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博 士 ( 工 学 ) 藤 田 祐

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 藤 田    祐

学 位 論 文 題 名

ト ラ ッ ク運 送 シ ステ ムにお ける 輸 送 効 率 向 上 方 策 に 関 す る 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要旨

我が国 ではト ラック による輸送活動が特に活発であり、その走行時の輸送効率を向上させること は、コスト削減と環境負荷低減の両面から重要を課題と教っている。

  トラック走行時の輸送効率は、積載荷物のをい走行あるいは積載荷物の少毅い走行を避け、輸送 活動に必要なトラックの総走行距離を減らすことによって高めることができる。このことによルト ラック運送事業者は無駄を走行コストを肖IJ減し、自らの利益拡大を実現することができる。また社 会全体から見れば、無駄を走行を減らすことによルトラック走行時の環境負荷低減にも貢献するこ とができる。

  輸送効 率を向 上させ るために倣、これまで主に2つの仕組みが運用されてきた。その1っは、個 別の輸 送にお いてト ラック の積載効 率を高 める仕 組みであり、もう1っは個別の輸送をトラック ターミナルでより効率的を輸送に集約化する仕組みである。

  本研究では、これら2つの仕組みの機能を高めるため、次の具体的方策を検討し、その効果を明 らかにしている。

    (1)個 別 輸 送 の 積 載 効 率 を 向 上 さ せ る 帰 り 荷 確 保 に お け る 意 思 決 定 基 準 の 適 用     (2)大量 の個別 輸送を 集約化す る公共 トラッ クターミナルにおける廃棄パレット共同リサイ クルシステムの構築

  特に(1)の方策に関しては、その実施を支える求貨求車システムの発展について、近年における Webアプリケーション実行環境変化の影響を検討している。

  学位論文は次の7章から構成されている。

  第1章 で は 、 序 論 で 研 究 の 目 的 と 位 置 づ け 、 論 文 の 構 成 と 内 容 につ い て 述 べて い る 。   第2章で は、本 研究に おける 輸送効 率の捉 え方と、一般的に用いられる輸送効率指標について 紹介した後、トラック運送事業および輸送効率の現況を概説し、トラック走行時の輸送効率向上に は、積載効率の向上が大きを課題と毅っていることを説明している。また輸送が引き起こす大都市 部の大 気汚染 とC02排出 による 環境負 荷の現 況を概 説し、運 送事業 者にはC02排出量について一 層の削減努カが求められ、そのためにはトラック走行時の輸送効率向上が重要であることを説明し ている。さらにトラック走行時における輸送効率を向上させる2つの仕組みとして、個別輸送の積 載効率向上、個別輸送の集約化を紹介し、個別輸送の集約化は、定常的で継続的な比較的長距離の 輸送に向いた、大手運送事業者が取り組み易い方策であること、個別輸送の積載効率向上は、非定 常的で単発的を比較的短距離の輸送に向いた、中小運送事業者が取り組み易い方策であることを説 明している。

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  第3章では、個胃IJ輸送の積載効率向上手段としての帰り荷確保とそれに関連した輸送需要察知の た め の求貨求車システムについ て解説している。また、求 貨求車システムの技術基盤で あるWめ ア プリケーションのデータベ ース処理を取り上げ、求貨求車システムの帰り荷確保時に使用される 機 能 を単 純化 した 試 験的 アプ リケーションを作成し、Windows系環境における近年のWebアプリ ケ ー ショ ン実 行環 境 がASPからASP.NETに 変化 した こと に対 応 させ てデ ータ ベース処 理時間を 測 定し、性能を比較している 。その結果、近年の性能変化が、帰り荷確保時における求貨求車シス テ ムの利用拡大を促進する効 果を有することを明らかにし ている。

