• 検索結果がありません。

博士(工学)井藤幹隆 学位論文題名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博士(工学)井藤幹隆 学位論文題名"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博士(工学)井藤幹隆 学位論文題名

アモル ファス半 導体に おける過渡光伝導に関する研究

― 光 照 射 お よ び金 属添 加の 効果 ―

学位論文内容の要旨

  アモルファス半導体の工学的応用は意外に古く、1950年にゼロックス社から発売され た電子複写(コピー)機に始まる。この複写機には、アモルファスSeが感光体として使用 された。以来、太陽電池、相転移型光メモリーなど、結晶半導体とは異なった独特の製品 が開発されている。

  同じ半導体でありながら、アモルファス半導体が結晶半導体とは異なった発展を遂げて いるのは、アモルファス半導体が結晶半導体には無い独特の性質を有するからに他なら ない。

  その第一は、大面積化が可能であるということである。これは、アモルファス半導体が 長距離の構造秩序をもたないという性質を反映している。第二は、アモルファス半導体が 非平衛な状態で存在することに起因する擬安定性である。この性質により、アモルファス 半導体は光照射などによって、比較的容易に物性変化を生じさせることができる。第三 は、皋ll成の自由度が大きいということである。このため、化学畳論組成に限定されること なく、組成比を述続的に変えたり、他元索を添加したりして物性を連続的に、大幅に変化 させることができる。

  このうち第二、第三の性質は、物理的に興味深いというだけでなく、工学的にはアモル ファス半導体独特の秒J性コントロールの手法と捉えることもできる。したがって、光照射 や他元素の添加に対すtアモルファス半導体の物性変化を調べるということは、物性コン ト ロ ― ル の 際 の 基 礎 H.ぬ デ ー タ を 与 え る と い う 意 味 で も 重 要 で あ る 。   本研究では、この第二゛第三の性質に着目し、アモルファスAs2Se3の過渡光伝導特性 に対する光照射および金属添加の効果を調べたものである。アモルファスAs2Se3は、光 電材料として優れており、基本的な物性は良く研究されている代表的なカルコゲナイド系

611− ‐

(2)

アモルファス半導体である。また、過渡光伝導解析は、アモルファス半導体の電気的、光 学的、光電的性質に大きな影響を及ばしている局在準位に関する知見を得る手法である。

したがって、本研究によルアモルファスAs2Se3の局在準位に対する光照射および金属添 加の効果、言いかえれぱ、物理的および化学的なモディフィケーションの効果が明らかと なる。

  本論文は、全10章から構成されている。

  第1章では、研究の背景と目的にっいて述べている。

  第2章 では、理 論的背景として、分散型の過渡光伝導特性から局在準位の情報を得る ために必要なマルチプルトラッピングモデルにっいて述べる。加えて、過渡光伝導特性 を測定する実際の手法、Time−ofFlight(TOF)法と過渡光電流(Transient Photocurrent:

TPC)法の原理につゝ.、て説明する。

  第3章 では、過 渡光伝導特性に対する光照射効果の実験方法および実験結果にっいて 述べ る。そし て、第4章における実験結果の解析を通じて、局在準位に対する光照射効 果を明らかにする。

  また 、第5章で は、過渡光伝導特性に対する金属添加効果の実験方法および実験結果 にっ いて述べ 、第6章における解析によって、局在準位に対する金属添加効采を明らか にする。そして、第7章では、金属を含有した材料の構造と光学的特性にっいて述べる。

  第8章では、過渡光伝導‐と光誘起現象との間に観測された相関関係にっいて述べる。

  第9章 では、局 在犖位に対する光照日オ、金属添加効粟を微視的立場から考察する。

  第10章に本研究を総括する。

612

(3)

学 位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

アモル ファス半 導体に おける過渡光伝導に関する研究

― 光 照 射 お よ び 金 属 添 加 の 効 果 ―

  ア モルファス半導体の工学的応用は意外に古 く,1950年代に遡る。当時,アモルファスセレンが,

複写 機 の感 光体 とし て初 めて 実用 に供 され た。 以来 ,ア モルファス半導体は,結晶半導体とは一線 を画 し なが ら独 自の 発展 を遂 げて きた 。現 在で は, 太陽 電池や相転移型光メモリーなど多くの製品 が開 発 され るに 到っ てお り, アモ ルフ ァス 半導 体は 身近 なデバイス材料として我々の生活に浸透し つっ ある。その反面,学問的な見地からみ′こ アモルファス半導体物性は,結晶半導体物性と比較す ると 極めて末成熟な状況にある。したがって, その基礎物性にも多くの未解決な問題が残されてる。

