作 用 する 土 圧と 周 辺地盤の 挙動との 関係を実 験的、解 析的に明ら かにして 、合 理 的 設計 手 法 の確 立 に寄 与 す る知 見 を 得て い る。

  本 論 文 は 全7章 か ら 構 成 さ れ て お り 、 章 毎 に 得 ら れ た 成 果 を 以 下 に 要 約 す る 。   1章 は序 論 で 、既 往 の研 究 を 総括 す ると と も に本 研 究 を行った 背景と本 研究の位 置 づけを述べ ている。

  2章 では 地 下 空間 利 用の 歴 史 と現 状 を整 理 し 、我 国 に おける将 来の都市 地下空間 の 必要 性 を展 望 し てい る 。地 下 空 間へ の アク セ ス とし て の 立坑は 掘削深さ が50mを越え る もの が すで に20例 近 く施 工 さ れている 。今後ま すます地 下空間利用 が活発に なると考 え られ 、 合理 的 で 安全 な 設計 施 工技術 面での研 究が急務 であること を明らか にしてい る。

  3章 では 、 立 坑に 関 する 現 状 の設 計 基準 ・ 指 針を 整 理 し、特に 設計土圧 に関する 課 題を 指 摘し て い る。 さ らに そ の上で 、現行の 設計土圧 の見直しと 、地下空 間の合理 的設 計 手 法 を 確 立 す る た め の 本 研 究 の 有 用 性 と 意 義 を 位 置 づ け て い る 。   4章 では 、 立 坑に 作 用す る 土 圧と 周 辺地 盤 の 挙動 を 明 らかにす るために 行った、 遠 心模 型 実験 装 置 によ る 実験 的 研 究の 成 果を と り まと め て いる。 実験は2つ のシリー ズを 実施 し てい る 。 第1のシ リ ーズ は 、 剛性 の 高い 立 坑 模型 を 模型地 盤内で発 生する水 平土 圧に よ り内 側 ヘ 変位 さ せる こ と によ っ て掘 削 時 の挙 動 を 再現し 、第2のシ リーズで は実 際に近い剛 性の立坑 模型を用 い、遠心場で立坑内の砂を除去することにより実際の掘肖l亅 過 程 を 再 現 し て 、 周 辺 地 盤 の 挙 動 と 立 坑 に 作 用 す る 土 圧 を 観 察 ・ 計 測 し て い る 。   実験の結果 、以下の 事実を明 らかにし ている。

(1) 静 止 土圧 係 数 は、 密 な地 盤 で はJakyの 静 止土 圧 に 近い が、緩い 地盤では それより     小さい。

(4)

2

)円形立坑に作用する主働土圧は、立坑の変位が大きい場合はRankine の土圧に比

    

べて小さく、Berezantzev の提案値に近づく。実際の立坑では壁剛性によって変位が

    

制 限 さ れ 、 土 圧 は

B erezantzev

Rankine

に よ る 値 の 中 間 と な る 。

3

)立坑上部ではRankine の理論に基づくすべり線に沿った滑動が観測され、立坑中

    

間部では立坑壁面の近傍で地盤が剛体的に下方ヘ動き、その下部では地盤は立坑壁

    

面下端ヘ向かうすべり面に沿って滑動する。

4

)地盤のすべり破壊パタ←ンは応カレベルの影響を受け、立坑が深くなるほど立坑

    

近傍で発達する。また、主働時土圧分布は、周辺地盤のすべり形状と密接に関係し

    

ている。

5

)作用士圧とBerezantzev の提案値との比は、アスペクト比の影響をほとんど受けな

    

い。

    

第5 章で は、弾 塑性

FEM

によ る解 析結果をとりまとめている。その目的は、実験 的研究と解析のクロスチェックにより研究の信頼性を高めること、実験では困難なパラ メ卜リックスタディを実施すること、および実験的研究では装置上制約のある条件につ いての解析を実施することにある。一連の研究より明らかになった成果の要点は以下の 通りである。

1

)弾塑性F EM 解析により得られた結果は本研究の遠心模型実験結果とよく近似し、

    

本 研 究 で 実 施 し た 解 析 的 お よ び 実 験 的 研 究 の 妥 当 性 が 検 証 さ れ た 。

(2 )土圧分布に及ばす壁面摩擦の影響は小さい。

3

)FEM 解 析 よ り 推 定し た深 さ20m を 越え る立 坑に作 用す る主 働土圧 は、

Rankine     

の主働土圧係数より求めた土圧より小さく、直線的に増加する。この理由は、深さ

    20m

程度で立坑周辺地盤内の半径方向主応力(作用土圧)に対する周方向主応カの比

    

が小さくなるためとしている。

  

第6 章では著者が計画、設計、管理に携わった最近の事例立坑の設計について述べ、

変位、土圧の実計測結果を、既往の研究結果を比較参考して評価している。実際の変位 量、変位モードとも従来の設計方法から得られる結果と異なり、さらに立坑上半部では、

土圧は設計値に対して変動幅が大きく、下半部では設計値より小さい値となったことを 示している。また、立坑に作用する同一平面上における土圧の分布は、従来の設計で仮 定していた変動幅に比べて著しく大きいこと等が明らかとなり、立坑土圧を適切に予測 す る 手 法 を 確 立 す る に は 、 今 後 の 研 究 が さ ら に 必 要 で あ る と 述 べ て い る 。

  

第7 章は本研究の総括で、得られた成果にっいて整理と要約を行い、今後に残された 課題にっいて述べている。

  

以上のように、本論文は円形立坑に作用する土圧と周辺地盤の挙動にっいて、実験的 および解析的研究によって明らかにするとともに、事例の観測結果に詳細な検討を加え て地下空間開発に必須の深い円形立坑設計法に係わる多くの有用な知見を得ており、地 盤工学の発展に寄与するところ大である。

  

よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

参照

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