  第4章では、個別輸送の積載 効率向上の仕組みを効果的に機能させる方策として、帰り荷確保時 に 運送事業者が従うべき意思 決定基準の適用を取り上げ、具体的を意思決定基準として積載効率向 上 基準、限界利益向上基準の2つを提案し、帰り荷確保意思決定へこれらの基準を適用するための 指 針 を示している。またモンテ カルロ法による数値実験を 行って、輸送トンキロ当たりC02排出 量 削減に積載効率向上基準が 有効であること、積載効率向上基準に従う帰り荷確保を行っても、他 の 基準に従う帰り荷確保を行 った場合と大差のをい限界利 益の向上が得られることを確認してい る 。その結果、積載効率向上 基準は限界利益を向上させる効果を持っだけでをく、輸送トンキロ当 た りC02排出量を削減させる効 果も持つことから、その有効 性は最も高く評価できるこ とを明ら か にしている。また、実際に 運送事業者が行った帰り荷確保の実績データを調査し、積載効率向上 基 準に従う帰り荷確保で達成 される輸送トンキロ当たりC02排出量平均値滅少が、(社)全日本ト ラ ッ ク 協 会 の 掲 げ る 数 値 目 標 達 成 へ の 有 カ を 手 段 と を る 可 能 性 を 明 ら か に し て い る 。   第5章では、個別輸送の集約 化の仕組みそのものが社会から受け入れられ、効果的に機能するた め に 必要とをる廃棄パレットの 処理について取り上げ、そ の方策として東京都内4箇所 の公共ト ラ ックターミナルを対象に構 築した廃棄パレット共同リサイクルシステムについて解説している。

ま た、その運用実績データか ら、高いりサイクル効果を持つ廃棄ルートの確立、廃棄処理料金の低 価 格化による運送事業者のコ スト削減、廃棄パレット解体・分別・運搬作業からの解放による運送 事 業者のコスト削減、廃棄パ レット占有面積の開放による運送事業者のコスト削減、ターミナル敷 地 内からのC02排出量削減によ る地域住民への環境対策アピールをどの効果を明らかにしている。

さ らに同様の共同リサイクル システムが成立するための条件として、廃棄パレット回収量、回収用 ト ラックの輸送距離、運送事 業者のコスト削減効果に注目し、他地域の公共トラックターミナルに お ける実現可能性を検討した 結果、大阪府内3ターミナルを対象にしたシステムの実現可能性を見 出 している。

  第6章では、これまでの章で 行ってきた議論を参考にし顔がら、個別輸送の積載効率向上、個別 輸 送の集約化の仕組みがそれ ぞれ拡張していくべき方向性および将来的課題について考察し、帰り 荷 確保意思決定基準適用と廃 棄パレット共同リサイクルシ ステム構築の重要性を確認している。

  第7章 で は、 結 論と して 本研 究 の総 括を 行い 、今 後 の研 究上 の課 題に つ いて 述べ てい る 。

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学 位 論 文 審 査の 要 旨 主査   教授   加賀屋誠一 副査   教授   中辻   隆

副査   教授   佐藤馨一(北海商科大学)

学 位 論 文 題 名

トラ ッ ク 運 送シ ス テムに おける 輸 送 効 率 向 上 方 策 に 関 す る研 究

我が国ではトラ ックによる輸送活動が活発であり、その走行時の輸送効率を向上させることは、コ スト削減ばかり ではをく環境負荷低減という側面からも重要を課題とをっている。トラック走行時 の輸送効率は、 できるだけ積載荷物のない走行あるいは積載荷物の少をい走行を避けこと、また輸 送活動に必要を トラックの総走行距離を減らすことによって高めることができる。てのことによル トラック運送事 業者は無駄を走行コストを削 減し、自らの利益拡大も併 せて実現することができ る。また社会全 体からみれぱ、無駄を走行を減らすことにより、現在問題が顕在化している交通運 輸部門での環境 負荷軽減にも貢献することができ、それらのシステム改善は、多様でかつ大きを効 果が期待できる といえる。

本研究は、それ らの輸送効率を向上させるための効果的を方策を考究し、それらの適用可能性につ いて、具体的を 予測を行い、その実用化を試 みたものである。ここでの輸送効率向上には、2つの 視点から具体的 な方策を提案し、それらの妥 当性の検討を行っている。それらの1つは、個別の輸 送においてトラ ックの積載効率を高める仕組 みであり、他の1っは個別の輸送をトラックターミナ ルでより効率的 輸送に集約化する仕組みであ る。