  そ の ーっ が, アモ ルフ ァス 半導 体に 固有 なバ ンド ギャ ップ内の局在準位に関する問題である。局 在準 位 は, バン ドギ ャッ プ端 の特 性に 影響 を与 え, 電子 (正孔)の移動度を支配し,デバイスの応 答特 性 を左 右す る重 要な 要因 とな る。 また ,ア モル ファ ス半導体に特徴的な光誘起現象を支配して いる のもこれらの局在準位である。したがって ,新しい機能デバイスの創製の′こめには,物理的,

化学 的 作用 に対 する 局在 準位 の応 答特 性, およ びそ の起 源に開するより進んだ研究が望まれるとこ ろである。

  本 論 文 は ,代 表 的ア モル ファ ス半 導体 であ るAs2Se3,Se,水 素化Siの 局 在準 位の 性質 を, 過渡 光伝 導法を適用することによって調ベ′こ一連 の研究をまとめたものである。特に,アモルファス半 導体 が 有す るニ つの 性質 「擬 安定 性と 組成 の自 由度 」に 着目し,光照射および金属添加が局在準位 に 及 ぱ す 影 響 をAs2Se3を 用 い て 詳 し く 考察 し てい る。 本論 文の 主要 な成 果は ,以 下の5点に 要約 される。

(1)バ イア ス光 照射 下に おけ る過渡光伝導測定 を初めて行っ′こ。その結果,キャリヤーの走行時間     は 増加 する が, 分散 バラ メー 夕一 は変 化し ない こと を見いだした。また,この電流特性の変化     は , バ イ ア ス 光 照 身 寸 下 で の み 観 測 さ れ る 極 め て 不 安 定 な も の で あ る こ と を 確 認 し た 。

(2)(1)のバイアス光照身寸の変化に対し,計算穣によるモデル解析を適用することによって,バイア     ス 光照 身寸 下の 局在 準位 分布を求めた。その結果,光照射下では局在 準位密度が約2倍増加する     こ と , ま た 指 数 関 数 型 の 局 在 準 位 分 布 の 特 性 温 度 は 変 化 し な い こ と を 見 い だ し た 。 (3)銀 お よ び 銅 を 添 加 し たAs2Se3ガ ラ ス の過 渡光 伝導 特性 を, 金属 含有 量 を変 化さ せて 調べ た。

    そ の結 果, 過渡 光電 流は 分散 型の 減衰 特性 を示 すこ と,銀を舎む試料よりも銅を含む試料の方     が遅い減衰特性を示すこと を発見した。

(4)銀 お よ び 銅 を 添 加 し たAs2Se3ガ ラ ス の過 渡光 伝導 特性 に, ラブ ラス 変 換を 組み 込ん だマ ルチ     フ.ルトラッビングモデルを適用すること によって,局在準位分布を求めた。その結果,これら     の 金属 を10原子 名以 上含 有し た試 料に おい ても ,局 在準位は指数関数型に分布していること,

    また局在準位の特性温度は.銀を合む試料 よりも銅を合む試料の方が低いことを見いだしナこ。

(5)上述の光照身寸効果および金属添加効果の徽視的なメ カニズムを,Silverらの提案したモデルに

司 彦

啓 和

中 谷

田 山

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

    基づいて,統一的に考察した。その結果,光照射に伴う局在準位の増加は,荷電欠陥の光生成     と関係づけられること,銀や銅を添加した試料の特性温度の大小は,構造乱れの大小に関係づ     けらォIることを示した。

  これを要するに著者は,アモルファス半導体の局在準位の性質,およびその起源に関して多くの 新知見を見いだしており.ランダム系固体物理学や応用物理学の進歩に寄与するところ大である。

よ っ て, 著 者は , 北 海道 大 学 博士 ( 工学 )の学 位を授与 される資 格あるもの と認める 。

参照

関連したドキュメント

第 4 章では、細管 Ne-Hg プラズマの発光特性と放電特性に及ぼす Ar ガスの影響につい て述べている。Ar-Hg,Ne-Hg

   第2 章と第3 章では,高精度な音声分析システムを構築することを目的として,従来の一括型 AR モデ ルに よる 線形 予 測分 析法

    6 章は 以上の モデルに したが って作成 したKamui 環境について述べる。Kamui 環 境ではオ プジェ クトの記 述言語 として、 C++ をぺ ースに したKamui‑C とLisp をべー

   第4

本論文は全6章から構成される.1章では本研究の背景・目的を述べている.また,共創支援環境にっい

  2 章 では fcc 金 属と bcc 金 属の 活性 化エ ネル ギー の理 論計 算を 行っ た。 fcc 金属は遷 移 状態理論に基づく理論

   第5

   第4 章で は,第3 章で 得られた 結論を発 展させ, より一般