具体的には、(1)個別輸送の積載効率を向上 させる帰り荷確保における意思決定基準の提案とその 適用、(2)多量の 個別輸送を集約化する公共 トラックターミナルにおける廃棄パレット共同リサイ クルシステムの 構築とその適用による環境負 荷に対する寄与の2点について検討を行いその効果を 明らかにしてい る。特に(1)の方策に関して は、その実施を支える求貨求車システムでの、Webア プリケーション を適用し、実行環境変化の影 響を明らかにしている。

本論文の構成は 、次の7章から構成されてい る。

第1章 は 、 序 論 で 研 究 の 目 的 と 位 置 づ け 、 さ ら に 論 文 の 構 成と 内容 に つい て述 べて いる 。 第2章では、本研 究における輸送効率の定義 と、それに用いられる輸送効 率指標について言及し た。また輸送が 引き起こす大都市部の大気汚 染とC02排出による環境負荷 の現況についてもとり まとめた。さら にトラック走行時における輸送効率を向上させる個別輸送の積載効率向上、個別輸 送の集約化の具 体的を方策を詳述した。

第3章では、個別 輸送の積載効率向上手段と しての帰り荷確保とそれに関連した輸送需要察知のた めの求貨求車シ ステムについての方策を提案している。また、求貨求車システムの技術基盤である     ―49←

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Webアプ リケ ーションのデータベース処理 を取り上げ、求貨求車シス テムの帰り荷確保時に使用 され る 機能 を試 験的 ア プリ ケー ションに より、Webアプリケーション の実行環境であるASPから ASP.NETへの変化によるデータベース処理時間を計測、´陸能比較を行っている。その結果、.性能 変化が、帰り荷確 保時における求貨求車システムの利用拡大に寄与することを明らかにしている。

第4章では、個別 輸送め積載効率向上の仕組み を効果的に機能させる方策として、帰り荷確保時に 運送事業者が従う べき意思決定基準として積 載効率向上基準、限界利益向上基準の2っを提案し、

帰り荷確保意思決 定へのこれらの基準を適用、算定方法を提案している。またモンテカルロ法によ る数 値 実験を 行って、輸送トンキロ当た りC02排出削減のためには積 載効率向上基準による評価 が有効であること を明らかにしている。さらに、積載効率向上基準は、限界利益を向上させる効果 を持 っ だけで をく、輸送トンキロ当たりC02排出量を削減させる効果 を持つことから、その有効 性は最も高く評価 できることを明らかにしている。この章の最後には、実際の運送事業者が行った 帰り荷確保の実績 データを調査し、積載効率向上基準に従う帰り荷確保によって、輸送トンキロ当 たりC02排出量平 均値減少が達成されることを 示している。

第5章では、個別 輸送集約化の仕組みそのもの が社会から受け入れられ、効果的に機能するために 必要とされる廃棄 パレットの処理について取 り上げ、東京都内4カ所の公共トラックターミナルを 対象に構築した廃 棄パレット共同リサイクルシステムについて検討した。また、同様の共同リサイ クルシステムが成 立するための条件として、廃棄物パレット回収量、回収用トラックの輸送距離、

運送事業者のコス ト削減に注目し、構築したシステムの他地域の公共トラックターミナルにおける 適用可能性を検討 した結果、大阪府内3ターミ ナルを対象としたシステムの実現可能性を見いだし ている。

第6章では、これ までの章で行ってきた論議を 参照し教がら、個別輸送の積載効率向上、個別輸送 の集約化の方策が それぞれ拡張していくべき方向性及び将来の課題について考察し、帰り荷確保意 思決定基準適用と 廃棄パレット共同リサイクルシステムの構築の重要性と必要性を考察している。

第7章 は 、 結 諭 で あ り 、 本 研 究 の 総 括 を 行 い 今 後 の 研 究 上 の 課 題 を 述 べ て い る 。 これを要するに、 著者は、トラック運送システムの輸送効率を向上させるための方策を多元的に提 案し、また効果的 を方法を考究し、さらに適用可能性について具体的を予測を行い、その実用化に おいて、新知見を 得たものであり、交通計画学、および交通経済学において、貢献するところ大を るものがある。よ って著者は北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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参照

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